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「いま」必要な情報を届ける雑誌

月刊:毎月1日発行 B5判 定価:2,750円(本体2,500円+税10%) ISSN 0022-5207

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2024年8月 Vol. 106 No.8

疾患治療で薬剤性便秘を作るな!

ISBN 978-4-525-93007-3

定価

2,750(本体 2,500円+税10%)

  • 今月の視点
  • 特集の目次
  • 連載
今月の視点
薬と便秘,新たな視点でのアプローチ

 私たちは,高齢化社会における便秘問題の増加を目の当たりにしています.多くの場合,「高齢だから便秘になるのは仕方ない」と考えがちですし,新薬の開発によりこの問題は克服されていると考えるかもしれません.しかし,本当にそうでしょうか?
 65歳以上の8%,75歳以上の10%が便秘であり,高齢が便秘の原因というイメージがありますが,裏を返せば,便秘に悩まされていない高齢者のほうが多く,高齢になったからといって必ず便秘になるわけではありません.これは,便秘の主因が高齢そのものではなく,ほかの要因にある可能性を示唆しています.とくに,便秘の原因として見落とされがちなのが「薬剤性便秘」です.内服薬の数が便秘発症を1.24倍にし,便秘作用のある薬剤を内服すると,便秘発症を2.21倍に増加させるとされます.実際,何らか薬剤を内服している日本人の65~74歳の30%,75歳以上の40%が5種類以上の内服をしているとされています.75歳以上の約1/4が7種類以上もの内服をしています.高齢になると,高血圧,消化器疾患,精神病,神経症,神経疾患,悪性腫瘍,皮膚疾患,泌尿器疾患,慢性疼痛性疾患などの疾患にかかり,それに伴って処方された薬剤によって,二次的に便秘(薬剤性便秘)になっている(少なくとも要素がある)のではないでしょうか.
 利尿薬や抗コリン作用のある薬,一部のCaチャネル阻害薬,抗不安薬,不要な鉄剤などは,大腸内の水分を減少させたり,腸管と脳の伝達を阻害したりすることで便秘を引き起こす可能性があります.また,種類によってはパーキンソン病治療薬や抗てんかん薬,降圧薬なども便秘を悪化させることがあります.
 重要なのは,これらの薬剤による便秘を単に刺激性下剤で解消しようとするのではなく,原因となる薬剤そのものを見直すことです.なぜなら,刺激性下剤の長期使用は,結腸の拡張や結腸ひだの消失を招き,結果的に便秘を悪化させる可能性があるからです.また,刺激性でない下剤であったとしても,薬剤数が増加することに違いはありません.
 本特集では,さまざまな疾患治療において,意外と見落とされがちな薬剤性便秘に焦点を当てます.便秘の原因となる内服薬の見直し,適切な薬剤への変更,そして究極的には下剤からの解放を目指すことが,私たちの目標です.患者さん一人ひとりの生活の質を高め,より快適な日々を送るために,薬剤性便秘への新たな視点からのアプローチを提案します.

〔編集幹事〕
札幌医科大学医療人育成センター/医学部総合診療医学講座 兼任
三原 弘
特集の目次

■疾患別に考える! 新たな視点でのアプローチ
高血圧と便秘(杉原伸明)
腹部症状の治療と便秘(山脇博士)
神経痛治療と便秘 ─Ca2+チャネルα2δリガンドを中心に─(川口善治)
向精神薬服用患者の便秘診療(丸木 拓,他)
貧血治療における便秘(杉森尚美)
パーキンソン病治療と便秘(道具伸浩)
てんかん治療と便秘(榊原隆次)
便秘治療と便秘の増悪(飯田 洋,他)
抗がん化学療法と便秘(中山優吏佳,他)
抗ヒスタミン薬と便秘(佐藤健太)
過活動膀胱治療と薬剤性便秘(京田有樹,他)
オピオイド治療中の薬剤性便秘(梶浦新也)

■場面別で解説! 予防と対策の最前線
病院総合医の便秘診療(秋山由樹)
救急外来での薬剤性便秘予防(狩野謙一)
小児の便秘を悪化させないために(高村昭輝)
下剤依存の回避(津田桃子)
在宅・介護施設・療養病床での薬剤性便秘(清水洋介)
連載
1問1答! 在宅報酬必須知識(15)
看取りのときに算定できる報酬(永井康徳)

えびさんぽ(32)
抗菌薬の適正使用をプライマリ・ケアでどのように実践したらよいですか?(青島周一)
─ランドマークスタディと路地裏エビデンス
─臨床での使い方

Dr. Shinのよくわかる即戦力漢方(3)
漢方専門外来で治療を受けても冷えが改善しない(橋本進一)
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