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月刊:毎月1日発行 B5判 定価:2,970円(本体2,700円+税10%) ※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0022-5207

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2022年6月 Vol. 104 No.6

終末期ケアのドラマチックcase files

定価

2,750(本体 2,500円+税10%)

  • 今月の視点
  • 特集の目次
  • 連載
今月の視点
感動という名の諸刃のギフト

 人の死に,良い死も,悪い死もない.
 穏やかな死や,苦悩を伴った死はあるだろう.あたたかい家族に囲まれた死や,孤独に亡くなる死はあるだろう.
 しかし死は死であり,死に過ぎない.優劣をつけるものではない.
 それでは感動を与えてもらった患者や家族を通して,われわれは何を得るのだろうか.それは,努力が報われる体験,かもしれない.
 感動した症例は,裏を返せば,苦労が多かった,一筋縄ではいかなかったケースであることが多い.無力さに打ちのめされることもあるが,仕事を通しての感動というものは,目の前の患者に真摯に向き合い,最大限に努力した者にしか受け取れないギフトだと思う.
 そしてそんな努力や経験を通じて,医療者は一層しなやかに成長してゆく.
 しかし一つのギフトが素晴らしかったからといって,他の患者に同様の見返りを求めることはできない.患者を比較してとらえることは,担当患者を,ひいては自分も傷つけるだけである.
 死に良し悪しがないように,患者に,良い患者も,悪い患者もない.
 好きな患者や苦手な患者がいるだけであり,それは医療者自身の感情,つまり受け皿に由来する.
 「ひとりひとり違って当たり前」.それが医療やケアの世界の常識であるが,われわれは自分次第で,実はすべての患者さんからギフトを受け取ることができる.
 ギフトの受け皿は,あなたの心や態度が支えているのだ.
 他人の物をのぞいても成長できるわけではないが,それでも隣人がどんなギフトを受け取ったのか時にのぞき見したい気持ちを抱くのも人である.
 そんな私の煩悩から生まれたこの企画に,本来そっとしまっておきたいギフトの一端を垣間見せてくださった方々に深い感謝をお伝えして,巻頭言としたい.

〔編集幹事〕
湘南鎌倉総合病院 総合診療科・緩和ケアチーム
宇井睦人
特集の目次
■総 論
「感動」という“贈り物”を受け取る ─ケアの思想から考える(井口真紀子)

■がん症例のcase file 編
本人の希望を支え,200 km をつないだ訪問看護(廣橋 猛)
君が僕なら,どうする? “What would you do in my shoes?”(森 雅紀)
子どものために,治療に戻りたい!(佐藤麻美子,田上恵太)
最期のわがまま(相木佐代)
患者中心の医療の先(横山太郎)
どう話せばいい? ~在宅医療でのACP,余命の伝え方~(岡本宗一郎)
医師は涙を流してはいけないのか?(松本衣里)

■非がん症例のcase file 編
心不全症例のドラマチックケース
「また外来でお会いしたいです」(柏木秀行)
COPD 症例のドラマチックケース
「東京オリンピックを見たい」~コロナ禍でのCOPD 患者の終末期医療のケース~(森川 昇)
アルコール性肝不全症例のドラマチックケース
廃墟モーテルで亡くなったアルコール依存症患者に寄り添い続けた270日(犬尾 仁)
腎不全症例のドラマチックケース
代理意思決定をすることになった家族(関口亜美)
神経疾患症例のドラマチックケース
「てんかん」の事前指示って議論することがあるんですか?(山本大介)
精神疾患症例のドラマチックケース
重度アルコール使用障害の緩和医療に精神科はどうかかわるとよいのだろうか(杉原正子)
認知症症例のドラマチックケース
これってネグレクト?─ 認知症患者と家族たちの境遇と向き合い続ける─(中村琢弥)
救急領域症例のドラマチックケース
倫理委員会と患者家族の意思決定支援の狭間で(小林駿介)

■コラム
世界の安楽死現場を取材して(宮下洋一)
連載
1 問1 答! 在宅報酬必須知識(2)
厚生労働大臣が定める状態等(別表第8) (永井康徳)

えびさんぽ(6)
乳幼児や小児の喘鳴に,吸入ステロイドは効果がありますか? (青島周一)
─ ランドマークスタディと路地裏エビデンス
─ 臨床での使い方

メンタル産業医が教える! 今月の筋トレ処方(6)
片足デッドリフト:自重筋トレのチャンピオン〈金メダリスト〉 (櫻澤博文)

メンタル産業医が解決! 忙しい医師のためのレジリエンス力Up 術(6)
「息」という字は「自」分の「心」 (櫻澤博文)

頑張る女性をサポートする漢方処方プロセス(13)
便 秘 (谷川聖明)

NEW アフターコロナの検疫(1)
成田国際空港における検疫の課題 (田中一成)

総合診療POEMs ─ 診療で使える! 旬なオススメ文献─ (8)
処方カスケードの実態─カルシウム拮抗薬→末梢性浮腫→利尿薬という処方カスケードは実際よく起きている─ (野澤祥吾,玉井杏奈)
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