ブックタイトル薬局69巻6月号

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概要

薬局69巻6月号

薬 局 2018 Vol.69, No.7 2525 19はじめに侵襲性細菌感染症とは,髄液,血液,胸水,関節液などの無菌検体から細菌が検出される感染症,すなわち髄膜炎,菌血症,敗血症,膿胸,関節炎などを指す.本稿では,わが国の感染症法で五類感染症として全例届出になっている侵襲性髄膜炎菌感染症,侵襲性肺炎球菌感染症,侵襲性インフルエンザ菌感染症,劇症型溶血性レンサ球菌感染症を解説する.髄膜炎菌髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は,ヒトからヒトに飛沫感染するグラム陰性球菌である.莢膜多糖体の抗原により12種類の血清群(A,B,C,Y,W,X,Z,E,H,I,K,L)が確認されているが,菌血症,敗血症や髄膜炎などの侵襲性髄膜炎菌感染症(invasivemeningococcal disease:IMD)は,主に5つの血清群(A,B,C,Y,W)で起きている.潜伏期間は2~10日(平均4日)で突発的に発症する.IMDとしては,菌血症,髄膜炎を伴わない敗血症,髄膜炎,髄膜脳炎の4つの病型がある.髄膜炎菌性髄膜炎の主な症状は,高熱,頭痛,嘔気,項部硬直,点状出血,紫斑などである.髄膜炎菌性菌血症は多くの場合,点状出血や紫斑を伴う.発症から24~48時間以内に病状が進行し,適切な治療を行ってもIMDの致命率は約10~15%,特に髄膜炎菌性菌血症の致命率は約40%と報告されている1).また,非侵襲性感染症としては,肺炎,尿道炎などを起こすこともある.1 見逃さないために注意すべき患者背景髄膜炎菌感染症の流行地域としてアフリカ侵襲性細菌感染症侵襲性細菌感染症とは,髄液,血液などの無菌検体から細菌が検出される感染症,すなわち髄膜炎,菌血症,敗血症などを指す.髄膜炎菌,肺炎球菌,インフルエンザ菌による侵襲性細菌感染症と,溶血性レンサ球菌の劇症型感染症は,感染症法で五類感染症である.侵襲性細菌感染症は,訪日した者や海外渡航後の者だけでなく,わが国でも感染が発生する疾患である.侵襲性細菌感染症の診断のためには,血液培養などを適切に採取することが重要である.■ 感染症を見逃さない・対応するための知識とノウハウ?? ?福島 慎二東京医科大学病院 渡航者医療センター/感染制御部・感染症科 講師Feature | 訪日外国人数増加と輸入感染症