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カテゴリー: 免疫・アレルギー学  |  整形外科学

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MTX(メトトレキサート)使いこなし自由自在

関節リウマチ

1版

浜松医科大学附属病院 免疫リウマチ内科長 小川法良 編集
市立御前崎総合病院 院長 大橋弘幸 編集
静岡リウマチネットワーク 著

定価

3,520(本体 3,200円 +税10%)


  • A5判  196頁
  • 2012年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-23841-4

関節リウマチ治療のキードラッグであるメトトレキサートの入門・実践書.ガイドラインを踏まえた使い方から,生物学的製剤併用療法での使い分けのポイントやピットフォール,合併症例での対応などを詳しく解説.関節リウマチ治療に携わる医師をはじめとした医療従事者にとって必携の一冊である.

  • 序文
  • 推薦の序
  • 目次
序文
 今回,『メトトレキサート使いこなし自由自在―関節リウマチ―』を出版する運びになりましたが,これは静岡リウマチネットワークを主催している小川法良先生が「静岡リウマチネットワークに参加している医師で日頃の診療の成果を形あるものにしたい」との思いから提案され,本書を分担執筆することになったものです. 
 私が,最初にメトトレキサート(MTX)を関節リウマチ(RA)へ使用してみたいと思ったのは,1985年にNEJMに掲載されたハーバード大学のWeinblattの論文を読んで,MTXは非常に優れた臨床効果があったとの報告に接した時でした.早速,オーベンの先輩医師に話したところ,MTXなどという抗がん剤を良性疾患である関節リウマチに使うことなどできる訳がないと叱られ,この時はMTXの使用を諦めました.
 その後,MTXはRAに優れた効果があり,副作用も抗がん剤がもたらすような激烈なものではないことがわかり,わが国では1999年にRAに対するMTX投与が正式に保険適用となりました.
 私自身,1992年から20年間,RA患者さんにMTXを使用してきました.MTXは確かに非常にすぐれた効果があり,早期RAで受診した患者さんは完全に関節痛から解放されたり,症状所見が消失して,完全に薬物から解放されてdrug free remissionとなった患者さんもいます.しかし,MTXを使用しているうちに非結核性抗酸菌症が進行した患者さん,悪性リンパ種やMTX肺炎が出現した患者さんなどの副作用も数多く経験しました.
 日本リウマチ学会や患者団体の要望により,2011年からMTXの保険適応が8mg/週までの上限から16mg/週まで使用することができるようになりました.これによりMTXは必要な患者さんには十分量を使用できますが,MTXは前述のような副作用について注意深いモニターが必要な薬です.
 RAのアンカードラッグであるMTXを使用する機会が増える中,私たちがどのような考えをもとにMTXを使っているかを伝えることでみなさまのお役に立てればと考え,本書を編集しました.本書がMTXの使用の糸口になれば望外の幸せです.

2012年3月
編者を代表して
大橋弘幸
推薦の序
 このたび,小川法良先生・大橋弘幸先生のご編集で,静岡リウマチネットワーク関係の先生方による『メトトレキサート使いこなし自由自在―関節リウマチ―』が南山堂から発刊されるということで,以前からの友人の1人として推薦文を書かせていただくことになりました.メトトレキサート(methotrexate, MTX)は,今でこそ世界の標準的リウマチ治療薬ですが,実は,特にわが国では順調に現在の承認に至った訳ではありません.
 MTXは,小児白血病を当初の適応症として1948年に米国で承認された,代謝拮抗薬(葉酸拮抗薬)に分類される悪性腫瘍治療薬です.1951年には白血病と同じ用法・用量で関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)にも試みられていますが,強い副作用がみられたため抗リウマチ薬としての開発は一旦断念されました.1964年になって,乾癬に対して細胞増殖の周期に合わせた低用量パルス療法が試みられ,1972年に同じ用法・用量でRAにも有効であることが確認されました.その後,有用性を示す多くの臨床試験の報告が続いたため,米国では改めて治験をすることなく1988年にMTX低用量パルス療法がRA治療薬として承認されています.わが国でも米国の論文を読んだ多くの医師によって長年適応外使用されていましたが,治験を経て,1999年にはようやく正式に抗リウマチ薬として承認されました.ただ,治験は1回のみでしたので,その成績のみから8mg/週の上限用量が決定されてしまったため,この用量は世界の標準的用量の半分以下になってしまいました.このことがかえって大きな問題点として残りました.当然,臨床では効果が不十分であったため,日本リウマチ学会などから要望が出され,公知申請(国内外に公知の情報がある場合,治験をすることなく申請できる制度)によって2011年2月に16mg/週までへの用量増加が承認されました.つまり,MTXは当初が米国から11年遅れての承認であった上に,増量が可能となるまでさらに12年もかかった薬で,その間医師たちは,不十分な効果で患者さんに対応するか,健康保険の査定などを気にしながら保険適応外の用量を使ってきました.
 さて,以上述べてきた紆余曲折を経てMTXの用量増量が承認されたことはよかったのですが,逆に適正に使用しないと副作用などの懸念は確実に増えてきます.
 本書は,医師のMTX使用上の疑問点をそのままテーマとした臨床現場に役立つ構成になっています.また,MTXを使っている先生方が実例を紹介しつつ解説しているため,どこまでが使える範囲かなどの情報がリアルにつかめます.23年の不幸な歴史を経て,ようやく普通に使えるようになったMTXですが,十分量で使えるようになった今こそ,まさに適切な使い方が大事になったといえます.本書が,RA患者さんにMTXを使う全ての医師にとって良きガイドブックになることを期待しています.

東邦大学医療センター大森病院リウマチ膠原病センター
川合眞一
目次
序章 MTX診療ガイドライン簡易版

1章 関節リウマチにおけるMTX使用のコツ
 ①適応・禁忌
 ②用法・用量
 ③投与前検査および観察法
 ④副作用
 ⑤葉酸投与法
 ⑥MTXを初めて使用する人、使い慣れていない人へのポイント

2章 MTX併用薬の使い方
 ①ミゾリビン(ブレディニン)
 ②タクロリムス(プログラフ)
 ③インフリキシマブ(レミケード)
 ④エタネルセプト(エンブレル)
 ⑤アダリムマブ(ヒュミラ)
 ⑥ゴリムマブ(シンポニー)
 ⑦トシリズマブ(アクテムラ)
 ⑧アバタセプト(オレンシア)

3章 合併症を有する例における使用法の実際
 ①呼吸器疾患
 ②腎機能障害
 ③肝機能障害
 ④感染症
 ⑤血液障害、リンパ増殖性疾患
 ⑥高齢者
 ⑦小児

4章 指導用パンフレット
 ①コメディカル向け
 ②患者向け

用語解説
索引
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