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Evidence Update 2023

最新の薬物治療のエビデンスを付加的に利用する

1版

名郷直樹 編

定価

2,420(本体 2,200円 +税10%)


  • B5判  206頁
  • 2023年1月 発行
  • ISBN 978-4-525-21371-8

治療薬の最新のエビデンスを一気にアップデート!

情報は減ることなく,毎年積み重なっていきます.この新しく追加された情報から重要なものを厳選し,整理し,わかりやすくまとめ,現場で役立てていただくことをコンセプトとして,2012年に"Evidence Update"シリーズが登場しました.これまで月刊誌『薬局』の毎年1月恒例の特集企画でしたが,2022年版からは新刊書籍にバージョンアップしてお届けしています.2023年版では,ご要望の多かった小児,高齢者,妊婦・授乳婦の項も追加しました.各領域のエキスパートが厳選して執筆した"Evidence Update" 本年も多くのみなさまにお役立ていただければ幸いです.

  • 序文
  • 目次
序文
2012年の月刊誌『薬局』の特集企画から始まって11年,今年もまた『EvidenceUpdate 2023』をお届けします.巻頭言では毎年同じようなことばかりを書いてきて,もはや巻頭言はいらないのではないかという気がしないでもありませんが,懲りずに今年も書いています.

先日,学会セミナーの人類学者の講演で聞いた話です.人類学では「分類は感情である」という考え方があるというのです.この考えを臨床試験に適用すれば,「有効な薬とそうでない薬を分けるものは感情である」ということになります.さらに言えば「統計学的に有意か有意でないかを分けるのは感情である」とも言えます.もう一歩踏み込むと「有意水準5%の基準を決めたのは感情である」ということでしょう.

そしてこの話を聞いて間もなく,ある製薬企業のCEOが自社の製品の第Ⅲ相臨床試験の結果について,「こんな小さなp値は見たことがない」と言ったとか言わないとかという話を聞き,「分類は感情である」ということがまさに示された瞬間に遭遇するチャンスだったのかもしれないと思いました.その記者会見の現場を実際に見ることができなかったのが残念でなりません.

臨床試験の背後には,何としてでも有効だという結果を得たい製薬企業の「感情」があります.そう書くと,「何だ,バイアスの話か」と思う人がいるかもしれません.しかしそれだけではありません.何としてでも有効な薬を開発したいという熱意が新しい薬を生み出します.さらには,有効な薬があれば治療したいという感情も同様です.そうした感情がなければ医学・薬学の発展もないでしょう.それは,感情がなければ新薬の出現もないということです.

本書を読みながら,この新しい治療は良さそうだとか,いまいちだとか,いろいろな感情が出てくると思います.「分類は感情である」,そんな風に考えながら,本書を読んでみるのもいいのかもしれません.本書がすべての薬剤師,ひいてはすべての医療従事者のもとに届けられる日を夢想しながら,そんなことを考えています.

2022年12月
名郷直樹
目次
1.2022年論文ベストテン

2.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の注目論文

3.薬剤師介入の最新エビデンス

4.エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート!
 ①降圧薬
 ②抗不整脈薬
 ③心不全治療薬
 ④抗血栓薬
 ⑤気管支喘息治療薬
 ⑥慢性閉塞性肺疾患治療薬
 ⑦消化性潰瘍治療薬
 ⑧糖尿病治療薬
 ⑨脂質異常症治療薬
 ⑩高尿酸血症治療薬
 ⑪慢性腎臓病治療薬
 ⑫統合失調症治療薬
 ⑬抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬
 ⑭認知症治療薬
 ⑮抗てんかん薬
 ⑯抗リウマチ薬
 ⑰骨粗鬆症治療薬
 ⑱抗菌薬
 ⑲抗ウイルス薬
 ⑳抗真菌薬
 ㉑ワクチン
 ㉒鎮痛薬
 ㉓肺癌治療薬
 ㉔胃癌治療薬
 ㉕大腸癌治療薬
 ㉖前立腺癌治療薬
 ㉗膵臓癌治療薬
 ㉘乳癌治療薬
 ㉙婦人科癌治療薬
 ㉚血液腫瘍治療薬
 ㉛がん支持療法
 ㉜静脈経腸栄養
 ㉝救急・集中治療

5.最新トピックス!小児,高齢者,妊婦・授乳婦における薬物療法の留意点!
 ①小児
 ②高齢者
 ③妊婦・授乳婦

[Column]2022年論文の小ネタ帳
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