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カテゴリー: 法医学

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身近な法医学

改訂3版

旭川医科大学 名誉教授 塩野 寛 著
旭川医科大学 教授 清水惠子 著

定価

3,850(本体 3,500円 +税10%)


  • A5判  305頁
  • 2008年2月 発行
  • ISBN 978-4-525-19123-8

臨床医にとって必要な知識を,簡潔な文章,シェーマを用いてわかりやすく解説.気軽にいつでもどこからでも読めるよう工夫した構成が特徴.今改訂では,個人識別の章でDNA多型の解説を充実,また親子鑑定の項を書き改めた.話題になっている社会的な問題についても著者の視点で明快に解説.定評のコラムも内容を一新した.

  • 序文
  • 目次
序文
 1996年(平成8年)に第1版が発行され,その序文の中に「今回,一般臨床の先生方が気軽に法医学の本を開いて読め,また現場で検死をした時に役立つようにと言う立場で執筆してみた・・・」と記されているが,この趣旨を失わないように改訂をこころみた.
 時津風部屋の力士の暴行事件以来,世間での検死のあり方に多くの疑問を生じて以来,国会内でも「検死見直し法案」の検討の中で警察庁に死因究明局を設置するという話も出てきている.
 厚生労働省も疾病の予防・治療を中心に考えてきた今までの政策を,死者に対しても目を向けはじめてもよいのではないか.
 ヒトが病気に罹れば最高の医療が施されると同様に,異状死体に対しても最高水準の検案・解剖が行われなければならないという風潮が市民の間で生まれてきたのである.異状死体の検案・解剖は「人が受ける最後の医療であり,死体の尊厳と生きているもののより良い生のために,厳密で正確さが必要」であると.
 すなわち診療や死体検案の現場において法医学の重要性が改めて見直されてきている.法医学の知識の不足や欠如のために,医師・患者・司法関係者の間に不適切な法的処理が為されてはならないのである.
 今回は,これらの問題にも十分対応できるよう,また改訂2版と同様,医学部・歯学部の学生,警察医,現場の刑事・警察官,救急救命士,司法関係者や法曹界の方々にも利用していただけるものと考える.
 コラムは全面的に入れかえて,楽しく読めるように配慮した.
 御一読の上,忌憚のない御批判をいただけたら幸いです.

2007年12月吉日
深深とふる粉雪をながめながら
塩野 寛 清水惠子
目次
1 法医学の役割
 1 法医学とは
 2 法医学の対象
 3 死体の検屍 (視), 解剖
  3-1. 検屍 (視) とは
  3-2. 司法解剖と行政解剖・解剖の資格者
 4 検案の進め方−目的, 方法, 死因の推定−
 5 死の判定
  5-1. 臨床的死の判定基準・個体死の定義・死の確徴
  5-2. 植物状態
  5-3. 脳死の判定基準
 6 医師が死体をみた時
  6-1. 死亡診断書と法令
  6-2. 届け出なければならない異状死とは

2 死亡診断書
 1 死亡診断書の意義, 注意点
  1-1. 死亡診断書 (死体検案書) の意義
  1-2. 書類作成上の基本的姿勢
  1-3. 書類作成に関する法律
  1-4. 死亡診断書と死体検案書の使い分け
 2 死亡診断書の実際
 3 診断書作成の要点
  3-1. タイトル, 氏名, 死亡したとき
  3-2. 死亡したころ, 死亡の原因
  3-3. 死亡までの期間, 死亡の種類
  3-4. その他特に付言すべきことがら, 医師の署名

3 死体現象のみかた
 1 死体現象
 2 体温低下
 3 皮膚の蒼白化
 4 死体の乾燥
  4-1. 外表の乾燥
  4-2. 角膜の混濁
 5 死  斑
 6 死体硬直
 7 自家融解
 8 腐  敗
 9 死体の損壊
 10 特殊死体現象 (永久死体)
  10-1. 死 蝋 化
  10-2. ミイラ化, 木乃伊化
 11 死後経過時間の推定

4 自為か他為か, 死因の決定
 1 損傷の検査
 2 鋭器損傷の性状
 3 創の分類の名称
 4 鋭器による創
  4-1. 切  創
  4-2. 割  創
  4-3. 刺  創
 5 鈍器損傷の形状
 6 表皮剥脱
 7 皮下出血
 8 裂  創
 9 挫創, 杙創
  9-1. 挫  創
  9-2. 杙 (よく) 創
 10 咬  傷
 11 銃器損傷 (射創)
 12 頭部損傷
  12-1. 頭皮の損傷
  12-2. 頭蓋骨骨折
  12-3. 硬膜外出血 (血腫)
  12-4. 硬膜下出血 (血腫)
  12-5. クモ膜下出血
  12-6. 脳 挫 傷
  12-7. 外傷性脳腫脹と脳浮腫
  12-8. 脳 振 盪
 13 胸腹部損傷
  13-1. 肋骨骨折
  13-2. 肺 損 傷
  13-3. 心臓損傷, 肝臓損傷, 脾臓損傷
  13-4. 膵臓損傷, 腎臓損傷, 腸間膜損傷
 14 自動車事故損傷
  14-1. デコルマン
  14-2. 車内事故損傷
 15 生活反応
 16 窒  息
  16-1. 窒息の種類と症状
  16-2. 縊  死
  16-3. 絞  死
  16-4. 扼  死
  16-5. 縊頸, 絞頸, 扼頸の主な相違
 17 溺  死
 18 熱 傷 死
  18-1. 焼  死
  18-2. 凍  死
  18-3. 熱 中 症
  18-4. 電 撃 症
  18-5. 感 電 死
  18-6. 落 雷 死

5 日常生活に密着した外因死と内因死
 1 嬰 児 殺
  1-1. 胎児と新生児の区別, 発育の推定
  1-2. 生死産の区別
  1-3. 生死産を鑑別するための検査
  1-4. 分娩後の生存期間, 死因
  1-5. 殺  児
 2 虐待と放置
  2-1. 小児の虐待と放置
  2-2. 老人の虐待と放置
 3 飢 餓 死
 4 強姦とは
 5 わいせつ (猥褻) とは
 6 内因性急死
  6-1. 原因の明らかな内因死
  6-2. 原因不明の内因死
 7 自  殺
  7-1. 自他殺の識別
  7-2. 自殺死体のみかた

6 中  毒
 総論1 中毒とは
 総論2 毒物とは
 総論3 中毒死体の検案
 総論4 分  析
 各論1 一酸化炭素
 各論2 アルコール (エタノール)
 各論3 硫化水素
 各論4 酸・アルカリ・アジ化ナトリウム
  4-1. 酸
  4-2. アルカリ
  4-3. アジ化ナトリウム
 各論5 青  酸
 各論6 ヒ  素
 各論7 農  薬
  7-1. 有機リン系農薬とカルバメート系農薬
  7-2. パラコート・ダイコート
 各論8 トリカブト毒
 各論9 フ グ 毒
 各論10 覚せい剤
 各論11 コカイン
 各論12 LSD
 各論13 麻  薬
  13-1. モルヒネ
  13-2. ヘロイン
 各論14 大  麻
 各論15 揮発性有機溶剤
 各論16 催眠薬・睡眠導入剤 (抗不安薬)
  16-1. ブロム尿素系薬物
  16-2. バルビタール系薬物
  16-3. ベンゾジアゼピン系薬物
 各論17 その他 (抗精神病薬・抗うつ薬・抗そう病薬)

7 個人識別
 1 白骨死体
  1-1. 白骨から鑑別しなければならないこと
  1-2. 性別の判定
  1-3. 年齢の判定
  1-4. 身長の判定
  1-5. 血液型の判定
  1-6. 特定個人の判定
  1-7. 歯から判ること
 2 血 液 型
  2-1. 血液型とは
  2-2. ABO 式血液型
  2-3. MNSs 式血液型
  2-4. Lewis 式血液型
  2-5. P 式血液型
  2-6. Rh 式血液型
  2-7. その他の血液型
  2-8. 赤血球酵素型
  2-9. 血 清 型
  2-10. 白血球型 (HLA 型)
 3 DNA 多型
  3-1. DNA 多型とは
  3-2. 核 DNA 多型
  3-3. ミトコンドリア DNA 多型
  3-4. DNA 多型検出法
 4 皮膚紋理
  4-1. 指  紋
  4-2. 掌紋と手掌の屈曲線
  4-3. 主線の走行

8 親子鑑定
 1 親子鑑定の必要な場合
 2 親子鑑定の検査方法
 3 父権肯定確率・父権否定確率
 4 実際の親子鑑定

9 医師と法律
 1 医師はどのような法的身分をもつか
 2 医療行為が正当かつ適正であるための条件
 3 医師の権利, 義務, 責任
  3-1. 刑法, 刑事訴訟法では
  3-2. 医師法では
  3-3. 医療関係行政法規では
  3-4. 民法・民事訴訟法では
 4 過失責任とは

10 最近注目されている医療行為
 1 臨床実験とヘルシンキ宣言
 2 輸血拒否
 3 生命誕生と医学の介入
  3-1. 最近の人工授精の倫理
  3-2. 体外受精の倫理
  3-3. 選別出産
  3-4. クローン人間
 4 尊 厳 死
 5 安 楽 死
 6 自  殺
 7 ターミナルケア
 8 脳死と臓器移植
 9 遺伝子解析と人権

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