南山堂

カートを見る

カテゴリー: 感染症学  |  臨床薬学

立ち読み
注文数:

在庫あり

薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための

感染症検査

1版

国立国際医療研究センター 国際感染症センター 大曲貴夫 監修
一般社団法人Sapporo Medical Academy 岸田直樹 編
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 望月敬浩 編
社会医療法人医仁会 中村記念南病院 薬剤部 山田和範 編

定価

3,960(本体 3,600円 +税10%)


  • B5判  278頁
  • 2017年11月 発行
  • ISBN 978-4-525-23361-7

感染症の「検査の特性」と「結果の解釈」を理解して,抗菌薬の適正使用を実践するために必携の書!

感染症診療では,抗菌薬の適正使用を実践する,すなわち,毒性と耐性化のリスクを最小限にして最大の効果をあげることが求められる.その鍵を握る一つが検査であり,本書は,抗菌薬適正使用のためにいかに検査を用いて薬学的アプローチを実践すればよいかについて解説するものである.

  • 目次
  • 監修のことば
  • 序文
目次
第1章 検査を行う前の患者評価
1 Decision makingにおける検査特性の考え方
2 感染症検査と薬学管理
3 検査前確率と病歴・曝露歴のチェックポイント

第2章 検査と患者情報の捉え方
1 バイタルサイン
2 血球検査
3 赤血球沈降速度・CRP・プロカルシトニン
4 血液ガス分析

第3章 臓器を詰めるための検査の考え方
1 尿一般検査
2 髄液検査
3 関節穿刺検査
4 胸水,腹水

第4章 微生物学的検査による病原微生物の推定と同定 ─臨床検査技師と薬剤師との共通言語─
1 グラム染色
2 血液培養検査
3 血液以外の培養検査
4 感受性試験

第5章 各種病原体に対する検査とその解釈
1 インフルエンザ
2 B型肝炎
3 C型肝炎
4 HIV
5 サイトメガロウイルス
6 肺炎球菌・レジオネラ
7 マイコプラズマ
8 結核
9 Clostridium difficile
10 梅毒
11 カンジダ・アスペルギルス
12 疥癬

第6章 画像検査の見方と考え方 ─医師と薬剤師との共通言語─
1 肺炎・膿胸・アスペルギルス症の胸部画像検査
2 心内膜炎の心臓超音波検査
3 腹膜炎・腸腰筋膿瘍の腹部造影CT
4 骨髄炎のMRI

第7章 TDMによる抗菌薬投与設計
1 血中濃度測定の注意点
2 バンコマイシンの投与設計の実際
3 テイコプラニンの投与設計の実際
4 アミカシン・ゲンタマイシン・トブラマイシン・アルベカシンの投与設計の実際
5 ボリコナゾールの投与設計の実際

主な病原微生物一覧
監修のことば
 世界では薬剤耐性(antimicrobial resistance : AMR)が問題となっており,その対策が進んでいる.わが国も例外ではなく,2016年には『薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン』が制定された.このアクションプランは,わが国のAMR対策だけでなく感染防止対策および感染症診療そのものを大きく変えていくものであり,今はまさにその転換期にあるわけである.
 わが国では,過去の積極的な取り組みにより,感染症を専門とする薬剤師が増えてきている.加えて病棟に薬剤師が配置されることが当たり前の時代となり,すべての薬剤師に感染症診療に関する一定の素養が求められている.薬剤師の感染症診療への関わりがどんどん深くなってきている.
 これにより薬剤師に対する感染症の教育に必要とされる中味も変わってきている.薬剤師における感染症の教育は,以前は抗微生物薬の適応,用法・用量の設定,注意事項・禁忌事項の知識とその適用に関するものが中心であったと感じている.しかし,この10~15年で行われてきた「感染症の治療に的確な,専門的な助言を行う」という教育方針の過程を経て,今や薬剤師が診断の適格性担保のために腕を振るう時代となってきている.AMR対策の中で薬剤師の果たすべき役割が協調され期待されており,院内では抗菌薬適正使用チームの編成へと大きく流れていく中で,これは当然の流れといえる.
 そこで編まれたのが本書である.驚いたことは,薬剤師の方々が検査に関してこれだけ充実した内容を執筆できる時代になったということである.私は2000年代前半に米国に臨床留学したが,その際に米国の感染症専門薬剤師の実力に目を見張ったことを覚えている.「こういう時代が果たしていつ日本に来るのだろうか……」と当時は感じていたが,本書を見れば,もうわが国もその時代に入ったことがよく分かる.本書により薬剤師に対する充実した教育が行われ,わが国の感染症診療の現場を引っ張る薬剤師が多く育つことを期待して止まない.そこででき上がった現場の有り様が,世界に発信できる素晴らしいものとなることを期待している.

2017年初秋

国立国際医療研究センター病院 
大曲貴夫
序文
 本書は「薬局」2014年2月号特集「感染症の検査結果を使いこなす-抗菌薬適正使用のための実践活用ガイド-」を大幅に改編し,新規項目を加えて単行本化したものです.
 思い起こせば,南山堂の根本英一氏から書籍化も念頭に入れた企画のお話をいただいてから5年の歳月が流れました.その頃からすでに抗菌薬の適正使用の重要性は言われていましたが,この5年間で,感染症診療およびその対策を取り巻く医療環境は劇的に変化してきました.
 2016年に開催された第42回先進国首脳会議(伊勢志摩サミット)では,感染症対策も主要議題の1つに取りあげられました.これに先立ち,わが国の薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)対策アクションプランが制定され,具体的な目標値が掲げられたことは,今まで数値目標などない中で抗菌薬適正使用と声高に叫ばれる医療現場に,一石を投じる大きな進歩でした.
 将来に目を向けると,2050年には耐性菌による全世界の年間死亡数が1,000万人にのぼると推計され,感染症診療の重要性は言うまでもなく,大切な医療資源としての抗菌薬を後世に残していくためにも抗菌薬の適正使用は喫緊の課題とされます.
 抗菌薬適正使用と言ってもアプローチ方法はさまざまですが,必要なときに十分量の抗菌薬をしっかり使うことはその1つと考えられます.裏を返せば,不必要なときには抗菌薬を使わないという選択肢をしっかり選ぶことも大切なことにほかなりません.そのためには,薬剤師も医療チームの一員として,各種感染症の検査結果を正しく解釈し,診療支援を行うことが肝要です.
 本書は日常よく見る感染症の検査について,現在,臨床現場の第一線でご活躍されている薬剤師に主に執筆いただいたことに特徴があります.薬剤師の視点が多いことで共感でき,少し難しい内容も頭にすんなりと入ってきます.また,必要に応じてその分野の専門家の医師や検査技師の方にも執筆をご協力いただき,薬剤師の視点が多い中でも決して独りよがりにならず,医療チームとしての視点も大切にしているのが特徴でもあります.加えて本書は,感染症関連の検査項目の解説だけでは終わらず,各項目について執筆いただいた方が経験された症例をベースに,薬剤師が臨床現場でどのように検査結果を解釈し,診療支援につなげていけばよいかを実践編として掲載しています.日常出会う検査についての理解が深まり,感染症診療支援にあたり座右の書になることは間違いありません.
 本書が明るい未来へとつながるバタフライ効果を生み出すことを信じています.

2017年 天高く馬肥ゆる秋

編者を代表して 
山田和範



カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む