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カテゴリー: 法医学

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学生のための法医学

改訂7版

福岡大学医学部法医学教室 教授
久保真一 編
久留米大学医学部法医学講座 教授
神田芳郎 編
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
社会医療科学講座法医学分野 教授
池松和哉 編
産業医科大学法医学教室 教授
佐藤寛晃 編

定価

6,050(本体 5,500円 +税10%)


  • B5判  358頁
  • 2024年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-19027-9

法医学の扉を開けるあなたへ!未来の医療につながる一冊

はじめて法医学を学ぶ学生を対象に執筆,編集した教科書の改訂7版.初版から受け継がれた編集方針は変更せず,昨今の医学教育の変化に対応できるようアップデートした.医学教育の改革に伴い,医学教育モデル・コア・カリキュラムが改訂され,医師国家試験や共用試験における法医学の重要性が高まっている.7版では医学教育モデル・コア・カリキュラムとの関連性を強調し,過去の試験問題も含めて解説を充実させた.また,急速な社会構造の変化や医療の進展に対応し,法医学の知識が在宅医療などでも重要であることを認識できる内容になっている.
第一線で活躍する執筆者による,学生のみならず,臨床医をはじめ死因究明などに携わるあらゆる分野の方々にご活用いただける一冊.

  • 序文
  • 目次
序文
 1980年に第1 版が発行され,今回,第7 版を出版することになりました.実に第6版(2006年)から18年ぶりの改訂ですが,これは第6 版が充実した内容で,第1 版から引き継がれてきた「はじめて法医学を学ぶ学生を主な対象とした」編集の趣旨が受け継がれたものであったため,色褪せることなく多くの学生に読まれてきたものと思われます.
 第1 版以来,医学教育は大きな変化を続けてきました.2001(平成13)年に医学教育の抜本的改善を目指して教育内容を精選した「医学教育モデル・コア・カリキュラム」が文部科学省から公表され,また医師国家試験は出題数が550問,試験日程が3 日間となりました.また,2005(平成17)年から臨床実習前共用試験(CBT,OSCE)が正式に実施されるようになり,2023(令和5)年からは公的な試験となりました.共用試験の実施を受け,医師国家試験は,2018(平成30)年から出題数が400問,試験日程が2 日間に変更されました.このような医学教育の変革をうけ,法医学の教育実施時期も共用試験前(臨床実習前)となり,共用試験CBTにも出題されるようになりました.そのため「はじめて法医学を学ぶ学生」は,学んだ知識を医師国家試験だけでなく,共用試験でも問われることになっています.さらに「医学教育モデル・コア・カリキュラム」は2022(令和4)年に改訂され,2024(令和6)年入学の医学生から適用されます.
 今改訂では,医学教育の変化を踏まえ,項目ごとに「医学教育モデル・コア・カリキュラム」との関係を整理し,カリキュラムのどこを学んでいるかを確認できるように配慮しました.また,過去の医師国家試験の出題を確認問題として巻末に掲載し,解説をつけることで法医学の学習内容を共用試験や医師国家試験へと発展できるように見直し,より理解しやすい説明と最新の知見を踏まえた内容を加えています.急激に進む昨今の社会構造の変化,少子・多死社会における医学・医療の変化を踏まえた内容を加えることによって,法医学で学んだ知識が在宅医療にも重要であることを認識できることと思います.学生のみならず,臨床医をはじめ死因究明などに携わるあらゆる方々にご活用いただける書となりました.
 第7 版では,新たに多くの執筆者を迎えることができました.これまでの編集の趣旨を引き継ぎながら,多様な個性を生かした内容となったものと考えます.編集においては,内容の検討,確認をはかっておりますが,不適切な箇所があればご指摘,ご意見を頂ければ幸いです.
 最後に,出版にあたり多大な尽力を頂いた南山堂編集部をはじめ編集制作に携わった方々に厚く御礼を申し上げます.

2024年3 月
編者一同
目次
【第1章】概 論
 A.法医学の定義・目的
 B.法医学の歴史
  1.世界における法医学の歴史
  2.日本における法医学の歴史
 C.法医学の鑑定
 D.法医学の対象
  1.生体の検査
  2.死体の検査
  3.その他
 E.死因論
  1.死因の定義
  2.外因による死因の概念
  3.死因論・死因の競合
  4.死因の判定

【第2章】死体検案・法医解剖
 A.異状死体と検案
  1.日本の死亡数,死因
  2.異状死体とは
 B.死体検案の実際
  1.死体検案とは
  2.検案時の一般的注意事項
  3.死体検案の目的
  4.死体検案の実際
 C.解剖
  1.司法解剖
  2.行政解剖
  3.死因・身元調査法解剖
  4.承諾解剖
 D.生活反応
  1.全身的生活反応
  2.局所的生活反応
  3.注意事項
 E.死亡診断書・死体検案書
  1.死亡診断書の意義
  2.死亡診断書と死体検案書の使い分け
  3.死亡診断書と異状死体の届出
  4.死亡診断書の記入上の注意,実際
 F.死亡時画像検査
  1.撮影と画像再構成
  2.死後変化
  3.蘇生術後変化
  4.CTが有効な症例
  5.CTが無効な症例
  6.その他の画像検査機器

【第3章】死体現象
 A.死の徴候
  1.生から死への過程
  2.死の確徴
 B.臨床医学上の死の判定
  1.死の三徴候
  2.脳死,植物状態
 C.死体現象
 D.早期死体現象
  1.死斑・血液就下
  2.死体硬直・死後硬直
  3.死体の冷却
  4.死体の乾燥
 E.晩期死体現象
  1.自家融解・自己消化
  2.腐敗
  3.白骨化
  4.死体の損壊
 F.異常死体現象
  1.屍蝋化
  2.ミイラ(木乃伊)化
  3.第三永久死体
 G.死後経過時間の推定
  1.超生反応を利用する方法
  2.死体現象を利用する場合
  3.死の瞬間に停止する生体現象の利用
  4.周囲の状況や情報を利用する方法

【第4章】損傷
 A.総論
  1.損傷検査
  2.損傷の治癒過程
  3.損傷検査に基づく診断事項
  4.損傷の種類
  5.損傷の自為・他為
  6.損傷と死因
 B.各論
  1.鋭器損傷
  2.鈍器損傷
  3.銃器損傷(射創あるいは銃創)
  4.高エネルギー損傷(大きな鈍力による損傷)
 C.頭部損傷
  1.頭皮の損傷
  2.頭蓋骨骨折
  3.頭蓋内損傷
  4.小児の頭部外傷
 D.身体各部位の損傷
  1.脊椎・脊髄損傷
  2.頸部損傷
  3.胸部損傷
  4.腹部損傷
  5.四肢の損傷
 E.交通外傷
  1.自動車による歩行者の損傷
  2.運転手・同乗者の損傷
  3.自動車による交通外傷の注意点
  4.自動二輪車損傷
  5.鉄道事故損傷
  6.航空機事故損傷

【第5章】窒息
 A.総論
  1.窒息を起こす外因の分類
  2.窒息の経過および症状
  3.窒息死体の一般所見
 B.各論
  1.頸部圧迫による窒息死
  2.溺死
  3.その他の原因による窒息死
  4.その他の原因による窒息
  5.水中急死

【第6章】異常環境下の障害
 A.高温による障害
  1.熱傷
  2.熱傷死(火傷死)
  3.焼死
  4.熱中症
 B.低温(寒冷)による障害
  1.凍瘡・凍傷
  2.凍死
 C.電気による障害
  1.感電
  2.電圧と死因
  3.電撃症の解剖
  4.雷撃死・落雷死
 D.放射線障害
  1.放射線の種類と被曝
  2.放射線障害の分類
 E.気圧異常による障害
  1.気圧の単位
  2.減圧障害
  3.急性高山病
 F.飢餓(死)
  1.定義
  2.飢餓の生化学
  3.症状
  4.法医学での飢餓の診断

【第7章】内因性急死
 A.総論
  1.内因死とは
  2.内因死と社会的な問題
  3.法医診断学
 B.各論
  1.循環器疾患
  2.呼吸器系疾患
  3.消化器系疾患
  4.原因不明の内因性急死
  5.その他の病態

【第8章】周産期の障害
 A.母体の障害
  1.排卵誘発剤による母体の障害
  2.子宮収縮薬による母体の障害
  3.人工妊娠中絶
  4.堕胎
  5.羊水塞栓症
 B.新生児の死体
  1.新生児死体の特殊性と法律上の問題
  2.生存能力の判定
  3.生産・死産の鑑別

【第9章】性と法医学
 A.異常性欲
  1.パラフィリア症群に含まれるカテゴリー
 B.わいせつ行為
  1.公然わいせつ(刑法第174条)
  2.わいせつ物頒布等(刑法第175条)
  3.強制わいせつ(刑法第176条)
 C.強制性交等罪
  1.被害者の法医学的検査
  2.加害者の法医学的検査
  3.アルコール・薬毒物検査

【第10章】中毒 ―薬毒物に基づく障害―
 A.総論
  1.法中毒学および法医中毒学
  2.毒物および中毒
  3.中毒の診断1〈推測〉
  4.中毒の診断2〈薬毒物検査〉
 B.各論
  1.規制薬物
  2.揮発性およびガス状物質
  3.有機薬毒物

【第11章】アルコール中毒
 A.アルコールの代謝・酵素活性
  1.吸収
  2.分布
  3.代謝
  4.排泄
 B.薬理作用と臓器障害
  1.局所作用
  2.全身作用と臓器障害
 C.アルコール濃度と酩酊
 D.アルコール濃度測定
  1.測定法
  2.推定法
  3.死体からの試料についてアルコール濃度を測定する場合の留意事項
 E.アルコール中毒の社会的側面
  1.アルコール関連の死亡
  2.飲酒と道路交通法
  3.わが国の飲酒量 220
  4.世界の取り組み

【第12章】遺伝子多型と血液型
 A.遺伝子多型
  1.PCR法
  2.遺伝子DNAと遺伝子発現の流れ
  3.DNAの変異と遺伝
  4.遺伝子多型の種類
  5.ミトコンドリア遺伝子多型
  6.STR多型の臨床応用
  7.疾病関連遺伝子
 B.血液型
  1.赤血球型
  2.血清型
  3.酵素型
  4.ヒト白血球抗原(HLA)ヒトMHC分子とHLA抗原
 C.親子鑑定
  1.親子鑑定が必要な場合
  2.親子鑑定の実際

【第13章】個人識別
 A.個人識別の定義
 B.鑑定項目
 C.身体的特徴
 D.白骨鑑定
  1.鑑定の進め方
  2.性別の推定
  3.年齢の推定
  4.治療痕
  5.スーパーインポーズ法
  6.復顔法
  7.その他の識別法
  8.死因の推定
 E.歯牙(歯科所見)
  1.歯科所見を用いた個人識別の流れ
  2.歯の記号
  3.診療録でよく用いられる用語および略語
  4.口腔内写真
 F.皮膚紋理
  1.指紋
 G.DNAを用いた個人識別

【第14章】物体検査
 A.一般的事項
  1.対象となる試料
  2.取り扱い上の注意
  3.検査の流れ
 B.血痕
  1.外観検査
  2.試料採取
  3.予備検査(予試験,スクリーニング試験)
  4.確認検査(本試験,実性試験)
  5.人血証明検査(人獣鑑別試験,種族特異性試験)
  6.個人識別検査(血液型,DNA型)
 C.精液
  1.外観検査
  2.予備検査(予試験,スクリーニング試験)
  3.確認検査(本試験)および人獣鑑別
  4.個人識別検査(血液型,DNA型)
 D.唾液
  1.外観検査
  2.予備検査(予試験,スクリーニング試験)
  3.確認検査(本試験)および人獣鑑別
  4.個人識別検査(血液型,DNA型)
 E.毛髪
 F.その他の物体検査

【第15章】虐 待
 A.子どもの虐待
  1.子どもの虐待の社会的認識
  2.子どもの虐待に関する法律
  3.通告義務
  4.子どもの虐待の定義と種類
  5.子どもの虐待の診断
  6.被虐待児症候群
  7.子どもの虐待防止と支援体制
 B.ドメスティック・バイオレンス(DV)
  1.DVの社会的認識
  2.DVに関する法律
  3.DVの診断
 C.高齢者虐待・障碍者虐待
  1.高齢者虐待・障碍者虐待の社会的認識
  2.高齢者虐待・障碍者虐待に関する法律
  3.高齢者虐待・障碍者虐待の診断

【第16章】医療倫理
 A.医療倫理の基本的事項
  1.医師に求められる倫理規範
  2.安楽死
  3.尊厳死
 B.医学研究倫理
  1.主要な国際的医学研究倫理ガイドライン
  2.倫理審査委員会
  3.日本における臨床研究規制
  4.利益相反
  5.特定不正行為
 C.憲章・宣言のまとめ

【第17章】医事法制
 A.医師法
  1.医師法(抄)
  2.刑法(抄)
 B.医療法
  1.医療法(抄)
 C.その他の医療にかかわる法律
  1.個人情報保護に関する法制度
  2.資格に関する法制度
  3.精神医療,感染症医療に関する法制度
  4.薬事に関する法制度
 D.医療行為
  1.医療行為に関する法制度・判例
  2.終末期医療に関する法制度・判例
  3.臓器移植に関する法制度
  4.その他の法制度・判例
 E.医療契約と医師の義務
  1.医師の注意義務
  2.医師の説明義務
 F.医療事故と医療過誤
  1.医療事故
  2.医療過誤
 G.医療事故の防止
  1.医療安全のための施策
  2.医療機関の義務
  3.医療事故などの報告制度

【第18章】わが国の死因究明制度と課題
 A.死因究明制度の変遷と死因究明等関連法規
  1.死因究明制度の変遷
 B.少子高齢社会における死因究明の課題
  1.少子高齢社会から多死社会へ
  2.地域医療構想と地域包括ケアシステム
  3.少子高齢社会,多死社会における死因究明の課題

【巻末】確認問題とワンポイント解説
医師国家試験の過去問や「医学教育モデルコアカリキュラム」「医師国家試験出題基準」から本書の内容に合った問題&解説
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