総合アレルギー学
改訂2版
獨協医科大学 教授 福田 健 編集
定価
19,800円(本体 18,000円 +税10%)
- B5判 748頁
- 2010年12月 発行
- ISBN 978-4-525-23532-1
アレルギー疾患診療に携わる全科の医師向けの診療実用書の改訂2版.幅広いアレルギー疾患を正しく理解し,専門領域以外の疾患でも初期診療が可能となるよう,各分野の専門家によるアドバイスとコツをまとめた.最新のガイドラインも紹介した.より高度な診療を必要とする場合を想定し,紹介時期,移送のタイミングなどについても記載している.
- 序文
- 目次
序文
総合アレルギー学の初版が刊行されたのは2004年である.6年ぶりの改訂であるが,この間に,基礎面でも臨床面でもアレルギー学の大きな進歩があった.偶然であるが,今年は,わが国にアレルギー学会が創立され,アレルギーに関する本格的な研究,診療が行われるようになってから60年の節目の年に当たる.この間の基礎のアレルギー学,免疫学の進歩は著しく,その成果はその時々で臨床医学に反映され,優れたアレルギー疾患治療薬,アレルギー疾患診断法が考案開発され,アレルギー疾患の診療レベルはたゆむことなく向上してきた.
これまでの成果の集大成とも言うべきものが『アレルギー疾患診断・治療ガイドライン』であり,それに則った治療を行えば,疾患の病勢は大方コントロールされ,健康人に近いQOLが保たれるようになってきた.しかし,これまでのアレルギー疾患の治療戦略は,その疾患に罹患している集団全体を対象にしたものであった.アレルギー疾患の発症,増悪,治療反応性には個体因子(遺伝)と環境因子の双方が相互反応的に深くかかわっていることが,近年,分子レベルで解明されつつある.それ故,個々の患者の病態は一様でない.したがって,これからのアレルギー診療は個別化の方向で進んでいかねばならない.
本書の特徴は,医学部学生,研修医,レジデント,大学院生,アレルギー専門医,アレルギー研究者,すべての読者に,アレルギーに関する最新の知識を網羅的に,かつわかりやすく届けることにある.今回の改訂に当たっても強く,そのことを意識し,各分担執筆者に周知徹底した.
改訂2版で新しく設けた項目は,〈第Ⅰ章 免疫・アレルギーの基礎〉では,自然免疫とアレルギー,アレルギーの動物モデル,アレルギー発症にかかわる遺伝子,の3項目,〈第Ⅲ章臨床アレルギー学各論〉では気管支喘息の項の中に,アスリート喘息,妊娠と気管支喘息,外科手術と気管支喘息を,独立させて入れ,また,食物アレルギーは,その重要性に鑑みて,小児科領域,内科領域,皮膚科領域に分けて執筆して頂いた.〈第Ⅳ章 アレルギー疾患治療の将来〉では,テーラーメイド医療を,〈第Ⅴ章 アレルギー疾患診療の社会的側面〉では,アレルギー診療の国際比較の項を新たに設けた.また,初版から存在する項目についても内容を一新させ充実を図った.
アレルギー学全体を網羅する書物は意外と少ない.アレルギー学を目指す,あるいは実践している者にとって本書は教科書,参考書として使えるだけでなく,また,辞典,ガイドラインとしても活用できるものと確信している.
本書改訂に当たり,ご多忙にもかかわらず執筆の労をとってくださった多数の先生方,終始ご協力頂いた南山堂編集部 渋田百日紅 氏に心より謝意を表する次第である.
2010年10月
福田 健
これまでの成果の集大成とも言うべきものが『アレルギー疾患診断・治療ガイドライン』であり,それに則った治療を行えば,疾患の病勢は大方コントロールされ,健康人に近いQOLが保たれるようになってきた.しかし,これまでのアレルギー疾患の治療戦略は,その疾患に罹患している集団全体を対象にしたものであった.アレルギー疾患の発症,増悪,治療反応性には個体因子(遺伝)と環境因子の双方が相互反応的に深くかかわっていることが,近年,分子レベルで解明されつつある.それ故,個々の患者の病態は一様でない.したがって,これからのアレルギー診療は個別化の方向で進んでいかねばならない.
本書の特徴は,医学部学生,研修医,レジデント,大学院生,アレルギー専門医,アレルギー研究者,すべての読者に,アレルギーに関する最新の知識を網羅的に,かつわかりやすく届けることにある.今回の改訂に当たっても強く,そのことを意識し,各分担執筆者に周知徹底した.
改訂2版で新しく設けた項目は,〈第Ⅰ章 免疫・アレルギーの基礎〉では,自然免疫とアレルギー,アレルギーの動物モデル,アレルギー発症にかかわる遺伝子,の3項目,〈第Ⅲ章臨床アレルギー学各論〉では気管支喘息の項の中に,アスリート喘息,妊娠と気管支喘息,外科手術と気管支喘息を,独立させて入れ,また,食物アレルギーは,その重要性に鑑みて,小児科領域,内科領域,皮膚科領域に分けて執筆して頂いた.〈第Ⅳ章 アレルギー疾患治療の将来〉では,テーラーメイド医療を,〈第Ⅴ章 アレルギー疾患診療の社会的側面〉では,アレルギー診療の国際比較の項を新たに設けた.また,初版から存在する項目についても内容を一新させ充実を図った.
アレルギー学全体を網羅する書物は意外と少ない.アレルギー学を目指す,あるいは実践している者にとって本書は教科書,参考書として使えるだけでなく,また,辞典,ガイドラインとしても活用できるものと確信している.
本書改訂に当たり,ご多忙にもかかわらず執筆の労をとってくださった多数の先生方,終始ご協力頂いた南山堂編集部 渋田百日紅 氏に心より謝意を表する次第である.
2010年10月
福田 健
目次
第Ⅰ章 免疫・アレルギーの基礎
1.免疫系概説
1 免疫とは
a )生体における免疫の役割
b )“自己”と“非自己”の識別
c )“非自己”の排除機構
d )免疫応答の制御
2 リンパ球
a )B 細胞
b )T 細胞
c )NK 細胞
d )NKT 細胞
3 抗原提示
a )抗原提示細胞(APC)
b )主要組織適合遺伝子複合体(MHC)
c )抗原の処理と提示
d )抗原提示のされ方と免疫応答
4 免疫グロブリン
a )免疫グロブリン(抗体)とは
b )免疫グロブリンの分子構造
c )抗体の働き
d )免疫グロブリンの各クラスとその特性
5 アレルギーにおけるサイトカインとケモカインの役割
a )アレルギー反応を制御するサイトカインとケモカイン
b )ヘルパーT 細胞のサイトカイン
c )気管支喘息におけるサイトカインとケモカイン
d )アトピー性皮膚炎におけるサイトカインとケモカイン
e )局所免疫のクロストーク
6 補体系
a )補体系の概要
b )補体活性化
c )補体系の機能
d )補体制御機構
e )補体系と疾患
7 接着分子
a )炎症細胞浸潤に関与する接着分子群
b )白血球の組織移行に関与する接着分子
c )好中球の組織移行と接着分子
d )好酸球の組織移行と接着分子
e )マスト細胞に発現する接着分子
f )気道上皮細胞に発現する接着分子
8 免疫遺伝学
a )アレルギーと遺伝
b )抗原特異的免疫応答性の遺伝子支配
c )抗原非特異的免疫応答性の遺伝子支配
d )HLA は免疫応答の「質」を支配できるか?
e )「素因」の複雑さ
f )免疫遺伝学と分子予防医学
g )ワクチン
h )Th 1/Th 2 パラダイムの見直し
9 自然免疫とアレルギー
a )自然免疫によるTh 1/Th 2 制御
b )自然免疫による微生物認識
c )TLR による認識
d )RLR による認識
e )NLR による認識
f )TLR の機能
g )RLR の機能
h )NLR の機能およびインフラマソーム
10 アレルギーとは
a )アレルギー,アナフィラキシー,アトピーの概念の歴史
b )アレルギーの分類
11 アレルギーの動物モデル
a )Th 2 細胞によるアレルギー性炎症の誘導機構
b )Th 1 細胞とT─bet によるアレルギー性炎症の制御機構
c )Th 17 細胞によるアレルギー性炎症の誘導機構
d )アレルギー性炎症における好酸球の役割
e )好塩基球によるアレルギー性炎症の誘導機構
f )アナフィラキシーにおけるマスト細胞と好塩基球の役割
2.Ⅰ型アレルギー反応の機序
1 Ⅰ型アレルギー反応で説明される疾患
a )アナフィラキシー
b )食物依存性運動誘発アナフィラキシー
c )気管支喘息
d )アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)
e )アレルギー性結膜疾患
f )食物アレルギー
g )口腔アレルギー症候群
h )蕁麻疹
i )アトピー性皮膚炎
2 アレルゲン
a )アレルゲンの生化学的,免疫化学的性質
b )アレルゲン分子の本来の生物学的機能とアレルゲンとしての活性
c )アレルゲン間の交差反応性
3 IgE 抗体産生の調節
a )IgE 抗体産生の免疫応答機構
b )IL─4/IL─13 シグナル
c )CD40L/BAFF/APRIL シグナル
d )IgE クラススイッチの分子機構
e )IgE 免疫応答の制御
4 アレルギー発症にかかわる遺伝子
a ) アレルギー発症にかかわる遺伝子
b ) アレルギーの発症にかかわる代表的な遺伝子
5 IgE 受容体の構造と機能
a )高親和性IgE 受容体(FcεRⅠ)の分子構造と機能
b )FcεRⅠのシグナル伝達
c )ヒトFcεRⅠの遺伝子発現制御機構
6 アレルギー性炎症の病理
a )アレルギー性気道炎症の病理学的特徴
b )IgE が介在するアレルギー性炎症のメカニズム
c )IgE が介在しないアレルギー性炎症のメカニズム
d )アレルギー性炎症における非T 細胞性サイトカインの役割
e )選択的組織好酸球浸潤の誘導機構
7 マスト細胞,好塩基球の細胞生物学
a )マスト細胞,好塩基球の分化・増殖
b )マスト細胞の機能を制御するサイトカイン
c )マスト細胞の多様性
d )マスト細胞とアレルギー疾患
e )アナフィラキシーにおけるマスト細胞の役割
f )マスト細胞と自然免疫
g )寄生虫感染とマスト細胞
h )自己免疫疾患におけるマスト細胞の役割
i )慢性アレルギー性炎症における好塩基球
8 好酸球の細胞生物学
a )好酸球の産生
b )好酸球の生体分布
c )好酸球の形態
d )好酸球に発現する受容体と機能分子
e )好酸球のメディエーターとその作用
f )好酸球の選択的浸潤のメカニズム
g )自然免疫における好酸球
h )好酸球は治療標的となるか?
9 その他の炎症細胞の細胞生物学
a )好中球
b )単球とマクロファージ
c )リンパ球
d )血小板
e )組織構築細胞
10 脂質メディエーター(生理活性脂質)
a )概 説
b )各 論
11 神経ペプチド
a )概 説
b )タキキニン
c )ニューロキニンとマスト細胞
d )オピオイドペプチドと?痒
3.Ⅱ型アレルギー反応の機序
1 関与する抗原,抗体
a )抗 原
b )抗 体
2 発症機序
a )補体活性化による直接傷害
b )オプソニン化による貪食
c )Fc 受容体を介したエフェクター細胞の活性化
d )補体分解産物(アナフィラトキシン)による炎症
e )受容体を抗原とした機能障害
f )標的による傷害機序の相違
3 Ⅱ型アレルギーで説明される疾患
a )血球細胞を標的とした疾患
b )組織を標的とする疾患
c )受容体を抗原とする疾患
4.Ⅲ型アレルギー反応の機序
1 Ⅲ型アレルギー反応の機序
a )Ⅲ型アレルギーの古典例
b )免疫複合体の処理機構
2 Ⅲ型アレルギー反応の発症および組織傷害の機序
a )補体の関与
b )免疫複合体のサイズ
c )免疫複合体のターゲット臓器
d )Fc 受容体の重要性
3 Ⅲ型アレルギーの関与が考えられる疾患
a )原発性糸球体腎炎
b )膠原病
c )肺疾患
4 Ⅲ型アレルギー関連性疾患の抗原と抗体
5.Ⅳ型アレルギー反応の機序
1 T 細胞の活性化における副刺激分子とその機能
2 T 細胞伝達性アレルギーとそのサブタイプ分類
3 遅延型過敏反応
補追1) CBH とアレルゲン特異的IgE 伝達性慢性アレルギー性炎症における好塩基球の役割
補追2) アレルギー性接触皮膚炎
4 細胞毒性型過敏反応
補追1) CD8+Tc 細胞への樹状細胞によるクロスプレゼンテーション
補追2) CD8+Tc 細胞伝達性CTHR においてFasL,パーフォリン,グランザイム,TNF,グラニュリシンが果たす役割
参考文献
第Ⅱ章 臨床アレルギー学総論
1.アレルギー疾患患者の診かた
1 問 診
a )主訴と現病歴の聴取
b )既往歴
c )家族歴
2 身体診察
3 検査の基本
a ) Ⅰ型アレルギー反応による疾患であることを示唆する検査
b )病因抗原を検索するための検査
2.アレルギー疾患の検査法
1 原因抗原検索法
a )Ⅰ型アレルギーの検査法
b )Ⅱ型アレルギーの検査法
c )Ⅲ型アレルギーの検査法
d )Ⅳ型アレルギーの検査法
2 病理学的診断法
a )上気道
b )下気道
c )皮 膚
d )眼(視診法,細胞診,涙液IgE 測定)
3 画像診断
a )モダリティー
b )各 論
4 機能的診断法
a )鼻の機能的診断法
b )肺機能検査・血液ガス
5 アレルギー疾患の心身医学的側面の診断法
a )アレルギー疾患の心身医学的側面の特徴
b )診断基準
c )診察時の問診法
3.アレルギー疾患の治療法
1 アレルギー疾患治療の基本的な考え方
a ) 治療の標的
b )患者教育,指導の重要性
2 原因抗原の回避・除去
a )抗原の種類
b )加齢と吸入抗原・食物抗原の感作陽性率の推移
c ) 吸入抗原,食物抗原の年齢別抗体陽性率(1990 年)
d )抗原の回避とその効果,ヒョウヒダニ抗原の駆除とその臨床効果
e )カビアレルゲン
f )ペットアレルゲン
g )花紛アレルゲン
h )食物アレルゲン
3 増悪因子の回避・除去
a )アレルゲン
b )呼吸器感染
c )大気汚染物質
d )運動と過換気
e )気 象
f )アルコール
g )食物,食品添加物,薬物
h )激しい情動とストレス
i )その他
4 免疫療法
a )免疫療法の機序
b )免疫療法の実施方法
c )免疫療法の適応疾患と有効性
d )副作用とその対策
e )新しい免疫療法
f )免疫療法の将来
5 非特異的変調療法
a )歴史的経緯と定義
b )適 応
c )金療法
d )ヒスタグロビン
e )ノイロトロピン注射液
6 薬物療法
a )アレルギー疾患における薬物治療の基本的な考え方
b )抗ヒスタミン薬
c )ロイコトリエン受容体拮抗薬
d )抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬・ロイコトリエン受容体拮抗薬を除く)
e )ステロイド薬
f )気管支拡張薬
7 心身医学的治療法
a )一般的な心身医学的治療の進め方
b )各種の心理療法
c )アトピー性皮膚炎に対する心身医学的治療
参考文献
第Ⅲ章 臨床アレルギー学各論
1.気管支喘息
A.成人の気管支喘息
B.気道過敏症
C.特殊な喘息
1 難治性喘息
2 高齢者喘息
3 喘息死
4 咳喘息
5 アスピリン喘息
6 運動誘発喘息
7 職業性喘息
8 アスリート喘息
9 妊娠と気管支喘息
10 外科手術と気管支喘息
11 膠原病と気管支喘息
D.喘息と鑑別を要する疾患
1 COPD(慢性閉塞性肺疾患)
2 心臓喘息
3 喘鳴を主訴とする疾患
E.小児の気管支喘息
2.アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
3.過敏性肺炎
4.PIE 症候群
1 慢性好酸球性肺炎
2 急性好酸球性肺炎
3 単純性好酸球増加症(Loffler 症候群)
4 熱帯性肺好酸球増加症
5 薬剤性肺好酸球増加症
6 Churg─Strauss 症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎)
7 好酸球増加症候群
5.アレルギー性鼻炎
6.副鼻腔炎,鼻茸(鼻ポリープ)
1 副鼻腔炎
2 特殊な副鼻腔炎
7.中耳炎
1 急性中耳炎
2 滲出性中耳炎
3 慢性中耳炎
4 好酸球性中耳炎
8.アレルギー性結膜炎と春季カタル
9.アトピー性皮膚炎
10.蕁麻疹と血管性浮腫
11.接触皮膚炎
12.アナフィラキシー
13.薬物アレルギー
1 総 論
2 薬 疹
3 薬物性肝障害
4 薬剤誘起性肺炎
14.食物アレルギー
1 小児科領域(小児に多い食物アレルギー)
2 内科領域(成人に多い食物アレルギー)
3 皮膚科領域
15.ハチおよびその他の昆虫アレルギー
1 ハチアレルギー
2 その他の昆虫アレルギー
16.光アレルギー
1 光アレルギー
2 日光蕁麻疹
3 薬剤性光アレルギー
4 多形日光疹
17.感染とアレルギー
1 細菌アレルギー
2 寄生虫アレルギー
18.職業性アレルギー
1 職業性喘息
2 その他の職業性アレルギー
19.好酸球増加症
20.高IgE 症候群
21.血清病
22.小児アレルギーの特殊性
1 アレルギーマーチ
2 気管支喘息
3 アレルギー性上気道炎
1.アレルギー性鼻炎
2.アレルギー性副鼻腔炎
3.喉頭アレルギー
4 アトピー性皮膚炎
5 アレルギー性結膜疾患
参考文献
第Ⅳ章 アレルギー疾患治療の将来
1.ヒト・ゲノム解析のアレルギー疾患への応用
1 ゲノム・トランスクリプトーム・プロテオーム
2 ゲノム多様性解析研究
a )ゲノム多様性解析研究の現状
b )喘息発症関連遺伝子
c )アトピー性皮膚炎発症関連遺伝子
3 トランスクリプトーム解析研究
4 ゲノム情報に基づくオーダーメイド医療は実現するのか?
2.テーラーメイド医療
1 臨床的な表現型に基づくテーラーメイド治療
2 β2 受容体刺激薬と喘息
3 β2 受容体遺伝子と喘息
4 他の抗喘息薬におけるテーラーメイド医療の可能性
3.アレルギー疾患関連の分子を標的とした治療
1 抗ヒスタミン薬,ロイコトリエン受容体拮抗薬
2 抗IgE 抗体
3 T 細胞をターゲットとする治療法
4 ヒト型化抗IL─5 抗体
5 IL─12
6 IL─4,IL─13 阻害薬
7 TNF─α阻害薬
8 展 望
4.免疫反応の人為的調節
1 免疫とは? アレルギーとは?
2 アレルギー性炎症を引き起こすヘルパーT 細胞
3 アレルギー性炎症を抑制するレギュラトリーT 細胞
a )CD25,Foxp3 を発現するT 細胞
b )IL─10 産生Tr 1 細胞
c )NKT 細胞
d )TGF─βを産生するTh 3 細胞
4 アレルギー性炎症を抑制するTh 1 細胞と衛生仮説
5 減感作療法
6 菌の応用
7 プラスミドを用いるDNA ワクチン
8 TLR リガンドによるアジュバンド効果
参考文献
第Ⅴ章 アレルギー疾患診療の社会的側面
1.気管支喘息の医療費
1 吸入ステロイド薬の喘息管理への導入
2 吸入ステロイド薬導入の喘息医療に及ぼした影響
a )臨床的効果
b )医療費に及ぼした影響
3 喘息薬剤費が減少しない理由
a )有効な吸入ステロイド薬よりも,有効性の低い高価格の経口薬の汎用
b )過剰な多剤投与
2.アレルギー性鼻炎
1 社会的側面の概況
2 わが国における花粉症に関する研究と診療体制
3 アレルギー性鼻炎の医療経済学
4 鼻アレルギーにおけるQOL と精神心理的な側面
a )QOL
b )精神心理的側面
5 その他の社会的取り組み
3.アトピー性皮膚炎
1 アトピービジネスとアトピー医療混乱の背景
2 日本皮膚科学会の特別委員会設立の経緯
3 日本皮膚科学会による不適切治療調査
4 日本皮膚科学会による治療ガイドライン
5「アトピー性皮膚炎治療問題委員会」と患者相談システム
6 最近のアトピービジネスのトピックス
a )アトピービジネス訴訟
b )中国製アトピー性皮膚炎不正薬問題
c )アトピービジネス刑事事件
7 アトピー性皮膚炎医療の混乱収束に向けて
4.アレルギー診療の国際比較
1 アレルギー専門医制度
a )アメリカ
b )ヨーロッパ
2 免疫療法
a )アメリカ
b )ヨーロッパ
3 食物アレルギー
a )アメリカ
b )ヨーロッパ
4 気管支喘息
a )アメリカ
b )ヨーロッパ
参考文献
日本語索引
外国語索引
1.免疫系概説
1 免疫とは
a )生体における免疫の役割
b )“自己”と“非自己”の識別
c )“非自己”の排除機構
d )免疫応答の制御
2 リンパ球
a )B 細胞
b )T 細胞
c )NK 細胞
d )NKT 細胞
3 抗原提示
a )抗原提示細胞(APC)
b )主要組織適合遺伝子複合体(MHC)
c )抗原の処理と提示
d )抗原提示のされ方と免疫応答
4 免疫グロブリン
a )免疫グロブリン(抗体)とは
b )免疫グロブリンの分子構造
c )抗体の働き
d )免疫グロブリンの各クラスとその特性
5 アレルギーにおけるサイトカインとケモカインの役割
a )アレルギー反応を制御するサイトカインとケモカイン
b )ヘルパーT 細胞のサイトカイン
c )気管支喘息におけるサイトカインとケモカイン
d )アトピー性皮膚炎におけるサイトカインとケモカイン
e )局所免疫のクロストーク
6 補体系
a )補体系の概要
b )補体活性化
c )補体系の機能
d )補体制御機構
e )補体系と疾患
7 接着分子
a )炎症細胞浸潤に関与する接着分子群
b )白血球の組織移行に関与する接着分子
c )好中球の組織移行と接着分子
d )好酸球の組織移行と接着分子
e )マスト細胞に発現する接着分子
f )気道上皮細胞に発現する接着分子
8 免疫遺伝学
a )アレルギーと遺伝
b )抗原特異的免疫応答性の遺伝子支配
c )抗原非特異的免疫応答性の遺伝子支配
d )HLA は免疫応答の「質」を支配できるか?
e )「素因」の複雑さ
f )免疫遺伝学と分子予防医学
g )ワクチン
h )Th 1/Th 2 パラダイムの見直し
9 自然免疫とアレルギー
a )自然免疫によるTh 1/Th 2 制御
b )自然免疫による微生物認識
c )TLR による認識
d )RLR による認識
e )NLR による認識
f )TLR の機能
g )RLR の機能
h )NLR の機能およびインフラマソーム
10 アレルギーとは
a )アレルギー,アナフィラキシー,アトピーの概念の歴史
b )アレルギーの分類
11 アレルギーの動物モデル
a )Th 2 細胞によるアレルギー性炎症の誘導機構
b )Th 1 細胞とT─bet によるアレルギー性炎症の制御機構
c )Th 17 細胞によるアレルギー性炎症の誘導機構
d )アレルギー性炎症における好酸球の役割
e )好塩基球によるアレルギー性炎症の誘導機構
f )アナフィラキシーにおけるマスト細胞と好塩基球の役割
2.Ⅰ型アレルギー反応の機序
1 Ⅰ型アレルギー反応で説明される疾患
a )アナフィラキシー
b )食物依存性運動誘発アナフィラキシー
c )気管支喘息
d )アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)
e )アレルギー性結膜疾患
f )食物アレルギー
g )口腔アレルギー症候群
h )蕁麻疹
i )アトピー性皮膚炎
2 アレルゲン
a )アレルゲンの生化学的,免疫化学的性質
b )アレルゲン分子の本来の生物学的機能とアレルゲンとしての活性
c )アレルゲン間の交差反応性
3 IgE 抗体産生の調節
a )IgE 抗体産生の免疫応答機構
b )IL─4/IL─13 シグナル
c )CD40L/BAFF/APRIL シグナル
d )IgE クラススイッチの分子機構
e )IgE 免疫応答の制御
4 アレルギー発症にかかわる遺伝子
a ) アレルギー発症にかかわる遺伝子
b ) アレルギーの発症にかかわる代表的な遺伝子
5 IgE 受容体の構造と機能
a )高親和性IgE 受容体(FcεRⅠ)の分子構造と機能
b )FcεRⅠのシグナル伝達
c )ヒトFcεRⅠの遺伝子発現制御機構
6 アレルギー性炎症の病理
a )アレルギー性気道炎症の病理学的特徴
b )IgE が介在するアレルギー性炎症のメカニズム
c )IgE が介在しないアレルギー性炎症のメカニズム
d )アレルギー性炎症における非T 細胞性サイトカインの役割
e )選択的組織好酸球浸潤の誘導機構
7 マスト細胞,好塩基球の細胞生物学
a )マスト細胞,好塩基球の分化・増殖
b )マスト細胞の機能を制御するサイトカイン
c )マスト細胞の多様性
d )マスト細胞とアレルギー疾患
e )アナフィラキシーにおけるマスト細胞の役割
f )マスト細胞と自然免疫
g )寄生虫感染とマスト細胞
h )自己免疫疾患におけるマスト細胞の役割
i )慢性アレルギー性炎症における好塩基球
8 好酸球の細胞生物学
a )好酸球の産生
b )好酸球の生体分布
c )好酸球の形態
d )好酸球に発現する受容体と機能分子
e )好酸球のメディエーターとその作用
f )好酸球の選択的浸潤のメカニズム
g )自然免疫における好酸球
h )好酸球は治療標的となるか?
9 その他の炎症細胞の細胞生物学
a )好中球
b )単球とマクロファージ
c )リンパ球
d )血小板
e )組織構築細胞
10 脂質メディエーター(生理活性脂質)
a )概 説
b )各 論
11 神経ペプチド
a )概 説
b )タキキニン
c )ニューロキニンとマスト細胞
d )オピオイドペプチドと?痒
3.Ⅱ型アレルギー反応の機序
1 関与する抗原,抗体
a )抗 原
b )抗 体
2 発症機序
a )補体活性化による直接傷害
b )オプソニン化による貪食
c )Fc 受容体を介したエフェクター細胞の活性化
d )補体分解産物(アナフィラトキシン)による炎症
e )受容体を抗原とした機能障害
f )標的による傷害機序の相違
3 Ⅱ型アレルギーで説明される疾患
a )血球細胞を標的とした疾患
b )組織を標的とする疾患
c )受容体を抗原とする疾患
4.Ⅲ型アレルギー反応の機序
1 Ⅲ型アレルギー反応の機序
a )Ⅲ型アレルギーの古典例
b )免疫複合体の処理機構
2 Ⅲ型アレルギー反応の発症および組織傷害の機序
a )補体の関与
b )免疫複合体のサイズ
c )免疫複合体のターゲット臓器
d )Fc 受容体の重要性
3 Ⅲ型アレルギーの関与が考えられる疾患
a )原発性糸球体腎炎
b )膠原病
c )肺疾患
4 Ⅲ型アレルギー関連性疾患の抗原と抗体
5.Ⅳ型アレルギー反応の機序
1 T 細胞の活性化における副刺激分子とその機能
2 T 細胞伝達性アレルギーとそのサブタイプ分類
3 遅延型過敏反応
補追1) CBH とアレルゲン特異的IgE 伝達性慢性アレルギー性炎症における好塩基球の役割
補追2) アレルギー性接触皮膚炎
4 細胞毒性型過敏反応
補追1) CD8+Tc 細胞への樹状細胞によるクロスプレゼンテーション
補追2) CD8+Tc 細胞伝達性CTHR においてFasL,パーフォリン,グランザイム,TNF,グラニュリシンが果たす役割
参考文献
第Ⅱ章 臨床アレルギー学総論
1.アレルギー疾患患者の診かた
1 問 診
a )主訴と現病歴の聴取
b )既往歴
c )家族歴
2 身体診察
3 検査の基本
a ) Ⅰ型アレルギー反応による疾患であることを示唆する検査
b )病因抗原を検索するための検査
2.アレルギー疾患の検査法
1 原因抗原検索法
a )Ⅰ型アレルギーの検査法
b )Ⅱ型アレルギーの検査法
c )Ⅲ型アレルギーの検査法
d )Ⅳ型アレルギーの検査法
2 病理学的診断法
a )上気道
b )下気道
c )皮 膚
d )眼(視診法,細胞診,涙液IgE 測定)
3 画像診断
a )モダリティー
b )各 論
4 機能的診断法
a )鼻の機能的診断法
b )肺機能検査・血液ガス
5 アレルギー疾患の心身医学的側面の診断法
a )アレルギー疾患の心身医学的側面の特徴
b )診断基準
c )診察時の問診法
3.アレルギー疾患の治療法
1 アレルギー疾患治療の基本的な考え方
a ) 治療の標的
b )患者教育,指導の重要性
2 原因抗原の回避・除去
a )抗原の種類
b )加齢と吸入抗原・食物抗原の感作陽性率の推移
c ) 吸入抗原,食物抗原の年齢別抗体陽性率(1990 年)
d )抗原の回避とその効果,ヒョウヒダニ抗原の駆除とその臨床効果
e )カビアレルゲン
f )ペットアレルゲン
g )花紛アレルゲン
h )食物アレルゲン
3 増悪因子の回避・除去
a )アレルゲン
b )呼吸器感染
c )大気汚染物質
d )運動と過換気
e )気 象
f )アルコール
g )食物,食品添加物,薬物
h )激しい情動とストレス
i )その他
4 免疫療法
a )免疫療法の機序
b )免疫療法の実施方法
c )免疫療法の適応疾患と有効性
d )副作用とその対策
e )新しい免疫療法
f )免疫療法の将来
5 非特異的変調療法
a )歴史的経緯と定義
b )適 応
c )金療法
d )ヒスタグロビン
e )ノイロトロピン注射液
6 薬物療法
a )アレルギー疾患における薬物治療の基本的な考え方
b )抗ヒスタミン薬
c )ロイコトリエン受容体拮抗薬
d )抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬・ロイコトリエン受容体拮抗薬を除く)
e )ステロイド薬
f )気管支拡張薬
7 心身医学的治療法
a )一般的な心身医学的治療の進め方
b )各種の心理療法
c )アトピー性皮膚炎に対する心身医学的治療
参考文献
第Ⅲ章 臨床アレルギー学各論
1.気管支喘息
A.成人の気管支喘息
B.気道過敏症
C.特殊な喘息
1 難治性喘息
2 高齢者喘息
3 喘息死
4 咳喘息
5 アスピリン喘息
6 運動誘発喘息
7 職業性喘息
8 アスリート喘息
9 妊娠と気管支喘息
10 外科手術と気管支喘息
11 膠原病と気管支喘息
D.喘息と鑑別を要する疾患
1 COPD(慢性閉塞性肺疾患)
2 心臓喘息
3 喘鳴を主訴とする疾患
E.小児の気管支喘息
2.アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
3.過敏性肺炎
4.PIE 症候群
1 慢性好酸球性肺炎
2 急性好酸球性肺炎
3 単純性好酸球増加症(Loffler 症候群)
4 熱帯性肺好酸球増加症
5 薬剤性肺好酸球増加症
6 Churg─Strauss 症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎)
7 好酸球増加症候群
5.アレルギー性鼻炎
6.副鼻腔炎,鼻茸(鼻ポリープ)
1 副鼻腔炎
2 特殊な副鼻腔炎
7.中耳炎
1 急性中耳炎
2 滲出性中耳炎
3 慢性中耳炎
4 好酸球性中耳炎
8.アレルギー性結膜炎と春季カタル
9.アトピー性皮膚炎
10.蕁麻疹と血管性浮腫
11.接触皮膚炎
12.アナフィラキシー
13.薬物アレルギー
1 総 論
2 薬 疹
3 薬物性肝障害
4 薬剤誘起性肺炎
14.食物アレルギー
1 小児科領域(小児に多い食物アレルギー)
2 内科領域(成人に多い食物アレルギー)
3 皮膚科領域
15.ハチおよびその他の昆虫アレルギー
1 ハチアレルギー
2 その他の昆虫アレルギー
16.光アレルギー
1 光アレルギー
2 日光蕁麻疹
3 薬剤性光アレルギー
4 多形日光疹
17.感染とアレルギー
1 細菌アレルギー
2 寄生虫アレルギー
18.職業性アレルギー
1 職業性喘息
2 その他の職業性アレルギー
19.好酸球増加症
20.高IgE 症候群
21.血清病
22.小児アレルギーの特殊性
1 アレルギーマーチ
2 気管支喘息
3 アレルギー性上気道炎
1.アレルギー性鼻炎
2.アレルギー性副鼻腔炎
3.喉頭アレルギー
4 アトピー性皮膚炎
5 アレルギー性結膜疾患
参考文献
第Ⅳ章 アレルギー疾患治療の将来
1.ヒト・ゲノム解析のアレルギー疾患への応用
1 ゲノム・トランスクリプトーム・プロテオーム
2 ゲノム多様性解析研究
a )ゲノム多様性解析研究の現状
b )喘息発症関連遺伝子
c )アトピー性皮膚炎発症関連遺伝子
3 トランスクリプトーム解析研究
4 ゲノム情報に基づくオーダーメイド医療は実現するのか?
2.テーラーメイド医療
1 臨床的な表現型に基づくテーラーメイド治療
2 β2 受容体刺激薬と喘息
3 β2 受容体遺伝子と喘息
4 他の抗喘息薬におけるテーラーメイド医療の可能性
3.アレルギー疾患関連の分子を標的とした治療
1 抗ヒスタミン薬,ロイコトリエン受容体拮抗薬
2 抗IgE 抗体
3 T 細胞をターゲットとする治療法
4 ヒト型化抗IL─5 抗体
5 IL─12
6 IL─4,IL─13 阻害薬
7 TNF─α阻害薬
8 展 望
4.免疫反応の人為的調節
1 免疫とは? アレルギーとは?
2 アレルギー性炎症を引き起こすヘルパーT 細胞
3 アレルギー性炎症を抑制するレギュラトリーT 細胞
a )CD25,Foxp3 を発現するT 細胞
b )IL─10 産生Tr 1 細胞
c )NKT 細胞
d )TGF─βを産生するTh 3 細胞
4 アレルギー性炎症を抑制するTh 1 細胞と衛生仮説
5 減感作療法
6 菌の応用
7 プラスミドを用いるDNA ワクチン
8 TLR リガンドによるアジュバンド効果
参考文献
第Ⅴ章 アレルギー疾患診療の社会的側面
1.気管支喘息の医療費
1 吸入ステロイド薬の喘息管理への導入
2 吸入ステロイド薬導入の喘息医療に及ぼした影響
a )臨床的効果
b )医療費に及ぼした影響
3 喘息薬剤費が減少しない理由
a )有効な吸入ステロイド薬よりも,有効性の低い高価格の経口薬の汎用
b )過剰な多剤投与
2.アレルギー性鼻炎
1 社会的側面の概況
2 わが国における花粉症に関する研究と診療体制
3 アレルギー性鼻炎の医療経済学
4 鼻アレルギーにおけるQOL と精神心理的な側面
a )QOL
b )精神心理的側面
5 その他の社会的取り組み
3.アトピー性皮膚炎
1 アトピービジネスとアトピー医療混乱の背景
2 日本皮膚科学会の特別委員会設立の経緯
3 日本皮膚科学会による不適切治療調査
4 日本皮膚科学会による治療ガイドライン
5「アトピー性皮膚炎治療問題委員会」と患者相談システム
6 最近のアトピービジネスのトピックス
a )アトピービジネス訴訟
b )中国製アトピー性皮膚炎不正薬問題
c )アトピービジネス刑事事件
7 アトピー性皮膚炎医療の混乱収束に向けて
4.アレルギー診療の国際比較
1 アレルギー専門医制度
a )アメリカ
b )ヨーロッパ
2 免疫療法
a )アメリカ
b )ヨーロッパ
3 食物アレルギー
a )アメリカ
b )ヨーロッパ
4 気管支喘息
a )アメリカ
b )ヨーロッパ
参考文献
日本語索引
外国語索引