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とびだせ、薬剤師!
臨床現場で活躍する薬剤師の知識やスキルのおさらい&アップデートをサポートする雑誌

月刊:毎月5日発行 B5判 定価:2,200円(本体2,000円+税10%)※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035

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※増刊号・臨時増刊号を除く ISSN 0044-0035

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2025年3月 Vol.76 No.3

増悪を防ぐ! 連携のポイントを掴み,実践する,心不全フォローアップ

ISBN 978-4-525-94016-4

定価

2,200(本体 2,000円+税10%)

  • 巻頭言
  • 目次
巻頭言
 冬場は季節性の感染症とともに循環器病を発症する患者が多くなることを体感して久しい.とりわけ,心不全はすべての循環器病の終末像ともいえる状態であり,直近10年間を思い返すと,入院患者は増加すれども減少に転ずる気配はない.われわれはすでに“心不全パンデミック”と対峙している状況にあるが,地域差を考慮しても今後10年間は心不全発症患者数の増加が予測されている.こうした状況を踏まえると,これまでにないかたちで心不全患者のフォロー体制を確立することが重要である.
 筆者は超急性期病院に勤務しているが,心不全患者の入院期間は約10日間であり,その間に医師はもとより看護師,薬剤師,理学療法士,管理栄養士などの多職種による療養指導が実践されることが一般的になりつつある.しかしながら,心不全の増悪による再入院を防ぐためには「入院中にさまざまな指導を行った」で終わる病院完結型の指導ではなく,日常生活のなかで自己管理の評価と適切な支援をくり返し講ずる患者伴走型の支援体制が重要である.筆者自身,薬剤師が退院後も入院中と同様の密度で心不全患者に関与し続けられるかという点に課題を感じていたが,2024(令和6)年度の調剤報酬改定では保険薬局による心不全患者のフォローアップが薬物治療の適正化と再入院の回避につながることを期待され,調剤後薬剤管理指導料2が新設された.まさに心不全患者に対して薬剤師が伴走するための土台が整備されたことに喜びを覚えたが,指導料の新設がすぐに現場での実践につながるわけではない.保険薬局によるフォローアップの充実を図るためには,知識の啓発と同時に情報の連携が重要である.そこで,心不全患者が基幹病院などでの入院治療を経た後,地域での診療に移行する場合が多い点に着目し,入院期から退院後のフェーズにおける情報連携とフォローアップの指針を示す手引書として,『薬剤師による心不全服薬管理指導の手引き,第1版(日本心不全学会/日本薬剤師会)』が作成され,2024年8月に公開となった.
 このように,2024(令和6)年度は薬剤師が心不全患者に伴走したフォローアップを行うための土台が整備された年となったが,この土台を活用し,各地域での実践が一般的となるかどうかは,われわれ薬剤師の行動にかかっている.本号では,連携のポイントを掴み,「実践する」をテーマに特集を組んだ.心不全診療に携わるすべての薬剤師が確実な一歩を踏み出すことを期待したい.
 心不全診療における薬剤師の役割は“あなた”の一歩に委ねられている.

安城更生病院 薬剤部 医薬情報課長
澤田 和久
目次
特集
増悪を防ぐ! 連携のポイントを掴み,実践する,心不全フォローアップ

■特集にあたって(澤田 和久)

■心不全患者のリアル 
・なぜ症状の増悪・再入院がくり返されるのか? ─病態と対策をイメージする─(猪又 孝元)
・くり返す急性増悪と心機能・くすりの関係は?(植村 祐介 ほか)
・なぜ多職種の視点が必要なのか? ─薬剤師に求められる視点─(土岐 真路)

■S / O情報からみえる! みつかる! 心不全の増悪サイン
・呼吸器・循環器系のサイン(髙井  靖)
・体液バランスのサイン(佐古 守人)
・全身の倦怠・虚弱に関するサイン(櫻下 弘志)

■保険薬局で心不全治療を判断するには?(磯崎 弘恵)

■患者にシームレスな医療を提供するための薬-薬連携
・薬剤師による患者フォローアップのこれから(橋場  元)
・退院時の情報を薬局と共有する(澤田 和久)
・退院時薬剤管理サマリー/フォローアップシートを活用する(服部 和人)
・心不全ステージA/Bをキャッチ&フィードバックする(西垣  賢)

■急性増悪を防ごう! 薬剤師のフォローアップが欠かせない問題にアプローチ
・#シックデイ対応の理解度が低い(林  太祐)
・#服薬アドヒアランスが低い(大舘 祐佳)
・#体重管理ができない(涌田 泰行)
・#食生活を改善できない(佐藤  洸)
・#生活リズムが不規則(大内 友季江)
・#(心不全治療中に)腎機能が低下した・血清カリウム値の上昇(大橋 泰裕)
・#血圧が低い ─低い血圧は悪なのか? 許容することのメリットは?─(芦川 直也)
・#ポリファーマシー(石井 聡一郎)


シリーズ

■ガチではじめる マジでわかる経口抗がん薬
 最終回 レゴラフェニブ (スチバーガ®)の皮膚の違和感
 (野々宮 悠真)

■えびさんぽ
 心不全に対する薬物療法で,生活の質は改善するのでしょうか?
 (青島 周一)

■飲み合わせ研究所子どもの服薬Tips
 〈第27回〉ケフラール®細粒小児用100mg
 (小嶋  純 米子 真記)

■薬剤師40年目の独り言
 実習生との就活話で思うこと「自分にあった職場なんてないよ」
 (鎧のない薬剤師)

■「全(ZEN)か無(MU)か」じゃないんだよ薬物相互作用
 〈File 06〉ループ利尿薬関連薬物相互作用(カルシウム編)
 (平井 利典 児島 悠史)

■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
 ・緩和ケアの薬物療法
 ・医薬品と医療安全
 (柴田 直樹 根本 真記)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第39回〉サプライズの成功は,秘密厳守から?!
 (大西 伸幸)

■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ)大井教授の皮膚×くすり講座
 3時限目 生理学 皮膚の免疫的なバリア機能
 (大井 一弥)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈参拾玖ノ型〉現病歴だけでなく,持参薬や既往歴にも注目せよ!
 (藤堂 朱香)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
 〈第15回〉瘀血のタイプを考えた漢方処方 マイナーな漢方処方も使ってみよう
 (津田 篤太郎)

■レポート
 避難者の栄養管理 2024年能登半島地震,長期化する避難生活へのサポート
 (杉田 尚寛)
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