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外来診療マニュアル 20/20

1版

山中克郎 編

定価

4,400(本体 4,000円 +税10%)


  • B6変型判  434頁
  • 2025年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-21421-0

この1冊があれば、外来診療は怖くない!

多くの疾患のマネジメントが入院から外来へと移行していく昨今,医師は様々な疾患を外来の場で適切に診断・治療・管理する必要がある.そんな外来での診療の強い味方となる一冊が誕生した.本書は一般外来において診るべき症候・疾患に関して,豊富な図表とともに分かりやすく解説しており,迷うことも多い外来診療の指針となってくれる.また,臨床研修において必須とされた,外来での研修の良き相棒にもなってくれるだろう.
研修医・専攻医,そして指導医など,自らの外来診療のレベルを上げたいすべての医師におすすめ.

  • 序文
  • 目次
序文
 医学の進歩は日進月歩であり,新たな知見が絶え間なく生み出されています.内科医の外来診療の場は病院の救急外来や初診外来,診療所での外来,訪問診療と多岐にわたります.初期研修においても外来診療が必須となりました.外来診療の質の向上は,今後ますます重要になっていくでしょう.高齢化社会が急速に進み,幅広い疾患に対応する総合的な臨床能
力が求められるようになりました.患者の訴えと基本的身体所見から迅速かつ的確に診断を下し,適切な治療方針を立てるためには,広範な知識と柔軟な思考が不可欠です.

 本書では日常診療の場でよく遭遇する症候や疾患に対するアプローチと治療について,重要ポイントをできる限りシンプルにまとめました.「巨人の肩の上に立つ(Standing on the shoulders of giants.)」という言葉があるように,医学の発展は先人たちの知識の積み重ねによって築かれています.信頼性の高い医学書や著名なジャーナルの総説を参考にし,100点満点中80点以上取れるような診療の質を目指して執筆しました.

 しかしながら,最新の医学知識は日々更新されており,本書の内容も完全ではありません.より深く疾患を理解し確実な診療を行うためには,最新の論文を検索し専門医の意見を求める姿勢が大切だと考えます.

 私は2019年から5年間,福島県会津地方で診療に従事しました.医療資源が限られたこの豪雪地帯に全国から総合診療に興味を持つ優秀な若手医師たちが集まりました.専門医が少ない環境だからこそ,診断や治療の選択に際して,皆で文献を渉猟し知識を共有しながら診療を行いました.その経験が本書の執筆に大いに活かされています.

 また,インターネットの発展により,世界最先端の医学情報はどこにいても手に入る時代となりました.仲田和正先生(西伊豆健育会病院)が言われるように,たとえ地方にいようとも世界水準の医学を学ぶことができます.本書の執筆にあたっては,仲田先生が毎月発信される一流医学雑誌の総説要約を大いに参考にさせていただきました.

 近年の生成AIの発展により,瞬時に膨大な医学情報を要約し翻訳することが可能になっています.私自身も,インターネット検索よりもAIを活用する機会が増えています.しかし,AIにはhallucination(幻覚)の問題があり,誤った情報を提示するリスクがあります.批判的思考を持ちながら情報を取捨選択する力が,これからの医師には求められます.

 AIに犬の写真を見せれば,瞬時に犬であることを認識します.しかし,犬を触ったこともないAIは本当に犬を理解しているといえるのでしょうか.記号接地(symbol grounding)問題と呼ばれる課題です.疾患に対する豊富な知識を持っていても,実際の患者をたくさん診察しなければ,真に疾患を理解したとはいえません.

 医学教育においても,知識の詰め込みから,論理的思考や問題解決能力の向上へとシフトしています.数学における微分積分の知識が日常生活で直接役立つことは少ないかもしれませんが,その概念を理解することには大きな意義があります.それと同様に,膨大な医学知識を体系的に理解し,疾患の本質を見極め,丁寧に患者を診察する努力は良医となるために不可欠です.

 本書は,そうした診療の基本的な考え方を整理し,医学生や若手医師が効率よく学べるよう構成されています.また,すでに臨床経験を積んだ医師にとっても,日常診療の振り返りや新たな発見の一助となることを願っています.

「大事なことは,疑問を持ち続けることである.
神聖な好奇心を決して失ってはならない」
アルベルト・アインシュタイン

謝辞
 本書の作成にあたり,福島県立医科大学会津医療センター,大同病院,諏訪中央病院の医療スタッフの皆様には,多大なご支援を賜りました.心より感謝申し上げます.また,本書の編集にあたり,南山堂編集部の皆様には多くの励ましと貴重なアドバイスをいただきました.深く感謝いたします.

 本書をより良いものとするために,読者の皆様のご意見やご要望をお待ちしております.ご連絡はyamanakk@gmail.comまでお寄せください.

2025年4月
山中克郎
目次
Ⅰ 基本のき
 1 問 診 (山中克郎)
 2 バイタルサインの解釈 (鎌田一宏)
 3 12誘導心電図の読み方 (宗像源之)
 4 エコーの活用法 (林 聖也)
 5 グラム染色/抗菌薬の使い方 (小野正博)
 6 救命処置 (鷹栖相崇)

Ⅱ 症候
 1 原因不明の発熱 (山中克郎)
 2 失神/意識障害 (山中克郎)
 3 頭 痛 (鎌田一宏)
 4 めまい (小野正博)
 5 胸 痛 (鵜山保典)
 6 呼吸困難 (山中克郎)
 7 腹 痛 (小野正博)
 8 下痢/便秘 (山中克郎)
 9 異常出血 (山中克郎)
 10 貧 血 (鵜山保典)
 11 腰 痛 (林 聖也)
 12 関節痛 (林 聖也)
 13 下肢の浮腫 (山中克郎)
 14 皮 疹 (山中克郎)
 15 がん性疼痛 (押部郁朗)

Ⅲ 疾患
 1 脳血管障害 (山中克郎)
 2 高血圧 (鵜山保典)
 3 脂質異常症 (鵜山保典)
 4 心不全 (宗像源之)
 5 冠動脈疾患 (宗像源之)
 6 深部静脈血栓症/肺血栓塞栓症 (山中克郎)
 7 市中肺炎 (小野正博)
 8 気管支喘息 (山中克郎)
 9 慢性閉塞性肺疾患(COPD) (山中克郎)
 10 糖尿病 (山中克郎)
 11 急性腎障害(AKI) (山中克郎)
 12 酸-塩基異常 (山中克郎)
 13 尿路感染症 (林 聖也)
 14 カリウム異常 (山中克郎)
 15 ナトリウム異常 (山中克郎)
 16 カルシウム異常 (山中克郎)
 17 中 毒 (鷹栖相崇)

Ⅳ 分野別問題 (山中克郎)
 1 呼吸器
 2 循環器
 3 消化器
 4 血液/ 腫瘍
 5 腎 臓
 6 内分泌
 7 神 経
 8 リウマチ・膠原病
 9 その他

Ⅴ 頻用薬剤一覧(樫村大樹)
 1 睡眠薬
 2 抗不安薬
 3 抗うつ薬
 4 利尿薬
 5 ACE阻害薬
 6 アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)・アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)
 7 β遮断薬
 8 Ca拮抗薬
 9 α遮断薬
 10 硝酸薬
 11 脂質異常症治療薬
 12 抗血小板薬
 13 解熱鎮痛薬
 14 H2受容体拮抗薬
 15 プロトンポンプ阻害薬(PPI),P-CAB
 16 インスリン製剤
 17 糖尿病治療薬
 18 骨粗鬆症治療薬

主要な略語
索 引

Column(鵜山保典)
腹痛のみかた
皮疹のみかた
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