ブックタイトル臨床現場で実践する薬学研究のススメ

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概要

臨床現場で実践する薬学研究のススメ

41STEP1 情報を収集して研究計画を立てる2・2.5・3・4時間の4測定値を使用した.partial AUC,CLmetは実測値であるが,これらの値を非線形最小二乗法により次式(CLmet=A/partial AUC)に当てはめ,最も良好な当てはめ(r2値が高いことを意味する)が得られたpatial AUCを与える採血点を理想の採血点と定義した.同時にA を決定した.結果 非線形最小二乗法による当てはめの結果,(2,2.5,3,4)時間の4測定値から算出したAUC2-4とCLmet間で最も高いr2 値(0.981)が得られた(図2).さらに,回帰式として,CLmet=5,656/AUC2-4hが得られた.すなわち,13点の採血と蓄尿から得たCLmetは,定数である5,656をAUC2-4で除することで精度よく予測できることを意味する.採血点を13点から4点に減らしても,良好に個々のCLmet,すなわち,個々のCYP3A 活性を推定することができることを示している.研究のポイント 免疫抑制薬の効果や副作用は,Buと同様にAUCと高い相関を示すことから,血中濃度よりもAUCでTDMを行うことが推奨されている.しかし,一般に多数の採血点を必要とするAUCは臨床応用が難しい.そこで,今回の研究と同様に多ポイントを使用したAUCを良好に反映する数少ない採血点の検討が加えられている.こういった手法を用いた検討は比較的多く行われている.CYP3Aで代謝される医薬品は多いことから,個々の代謝活性を知ることができれば,医薬品の適正使用や相互作用の解明など,その用途は広がる.各被検者から得られたCLmetと2 ~ 4時間の4点の測定値から計算したpartial AUCを使用し,partialAUC=A/CLmet 式での非線形最小二乗法による回帰を行ったもの.A=5,656で,もっとも良好な記述が得られた.実測CLmetAUC2-4h(hr*nmol/L*mg MDZ)20,00015,00010,0005,00000 5 10 15(mL/ 分)CLmet=5,656/AUC2-4hr2=0.9816非線形最小二乗法によるCLmet図2 と4点の測定値を使用したAUC2?4hの回帰結果 (文献2)より引用)