南山堂

カートを見る

カテゴリー: 免疫学

立ち読み
注文数:

在庫あり

免疫学コア講義

改訂4版

大阪大学 教授 熊ノ郷 淳 編集
大阪大学 特任教授 阪口薫雄 編集
大阪大学 教授 竹田 潔 編集
佐賀大学 教授 吉田裕樹 編集

定価

5,500(本体 5,000円 +税10%)


  • B5判  309頁
  • 2017年11月 発行
  • ISBN 978-4-525-16754-7

この1冊で「免疫学の基礎」から「免疫系にかかわる疾患」までしっかり理解!

進歩の速い免疫学分野を,医学部生など学生向けにわかりやすくまとめた好評のテキスト.基礎免疫学編と臨床免疫学編の2部構成で,コアカリを中心とした必修項目にがん免疫療法や抗体医学など基礎と臨床をつなぐ項目を充実させ,基本的事項,アドバンス項目に分けて解説.図を多数カラー化し,視覚的にさらに理解しやすいよう大幅リニューアル!

  • 序文
  • 目次
序文
 2002年の刊行以来,医学部をはじめとする多くの生命科学分野の学部・学科の学生のためのテキストとして使用され,好評を博している本書について,今回,改訂4版を刊行することとなった.改訂に際しては,これまでの本書の特徴である理解しやすく充実した内容を活かしつつ,さらに広い領域を学ぶ学生に愛用され,より実践に役立つ免疫学のテキストとなるよう,内容の刷新,図のカラー化,さらには医療・医学分野で必要となっている最新のビッグデータ,臨床データ,疾患ゲノム解析の基礎について,「第27章 医学統計の基礎」で「遺伝統計学」に関する記述を追加した.
 本書は2001年に医学教育モデル・コア・カリキュラムに沿った免疫学のテキストとして,木本雅夫,山下優毅,阪口薫雄の編集委員によって企画・編集され,2002年に本書第1版が刊行された.その後,全国の医学部でコア・カリキュラムに対応したCBT試験が本格施行され,医学部生として身につけるべき基礎知識について全国的な統一が図られた.その流れに対応して,2007年に改訂2版,2012年に改訂3版が刊行された.
 本書の最大の特徴は,免疫学の基本を基礎から臨床まで幅広く習得できるように配慮されていることにある.加えて,最新の免疫研究の成果や知見も「Advance」としてキャッチアップすることができる.この構成により読者の現在の免疫学の素養のレベルに応じて,無理なく知識を習得できるため,学部・学科の学生はもとより,免疫研究に現在従事している大学院生,ならびに大学院レベルの研究者にとっても有用なテキストとなっている.
 免疫学は,炎症とその関連する免疫応答を理解する上で最も基本的な学問であり,今や,多くの疾患の理解や治療法を習得するために必要不可欠な学問となっている.感染症やアレルギー・自己免疫疾患,がん免疫のみならず,呼吸器疾患,消化器疾患,神経疾患,循環器疾患,代謝疾患,内分泌学,血液学,腫瘍医学,整形外科学,眼科学,耳鼻科学,産婦人科学・小児科学・老年病学,臨床検査学,薬学,歯科学など,さまざまな学問領域を理解し,生体の変化を解明する上で重要な基盤となっている.一般に,「基礎研究」と「臨床応用」には大きな溝があるといわれるが,こと免疫学においてはその通念は当てはまらず,常に縦糸の医学である基礎研究と,横糸の医学である臨床応用が並行し,互いに密接に連関し絡み合いながら進歩してきた学問である.とりわけ強調したいことは,その歴史においてわが国からの世界への発信・貢献が非常に大きいということである.読者が本書で学習することで,次代の免疫学,医療,医学,生命科学の進展・発展に寄与し,その成果が病に苦しむ多くの患者さんに福音をもたらす診断・治療に繋がることを願っている.

2017年10月

編者 識
目次
基礎免疫学編

1 免疫 (竹田 潔)
 1-1 免疫とは
 1-2 自然免疫
 1-3 獲得免疫
 1-4 液性免疫と細胞性免疫

2 リンパ組織・リンパ器官 (田中稔之)
 2-1 一次リンパ組織
 2-2 二次リンパ組織
 2-3 リンパ球の再循環

3 免疫関連細胞
 3-1 免疫関連細胞の分化 (改正恒康)
 3-2 マクロファージ
 3-3 樹状細胞
 3-4 顆粒球
 3-5 NK細胞 (星野克明)
 3-6 B細胞
 3-7 T細胞

4 自然免疫 (押海裕之)
 4-1 即時型の自然免疫
  1)物理的な防御
  2)化学的な防御
  3)補 体
 4-2 誘導型の自然免疫
  1)パターン認識受容体(PRR)
  2)感染に対する自然免疫応答
  3)自然免疫に関与するリンパ球

5 主要組織適合遺伝子複合体 (松本 満)
 5-1 主要組織適合遺伝子複合体の役割
 5-2 MHCの分類と構造
 5-3 MHCの多型性
 5-4 MHCと結合するペプチドのレパートリー
 5-5 MHCと疾患感受性

6 B細胞抗原受容体とシグナル伝達 (阪口薫雄・前田和彦)
 6-1 B細胞抗原受容体(BCR)
  1)BCRの意義
  2)抗体の多様性の起源とIg遺伝子
  3)BCRの構造
  4)B細胞の分化と抗原受容体の発現
  5)抗原シグナル伝達分子とシグナル伝達機構
  6)B細胞活性化の補助経路
 6-2 B細胞の成熟・分化と選択

7 T細胞抗原受容体とシグナル伝達 (原 博満)
 7-1 T細胞抗原受容体(TCR)による抗原の認識機構
 7-2 T細胞の分化
 7-3 T細胞活性化の調節機構
 7-4 TCRのシグナル伝達機構

8 細胞間相互作用 (石井直人)
 8-1 一次免疫反応と二次免疫反応
 8-2 抗原提示細胞とT細胞の相互作用
 8-3 白血球のホーミング:血管内皮細胞との相互作用
 8-4 接着分子:細胞間相互作用に関与する分子

9 抗 体 (乾 誠治・田邊香野)
 9-1 抗体の構造
 9-2 抗体の機能とクラス

10 抗 原 (石原克彦)
 10-1 抗原の定義
 10-2 抗原の特徴
 10-3 抗原と自己・非自己の識別

11 抗原抗体反応とその利用 (石原克彦)
 11-1 抗原抗体反応の理解に必要な基礎知識
 11-2 抗原抗体反応の定量解析
 11-3 抗原抗体反応の利用

12 サイトカインとケモカイン (吉田裕樹)
 12-1 サイトカインとは
 12-2 サイトカインの特徴
 12-3 サイトカイン受容体の構造と分類
 12-4 サイトカインの機能
 12-5 サイトカイン受容体のシグナル伝達

13 細胞性免疫(T細胞免疫) (村上正晃)
 13-1 T細胞免疫とB細胞免疫
 13-2 ヘルパーT細胞と細胞傷害性T細胞(CTL)
 13-3 ヘルパーT細胞と細胞傷害性T細胞の種類
 13-4 MHCクラスⅠによる細胞傷害性T細胞の活性化
 13-5 貪食抗原の細胞傷害性T細胞への提示:クロスプレゼンテーション
 13-6 MHCクラスⅡによるヘルパーT細胞の活性化
 13-7 サイトカインの産生源:エフェクターヘルパーT細胞
 13-8 ヘルパーT細胞の活性化の収束と記憶ヘルパーT細胞の出現
 13-9 T細胞免疫と炎症の誘導:2つの役割
 13-10 T細胞の恒常性と自己反応性

14 抗原認識レパートリー形成と免疫寛容 (瀧 伸介)
 14-1 抗原認識レパートリーの形成と中枢性寛容
 14-2 末梢性寛容

15 粘膜免疫 (高橋一郎)
 15-1 粘膜免疫のユニーク性
 15-2 粘膜における物理的バリア
 15-3 粘膜における化学的バリア
 15-4 腸管関連リンパ組織:パイエル板・M細胞
 15-5 パイエル板における樹状細胞と獲得免疫応答
 15-6 粘膜におけるリンパ球の遊走機構
 15-7 分泌型IgA(S-IgA)
 15-8 腸上皮細胞間リンパ球

16 自己免疫疾患とアレルギー 善本知広
 16-1 自己と非自己の識別の破綻
 16-2 自己免疫
 16-3 アレルギー

17 がん免疫と移植免疫 (西川博嘉)
 17-1 がん免疫
  1)がん免疫監視機構
  2)がん抗原
  3)がん免疫応答にかかわる細胞
  4)がんの免疫逃避機構
  5)がんに対する免疫療法
 17-2 移植免疫

18 宿主と病原体の攻防 (吉田裕樹・松﨑吾朗)
 18-1 宿主の感染防御免疫と病原体の病原性のダイナミックな相互反応
 18-2 細菌,真菌の感染に対する感染防御免疫
 18-3 ウイルス感染に対する感染防御
 18-4 寄生虫に対する感染防御
 18-5 ワクチンによる感染症予防

臨床免疫学編

19 臨床免疫学概論 (熊ノ郷 淳)
 19-1 免疫の異常と疾患
 19-2 膠原病・アレルギー疾患の概念
 19-3 膠原病の臨床所見
 19-4 自己抗体
 19-5 自己炎症疾患
 19-6 免疫不全症

20 免疫学的検査法 (田中良哉)
 20-1 炎症反応
 20-2 免疫グロブリン
 20-3 感染症に関連する免疫学的検査
 20-4 自己抗体
 20-5 B細胞表面の免疫グロブリン
 20-6 補 体
 20-7 細胞性免疫の機能
 20-8 NK細胞活性
 20-9 好中球の機能
 20-10 アレルギー検査
 20-11 血液型,HLAタイピング(移植免疫)
 20-12 腫瘍マーカー

21 膠原病 (緒方 篤・楢崎雅司・嶋 良仁・平野 亨・熊ノ郷 淳)
 21-1 関節リウマチ
 21-2 全身性エリテマトーデス
 21-3 全身性強皮症
 21-4 炎症性筋疾患
 21-5 混合性結合組織病
 21-6 シェーグレン症候群
 21-7 血管炎
 21-8 ベーチェット病
 21-9 抗リン脂質抗体症候群
 21-10 脊椎関節炎
 21-11 その他の関節炎

22 アレルギー
 22-1 蕁麻疹 (椛島健治)
 22-2 接触皮膚炎
 22-3 アトピー性皮膚炎
 22-4 気管支喘息 (長谷川好規)
 22-5 過敏性肺炎
 22-6 サルコイドーシス
 22-7 アナフィラキシー (川部 勤)
 22-8 薬物アレルギー
 22-9 食物アレルギー
 22-10 アレルギー性鼻炎
 22-11 花粉症
 22-12 アレルギー性結膜疾患
 22-13 血清病

23 免疫不全症
 23-1 総 論 (高田英俊)
 23-2 各論:原発性免疫不全症
 23-3 各論:続発性免疫不全症 (松下修三)

24 リンパ増殖性疾患 (松岡雅雄・野坂生郷)
 24-1 B細胞系腫瘍
 24-2 T細胞系腫瘍
 24-3 その他
  1)ホジキンリンパ腫

25 ワクチン (飯島則文・石井 健)
 25-1 ワクチンとは
 25-2 ワクチン接種によって誘導される免疫応答
 25-3 ワクチンの種類
 25-4 ワクチンによる予防接種
 25-5 ワクチンの副反応
 25-6 開発中の次世代ワクチン

26 免疫治療 (田中敏郎)
 26-1 抗原特異的免疫療法
  1)ワクチン
  2)癌ワクチン
  3)アレルゲン免疫療法
 26-2 抗原非特異的免疫療法
  1)非ステロイド性抗炎症薬
  2)ステロイド剤
  3)免疫抑制剤
  4)抗体医薬
  5)サイトカイン製剤
  6)免疫グロブリン大量療法

27 医学統計の基礎─免疫疾患における活用─ (岡田随象)
 27-1 統計学入門
 27-2 ヒトゲノム解析と遺伝統計学
 27-3 遺伝統計学による疾患病態の解明とゲノム創薬

【付録】
付表1 CD 抗原 (竹田 潔)
付表2 サイトカインとサイトカイン受容体 (吉田裕樹)
付表3 ケモカインとケモカイン受容体
付表4 免疫細胞とケモカイン受容体
付表5 ケモカイン受容体

日本語索引
外国語索引



Advance項目
・二度なし現象とワクチン
・クローン選択説
・ファブリキウス嚢
・M1マクロファージとM2マクロファージ
・MHC拘束性
・MHCの遺伝子解析
・MHCと免疫寛容
・B細胞でIg遺伝子の再構成が規則正しく起こるのはなぜか
・活性化補助シグナル
・抑制性シグナル
・スーパー抗原
・アロ抗原認識
・CARMA1の機能獲得型変異と悪性リンパ腫
・免疫シナプス
・B細胞エピトープとT細胞エピトープ
・ハプテン-キャリアとアレルギー
・アジュバント
・TD抗原とTI抗原
・平衡透析と親和力
・フローサイトメーター
・タンパク質解析における抗原抗体反応の応用:ウエスタンブロット
・炎症・免疫反応とサイトカイン
・サイトカインの分類とおもな機能
・ケモカインの役割
・AIREと負の選択
・対立遺伝子排除と受容体編集
・NK受容体とNK細胞の自己寛容
・免疫特権部位
・腸内細菌叢(常在細菌叢)
・粘膜に存在する自然リンパ球
・自己反応性T細胞による自己免疫疾患
・T細胞における自己免疫寛容(中枢性・末梢性)の破綻による自己免疫疾患
・アレルゲンの機能
・新しいアレルギーの概念
・遅延型アレルギー反応と疾患
・がん免疫編集
・免疫チェックポイント分子(免疫共抑制分子),免疫共刺激分子
・制御性T細胞による拒絶反応の抑制
・らい菌感染におけるTh1細胞,Th2細胞の誘導と防御免疫
・インフルエンザウイルスの抗原変異と新型インフルエンザ
・エボラウイルス,ジカウイルスおよびデングウイルスの病原性とワクチン開発
・原虫に対する免疫応答
・免疫介在性壊死性ミオパチー
・リンパ球の分化と腫瘍化
・リンパ系腫瘍と遺伝子異常
・麻疹ワクチン,風疹ワクチン
・抗原の選択と最適化の例
・新規アジュバントの開発例
・抗原デリバリーシステムの開発例:ウイルスベクターなど
カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む