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カテゴリー: 循環器学  |  検査・診断学

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判定区分に迷わない

健診心電図の見方・考え方 精選74問

1版

宇治武田病院健診センター 所長 上嶋健治 著

定価

3,850(本体 3,500円 +税10%)


  • B6変型判  269頁
  • 2024年9月 発行
  • ISBN 978-4-525-22301-4

健診心電図の判定区分でもう悩まない

2023年度,健康診断の際に心電図の判定に使用されるマニュアルが改訂された.以前のマニュアルより判定医の裁量に任される部分が大きくなり,心電図判読の力量も求められている.所見と判定区分が1対1対応ではなくなったことで,頭を悩ませている先生も多いことだろう.本書では,判定マニュアルに記載の所見について,判読問題集として網羅しつつ,判定区分の考え方をわかりやすく解説した.(多少の変更や注釈は加えつつも)判定区分は人間ドック・予防医療学会の心電図検診判定マニュアルに準拠している.この問題集に繰り返し挑戦することで,健診の判定区分にはもう迷うことなく,自信をもってズバリ答えることができるだろう.

  • 序文
  • 本書で取り上げた判定区分
序文
今回,ご縁があって株式会社南山堂から「心電図の判読スキルを高め,心電図所見の臨床的意義を理解する」本書の執筆の機会を頂きました.きっかけは,本書の編集担当にもなられた旧知の編集者のYさんとのお話にありました.Yさんは定期健診の際に心電図に異常が見つかったものの,その後の説明では「異常所見があると書かれているのですが(自動診断の出力を見ていたのだと思われます),私にはどこにそれがあるのかわかりません…….循環器の先生がいるときにまた来ていただけますか?」とだけ言われ,緊急を要するのか,日常生活で何か注意すべきことがあるのかもわからなかったそうです.さらに再診の循環器の先生からも「こことここに波形の異常があります.それ以上のことはわからないので,紹介状を書きます」としか言われなかったそうです.具体的なアドバイスを得られなかったと感じたYさんは「そのまま紹介先に行って適切な診断や処置が得られるのか不安になってしまいました」と自身の体への心配が募るばかりとのことでした.
確かに,心電図の自動診断は技術革新を繰り返して一気に実用化が進みました.正確な心電図波形の計測とより的確な診断アルゴリズムを構築するための努力が今なお継続されています.限界はあるものの一定の信頼度をもった自動解析プログラムが多くの汎用心電計に搭載されています.必ずしも心電図を専門としない医師にも自動診断の結果を手軽に利用できるようになりました. 一方で,心電図所見の臨床的意義をよく理解せずに,自動診断の結果のみをそのまま受診者に伝えてしまい,いらぬ不安を与える事例も一部には散見されています. Yさんの事例もこれに相当するでしょう.
従来の心電図の教科書は,心電図の所見を拾い上げて診断するまでの説明はあるのですが,その所見が正常を少し逸脱した程度で経過観察の範囲で問題ないものなのか,早急に精査や治療を要する所見なのか,すなわち診療方針の記述に欠けていました.著者は既行の拙著の中でも「心電図の正確な所見を見出すことが,心電図判読のゴールではありません.重要なことは,得られた心電図所見にいかほどの病的意義があるかを評価することです」と記したことがあります.そして,心電図診断後の診療方針(臨床的な評価基準)とその根拠として,日本人間ドック・予防医療学会の心電図検診判定マニュアルを拠り所として掲げています.実際,日本人間ドック・予防医療学会健診判定・指導マニュアル作成委員会心電図ワーキンググループ長でマニュアルの作成に多大の労をとられた桝田出先生は「私の知る限り,判定区分を記載した成人の心電図マニュアルは,本マニュアルの他には見当たらない(人間ドック2023;37:771-2)」と自負されています.今回,ちょうどタイミングよくこのマニュアルが「標準12誘導心電図検診判定マニュアル(2023年度版)」として改訂公開されました.ただ,この判定マニュアルは,その役割上「正しい心電図診断がなされてから」の情報提供であり,心電図の判読のノウハウに言及するものではありません.
そこでYさんと著者の間に,「正確な心電図診断が可能なスキルを獲得する」と同時に,「その所見の臨床的意義と診療方針を学べる」二刀流の教科書のコンセプトが共有されて,今回の出版に至った次第です.まず,本書は一問一答の問題集形式で70問以上の心電図(心電図検診判定マニュアルの心電図所見のほぼすべてを網羅)を掲載して,心電図判読と診断のノウハウを解説しています.次に,心電図の判読後の臨床的な判定区分を解説して診療方針を示しています.判定区分については関連文献を記述し,著者の考え方も付加してその根拠を説明しています.
本書は,心電図「検診」判定マニュアルに準拠しているものの,健診以外の実臨床で応用していただくにも必要十分な内容が網羅されています.今までは心電図の「判読技術」と「臨床評価」を統合して学ぶ機会が少なかったかも知れません.本書が心電図の正しい解釈と評価の理解に役立ち,健康診断や疾患管理の現場において少しでも貢献できることを願っています.心電図の判読と評価に関する知識を深め,診断能力を向上させたい医療従事者や健康管理に携わるすべての専門家にとって,お役に立てれば幸甚です.

2024年 晩春から初夏に移ろう快い季節に
宇治武田病院 健診センター 上嶋健治
本書で取り上げた判定区分
徐脈
心拍過多
頻脈
右軸偏位
高度右軸偏位
左軸偏位
極端な軸偏位
不定軸
移行帯:反時計回転
移行帯:時計回転
1度房室ブロック
Wenckebach型
Mobitz II型
3度房室ブロック
PR短縮
LGL型
WPW型
異所性上室調律
移動性心房調律
左房負荷
右房負荷
左室高電位
右室高電位
左室肥大
右室肥大
低電位
R波増高不良
不完全右脚ブロック
完全右脚ブロック
不完全左足ブロック
完全左脚ブロック
RSr’パタン
心室内伝導障害
2枝ブロック
3枝ブロック
ブルガダ型ST-T異常:coved型
ブルガダ型ST-T異常:saddle-back型
早期再分極(J波)
早期再分極
心膜炎
虚血性変化
ST低下
T波増高
平定T波
陰性T波
QTc延長
QTc短縮
境界域Q波
異常Q波
心房細動
心房粗動
上室期外収縮
心室期外収縮
頻発
連発
上室頻拍
心室頻拍
多形性心室期外収縮
R on T型
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