とびだせ、薬剤師!
臨床現場で活躍する薬剤師の知識やスキルのおさらい&アップデートをサポートする雑誌
月刊:毎月5日発行 B5判 定価:2,200円(本体2,000円+税10%)※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035
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※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035
子どものためのステロイド外用剤のレシピ
ISBN 978-4-525-94001-0
定価
2,200円(本体 2,000円+税10%)
- 巻頭言
- 目次
巻頭言
副腎皮質ホルモン(ステロイド)は,医療現場になくてはならない薬剤となっている.ステロイドを初めて臨床に応用したのはヘンチであり,1948年にリウマチ患者に投与して効果が得られたことは有名であるが,その始まりは1930年に発表されたハートマンの論文に遡る.ハートマンは,「アジソン病の患者にウシの副腎皮質抽出物の投与が有効である」ということを示し,この抽出物を「コルチン」と名づけていた.研究者のケンドルは,コロンビア大学を卒業してパーク・デービス社でホルモンの研究に従事していたが,この論文に着目し,コルチンから数種類の化合物を発見し,最も薬理活性が強い化合物を「物質E」と命名した.この物質Eは,パイロットに投与すると酸素欠乏症になりにくいという報告がされ,第二次世界大戦の最中であった米国で軍事利用を目的として国家プロジェクトとして研究が推進され,精製方法が確立した.ケンドルはメイヨークリニックに在席しており,物質Eの精製成功を聞いた同クリニックのヘンチがリウマチ患者に1日100mgを3日間連続して筋注し,症状の改善を認めた.このコルチンの基礎研究と臨床応用の成功が1950年のノーベル生理学・医学賞の受賞へつながった.このようにステロイドの開発は皮肉にも戦争との関わりが大きい.
ステロイドは強力な抗炎症効果や免疫抑制を発揮するが,重篤な副作用を発現することから,副作用の発現を抑え最大限の効果を得るためには適正使用が重要となる.この副作用軽減を目的として,ステロイドは皮膚外用剤,吸入剤,点眼剤および耳鼻科用剤など外用剤として多くの剤形が開発されてきた.ステロイドの副作用への対処の基本は,予防と早期発見・早期対処であり,これら外用剤の剤形の特徴や体内動態を理解したうえで,適正使用を図ることが大切である.そこで本特集では,ステロイドの外用剤の小児への使用を,剤形からと疾患からの両視点で,それぞれの分野の第一線で活躍されている経験豊かな先生方に執筆をお願いした.
ステロイドは,1992年7月報道番組「ニュースステーション」の特集の最後に,「ステロイドは最後の最後ぎりぎりまで使ってはいけない薬」とコメントしたことからマスコミがステロイドへのバッシングを行った影響で,ステロイド忌避の患者らが根強く認められており,保護者への説明も重要である.これらの利用可能性ヒューリスティックに関してもエビデンスを含めて解説した.
目次をご覧いただければ一目瞭然であるが,明日からの臨床で役立つ具体的な内容が豊富な一冊となっている.本特集が,多くのステロイドの外用剤を使用する小児患者への適正使用の福音となることを願っている.
佐々木研究所 研究事務室長
大谷 道輝
ステロイドは強力な抗炎症効果や免疫抑制を発揮するが,重篤な副作用を発現することから,副作用の発現を抑え最大限の効果を得るためには適正使用が重要となる.この副作用軽減を目的として,ステロイドは皮膚外用剤,吸入剤,点眼剤および耳鼻科用剤など外用剤として多くの剤形が開発されてきた.ステロイドの副作用への対処の基本は,予防と早期発見・早期対処であり,これら外用剤の剤形の特徴や体内動態を理解したうえで,適正使用を図ることが大切である.そこで本特集では,ステロイドの外用剤の小児への使用を,剤形からと疾患からの両視点で,それぞれの分野の第一線で活躍されている経験豊かな先生方に執筆をお願いした.
ステロイドは,1992年7月報道番組「ニュースステーション」の特集の最後に,「ステロイドは最後の最後ぎりぎりまで使ってはいけない薬」とコメントしたことからマスコミがステロイドへのバッシングを行った影響で,ステロイド忌避の患者らが根強く認められており,保護者への説明も重要である.これらの利用可能性ヒューリスティックに関してもエビデンスを含めて解説した.
目次をご覧いただければ一目瞭然であるが,明日からの臨床で役立つ具体的な内容が豊富な一冊となっている.本特集が,多くのステロイドの外用剤を使用する小児患者への適正使用の福音となることを願っている.
佐々木研究所 研究事務室長
大谷 道輝
目次
特集
子どものためのステロイド外用剤のレシピ
■特集にあたって (大谷 道輝)
■巻頭カラー写真
■数字でみるステロイド外用剤─薬剤選択・情報提供の裏付けとなる薬学的データ
・吸入剤 (坂野 昌志)
・皮膚外用剤 ─適応と使い分け─ (玉城 善史郎)
・皮膚外用剤 ─適正使用と患者説明─ (大谷 道輝)
■ステロイド外用剤の子どもに対するネガティブ情報との付き合い方
・成長障害への不安のスキマを埋める (田中 諒 ほか)
・知らぬ間に進行する副作用の情報を共有する─骨粗鬆症・眼圧上昇を例に─ (栁原 茂人 ほか)
・局所副作用への不安によるノンアドヒアランスへの対処 (福家 辰樹)
■ポイント整理! 子どもの気管支喘息とステロイド吸入剤
・病態・臨床像の特徴・治療方針の成人との違いは? (原田 桂作 ほか)
・子どもに適応のあるステロイド吸入剤は? そのエビデンスは? (勝 弘毅)
・乳児・小児・成人期での長期管理薬の選び方・使い方の違いは? (増永 理紗 ほか)
・乳幼児・小児期の吸入機器・補助具の選び方は? (高安 芽衣子)
・吸入方法を再度指導するきっかけづくりは? 再指導のポイントは? (大久保 真理)
■ポイント整理! 子どものアトピー性皮膚炎とステロイド外用剤
・病態・臨床像の特徴・治療方針の成人との違いは? (工藤 恭子 ほか)
・子どもに適応のあるステロイド外用剤は? (大橋 知佳 ほか)
・ステロイド外用剤の用量・部位・強さの視点でみられる処方上の問題は? (安部 正敏)
・ステロイド外用剤の剤形と強さの関係は? (大谷 道輝)
・ステロイド外用剤の適切な継続期間の設定・判断は? やめ方は? (多田 弥生)
・ステロイド外用剤と保湿剤の混合 ─何のために混ぜていますか?─ (常深 祐一郎)
■ポイント整理! 子どものアレルギー性結膜炎とステロイド点眼剤
・病態・臨床像の特徴・治療方針の成人との違いは? (三村 達哉)
・ステロイド点眼剤の小児使用時の注意点は? (中田 雄一郎)
■ポイント整理! 子どもの耳鼻咽喉科疾患とステロイド点鼻剤
・慢性副鼻腔炎へのステロイド点鼻剤に期待される作用は? 有効性は? (佐野 元基)
・アレルギー性鼻炎へのステロイド点鼻剤処方のタイミングは? (佐野 元基)
・ステロイド点鼻剤はなぜ眼症状に効果があるの? 眼圧への影響は? (佐野 元基)
シリーズ
■えびさんぽ
小児の喘息にステロイドは効果がありますか?
(青島 周一)
■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・BZ薬は漸減しても離脱症候群を生じる
・睡眠薬の中⽌に対する医師と患者の認識のズレ
(佐藤 宏樹,澤田 康文)
■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
〈第26回〉研究資金のオモテ・ウラ
(大井 一弥)
■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第26回〉誰のための抗菌薬適正使用?
(篠田 康孝)
■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第14回〉タミフル ®ドライシロップ3%
(小嶋 純,米子 真記)
■ぐっとよくなる! 漢方処方快訣ビフォーアフター
〈第2回〉便秘に対する処方の使い分け
大黄(大腸刺激性下剤)含有処方と非大黄処方の使い方
(津田 篤太郎)
■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈弐拾陸ノ型〉薬剤の特性や併用薬を考慮し,簡易懸濁法の手順を判断せよ!
(池内 晶哉)
子どものためのステロイド外用剤のレシピ
■特集にあたって (大谷 道輝)
■巻頭カラー写真
■数字でみるステロイド外用剤─薬剤選択・情報提供の裏付けとなる薬学的データ
・吸入剤 (坂野 昌志)
・皮膚外用剤 ─適応と使い分け─ (玉城 善史郎)
・皮膚外用剤 ─適正使用と患者説明─ (大谷 道輝)
■ステロイド外用剤の子どもに対するネガティブ情報との付き合い方
・成長障害への不安のスキマを埋める (田中 諒 ほか)
・知らぬ間に進行する副作用の情報を共有する─骨粗鬆症・眼圧上昇を例に─ (栁原 茂人 ほか)
・局所副作用への不安によるノンアドヒアランスへの対処 (福家 辰樹)
■ポイント整理! 子どもの気管支喘息とステロイド吸入剤
・病態・臨床像の特徴・治療方針の成人との違いは? (原田 桂作 ほか)
・子どもに適応のあるステロイド吸入剤は? そのエビデンスは? (勝 弘毅)
・乳児・小児・成人期での長期管理薬の選び方・使い方の違いは? (増永 理紗 ほか)
・乳幼児・小児期の吸入機器・補助具の選び方は? (高安 芽衣子)
・吸入方法を再度指導するきっかけづくりは? 再指導のポイントは? (大久保 真理)
■ポイント整理! 子どものアトピー性皮膚炎とステロイド外用剤
・病態・臨床像の特徴・治療方針の成人との違いは? (工藤 恭子 ほか)
・子どもに適応のあるステロイド外用剤は? (大橋 知佳 ほか)
・ステロイド外用剤の用量・部位・強さの視点でみられる処方上の問題は? (安部 正敏)
・ステロイド外用剤の剤形と強さの関係は? (大谷 道輝)
・ステロイド外用剤の適切な継続期間の設定・判断は? やめ方は? (多田 弥生)
・ステロイド外用剤と保湿剤の混合 ─何のために混ぜていますか?─ (常深 祐一郎)
■ポイント整理! 子どものアレルギー性結膜炎とステロイド点眼剤
・病態・臨床像の特徴・治療方針の成人との違いは? (三村 達哉)
・ステロイド点眼剤の小児使用時の注意点は? (中田 雄一郎)
■ポイント整理! 子どもの耳鼻咽喉科疾患とステロイド点鼻剤
・慢性副鼻腔炎へのステロイド点鼻剤に期待される作用は? 有効性は? (佐野 元基)
・アレルギー性鼻炎へのステロイド点鼻剤処方のタイミングは? (佐野 元基)
・ステロイド点鼻剤はなぜ眼症状に効果があるの? 眼圧への影響は? (佐野 元基)
シリーズ
■えびさんぽ
小児の喘息にステロイドは効果がありますか?
(青島 周一)
■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・BZ薬は漸減しても離脱症候群を生じる
・睡眠薬の中⽌に対する医師と患者の認識のズレ
(佐藤 宏樹,澤田 康文)
■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
〈第26回〉研究資金のオモテ・ウラ
(大井 一弥)
■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第26回〉誰のための抗菌薬適正使用?
(篠田 康孝)
■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第14回〉タミフル ®ドライシロップ3%
(小嶋 純,米子 真記)
■ぐっとよくなる! 漢方処方快訣ビフォーアフター
〈第2回〉便秘に対する処方の使い分け
大黄(大腸刺激性下剤)含有処方と非大黄処方の使い方
(津田 篤太郎)
■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈弐拾陸ノ型〉薬剤の特性や併用薬を考慮し,簡易懸濁法の手順を判断せよ!
(池内 晶哉)