ブックタイトル薬局69巻6月号

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概要

薬局69巻6月号

40 2546 薬 局 2018 Vol.69, No.7はじめに本稿で取り上げる4疾患に共通する特徴は,ワクチンで防ぎうる疾患(vaccine preventabledisease)であり,かつ全世界的で発生し,かつ感染力が高いという点にある.さらに治療法は大部分の疾患で確立しておらず,疾患の制御のためには高いワクチン接種率を保つことが最も重要である.麻 疹1, 2)1 見逃さないために注意すべき患者背景WHOの統計では,近年の発生はアジア圏が多いとされており3),日本国内における輸入感染例ではフィリピンやインドネシアなどの東南アジアからが多いことが知られている4).その発生はワクチン接種率や栄養状態に依存し,高い伝播効率もあり難民キャンプなどで多発することが知られている.麻疹含有ワクチンの普及率が低い国でのリスクが高いことが想定されるが(図1)5),先進国を含めた世界各国で罹患をする可能性を考えるべき疾患である.2 症 状潜伏期は10~14日である.典型症状としては,微熱,咳嗽,咽頭痛,結膜充血,眼脂などを伴うカタル期が1~3日続いた後にいったん解熱し,39℃近い高熱,顔面から始まり下肢に向けて拡大していく発疹が出現する高熱期に移行する.高熱期2~3日までに頬粘膜,時に歯肉などにKoplik斑を認める(図2).発疹は癒合し,時に頭部は紅皮症様になることもあり,色素沈着として残存することが多い.高熱期はおおよそ7日ほどで終麻疹・風疹・水痘・ムンプス麻疹,風疹,水痘,ムンプスは非常に感染力が強く,輸入感染症として持ち込まれる可能性がある.ワクチンで防ぐことができる疾患であり,定期接種(routine immunization)としての接種率が疾患流行の抑制に重要である.水痘は温帯に多い傾向にあるが,他の疾患の発生頻度はワクチン接種率に依存すると考えられる.特に麻疹は輸入された後に小流行を来す事例が生じており,流行の中心はアジア圏である.■ 感染症を見逃さない・対応するための知識とノウハウ?? ?山元 佳国立国際医療研究センター 国際感染症センター