症例で学ぶ 検診心電図 集中セミナー
1版
北島医院 院長 北島 敦 著
定価
3,850円(本体 3,500円 +税10%)
- B5判 177頁
- 2024年3月 発行
- ISBN 978-4-525-22291-8
心電図の基本と臨床の間にこの一冊!
「心電図について,教科書的な知識はあるが,どうも苦手…」
「自信もないし,自動診断の示すままに何となく結果を記載してしまう…」
「検診結果をもって外来を受診されても,どう対応すればいいのかわからない…」
それは「教科書の典型的な心電図と実際に臨床で遭遇する心電図には,それなりの乖離があるから」かもしれません.臨床での心電図診断をマスターするには,実際の心電図を数多く見て,その臨床診断を疑似体験するのが一番です.本書で,実際の心電図とその臨床診断,必要な対応の実際について集中的に学んで,判読のセンスを身につけ,自動診断の結果とも正しくつきあえるようになりましょう!
- 序文
- 刊行に寄せて
- 目次
- 書評
序文
心電図法は幅広い臨床医学領域に広く普及し,心電図の基礎から臨床までの知識は一般臨床医として必須なものです.
最近,日常臨床に用いられている心電図計には自動解析診断装置がついており,計測値や心電図診断がプリントアウトされて出てくるので非常に便利な一面がありますが,コンピュータ自動診断はいまだ精度が低く,誤診や過診断overdiagnosis を打ち出すこともあります.
したがって,この自動診断をそのまま信用して臨床に使用できるとは限りません.やはり心電図検査結果の臨床的意義や患者指導区分は医師が自ら判断しなければなりません.
そのため,本書ではQ&A 式で症例を提示して,日常臨床で遭遇する誤りやすい心電図所見,近年注目されているBrugada 症候群,J 波症候群やアスリート心電図など最新の知見を紹介して,丁寧に解説をしています.さらにコラムを読むことで,幅広い臨床心電学の知識を得ていただけるのではと期待しております.
心電図の判読は,難しい,心電図の波形が何を意味するのかわからないなど敬遠される傾向もあります.
私は,実は心電図が苦手で,学生時代著名な先生の講義を受講しても今一つ理解できず,不整脈のテキストを読んでも難解なものが多く,将来心電図だけは専攻したくない…と感じておりました.いわゆる心電図アレルギーのようなものがあり,心電図の本を執筆することなど夢にも思いませんでした.
ところが,新入医局員として入局した後,指導教授である故関口守衛先生(信州大学内科学 教授)から「心臓健診における心臓精密検査例の臨床的・病理学的分析」という学位論文テーマを与えられ,多数の検診心電図を判読して異常心電図から心疾患を発見することに従事するようになりました.その過程において検診心電図を読む際のスクリーニングのポイントや,従来の教科書に記載されていない重要な着眼点を見いだしてきました.
また,関口教授が心電図に興味のある学生を募って「心電図セミナー」という初学者にわかりやすい心電図の講義をされており,私もアシスタントとして参加させていただく機会に恵まれました.ユーモアあふれるユニークな教え方に魅了され,それまで苦手と感じていた心電図を楽しく学ぶことができました.そして次第に心電図の波形に親しみを覚えるようになりました.心電図アレルギーの症状は消えて,いつしか心電図波形は親友になっていました.
この本を手に取った読者の方が,多少でも心電図に興味を持ち,波形に親しみを持って心電図の実践的判読のセンスを身につけていただくお役に立つことができれば幸いです.
2024 年2 月
北島 敦
最近,日常臨床に用いられている心電図計には自動解析診断装置がついており,計測値や心電図診断がプリントアウトされて出てくるので非常に便利な一面がありますが,コンピュータ自動診断はいまだ精度が低く,誤診や過診断overdiagnosis を打ち出すこともあります.
したがって,この自動診断をそのまま信用して臨床に使用できるとは限りません.やはり心電図検査結果の臨床的意義や患者指導区分は医師が自ら判断しなければなりません.
そのため,本書ではQ&A 式で症例を提示して,日常臨床で遭遇する誤りやすい心電図所見,近年注目されているBrugada 症候群,J 波症候群やアスリート心電図など最新の知見を紹介して,丁寧に解説をしています.さらにコラムを読むことで,幅広い臨床心電学の知識を得ていただけるのではと期待しております.
心電図の判読は,難しい,心電図の波形が何を意味するのかわからないなど敬遠される傾向もあります.
私は,実は心電図が苦手で,学生時代著名な先生の講義を受講しても今一つ理解できず,不整脈のテキストを読んでも難解なものが多く,将来心電図だけは専攻したくない…と感じておりました.いわゆる心電図アレルギーのようなものがあり,心電図の本を執筆することなど夢にも思いませんでした.
ところが,新入医局員として入局した後,指導教授である故関口守衛先生(信州大学内科学 教授)から「心臓健診における心臓精密検査例の臨床的・病理学的分析」という学位論文テーマを与えられ,多数の検診心電図を判読して異常心電図から心疾患を発見することに従事するようになりました.その過程において検診心電図を読む際のスクリーニングのポイントや,従来の教科書に記載されていない重要な着眼点を見いだしてきました.
また,関口教授が心電図に興味のある学生を募って「心電図セミナー」という初学者にわかりやすい心電図の講義をされており,私もアシスタントとして参加させていただく機会に恵まれました.ユーモアあふれるユニークな教え方に魅了され,それまで苦手と感じていた心電図を楽しく学ぶことができました.そして次第に心電図の波形に親しみを覚えるようになりました.心電図アレルギーの症状は消えて,いつしか心電図波形は親友になっていました.
この本を手に取った読者の方が,多少でも心電図に興味を持ち,波形に親しみを持って心電図の実践的判読のセンスを身につけていただくお役に立つことができれば幸いです.
2024 年2 月
北島 敦
刊行に寄せて
心電図は,臨床医にとって,いろは順の“ い” に相当する検査であり,医師なら誰もが読むことができて当たり前と思われています.しかし,この心電図を十分に判読できる医師は意外と少ないのが実情です.
複数の出版社から数多くの心電図に関する書籍が発行されていますが,不思議なことにどの書籍もある程度の売れ行きを示していると聞きます.どうして心電図の本は売れるのでしょうか.それは,心電図は日常臨床において必須の検査であり,特に健診/ 検診に携わっている医師においては,日々,心電図と向き合って,所見づけをしているからです.心電図の判読が上達すれば,正確な心電図診断が可能となり,最も恐れる見落としを防ぐことができます.そのため,心電図の判読を苦手にしている医師は,心電図の本を購入したくなるのだと察します.
近年の12 誘導心電計には自動解析診断機能が備わっています.心電図を記録すると,波形を記録した後に心電図診断が出力されます.一部の健診/ 検診業務を行っている医師のなかには,この診断(所見が100%正確だと信じている方がいて,その診断名を健診/ 検診の結果に記載することがあります.しかし,心電図診断の下には必ず「医師(専門医)の確認が必要」という文言が記載されています.人工知能(AI)が医療分野に参入することによって,早ければ10 年後にはAI による正確な心電図診断が可能になると思われますが,現時点では心電図は医師による判断が欠かせないのが現状です.
この度,北島 敦先生単著による心電図書籍『症例で学ぶ 検診心電図集中セミナー』が南山堂から出版されることになりました.これまでご自身が経験した40 あまりの症例を提示し,個々の心電図について「解説」・「診断」・「今後の対応」をわかりやすく記載しています.また,適宜「column」を挿入することで判読するうえでのポイントや用語についても解説しています.最後には,「不整脈Q & A」として10 例の心電図を提示し,理解度を高めるための工夫もなされています.日々,検診業務を実際に行っている北島先生だからこそなされる業であると思います.
心電図の上達は,実際の心電図をたくさん見て体験的に学ぶのが早道だと考えます.ぜひ,本書を手に取って,心電図のエキスパートになっていただければ幸いです.本書はそれを可能にする1 冊だと確信しております.
2024 年2 月
東邦大学医学部循環器内科 教授
池田隆徳
複数の出版社から数多くの心電図に関する書籍が発行されていますが,不思議なことにどの書籍もある程度の売れ行きを示していると聞きます.どうして心電図の本は売れるのでしょうか.それは,心電図は日常臨床において必須の検査であり,特に健診/ 検診に携わっている医師においては,日々,心電図と向き合って,所見づけをしているからです.心電図の判読が上達すれば,正確な心電図診断が可能となり,最も恐れる見落としを防ぐことができます.そのため,心電図の判読を苦手にしている医師は,心電図の本を購入したくなるのだと察します.
近年の12 誘導心電計には自動解析診断機能が備わっています.心電図を記録すると,波形を記録した後に心電図診断が出力されます.一部の健診/ 検診業務を行っている医師のなかには,この診断(所見が100%正確だと信じている方がいて,その診断名を健診/ 検診の結果に記載することがあります.しかし,心電図診断の下には必ず「医師(専門医)の確認が必要」という文言が記載されています.人工知能(AI)が医療分野に参入することによって,早ければ10 年後にはAI による正確な心電図診断が可能になると思われますが,現時点では心電図は医師による判断が欠かせないのが現状です.
この度,北島 敦先生単著による心電図書籍『症例で学ぶ 検診心電図集中セミナー』が南山堂から出版されることになりました.これまでご自身が経験した40 あまりの症例を提示し,個々の心電図について「解説」・「診断」・「今後の対応」をわかりやすく記載しています.また,適宜「column」を挿入することで判読するうえでのポイントや用語についても解説しています.最後には,「不整脈Q & A」として10 例の心電図を提示し,理解度を高めるための工夫もなされています.日々,検診業務を実際に行っている北島先生だからこそなされる業であると思います.
心電図の上達は,実際の心電図をたくさん見て体験的に学ぶのが早道だと考えます.ぜひ,本書を手に取って,心電図のエキスパートになっていただければ幸いです.本書はそれを可能にする1 冊だと確信しております.
2024 年2 月
東邦大学医学部循環器内科 教授
池田隆徳
目次
症例1 V1~V4 が陰性T 波を示した39 歳,女性
Column 1 Ⅰ誘導の陰性P 波
症例2 高血圧に伴う左側胸部誘導の陰性U 波の見落とし例
Column 2 U 波
症例3 胸部誘導QRS 波高電圧から左室肥大と誤った正常例
Column 3 心室興奮時間 ventricular activation time(VAT)
症例4 冠不全(軽度ST 低下)を正常と誤った例
症例5 左室肥大,左脚前枝ブロック,心臓電気的中心の上方偏位
Column 4 両室肥大の心電図所見
症例6 Poor r wave progression,左室負荷を示した例
Column 5 心臓長軸の周りの回転の診断と臨床的意義
症例7 高度PR 間隔延長,左室肥大・負荷を自動診断が下壁梗塞,心房細動,心室期外収縮と誤診
症例8 左房調律(左房下前壁起源)
症例9 完全右脚ブロックをsaddle-back 型Brugada 心電図と誤った例(Luna 基準)
症例10 肺気腫による慢性肺性心
症例11 電極装着ミス(左手・左足)
症例12 心不全症状で来院した心アミロイドーシス
Column 6 心Fabry 病
症例13 漏斗胸による異常Q 波
Column 7 Straight back syndrome
症例14 陳旧性前壁中隔梗塞,完全右脚ブロック
症例15 心室期外収縮多発,左室肥大,左室負荷,左房負荷
症例16 完全右脚ブロック+ 左脚前枝ブロック(完全房室ブロックへの移行)
症例17 両脚ブロック(完全右脚ブロック+ 左脚前枝ブロック),冠不全(高度),心室期外収縮
Column 8 肥大型心筋症による突然死を予知できるか?
症例18 PR 間隔短縮,洞結節内ペースメーカ移動
症例19 頻脈依存性完全右脚ブロック
症例20 心室性副収縮
症例21 徐脈依存性心室内伝導障害(第4 相ブロック)を心室期外収縮と誤った例
症例22 間欠的2:1 房室ブロック所見を示した完全左脚ブロック例
症例23 高度徐脈,不完全房室解離,2 峰性T 波(生理的右室優位)
症例24 左脚中隔枝ブロック,左室伝導系,心房期外収縮+ 変行性心室内伝導
症例25 左室負荷(陰性U 波),左房負荷,saddle-back 型Brugada 心電図(不完全右脚ブロックとの鑑別)
Column 9 Cornell voltage とCornell product
症例26 偽右脚ブロック所見を示すsaddle-back 型Brugada 心電図(不完全右脚ブロックとsaddle-back 型との鑑別)
症例27 de Luna らの合意報告に基づくBrugada 型心電図の新診断基準
症例28 異所性心房頻拍(反復性PAT with block),Brugada 型心電図(saddle-back 型)
症例29 Saddle-back 型Brugada 心電図:不完全右脚ブロックとの鑑別とLuna 基準
症例30 正常心電図と診断された広汎性J 波
症例31 著明なJ 波を不完全右脚ブロックと誤った例,期外収縮後のST-T 変化
症例32 下側方早期再分極(再分極所見の臨床的意義)
症例33 Lenegre 病(進行性心臓伝導障害)
症例34 虚血性心疾患の心電図(Wellens 症候群)類似所見を示したアスリート心電図
症例35 アスリート心での運動継続可否,経過観察要否の判断
症例36 Wellens 症候群類似の右側胸部誘導のST 上昇を示すアスリート心(疑)例
症例37 冠動脈攣縮による下方誘導ST 上昇,洞徐脈,洞房ブロック出現例
症例38 S1S2S3 パターン:ベクトル心電図的考察
Column 10 ベクトル心電図
症例39 横位心のために深いQ 波を生じた例
症例40 不完全3 枝ブロック,saddle-back 型Brugada 心電図,左房負荷を示した例
症例41 不整脈Q&A 10
Column 11 悪性不整脈
Column 12 Torsade de Pointes(TdP)
参考書籍
索 引
Column 1 Ⅰ誘導の陰性P 波
症例2 高血圧に伴う左側胸部誘導の陰性U 波の見落とし例
Column 2 U 波
症例3 胸部誘導QRS 波高電圧から左室肥大と誤った正常例
Column 3 心室興奮時間 ventricular activation time(VAT)
症例4 冠不全(軽度ST 低下)を正常と誤った例
症例5 左室肥大,左脚前枝ブロック,心臓電気的中心の上方偏位
Column 4 両室肥大の心電図所見
症例6 Poor r wave progression,左室負荷を示した例
Column 5 心臓長軸の周りの回転の診断と臨床的意義
症例7 高度PR 間隔延長,左室肥大・負荷を自動診断が下壁梗塞,心房細動,心室期外収縮と誤診
症例8 左房調律(左房下前壁起源)
症例9 完全右脚ブロックをsaddle-back 型Brugada 心電図と誤った例(Luna 基準)
症例10 肺気腫による慢性肺性心
症例11 電極装着ミス(左手・左足)
症例12 心不全症状で来院した心アミロイドーシス
Column 6 心Fabry 病
症例13 漏斗胸による異常Q 波
Column 7 Straight back syndrome
症例14 陳旧性前壁中隔梗塞,完全右脚ブロック
症例15 心室期外収縮多発,左室肥大,左室負荷,左房負荷
症例16 完全右脚ブロック+ 左脚前枝ブロック(完全房室ブロックへの移行)
症例17 両脚ブロック(完全右脚ブロック+ 左脚前枝ブロック),冠不全(高度),心室期外収縮
Column 8 肥大型心筋症による突然死を予知できるか?
症例18 PR 間隔短縮,洞結節内ペースメーカ移動
症例19 頻脈依存性完全右脚ブロック
症例20 心室性副収縮
症例21 徐脈依存性心室内伝導障害(第4 相ブロック)を心室期外収縮と誤った例
症例22 間欠的2:1 房室ブロック所見を示した完全左脚ブロック例
症例23 高度徐脈,不完全房室解離,2 峰性T 波(生理的右室優位)
症例24 左脚中隔枝ブロック,左室伝導系,心房期外収縮+ 変行性心室内伝導
症例25 左室負荷(陰性U 波),左房負荷,saddle-back 型Brugada 心電図(不完全右脚ブロックとの鑑別)
Column 9 Cornell voltage とCornell product
症例26 偽右脚ブロック所見を示すsaddle-back 型Brugada 心電図(不完全右脚ブロックとsaddle-back 型との鑑別)
症例27 de Luna らの合意報告に基づくBrugada 型心電図の新診断基準
症例28 異所性心房頻拍(反復性PAT with block),Brugada 型心電図(saddle-back 型)
症例29 Saddle-back 型Brugada 心電図:不完全右脚ブロックとの鑑別とLuna 基準
症例30 正常心電図と診断された広汎性J 波
症例31 著明なJ 波を不完全右脚ブロックと誤った例,期外収縮後のST-T 変化
症例32 下側方早期再分極(再分極所見の臨床的意義)
症例33 Lenegre 病(進行性心臓伝導障害)
症例34 虚血性心疾患の心電図(Wellens 症候群)類似所見を示したアスリート心電図
症例35 アスリート心での運動継続可否,経過観察要否の判断
症例36 Wellens 症候群類似の右側胸部誘導のST 上昇を示すアスリート心(疑)例
症例37 冠動脈攣縮による下方誘導ST 上昇,洞徐脈,洞房ブロック出現例
症例38 S1S2S3 パターン:ベクトル心電図的考察
Column 10 ベクトル心電図
症例39 横位心のために深いQ 波を生じた例
症例40 不完全3 枝ブロック,saddle-back 型Brugada 心電図,左房負荷を示した例
症例41 不整脈Q&A 10
Column 11 悪性不整脈
Column 12 Torsade de Pointes(TdP)
参考書籍
索 引
書評
心電図エキスパートへの道に王道なし.豊富な心電図症例をもとにわかりやすく実践的であると共に専門的知識も得られる必携の良書.
桑原宏一郎(信州大学医学部 循環器内科)
日常診療に必須の検査である心電図.しかし,授業や教科書でいくら勉強しても現場では心電図の判読に自信がなく,現状では必ずしも精度がいいとはいえない自動解析機能に頼ってばかり…….そのような医師は意外と多いのではないでしょうか.心電図判読力を上げるためには,やはり多くの心電図と症例を実際に見て経験的に学ぶしかないのではないかと考えます.そうした心電図判読力アップには,多くの波形に実践的に触れることができ,かつそれぞれの心電図波形とその症例の病態との関連を深く掘り下げて学ぶことができる機会が必要です.
本書は,信州大学医学部で循環器内科学の研鑽を積まれた著者自身が体験した多くの特徴ある症例の心電図波形を示しつつ,Q&A 方式でその解説,診断,今後の対応をわかりやすく記したもので,まさに実践的な心電図判読力を上げるために最適の学習書といえるのではないでしょうか.またcolumn として,心電図を読むうえで重要な知識やポイントも解説されています.最後には不整脈Q&Aとして10例の心電図が提示され,本書での学習理解がより深まるように構成されています.
単純に心電図波形の診断をするだけではなく,各症例の心電図の特徴的所見や,病態と照らし合わせたより深い理解が得られるよう解説がなされ,さらにその後の診療方針も記されている本書は,まさに心電図を通して循環器診療を深く学べる一冊であるといえます.心電図初心者から,エキスパートを目指す医師まで幅広く本書で実践的な心電図判読方法を学んでいただければと思います.
桑原宏一郎(信州大学医学部 循環器内科)
日常診療に必須の検査である心電図.しかし,授業や教科書でいくら勉強しても現場では心電図の判読に自信がなく,現状では必ずしも精度がいいとはいえない自動解析機能に頼ってばかり…….そのような医師は意外と多いのではないでしょうか.心電図判読力を上げるためには,やはり多くの心電図と症例を実際に見て経験的に学ぶしかないのではないかと考えます.そうした心電図判読力アップには,多くの波形に実践的に触れることができ,かつそれぞれの心電図波形とその症例の病態との関連を深く掘り下げて学ぶことができる機会が必要です.
本書は,信州大学医学部で循環器内科学の研鑽を積まれた著者自身が体験した多くの特徴ある症例の心電図波形を示しつつ,Q&A 方式でその解説,診断,今後の対応をわかりやすく記したもので,まさに実践的な心電図判読力を上げるために最適の学習書といえるのではないでしょうか.またcolumn として,心電図を読むうえで重要な知識やポイントも解説されています.最後には不整脈Q&Aとして10例の心電図が提示され,本書での学習理解がより深まるように構成されています.
単純に心電図波形の診断をするだけではなく,各症例の心電図の特徴的所見や,病態と照らし合わせたより深い理解が得られるよう解説がなされ,さらにその後の診療方針も記されている本書は,まさに心電図を通して循環器診療を深く学べる一冊であるといえます.心電図初心者から,エキスパートを目指す医師まで幅広く本書で実践的な心電図判読方法を学んでいただければと思います.