ブックタイトル薬局69巻6月号

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概要

薬局69巻6月号

62 2568 薬 局 2018 Vol.69, No.7はじめに近年,グローバル化によって国際旅行はますます一般的になっている.第二次世界大戦後から国際旅行はだんだんと一般的なものになってきており,近年では年間11億人もの人が国際旅行をしている.もちろん日本も例外ではなく,2017年の海外からの訪日外国人は2,870万人と過去最高を記録している.もはや外国人を診療する機会は決してまれではない.このような背景の中,エボラウイルス病や中東呼吸器症候群,デング熱,ジカウイルス感染症など新興再興感染症の拡大が世界における公衆衛生上の脅威となっている.これらの感染症は旅行者によって日本国内に持ち込まれる可能性がある.実際に2014年には日本国内でデング熱が流行したことは記憶に新しく1),またジカウイルス感染症も2013年12月の第1例目から2017年6月末の時点でこれまでに16例の輸入例が報告されている2).隣国の韓国では中東からの輸入例を発端とした中東呼吸器症候群がアウトブレイクし186人の感染者を出した3).訪日外国人の増加は経済発展などの正の側面だけでなく,負の側面も併せもっているのである.本稿では外国人患者の感染症診療のポイントとピットフォールについて述べる.外国人患者の感染症の評価渡航歴のある患者へのアプローチとして重要な3つのポイントは,渡航地,潜伏期,曝露歴である.外国人患者の感染症の評価も基本的にはこの3つのポイントに沿って診断を進めていく.外国人患者に対する感染症治療のポイントとピットフォール訪日外国人の増加により,輸入感染症流行のリスクの増加が懸念される.海外渡航歴のある外国人では,渡航地,潜伏期,曝露歴の評価を行う.まれだが致死率や感染性の高い感染症の可能性も頭の片隅に置いておく.特に開発途上国からの患者では結核の検査の閾値を低くする.耐性菌の持ち込みについても警戒が必要である.■ しっかり押さえておきたい外国人患者での感染症治療の留意点?? ?忽那 賢志国立国際医療研究センター 国際感染症センター 国際感染症対策室 医長/国際診療部 副部長