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とびだせ、薬剤師!
臨床現場で活躍する薬剤師の知識やスキルのおさらい&アップデートをサポートする雑誌

月刊:毎月5日発行 B5判 定価:2,200円(本体2,000円+税10%)※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035

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月刊:毎月5日発行 B5判 定価:2,200円(本体2,000円+税10%)
※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035

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2024年10月 Vol.75 No.12

口腔機能低下症・嚥下障害のミカタ

服薬サポートの引き出しを増やしませんか!?

ISBN 978-4-525-94009-6

定価

2,200(本体 2,000円+税10%)

  • 巻頭言
  • 目次
巻頭言
薬学教育において,口腔機能や摂食嚥下について学ぶ機会はほとんどない.しかし,患者が日常的に服用する薬剤のほとんどが経口薬であり,薬剤は食べ物と同じ経路で消化管に落とし込み薬効を発揮する.薬剤師にとって,服薬の入り口である口腔機能や嚥下機能およびその問題点などについての知識は,安全な服薬や患者アドヒアランス向上のために欠かせないものである.
食べ物と経口薬は同じ経路を通って吸収されるが,食べ物はよく噛んで消化酵素で分解されてペースト状の均一な食塊となって嚥下される.一方,経口薬は薬と水をそのまま同時に嚥下する.固形物(薬)と液体(水)という物性の異なる物をかまずに同時に嚥下する必要があり,服薬は食物の嚥下よりも難易度が高く,より高度な嚥下機能が必要になる.そのため,摂食嚥下に問題がない人でも,「錠剤が飲みにくい」と言うのをよく耳にする.したがって,錠剤(薬)の嚥下障害は,摂食嚥下障害とは別の問題として考えるべきである.
そこで,新たに「錠剤(カプセル剤,顆粒剤などを含む)が飲みにくい状況」を“錠剤(薬)嚥下障害”と定義した.摂食嚥下に関しては1980年代から研究会や学会が設立し,多職種でさまざまな研究が続けられ,その障害に対する対策が練られている.しかし錠剤嚥下障害については,その言葉すら存在していないのが現状である.
従来から錠剤が飲みにくい人は多くいたのに,なぜ問題視されてこなかったのか.それは,錠剤を粉砕することによって解決されているからであろう.薬剤師も錠剤が飲めなければ,まずは外用剤への変更を考え,それが無理なら水剤や散剤へ変更し,それもできなければ一般的に錠剤をつぶして粉状に調剤する.本当にこれでよいのだろうか.錠剤をつぶすと元の錠剤の効果や安定性は間違いなく損なわれるし,振り替えた細粒剤が水に混ざらず経管投与できないこともある.錠剤をつぶすことをよしとするのではなく,薬剤のプロである薬剤師であれば効果や安定性を保証するための適正な方策をとるべきである.
錠剤嚥下障害は今まで誰も問題視しておらず,今,薬剤師が取り組まなければ錠剤が飲みにくい患者は,ずっとがまんして服薬することになる.さらには毎回苦労して,飲む(飲ませる)のが大変になると,当たり前のように錠剤がつぶされる.錠剤一粒一粒には,効果を最大限発揮するための秘密(製剤工夫)が施されているが,それを学ぶのは薬学部だけである.それぞれの錠剤に隠された秘密があることを知らなければ,どんな錠剤でもつぶしてしまうのも当然のことといえる.投薬した後に当たり前のように行われる錠剤粉砕をなくし,“薬剤師の確認ナシに錠剤はつぶしてはいけない”という文化をつくることは,服薬の安全を守る薬剤師の責務であろう.

昭和大学薬学部 客員教授
倉田なおみ
目次
特集
口腔機能低下症・嚥下障害のミカタ
服薬サポートの引き出しを増やしませんか!?

■特集にあたって (倉田 なおみ)

■巻頭カラー写真

■服薬サポートの基盤は“服薬支援”─もっと患者中心に!─ (倉田 なおみ)

■口腔機能低下症・嚥下障害ベーシック・レクチャー
 ・「食べる→飲み込む」の5つのプロセス(井口 紘輔 ほか)
 ・口腔のしくみとはたらき ─オーラルフレイルの重要性を理解するために─ (大野 友久)
 ・口腔機能低下に伴う危険な症状・見落とされる症状 (吉松 由貴)
 ・原因疾患にあわせた摂食嚥下サポートのゴール設定 (笠井 史人)
 ・嚥下障害時の2つの薬学的視点 (金原 寛子)

■「薬を服用(嚥下)できる」を支えるチカラ
 ・「薬を服用する」がなぜできないのかを検証する (倉田 なおみ)
 ・嚥下機能低下による「薬を服用できていない」トラブル事例 (石井 良昌 ほか)
 ・食事の段階分類からみた嚥下機能の評価 (栢下 淳)
 ・嚥下機能を考慮した服薬姿勢と方法 (粟飯原 けい子 ほか)
 ・嚥下機能にあわせた剤形・投薬経路の選択肢 (鈴木 慶介)
 ・薬剤学的問題にも考慮した嚥下補助製品の選び方・使い方 (森田 俊博)

■薬による嚥下障害に気づくチカラ・対応するチカラ
 ・安全な食支援・介助につなげる処方確認のポイント (白鳥 千穂)
 ・「食べたくない」の要因を薬学的に探る・対応する (鍛治園 誠)
 ・「口が渇く」の要因を薬学的に探る・対応する (岩尾 一生)

■多職種から学ぶ! 服薬支援力を磨くヒント
 ・脳卒中の回復期① (牧 宏樹)
 ・脳卒中の回復期② ─退院先を見据えた支援─ (田中 広紀 ほか)
 ・認知症 (篠永 浩)
 ・パーキンソン病 (尾﨑 誠一)
 ・頭頸部腫瘍 (高橋 知子 ほか)
 ・抗がん薬による口腔粘膜障害 (小林 一男)

シリーズ

■ガチではじめる マジでわかる経口抗がん薬
 タグリッソ®のざ瘡様皮疹
 (谷川 大夢)

■えびさんぽ
 高齢者の肺炎(誤嚥性肺炎)予防に効果的な治療法はありますか?
 (青島 周一)

■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
 ・血液がんの薬物療法
 ・がん薬剤師外来とは
 (山口 正和 伴 修平 川上 和宜)

■「全(ZEN)か無(MU)か」じゃないんだよ薬物相互作用
 〈File 01〉ワルファリン関連薬物相互作用
 (平井 利典 児島 悠史)

■ぐっとよくなる! 漢方処方快訣ビフォーアフター
 〈第10回〉頑固な多汗・火照り症状に悩まされる高齢女性 複雑な病態をどう読み解くか?
 (津田 篤太郎)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第34回〉75年ぶりの法律改定 大麻由来医薬品の時代が到来??
 (山田 友奈美)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・避妊薬とNSAIDs併⽤で静脈血栓塞栓症リスクがさらに上昇
 ・パルボシクリブとPPI併用で治療効果が減弱
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第22回〉ノルバスク®錠2.5mg
 (小嶋 純 米子 真記)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈参拾肆ノ型〉薬剤性腎障害のリスクは処方内容全体から把握せよ!
 (中川 裕介)
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