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カテゴリー: 内分泌・代謝学  |  内科学一般

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糖尿病治療からDMS(データマネジメントシステム)指導まで

いま読んでおきたい!血糖データの活かし方

1版

永寿総合病院 糖尿病臨床研究センター センター長補佐 小出景子 編
永寿総合病院 糖尿病臨床研究センター センター長 渥美義仁 編
SCC研究会 編集協力

定価

4,620(本体 4,200円 +税10%)


  • B5判  378頁
  • 2020年5月 発行
  • ISBN 978-4-525-23581-9

SMBG,CGM,FGM 徹底活用ガイド

SMBG,CGM,FGMの出現により日常生活でのリアルな血糖変化の測定ができるようになった.一方,そのデータは膨大であり,インスリン注射や食事,運動等と統合したデータマネジメントシステム(DMS)が必要となる.本書はDMS指導に重要なCGM,FGMや進化したインスリンポンプ,最新アプリ等を事例と共に紹介した.糖尿病管理・指導に役立つ1冊.

  • 序文
  • 目次
序文
序 ― 大転換点をいかす

 CGM(continuous glucose monitoring)は,1日24時間の皮下グルコース変動をみることができる優れた技術であり,血糖変動指標における数十年に一度の画期的な進歩である.しかし,日々大きく変動する皮下グルコース値のグラフが1~2週間分重なると,絡まったスパゲッティのようだと例えられたことがある.CGMは,皮下グルコース値を1日約100~300回も測定し記録するので,1~2週分を重ねると,絡まった曲線が混沌の塊にみえるときがある.この絡まった塊から役立つ情報を得るには,塊全体の大きさ(変動幅)や密度(time in rangeなど)を測ると同時に,一本一本(日々)の曲線を,生活習慣やインスリン注射と併せて読み解く必要がある.しかし,この全体測定と細かな読み解きは,容易でない場合が少なくない.絡まった混沌を上手く解きほぐす必要性を感じ,最新の方法や経験と関連情報を,この分野の豊富な経験と知識を持っている先生方に,伝授していただこうと考え本書を企画した.
 本書は,CGMで把握できるようになった血糖変動を中心として,従来のHbA1cやSMBGの歴史的評価,isCGM(intermittently scanned CGM)とrtCGM(real-timeCGM)の基本から応用,膨大なデータを解析するデータマネジメントソフト,そのソフトとシステムを利用するDMS 指導(データマネジメントシステム指導),多くの具体的な症例,糖尿病管理アプリなど,先進的なテーマを広く取り上げ,各テーマそれぞれに相応しいエキスパートの先生方に執筆をお願いした.すべての先生方に快く引き受けていただき,新しい技術のメリットと限界,臨場感溢れる症例,様々な先進技術の潮流まで,有益な情報が満載の他にない一冊となった.執筆いただいたすべての先生と,協力いただいたSCC 研究会の世話人の先生方に厚く感謝申し上げる.
 本書を読むと,これまで一部しか観察しえなかった血糖変動全体を,しっかり見据えて治療を一段高めなければならない大きな転換点に立っていると,気が引き締まる.さらに,CGMやインスリンポンプと並行して進歩したICT(information and communication technology)が,糖尿病治療と切り離せないことも理解できる.
 糖尿病関連テクノロジーであるCGM,CSII,SAPなどに関心が集まっていることは,“Diabetes Care”の増補版“Standards of Medical Care in Diabetes”が,2019 年版から“Diabetes Technology”という項目を新たに設けたことからもわかる.本書の出版が時機を得たものと裏付けられて心強い.
 しかし,先進テクノロジーであるが故に,CGMなどの膨大なデータが混沌を招いたり,利用が一部の専門家だけに限られてはならない.もちろん,フィードバックせずに漫然と用いられることがあってはならない.そのためには,本書で扱われているすべての技と,データ取り込み・解析・評価の実際,医師と医療スタッフの連携などを含めたDMS指導が実践されることを望みたい.これらが広く実践され,糖尿病の進行が予防でき,患者のQOL改善につながれば編者として大きな喜びである.

2020年3月
小出景子
渥美義仁
目次
第1章 糖尿病治療における血糖データの意義とデータ活用指導
1 血糖変動への挑戦:把握・解析・統合・指導(渥美義仁)
2 医療スタッフが行うDMS指導(小出景子)

第2章 糖尿病の治療目標・評価・治療の進歩
1 HbA1c ―治療目標としての価値と展望(綿田裕孝)
2 SMBG ―臨床上の価値と展望(田中 逸)
3 CGM ―臨床上の価値と展望(西村理明)
4 FGM ―臨床上の価値と展望(小川 渉)

第3章 データを活かすデータマネジメントシステムの利用法
1 SMBGの有効活用 ―データを取り込み,解析し,指導・治療に活かす(小出景子)
2 MDI例でのCGMの有効活用(鈴木 亮)
3 インスリンポンプでのCGM(SAP)・FGMの有効活用(村田 敬)

第4章 データマネジメントソフト
1 MEQNET SMBG ViewerPro(SV Pro)(小出景子)
2 スマイルデータビジョン(池田富貴)
3 ワンタッチ糖尿病管理ソフトウエア(小出景子)
4 CareLink Pro(辻野大助)
5 AGP(渥美義仁,鈴木 亮)
6 Dexcom CLARITY(小出景子)

第5章 データマネジメントにおける統計指標
1 血糖データに関する統計指標(坂本昌也)
2 各種血糖変動指標の意義と活用法(坂本昌也)

第6章 CGM/FGMが開く治療・指導の新次元
1 CGM/FGMプロを用いた経口剤の薬効評価(森 豊)
2 CGM/FGMプロを用いたGLP-1受容体作動薬の薬効評価(黒住 旭,岡田洋右)
3 リアルタイムCGM(SAP)による低血糖・血糖変動の改善効果(松久宗英)
4 CGM/isCGMによる基礎・補正インスリンの調整(恩田美湖,西村理明)
5 1型糖尿病の治療目標と達成へのCGM/FGMの役割と展望(税所芳史,島田 朗)
6 応用カーボカウントへのCGM/FGMの活用(黒田暁生,松久宗英)
7 CareLink Proをフル活用した治療と指導(三浦順之助)
8 パッチ式CSIIにおけるFGM/リアルタイムCGMの活用(川村智行)
9 リアルタイムCGMによる情報共有の有用性(浦上達彦)

第7章 症例検討
SMBGでの活用事例
 case 1  糖尿病合併妊娠患者にアプリを活用した自己管理指導(小出景子)
 case 2  血糖変動指標を継続的に評価した療養指導(小出景子)
 case 3  高齢1型糖尿病患者の血糖管理とCSII導入(田村嘉章)
リアルタイムCGM(SAP)の活用事例
 case 4  高血糖対策におけるCGMの有効活用(小谷紀子)
 case 5  低血糖が頻発する1型糖尿病患者への解析ソフトを活用したアプローチ(廣田勇士)
 case 6  日内変動を縮小するインスリンのチョコチョコ打ち(Multiple Mini-bolus)(小出景子)
 case 7  低グルコース前一時停止(PLGS)と低血糖予防(辻野大助)
 case 8  低年齢児におけるSAP療法の有効活用(広瀬正和)
 case 9  1型糖尿病合併妊娠のSAPを活用した自己管理(池田富貴)
 case 10 1型糖尿病患者における運動時の実践的SAP活用(前田泰孝,南 昌江)
 case 11 1型糖尿病患者におけるHybrid closed-loop systemを活用した血糖管理(伊藤 新)
FGMの活用事例
 case 12 MDIとisCGM(FreeStyleリブレ)の活用(髙橋 紘,西村理明)
 case 13 不妊治療中1型糖尿病患者におけるisCGM(FreeStyleリブレ)+CSIIによるコントロール改善(常見亜佐子,池田富貴)
 case 14 糖尿病合併妊娠におけるisCGM(FreeStyleリブレ)による血糖管理(飯村祐子,荒田尚子)
 case 15 isCGM(FreeStyleリブレPro)の糖尿病教育入院における活用(勅使川原 早苗,中塔辰明)
 case 16 サマーキャンプにおけるisCGMの活用(小島基靖,安西慶三)
クリニカルパスを利用したCSII,SAPデータ活用事例
 case 17 クリニカルパスを活用した高齢者へのインスリンポンプ導入(利根淳仁)

第8章 統合ソフトによるデータ解析指導
 糖尿病管理統合ソフトの活かし方(小出景子)

第9章 糖尿病関連スマートフォンアプリ
1 スマートe-SMBG(小出景子,渥美義仁)
2 Welbyマイカルテ(池田富貴)
3 シンクヘルス(小出景子)
4 DialBetics/GlucoNote(脇 嘉代)
5 健康応援七福神アプリ(野村恵里,津下一代)

第10章 人工膵臓による血糖管理
 人工膵臓でのデータを活かすデータマネジメントとチームの役割(西田健朗)

第11章 糖尿病と遠隔診療
 デジタル化が進む糖尿病治療と遠隔診療(渥美義仁)
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