Clinical 生体機能学
生理学から症状がわかる
1版
札幌医科大学医学部 教授 當瀬規嗣 著
定価
6,600円(本体 6,000円 +税10%)
- B5判 396頁
- 2005年4月 発行
- ISBN 978-4-525-12341-3
生理学の知識で身体の変調を読み解く教科書.
身近な症状と生体の機能を関連づけて解説.ケーススタディ形式で身近な症状から身体の変調,機能を読み解くことができる.正常機能の解説は,理解しにくい項目は詳しく,随所で解説.また,ページのサイドにキーワードやポイント解説を掲載.
- 序文
- 目次
序文
かつて生理学が苦手な学生だった者によって書かれたという点が,ずばり本書の最大の特徴です.子どもの頃から研究職にあこがれていた私は,大学卒業後,生理学ではない大学院に進みました.自分の興味のまま研究を進めていると,それは不思議と生理学に近づいて行きました.そして結局,気がついたら生理学を大学で教える立場になってしまった訳です.ですから,「生理学がわからない,医学はむずかしい」と感じる学生さんたちの気持ちはよく分かっているつもりです.現代の医学生,医療系学生に要求される知識の量は,私の学生時代と比較しても,膨大になっていますし,年々増え続けています.ともすれば,知識の海に溺れもがくことになりがちです.知識の海から学生さんを救い出す方法はどういうものか?教職に就いて以来,自らに問い続けています.
自分のささやかな体験でいえば,ある日「分かった!」と叫びたくなったことが,きっかけだったように思います.それは,大学院時代に独学で活動電位と膜電流に関するHodgkin-Huxley理論を勉強して,悪戦苦闘している最中だったと記憶しています.その時以来,知識は水がしみ込む様に,頭に入っていきました.というわけで,「私が教えている学生さん達に,講義の最中に少しでも"わかった!""なるほど!"と思ってもらえたら」と,医学部の講義や看護学やリハビリ系の学校の講義を組み立ててきました.そのために作った講義ノートと講義資料が,本書の基になっています.本書は,「生体の機能を理解する」ことに重点が置かれていますので,載せた知識量は最小限にとどめています.文章はなるべく思考の流れに沿う形で書かれています.一部,やや詳しくなっている部分や他と重複する部分がありますが,そこは,学生さん達が理解しにくい部分と思われるところで,あえて説明を詳しくしています.
生理学の内容を「なるほど」と理解するためのもう一つの鍵は,身近なことにあてはめて考えてみることです.なぜなら,生理学とは自分自身の身体のことを語る学問だからです.そこで,なるべくありふれた体の変調,症状と生理学との関連を第5章に書いてみました.病気の理解に生理学が役立つことを知っていただくとともに,症候を読み解くことで生理学の理解を深めることが実感できると思います.この両方のことを期待して,本書を"生体機能学"と名付けました.本書を活用していただくために,おやつでも食べながら"読書"していただくことをお勧めします.それが理解の第一歩です.
本書の発刊にあたって,恩師である北海道大学名誉教授菅野盛夫先生と札幌医科大学名誉教授藪 英世先生に御礼を申し上げます.とくに,菅野先生には,本書の構想をお話したときに,大いに励ましていただき,執筆の後押しをして下さいました.また,生来怠け者の私を励まし続け,ついに本書完成に導いて下さった,南山堂編集部の齋藤代助氏,企画段階から読者の立場でご意見くださった研修医の数寄泰介先生,村上 穣先生に深く感謝します.最後に私を生理学へ導いて下さった,広島大学名誉教授・生理学研究所名誉教授故入澤 宏先生に本書を捧げます.
2005年3月 未だ雪の札幌にて 當瀬規嗣
自分のささやかな体験でいえば,ある日「分かった!」と叫びたくなったことが,きっかけだったように思います.それは,大学院時代に独学で活動電位と膜電流に関するHodgkin-Huxley理論を勉強して,悪戦苦闘している最中だったと記憶しています.その時以来,知識は水がしみ込む様に,頭に入っていきました.というわけで,「私が教えている学生さん達に,講義の最中に少しでも"わかった!""なるほど!"と思ってもらえたら」と,医学部の講義や看護学やリハビリ系の学校の講義を組み立ててきました.そのために作った講義ノートと講義資料が,本書の基になっています.本書は,「生体の機能を理解する」ことに重点が置かれていますので,載せた知識量は最小限にとどめています.文章はなるべく思考の流れに沿う形で書かれています.一部,やや詳しくなっている部分や他と重複する部分がありますが,そこは,学生さん達が理解しにくい部分と思われるところで,あえて説明を詳しくしています.
生理学の内容を「なるほど」と理解するためのもう一つの鍵は,身近なことにあてはめて考えてみることです.なぜなら,生理学とは自分自身の身体のことを語る学問だからです.そこで,なるべくありふれた体の変調,症状と生理学との関連を第5章に書いてみました.病気の理解に生理学が役立つことを知っていただくとともに,症候を読み解くことで生理学の理解を深めることが実感できると思います.この両方のことを期待して,本書を"生体機能学"と名付けました.本書を活用していただくために,おやつでも食べながら"読書"していただくことをお勧めします.それが理解の第一歩です.
本書の発刊にあたって,恩師である北海道大学名誉教授菅野盛夫先生と札幌医科大学名誉教授藪 英世先生に御礼を申し上げます.とくに,菅野先生には,本書の構想をお話したときに,大いに励ましていただき,執筆の後押しをして下さいました.また,生来怠け者の私を励まし続け,ついに本書完成に導いて下さった,南山堂編集部の齋藤代助氏,企画段階から読者の立場でご意見くださった研修医の数寄泰介先生,村上 穣先生に深く感謝します.最後に私を生理学へ導いて下さった,広島大学名誉教授・生理学研究所名誉教授故入澤 宏先生に本書を捧げます.
2005年3月 未だ雪の札幌にて 當瀬規嗣
目次
第I章 なぜ生体機能学を学ぶのか
生理学をわかりやすくするために
第II章 細胞の基本機能
1.細胞機能と生体機能
2.生体膜生理
3.骨格筋のしくみ
4.平滑筋のしくみ
第III章 細胞間のコミュニケーションシステム
1.細胞機能のコントロールシステム
2.情報システムとしての神経系
第IV章 組織器官系の機能
1.生体のための器官機能
2.血 液
3.循環系
4.呼吸器系
5.消化器系
6.腎泌尿器系
7.栄養と代謝系
8.内分泌系
9.神経系
第V章 生体機能の変調
生理的機能と病態
ショック
痙 攣
意識障害
失 神
動 悸
胸 痛
息切れ(呼吸困難)
咳
めまい
頭 痛
不 眠
下 痢
便 秘
しびれ
むくみ
体重減少(るいそう)
嘔 吐
生理学をわかりやすくするために
第II章 細胞の基本機能
1.細胞機能と生体機能
2.生体膜生理
3.骨格筋のしくみ
4.平滑筋のしくみ
第III章 細胞間のコミュニケーションシステム
1.細胞機能のコントロールシステム
2.情報システムとしての神経系
第IV章 組織器官系の機能
1.生体のための器官機能
2.血 液
3.循環系
4.呼吸器系
5.消化器系
6.腎泌尿器系
7.栄養と代謝系
8.内分泌系
9.神経系
第V章 生体機能の変調
生理的機能と病態
ショック
痙 攣
意識障害
失 神
動 悸
胸 痛
息切れ(呼吸困難)
咳
めまい
頭 痛
不 眠
下 痢
便 秘
しびれ
むくみ
体重減少(るいそう)
嘔 吐