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災害時の保健・医療・福祉活動
1版
グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund) CEO,専務理事
國井 修 編集
浜松医科大学 教授 尾島俊之 編集
国際医療福祉大学大学院 教授 石井美恵子 編集協力
定価
4,950円(本体 4,500円 +税10%)
- B5判 330頁
- 2022年3月 発行
- ISBN 978-4-525-18481-0
災害大国日本の第一線で活動してきたスペシャリストの集大成
災害大国である日本では,以前より医療支援の充実を図ってきた.2011年に起こった東日本大震災では公衆衛生支援が注目され,本書の前身にあたる『災害時の公衆衛生』を出版し好評を得た.
しかし,その後,世界規模で災害が起こっており,日本でも熊本地震や千葉県の台風など大規模な災害が頻発している.この先もさらなる災害が起こることは予想される.
本書では,災害・緊急事態での公衆衛生支援について,第一線で活動している専門家や実践家の知識と経験をまとめた.これから起こりうる災害・緊急事態を想定した備えや対策のための指針となる一冊.
- 序文
- 目次
序文
2011年3月11日に発生した東日本大震災から2021年で10年を迎えた.
この間,日本は台風,豪雨,噴火,地震など,多くの災害に見舞われ,猛暑・豪雪など記録的な異常気象も各地を襲い,2018年7月に到来した台風に至っては,通常のコースを「逆走」するという異常事態まで起こった.
世界でも,この間,洪水,ハリケーン,干ばつなどが頻発し,欧州では観測史上最高気温を記録,オーストラリアでは史上最悪の森林火災が発生した.
そんな中,2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは,第二次世界大戦以来の危機を世界にもたらした.物理学者・防災学者の寺田寅彦は「天災は忘れた頃にやってくる」といったが,今では「天災は忘れる前にやってくる」.それも「想定外」という言葉も陳腐化するほど,その規模や被害は甚大化している.
本書は,東日本大震災の際に得た教訓を忘れないうちに記録して,テキストとして残した「災害時の公衆衛生―私たちにできること」(南山堂)の全面改訂版である.1995年の阪神・淡路大震災の頃に比べ,医療面での緊急支援には各段の進歩がみられながらも,避難所の水衛生,食事・栄養,住環境,母子保健,福祉対策などの公衆衛生面での支援は不十分だった.2011年当時,筆者は内戦や自然災害が頻発するソマリアで国連機関(ユニセフ)を通じた保健・栄養・水衛生活動を統括していたが,資源が不足していても目指す基準や目標を決めて目指せば,その到達は不可能ではないことを経験していた.資源豊かな日本でありながら「ソマリア以下」の状況に置かれた避難所を見て,公衆衛生面での支援に大きな改善が必要と感じ,そこで得られた経験や教訓を基に,35名の専門家や実践者と共に本としてまとめたのが「私たちにできること」である.
それから10年.災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)や日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)なども創設され,公衆衛生面での支援体制は進んだ.その一方で,熊本地震などの災害支援に参加した専門家たちからは「東日本大震災の教訓が活かされていない」「課題はまだ山積み」との声も聞かれた.
本書は東日本大震災から10年間の進歩,さらに今後解決すべき課題や方向性を含め,災害・緊急事態時に必要な公衆衛生,保健・福祉の知識をまとめたテキストである.本書の企画作り,テーマ・分担執筆者の選考,査読などの監修には,この分野の第一人者,浜松医科大学の尾島俊之教授と国際医療福祉大学の石井美恵子教授にも加わって頂いた.
総論では,災害・緊急事態,さらに新型コロナを含む多様な「健康危機」に関して,その原因,関連因子,健康影響,保健・医療・福祉対策やそれらの連携に関する原則・最低基準,法令,行政・市民社会の対応,さらにリスク・コミュニケーションなどについて解説した.
各論では,医療対策,母子保健対策,高齢者対策,福祉対策,食糧・栄養対策,水・衛生対策,感染症対策,こころのケア,避難所における健康問題と対策,環境・職業要因,特殊な災害・事故への対策,災害とジェンダー,人材育成などを理論と実践を交えて解説し,さらに保健所や保健師,自衛隊,日本赤十字社を含むさまざまな支援団体の具体的な活動やその実績を説明した.
日本のこの分野の第一線で研究・活動する専門家・実践家,総勢66名による集大成であり,是非多くの方々に活用して頂きたい.また,本書に指摘した課題や提言に取り組んで頂き,今後,災害・緊急事態・健康危機において,一人でも多くの人々の命や健康が守られることを切に望んでいる.
2022年1月
編者を代表して 國井 修
この間,日本は台風,豪雨,噴火,地震など,多くの災害に見舞われ,猛暑・豪雪など記録的な異常気象も各地を襲い,2018年7月に到来した台風に至っては,通常のコースを「逆走」するという異常事態まで起こった.
世界でも,この間,洪水,ハリケーン,干ばつなどが頻発し,欧州では観測史上最高気温を記録,オーストラリアでは史上最悪の森林火災が発生した.
そんな中,2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは,第二次世界大戦以来の危機を世界にもたらした.物理学者・防災学者の寺田寅彦は「天災は忘れた頃にやってくる」といったが,今では「天災は忘れる前にやってくる」.それも「想定外」という言葉も陳腐化するほど,その規模や被害は甚大化している.
本書は,東日本大震災の際に得た教訓を忘れないうちに記録して,テキストとして残した「災害時の公衆衛生―私たちにできること」(南山堂)の全面改訂版である.1995年の阪神・淡路大震災の頃に比べ,医療面での緊急支援には各段の進歩がみられながらも,避難所の水衛生,食事・栄養,住環境,母子保健,福祉対策などの公衆衛生面での支援は不十分だった.2011年当時,筆者は内戦や自然災害が頻発するソマリアで国連機関(ユニセフ)を通じた保健・栄養・水衛生活動を統括していたが,資源が不足していても目指す基準や目標を決めて目指せば,その到達は不可能ではないことを経験していた.資源豊かな日本でありながら「ソマリア以下」の状況に置かれた避難所を見て,公衆衛生面での支援に大きな改善が必要と感じ,そこで得られた経験や教訓を基に,35名の専門家や実践者と共に本としてまとめたのが「私たちにできること」である.
それから10年.災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)や日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)なども創設され,公衆衛生面での支援体制は進んだ.その一方で,熊本地震などの災害支援に参加した専門家たちからは「東日本大震災の教訓が活かされていない」「課題はまだ山積み」との声も聞かれた.
本書は東日本大震災から10年間の進歩,さらに今後解決すべき課題や方向性を含め,災害・緊急事態時に必要な公衆衛生,保健・福祉の知識をまとめたテキストである.本書の企画作り,テーマ・分担執筆者の選考,査読などの監修には,この分野の第一人者,浜松医科大学の尾島俊之教授と国際医療福祉大学の石井美恵子教授にも加わって頂いた.
総論では,災害・緊急事態,さらに新型コロナを含む多様な「健康危機」に関して,その原因,関連因子,健康影響,保健・医療・福祉対策やそれらの連携に関する原則・最低基準,法令,行政・市民社会の対応,さらにリスク・コミュニケーションなどについて解説した.
各論では,医療対策,母子保健対策,高齢者対策,福祉対策,食糧・栄養対策,水・衛生対策,感染症対策,こころのケア,避難所における健康問題と対策,環境・職業要因,特殊な災害・事故への対策,災害とジェンダー,人材育成などを理論と実践を交えて解説し,さらに保健所や保健師,自衛隊,日本赤十字社を含むさまざまな支援団体の具体的な活動やその実績を説明した.
日本のこの分野の第一線で研究・活動する専門家・実践家,総勢66名による集大成であり,是非多くの方々に活用して頂きたい.また,本書に指摘した課題や提言に取り組んで頂き,今後,災害・緊急事態・健康危機において,一人でも多くの人々の命や健康が守られることを切に望んでいる.
2022年1月
編者を代表して 國井 修
目次
Ⅰ章 総論―健康危機に関する原因とその対応など
1.災害・緊急事態・健康危機とは何か
災害・緊急事態・健康危機の定義
災害・緊急事態・健康危機の原因と分類
災害・緊急事態の発生・被害・対応に関連する因子
2.世界と日本の大規模災害・緊急事態の趨勢
世界の大規模災害・緊急事態の趨勢
日本の大規模災害の趨勢と特徴
3.保健・医療・福祉活動の考え方
保健・医療・福祉のそれぞれの文化
倫理原則と配慮ある普遍的対策
公衆衛生の概念と予防の段階
法 令
災害対応の費用負担
保健・医療・福祉に関する行政組織
4.CSCA,保健・医療・福祉の連携,保健医療調整本部・コーディネーターの役割機能
CSCA
保健・医療・福祉の連携
保健医療調整本部・災害医療コーディネーターの役割機能
課題と提言
5.災害時・緊急事態の情報管理
情報管理の考え方
情報収集
分析・評価
情報共有・発信
事後評価と次の災害への訓練
6.災害時・緊急事態の政府の対応
政府による災害対応の概略と厚生労働省の役割
政府の危機管理機能
課題と提言
7.防災担当部局での対応
災害対策本部
応援・受援体制
情報共有―さまざまな情報システム
課題と提言
8.健康危機管理
健康危機管理の基本概念
厚生労働省の「健康危機管理」
地域健康危機管理ガイドラインが示す健康危機管理
今後の課題
9.リスクおよびクライシスコミュニケーション
リスクアナリシスにおけるコミュニケーション
危機時のコミュニケーション
危機からの回復,移行時のコミュニケーション
平時のコミュニケーション
課題と提言
10.災害ボランティア―外部支援者・ボランティアの調整
災害とボランティア
災害ボランティアセンター
災害時のニーズと活動調整
課題と提言
11.人道支援における公衆衛生対策の最低基準
人道支援における最低基準:スフィア基準
ハンドブックと国際的動向
ハンドブックの構成
課題と提言
[ COLUMN ] クラスターアプローチとスフィア基準の関連基準
Ⅱ章 各論―災害におけるさまざまな分野の対策
1.医療―災害時の医療機関全般について
災害時の医療(3T)
災害医療の原則
トリアージ
治 療
搬 送
医療機関の災害時の役割
2.災害時・緊急事態の母子保健対策
母子保健は人権である
母子に対する切れ目のない支援
ニーズに寄り添った支援活動
子どもを中心とした復興を目指して
2.災害時・緊急事態の高齢者対策
高齢者の増加と特性
個別計画
避難所
福祉避難所
在宅避難(避難所外避難)
高齢者施設など
復興期に向けての支援
高齢者対策の連携
4.福祉的配慮のもとでの被災者支援
被災者支援の混乱理由
社会保障から孤立しがちな被災者支援
平時の社会保障と被災者支援の相互浸透
課題と提言
5.災害時・緊急事態の食料・栄養対策
災害時・緊急事態の栄養問題
急性期の食料・栄養対策
ハイリスクアプローチとしての慢性疾患・感染症・要介護者などへの対策
慢性期の栄養対策
栄養対策の推進
6.災害時・緊急事態の水・衛生対策
災害時の水供給
災害時の衛生対策―生活環境の確保
7.災害時・緊急事態の感染症対策
はじめに
「スフィア」において推奨されているポイント
感染症と災害に関連する必須の保健医療サービス
災害下で問題となりうる感染症の基本概念・種類と対策の原則
災害時において注意すべき代表的な感染症
おわりに
8.こころのケア
災害時の精神保健医療活動の基本原則
国際ガイドライン
災害時のストレス要因
PFA 対応
精神医療対応
子どもと支援者
おわりに
9.避難所の健康問題と対策
日本における災害関連死
避難所環境での健康被害
避難所外での健康被害
要配慮者への対応
避難所の環境改善―災害時の二次健康被害を防ぐために
日本の災害時避難所設営の課題と提言
新型コロナウイルス感染症発生下での避難所設営
10.環境・職業要因
災害直後に建物へ入る際の環境・職場要因
要因別の対策
健康と安全の確保に向けて
11.特殊災害・CBRNE とその対策
CBRNE テロ・災害への医療対応における重要概念
わが国におけるテロ発生の危険性
わが国におけるCBRNE テロ・災害への医療対応の課題
現状の課題にどのように対応し,体制整備を進めるべきか
CBRNE テロ対応院内体制・診療手順の確立─救急告示病院におけるテロ被害患者受け入れBCP 作成手引き
12.原子力災害・放射線事故による健康影響と対策
放射線被曝と健康影響:過去の事例から学ぶ
原子力災害,放射線事故による外部被曝,内部被曝の低減化
原子力災害,放射線事故におけるクライシスコミュニケーション
原子力災害,放射線事故における被曝線量評価
原子力災害,放射線事故からの復興
おわりに
13.火山による災害
火山活動と観測
火山災害による人的被害と健康支援
火山ガスの健康影響
火山灰の健康影響
交通,農業,産業,商業への影響
富士山の火山活動の予測
14.災害・健康危機における調査研究の課題
災害疫学の日本への導入
東日本大震災でみられた課題
調査研究の倫理のあり方
迅速性・柔軟性・連携調整
調査・研究を終えた後で
Ⅲ章 実際の活動・教訓・提言
1.災害後の子どものこころのケア
2.災害時の食支援
3.災害時の血液透析対策
4.在宅酸素患者などの停電への対応
5.災害時の医療の特例
[ COLUMN ] 東日本大震災時のエピソード:窓口負担猶予から免除へ
6.災害救助法の仕組みと食事提供の先進例
7.災害とジェンダー
8.健康危機管理に関する人材育成
9.情報の集約と共有
10.避難所としてのテント村の試み
11.屋根へのブルーシート展張
[ COLUMN ] 工法について
12.災害時・緊急事態での日本医師会の活動と考え方
13.全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
14.日本赤十字社の災害救護活動
15.保健師活動
16.自衛隊との連携
17.災害時情報集約支援チーム(ISUT)
18.災害診療記録/J-SPEED
19.災害派遣医療チーム(DMAT)―保健・医療・福祉の一元化を目指して
20.災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)
21.災害派遣精神医療チーム(DPAT)
22.日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)
23.日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)
24.災害派遣福祉チーム(DWAT)
25.情報支援レスキュー隊(IT DART)
26.IFRC の FACT から学ぶ
27.AMDA
28.レスキューストックヤード
29.災害人道医療支援会(HuMA)
30.ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)
31.日本トイレ研究所―災害時のトイレ問題は命に関わる
32.企業による体系的な被災地支援
33.企業のかかわり―ラップポン(トイレ)
34.企業のかかわり―ストップザ雑魚寝!避難所の景色を変える段ボールベッド
35.東日本大震災の復興からの教訓と提言
36.東日本大震災と熊本地震に対する災害保健活動における教訓と提言
37.広島県2018 年7月豪雨災害の対応からの教訓・提言
38.福島第一原子力発電所事故における活動と教訓,今後の課題
39.災害研究の意義と課題―東日本大震災を経験して
付 録
1.カナダ,イタリアでの避難所対策
2.国内災害の現場で活動する民間医療支援組織
3.大学院・研修・教育コース
4.参考となる資料,役に立つ情報サイト
1.災害・緊急事態・健康危機とは何か
災害・緊急事態・健康危機の定義
災害・緊急事態・健康危機の原因と分類
災害・緊急事態の発生・被害・対応に関連する因子
2.世界と日本の大規模災害・緊急事態の趨勢
世界の大規模災害・緊急事態の趨勢
日本の大規模災害の趨勢と特徴
3.保健・医療・福祉活動の考え方
保健・医療・福祉のそれぞれの文化
倫理原則と配慮ある普遍的対策
公衆衛生の概念と予防の段階
法 令
災害対応の費用負担
保健・医療・福祉に関する行政組織
4.CSCA,保健・医療・福祉の連携,保健医療調整本部・コーディネーターの役割機能
CSCA
保健・医療・福祉の連携
保健医療調整本部・災害医療コーディネーターの役割機能
課題と提言
5.災害時・緊急事態の情報管理
情報管理の考え方
情報収集
分析・評価
情報共有・発信
事後評価と次の災害への訓練
6.災害時・緊急事態の政府の対応
政府による災害対応の概略と厚生労働省の役割
政府の危機管理機能
課題と提言
7.防災担当部局での対応
災害対策本部
応援・受援体制
情報共有―さまざまな情報システム
課題と提言
8.健康危機管理
健康危機管理の基本概念
厚生労働省の「健康危機管理」
地域健康危機管理ガイドラインが示す健康危機管理
今後の課題
9.リスクおよびクライシスコミュニケーション
リスクアナリシスにおけるコミュニケーション
危機時のコミュニケーション
危機からの回復,移行時のコミュニケーション
平時のコミュニケーション
課題と提言
10.災害ボランティア―外部支援者・ボランティアの調整
災害とボランティア
災害ボランティアセンター
災害時のニーズと活動調整
課題と提言
11.人道支援における公衆衛生対策の最低基準
人道支援における最低基準:スフィア基準
ハンドブックと国際的動向
ハンドブックの構成
課題と提言
[ COLUMN ] クラスターアプローチとスフィア基準の関連基準
Ⅱ章 各論―災害におけるさまざまな分野の対策
1.医療―災害時の医療機関全般について
災害時の医療(3T)
災害医療の原則
トリアージ
治 療
搬 送
医療機関の災害時の役割
2.災害時・緊急事態の母子保健対策
母子保健は人権である
母子に対する切れ目のない支援
ニーズに寄り添った支援活動
子どもを中心とした復興を目指して
2.災害時・緊急事態の高齢者対策
高齢者の増加と特性
個別計画
避難所
福祉避難所
在宅避難(避難所外避難)
高齢者施設など
復興期に向けての支援
高齢者対策の連携
4.福祉的配慮のもとでの被災者支援
被災者支援の混乱理由
社会保障から孤立しがちな被災者支援
平時の社会保障と被災者支援の相互浸透
課題と提言
5.災害時・緊急事態の食料・栄養対策
災害時・緊急事態の栄養問題
急性期の食料・栄養対策
ハイリスクアプローチとしての慢性疾患・感染症・要介護者などへの対策
慢性期の栄養対策
栄養対策の推進
6.災害時・緊急事態の水・衛生対策
災害時の水供給
災害時の衛生対策―生活環境の確保
7.災害時・緊急事態の感染症対策
はじめに
「スフィア」において推奨されているポイント
感染症と災害に関連する必須の保健医療サービス
災害下で問題となりうる感染症の基本概念・種類と対策の原則
災害時において注意すべき代表的な感染症
おわりに
8.こころのケア
災害時の精神保健医療活動の基本原則
国際ガイドライン
災害時のストレス要因
PFA 対応
精神医療対応
子どもと支援者
おわりに
9.避難所の健康問題と対策
日本における災害関連死
避難所環境での健康被害
避難所外での健康被害
要配慮者への対応
避難所の環境改善―災害時の二次健康被害を防ぐために
日本の災害時避難所設営の課題と提言
新型コロナウイルス感染症発生下での避難所設営
10.環境・職業要因
災害直後に建物へ入る際の環境・職場要因
要因別の対策
健康と安全の確保に向けて
11.特殊災害・CBRNE とその対策
CBRNE テロ・災害への医療対応における重要概念
わが国におけるテロ発生の危険性
わが国におけるCBRNE テロ・災害への医療対応の課題
現状の課題にどのように対応し,体制整備を進めるべきか
CBRNE テロ対応院内体制・診療手順の確立─救急告示病院におけるテロ被害患者受け入れBCP 作成手引き
12.原子力災害・放射線事故による健康影響と対策
放射線被曝と健康影響:過去の事例から学ぶ
原子力災害,放射線事故による外部被曝,内部被曝の低減化
原子力災害,放射線事故におけるクライシスコミュニケーション
原子力災害,放射線事故における被曝線量評価
原子力災害,放射線事故からの復興
おわりに
13.火山による災害
火山活動と観測
火山災害による人的被害と健康支援
火山ガスの健康影響
火山灰の健康影響
交通,農業,産業,商業への影響
富士山の火山活動の予測
14.災害・健康危機における調査研究の課題
災害疫学の日本への導入
東日本大震災でみられた課題
調査研究の倫理のあり方
迅速性・柔軟性・連携調整
調査・研究を終えた後で
Ⅲ章 実際の活動・教訓・提言
1.災害後の子どものこころのケア
2.災害時の食支援
3.災害時の血液透析対策
4.在宅酸素患者などの停電への対応
5.災害時の医療の特例
[ COLUMN ] 東日本大震災時のエピソード:窓口負担猶予から免除へ
6.災害救助法の仕組みと食事提供の先進例
7.災害とジェンダー
8.健康危機管理に関する人材育成
9.情報の集約と共有
10.避難所としてのテント村の試み
11.屋根へのブルーシート展張
[ COLUMN ] 工法について
12.災害時・緊急事態での日本医師会の活動と考え方
13.全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)
14.日本赤十字社の災害救護活動
15.保健師活動
16.自衛隊との連携
17.災害時情報集約支援チーム(ISUT)
18.災害診療記録/J-SPEED
19.災害派遣医療チーム(DMAT)―保健・医療・福祉の一元化を目指して
20.災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)
21.災害派遣精神医療チーム(DPAT)
22.日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)
23.日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)
24.災害派遣福祉チーム(DWAT)
25.情報支援レスキュー隊(IT DART)
26.IFRC の FACT から学ぶ
27.AMDA
28.レスキューストックヤード
29.災害人道医療支援会(HuMA)
30.ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)
31.日本トイレ研究所―災害時のトイレ問題は命に関わる
32.企業による体系的な被災地支援
33.企業のかかわり―ラップポン(トイレ)
34.企業のかかわり―ストップザ雑魚寝!避難所の景色を変える段ボールベッド
35.東日本大震災の復興からの教訓と提言
36.東日本大震災と熊本地震に対する災害保健活動における教訓と提言
37.広島県2018 年7月豪雨災害の対応からの教訓・提言
38.福島第一原子力発電所事故における活動と教訓,今後の課題
39.災害研究の意義と課題―東日本大震災を経験して
付 録
1.カナダ,イタリアでの避難所対策
2.国内災害の現場で活動する民間医療支援組織
3.大学院・研修・教育コース
4.参考となる資料,役に立つ情報サイト