とびだせ、薬剤師!
臨床現場で活躍する薬剤師の知識やスキルのおさらい&アップデートをサポートする雑誌
月刊:毎月5日発行 B5判 定価:2,200円(本体2,000円+税10%)※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035
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※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035
見逃すと怖い「抗コリン作用」に備える
定価
2,200円(本体 2,000円+税10%)
- 巻頭言
- 目次
巻頭言
特集にあたって ―抗コリン作用のベネフィット・リスクのバランス―
抗コリン作用をもつ薬は,その作用点であるアセチルコリン受容体がさまざまな臓器において多彩な生理的機能の発現に関与していることから,種々の治療効果が期待されている.抗コリン薬が関与する作用には,鎮痙,消化管運動抑制,胃酸分泌抑制,膀胱平滑筋収縮抑制,気管支拡張などがあげられる.一方,抗コリン作用にはさまざまな副作用が問題となるケースも少なくない.抗コリン薬に共通してみられる副作用には,便秘,口渇,排尿困難,眼圧上昇,散瞳,傾眠,認知機能障害,せん妄などがあげられる.実臨床においては,これら抗コリン薬の好ましい効果と好ましくない効果,すなわち,ベネフィットとリスクを評価し,適正に使用することが重要である.ベネフィット・リスクのバランスに影響を及ぼすと考えられる項目をそれぞれ選定し,患者個々の病態・症状を見極めながら使用することが重要であり,決められた用法・用量を遵守し,目的とする症状が改善されることで,最大限のベネフィットを得ることができる.
抗コリン作用を薬効としない抗コリン作用をもつ薬にも注意すべきである.臨床的に特に問題となる薬剤にはヒスタミンH1およびH2受容体拮抗薬,三環系抗うつ薬,抗精神病薬,抗不整脈薬などがあげられる.また,一般用医薬品の多くは患者の判断で購入できるため,相互作用の観点からも考慮する必要がある.さらに,高齢者では副作用となりうる抗コリン作用の感受性が亢進していることから,リスク管理が重要となる.
抗コリン作用をもつ薬は医療用医薬品のみならず,一般用医薬品にまで及ぶこと,抗コリン性の副作用は末梢から中枢まで多岐にわたることや使用する患者の年齢や生活環境により,その発現の程度が変化することから,薬剤師は抗コリン作用によるベネフィット・リスクのバランスについて,常に注意を払う必要があり,抗コリン作用によるリスクを見逃すことがないよう,薬学的な対策・対応を講じることが重要である.本特集では,抗コリン作用を有する薬のリスクを基礎薬学から振り返るとともに,抗コリン作用における患者へのフォローアップの実践例について,第一線でご活躍中のエキスパートの先生方に解説をお願いした.本特集が読者のみなさまの日常的な処方監査,服薬指導などの業務にお役に立てれば幸いである.
名城大学薬学部 病院薬学研究室 教授
亀井浩行
抗コリン作用をもつ薬は,その作用点であるアセチルコリン受容体がさまざまな臓器において多彩な生理的機能の発現に関与していることから,種々の治療効果が期待されている.抗コリン薬が関与する作用には,鎮痙,消化管運動抑制,胃酸分泌抑制,膀胱平滑筋収縮抑制,気管支拡張などがあげられる.一方,抗コリン作用にはさまざまな副作用が問題となるケースも少なくない.抗コリン薬に共通してみられる副作用には,便秘,口渇,排尿困難,眼圧上昇,散瞳,傾眠,認知機能障害,せん妄などがあげられる.実臨床においては,これら抗コリン薬の好ましい効果と好ましくない効果,すなわち,ベネフィットとリスクを評価し,適正に使用することが重要である.ベネフィット・リスクのバランスに影響を及ぼすと考えられる項目をそれぞれ選定し,患者個々の病態・症状を見極めながら使用することが重要であり,決められた用法・用量を遵守し,目的とする症状が改善されることで,最大限のベネフィットを得ることができる.
抗コリン作用を薬効としない抗コリン作用をもつ薬にも注意すべきである.臨床的に特に問題となる薬剤にはヒスタミンH1およびH2受容体拮抗薬,三環系抗うつ薬,抗精神病薬,抗不整脈薬などがあげられる.また,一般用医薬品の多くは患者の判断で購入できるため,相互作用の観点からも考慮する必要がある.さらに,高齢者では副作用となりうる抗コリン作用の感受性が亢進していることから,リスク管理が重要となる.
抗コリン作用をもつ薬は医療用医薬品のみならず,一般用医薬品にまで及ぶこと,抗コリン性の副作用は末梢から中枢まで多岐にわたることや使用する患者の年齢や生活環境により,その発現の程度が変化することから,薬剤師は抗コリン作用によるベネフィット・リスクのバランスについて,常に注意を払う必要があり,抗コリン作用によるリスクを見逃すことがないよう,薬学的な対策・対応を講じることが重要である.本特集では,抗コリン作用を有する薬のリスクを基礎薬学から振り返るとともに,抗コリン作用における患者へのフォローアップの実践例について,第一線でご活躍中のエキスパートの先生方に解説をお願いした.本特集が読者のみなさまの日常的な処方監査,服薬指導などの業務にお役に立てれば幸いである.
名城大学薬学部 病院薬学研究室 教授
亀井浩行
目次
(特集)
■特集にあたって-抗コリン作用のベネフィット・リスクのバランス-(亀井浩行)
■もし副作用として「抗コリン作用」発現を見逃したら(宮崎雅之)
■「基礎薬学」から振り返る 抗コリン作用を有するクスリのリスク
・「抗コリン作用を有する薬」いろいろ(波多野正和 ほか)
・「副作用を予測する」-抗コリン作用を有する薬のかたち(浅井考介 ほか)
・「副作用を回避する」-抗コリン作用活性の強さ(小瀬英司)
・「相互作用を確認する」-抗コリン作用を有する薬剤が起こす可能性のある相互作用(加藤隆児)
■抗コリン作用への患者フォローアップ
・「眠くなる」-眠気(中村友喜)
・「お通じがない」-便秘(石原正志)
・「尿が出ない」-尿閉(前立腺肥大症)(前堀直美 ほか)
・「立ちくらみする」「足がつる」-熱中症(安藝敬生 ほか)
・「口がネバネバする」「喉が渇く」-口渇(柏﨑晴彦)
・「目が痛い」「頭が痛い」「吐き気を催す」-緑内障(名德倫明)
・「ドキドキする」-動悸(町田聖治 ほか)
■Exercise
(シリーズ)
■毒舌妻と統計家 -臨床試験論文を読んでみる- 第10回
臨床研究における,割合,率,比の違い
(今井 匠/井出和希)
■臨床薬物動態のPITFALL -その常識,ウソ?ホント?-
バルプロ酸の有効治療域は50~100mg/Lで,濃度測定値が105mg/Lだったので減量する
(西 圭史/小松完爾)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
プラセボ反応の発現に関与する生体側のメカニズム
(中野重行)
■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
がん専門薬剤師として臨床研究を行い情報発信する
(川上和宜)
■特集にあたって-抗コリン作用のベネフィット・リスクのバランス-(亀井浩行)
■もし副作用として「抗コリン作用」発現を見逃したら(宮崎雅之)
■「基礎薬学」から振り返る 抗コリン作用を有するクスリのリスク
・「抗コリン作用を有する薬」いろいろ(波多野正和 ほか)
・「副作用を予測する」-抗コリン作用を有する薬のかたち(浅井考介 ほか)
・「副作用を回避する」-抗コリン作用活性の強さ(小瀬英司)
・「相互作用を確認する」-抗コリン作用を有する薬剤が起こす可能性のある相互作用(加藤隆児)
■抗コリン作用への患者フォローアップ
・「眠くなる」-眠気(中村友喜)
・「お通じがない」-便秘(石原正志)
・「尿が出ない」-尿閉(前立腺肥大症)(前堀直美 ほか)
・「立ちくらみする」「足がつる」-熱中症(安藝敬生 ほか)
・「口がネバネバする」「喉が渇く」-口渇(柏﨑晴彦)
・「目が痛い」「頭が痛い」「吐き気を催す」-緑内障(名德倫明)
・「ドキドキする」-動悸(町田聖治 ほか)
■Exercise
(シリーズ)
■毒舌妻と統計家 -臨床試験論文を読んでみる- 第10回
臨床研究における,割合,率,比の違い
(今井 匠/井出和希)
■臨床薬物動態のPITFALL -その常識,ウソ?ホント?-
バルプロ酸の有効治療域は50~100mg/Lで,濃度測定値が105mg/Lだったので減量する
(西 圭史/小松完爾)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
プラセボ反応の発現に関与する生体側のメカニズム
(中野重行)
■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
がん専門薬剤師として臨床研究を行い情報発信する
(川上和宜)