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見極力UP!

1からはじめる 膠原病診療

1版

高槻病院総合内科 主任部長 筒泉貴彦 著
聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center 副医長 田巻弘道 著

定価

4,400(本体 4,000円 +税10%)


  • B5判  280頁
  • 2019年7月 発行
  • ISBN 978-4-525-23441-6

膠原病診療に自信が持てる!

膠原病は特定の臓器に限られるものではなく,症状も様々である.そのため苦手意識のある医師が多い.感染症様の症状など類似の疾患との鑑別も重要であり,基本を理解していないと患者のQOLを著しく下げたり,担当医としての信頼を失ったりしかねない.本書は膠原病を正しく鑑別するための基本と実践法をまとめた一冊である.

  • 序文
  • 目次
序文
 “膠原病”と聞くとどこか得体の知れない病気を連想したり,苦手意識をもったりする方がいるのではないでしょうか? 特定の膠原病であっても必ずしも典型的な症状や身体所見がないこともよくあります.膠原病マーカーをショットガンのようにオーダーして,その結果が陽性でも陰性でも結局どう評価したらいいかわからない,熱が持続して抗菌薬への反応がなければ「コウゲンビョウ」の類と考えてステロイドをとりあえず処方したくなる衝動にかられる,このような「膠原病診療アレルギー」症状を恥ずかしながら私自身,研修医時代からもっていました.
 膠原病診療について深く知っていくうちに,この分野は内科医としての基本的な診療スタイルを忠実にたどっていることに気づきました.詳細な病歴聴取および身体診察を行う,鑑別疾患をしっかりと考えた上で適切な検査を提出する,患者の状態に合わせて慎重に様子を見る,あるいは経験的な加療を始めるという決断を下す.これらの手順をしっかり意識しながら診療し,そこに膠原病の正しい知識を加えていくことが重要であると感じています.
 膠原病は稀な病気ではありません.日常の診療で毎日のように見ることがあります.種々の臓器に影響を及ぼすことも多く,患者も膠原病内科ではなく,それ以外の診療科に初診患者として来院されることも珍しくありません.何科であっても医師である限り膠原病の患者の診療をしないことはないと言っても過言ではないでしょう.
 日々の診療において私のような膠原病アレルギーをもたないように,あるいはすでにアレルギーがある方に対して何らかの役に立ちたいという思いから本書を執筆しました.本書に登場する若い先生の発言は,私の若かりし頃を思い出しながら作りました.日米で膠原病診療において研鑽を積まれた田巻先生の珠玉の基本編をじっくり読んでいただくことで,実践の場でお役に立てる本になっているのではと僭越ながら考えています.本書が皆さんの診療の一助になれば幸いです.

2019年5月
著者を代表して
筒泉貴彦
目次
基本編 ─膠原病診療の考え方
 その1 「膠原病」を知る
  基本1 「膠原病」で思考を止めない
   Ⅰ:鑑別は膠原病?
   Ⅱ:診断は膠原病じゃだめ?
   Ⅲ:膠原病だけで止まってしまうことも……
  基本2 「膠原病っぽい」から次のステップにいこう
   Ⅰ:そもそも膠原病って何?
   Ⅱ:膠原病を疑うコツ
   Ⅲ:それぞれの膠原病には特徴がある
 その2 関節診療の基本を知る
  基本3 病歴と診察で全体像をつかもう
   Ⅰ:関節痛と関節炎の違いは説明できますか?
   Ⅱ:関節のパターンをつかもう
   Ⅲ:腱付着部炎を理解しよう
   Ⅳ:関節の診察での限界を忘れずに
  基本4 画像検査で診察を補おう
   Ⅰ:単純X線検査の診察特異的所見を探そう
   Ⅱ:超音波検査とMRIを使いこなそう
  基本5 関節液が教えてくれることを理解しよう
   Ⅰ:関節穿刺はいつ行うの?
   Ⅱ:関節液はどんな検査を出したらいいの? 検査が返ってくるまでにわかること
   Ⅲ:関節液はどのように評価したらいいの?
 その3 膠原病の「らしさ」と「らしくなさ」を知る
  基本6 膠原病の診断過程を把握しよう
   Ⅰ:膠原病を考えるときの頭のなか
   Ⅱ:分類基準の成り立ち
   Ⅲ:実際に診断をするという意味
  基本7 病歴から「らしさ」と「らしくなさ」を探っていこう
   Ⅰ:患者背景からある程度「らしさ」がわかる
   Ⅱ:患者は全部話してはくれない.自分から探りにいこう
   Ⅲ:「らしくなさ」を探るのも大事
  基本8 普段みない身体所見からヒントを探そう
   Ⅰ:関節炎をみるときに注意する身体所見
   Ⅱ:ANA関連疾患をみるときに注意する身体所見
   Ⅲ:血管炎をみるときに注意する身体所見
   Ⅳ:そのほかの膠原病
  基本9 検査をうまく活用しよう
   Ⅰ:ルーチン検査からヒントが見つかることもある
   Ⅱ:抗体検査の正しい使い方を学ぼう
   Ⅲ:画像検査 ─臓器特異的な診断をつけにいくツール
   Ⅳ:侵襲的検査はどんなときに必要?
 その4 膠原病治療のストラテジーを知る
  基本10 治療のストラテジーについて理解しよう
   Ⅰ:治療をするには疾患の活動性を評価するところからはじまる
   Ⅱ:実際の治療はどのように考えるか
  基本11 治療のオプションを知ろう
   Ⅰ:ステロイド
   Ⅱ:抗リウマチ薬と免疫抑制薬
   Ⅲ:生物学的製剤
 その5 診断のあとに起こることを知る
  基本12 合併症に備えておこう
  基本13 治療中の増悪に対処できるようになろう
   Ⅰ:原疾患の増悪かそれともそれ以外? 既往があるからといって増悪と決めつけない
   Ⅱ:気をつけるべきは感染症? 免疫抑制状態にあれば普段と鑑別する感染症は異なる


実践編 ─症状別アプローチ
  実践1 関節が痛みます
   Ⅰ:Logical Thinking ─関節の痛みを系統立てて評価する
   Ⅱ:Minimal Review ─関節リウマチ
  実践2 踵が痛いです
   Ⅰ:Logical Thinking ─踵の痛みを内科的疾患も考慮しながら鑑別する
   Ⅱ:Minimal Review ─脊椎関節炎
  実践3 全身が痛くて動けません
   Ⅰ:Logical Thinking ─高齢者の痛みを「正確」に分析する
   Ⅱ:Minimal Review ─リウマチ性多発筋痛症
  実践4 指が白くなってしまいました
   Ⅰ:Logical Thinking ─指が白くなる原因を探り疾患を見つける
   Ⅱ:Minimal Review ─全身性強皮症
  実践5 もうろうとします
   Ⅰ:Logical Thinking ─意識障害はタイムリーに対応する
   Ⅱ:Minimal Review ─全身性エリテマトーデス
  実践6 皮疹が出ました
   Ⅰ:Logical Thinking ─皮疹という診断で止まらず一歩先まで評価を行う
   Ⅱ:Minimal Review ─血管炎
  実践7 力が入りません
   Ⅰ:Logical Thinking ─「力が入らない」をより深く追求する
   Ⅱ:Minimal Review ─多発性筋炎/皮膚筋炎
  実践8 歩きにくいです
   Ⅰ:Logical Thinking ─「歩きにくい」で止まらず,なぜ歩きにくいかを追求する
   Ⅱ:Minimal Review ─シェーグレン症候群
  実践9 抗核抗体(ANA)が陽性といわれました
   Ⅰ:Logical Thinking ─「ANA陽性」だからといって膠原病と決めつけない
   Ⅱ:Minimal Review ─膠原病抗体検査
  実践10 高熱がおさまりません
   Ⅰ:Logical Thinking ─発熱は必要以上に恐れず,基本に忠実に考える
   Ⅱ:Minimal Review ─発熱

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