ブックタイトル薬局69巻6月号

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概要

薬局69巻6月号

薬 局 2018 Vol.69, No.7 2575 69はじめに法務省発表の月別の出入国管理統計月報によれば,韓国や中国などのアジア系の訪日外客数が第1位であり,次いで北米,欧州,オセアニアの順となっている.しかしながら外国人とはいっても全体の5人のうち4人がアジアから訪れており,欧米からの観光客は10人に1人程度にすぎないのが現状である.他方では,昨年の厚生労働省報告による外国人労働者数も過去最大であり,そこでもアジア系労働者が多いのが現状である.そのため人種としてアジア系として一括りで考えれば,大きく日本人と異なることはないが,本稿では外国人の薬物動態を考える際に注意したい肥満,腎機能の評価,遺伝子多型について解説する.肥満が薬物動態に及ぼす影響肥満患者は世界的に増加傾向を示しており,これら肥満患者において一部の薬剤では,標準的な投与量では有効血中濃度に到達しない可能性がある.図1に2017年に世界保健機関(WHO)から公表されている過体重のランキングを示す1, 2).日本は標準的な位置づけにある一方で,欧米諸国および中東諸国など多国にわたり肥満が問題になっている.WHOによると,肥満の割合は世界的な規模で憂慮すべき速度で上昇し続けている.WHOの基準であるBMI(body mass index)[体重(kg)/身長(m)2 ]が25.0以上を過体重,30.0以上を肥満,40.0以上を病的肥満と分類される(表1)3).肥満は高血圧やアテローム性動脈硬化症,糖尿病,種々のがん,その他,多くの疾病のリスク因子であり,その結果,罹病率や死亡率は上昇する.このような背景もあり,肥満患者では初期段階から長期にわ外国人患者において薬物動態を考える際の留意点原則,薬物動態の考え方は日本人であろうが,外国人であろうが同じである.外国人は肥満が多く,薬物動態への影響はさまざまである.外国人の腎機能の評価方法には肥満や測定方法の問題点を認識すべきである.人種差・民族差による遺伝子多型の背景を考慮した投与設計が必要な場合がある.■ しっかり押さえておきたい外国人患者での感染症治療の留意点?? ?浜田 幸宏* 木村 利美**東京女子医科大学病院 薬剤部 *薬剤副部長 **薬剤部長Feature | 訪日外国人数増加と輸入感染症