MCTD(混合性結合組織病)診療ガイドライン2021
1版
厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)自己免疫疾患研究班 混合性結合組織病分科会(分科会長 田中良哉) 編集
日本リウマチ学会 編集協力
日本小児リウマチ学会 編集協力
日本皮膚科学会 編集協力
定価
2,200円(本体 2,000円 +税10%)
- B5判 63頁
- 2021年4月 発行
- ISBN 978-4-525-23861-2
近年の診療データやエビデンスを基にMCTDの標準化医療をめざした診療ガイドライン
混合性結合組織病(MCTD)は,難病として指定されている全身性の自己免疫疾患のひとつである.しかしながら,他の自己免疫疾患との類似性もあり,疾患概念のコンセンサスは必ずしも得られていない.
そこで,蓄積された診療データや近年のエビデンスを基に,疾患概念の確立,疫学統計,臨床症状,治療法やその効果などに関して新しいガイドラインが作成された.本ガイドラインはGRADE法に準拠して作成し,14のクリニカルクエッションを設定している.それぞれのエビデンスレベル,推奨度,同意度を策定し,システマティックレビューに基づき推奨文をまとめた,MCTDやその類似疾患を診療するために必携の書籍である.
付属資料 (クリニカルクエスチョンの設定,データベース検索結果,文献検索フローチャート)
- 序文
- 目次
序文
混合性結合組織病(MCTD)は,1972年に米国のSharpらにより,全身性エリテマトーデス(SLE)様,全身性強皮症(SSc)様,多発性筋炎(PM)様の症状が混在し,血液検査で抗U1-RNP抗体が高値陽性となる疾患として提唱されました.しかし,欧米ではMCTDという疾患概念が十分に認知されているとは言い難く,強皮症の亜型とする意見もあり,MCTDをテーマとした臨床研究は極めて限定的です.
一方,わが国では1987年に厚生省特定疾患混合性結合組織病研究班(粕川禮司班長)よりガイドラインが公表され,2005年,2011年に改訂第2版(近藤啓文班長),第3版(三森経世班長)が公表されました.また,1993年に厚生労働省の特定疾患に指定されたこともあり,MCTDの病名は広く受け入れられています.しかし,疾患概念についてはわが国でも共通認識に欠け,エビデンス発信も少なく,診断や治療に必ずしもコンセンサスは得られていません.
そこで,厚生労働省 MCTD分科会としてわが国のエキスパートの考え方を把握し,本疾患に対する共通認識を得るため,2017(平成29)年度より各施設より集めたMCTD症例と境界領域の症例を検討,議論を重ねてMCTDの定義を再考し,peer reviewを経て「混合性結合組織病(MCTD)改訂診断基準2019」を公表しました.また,2018(平成30)年度より,診療ガイドラインの改訂作業に着手し,「Minds診療ガイドライン作成マニュアル 2017」に準拠し,GRADEシステムを用いて14のクリニカルクエスチョン(CQ)に対してシステマティックレビューに基づきエビデンスレベル,推奨文,推奨度,同意度を作成しました.
ただし,MCTDという疾患の特性を鑑みると,習熟した医師が診療されるほうがよいと思われ,このガイドラインは斯様な点も考慮して作成しています.また,本疾患に関する研究は国際的にも少なく,低いエビデンス度を専門家の推奨や同意で補足しているのが現状です.逆に言えば,カイドラインの整備により診療体系が向上すれば,世界に先駆けてMCTDの疾患概念を確立し,普及させることも期待できます.いずれにしても,この診療ガイドラインによって,患者の皆様が適切な診療を受けることができればと祈念しています.
2021年3月吉日
厚生労働省自己免疫疾患政策研究班MCTD分科会 会長
産業医科大学医学部第1内科学講座 教授
田中良哉
一方,わが国では1987年に厚生省特定疾患混合性結合組織病研究班(粕川禮司班長)よりガイドラインが公表され,2005年,2011年に改訂第2版(近藤啓文班長),第3版(三森経世班長)が公表されました.また,1993年に厚生労働省の特定疾患に指定されたこともあり,MCTDの病名は広く受け入れられています.しかし,疾患概念についてはわが国でも共通認識に欠け,エビデンス発信も少なく,診断や治療に必ずしもコンセンサスは得られていません.
そこで,厚生労働省 MCTD分科会としてわが国のエキスパートの考え方を把握し,本疾患に対する共通認識を得るため,2017(平成29)年度より各施設より集めたMCTD症例と境界領域の症例を検討,議論を重ねてMCTDの定義を再考し,peer reviewを経て「混合性結合組織病(MCTD)改訂診断基準2019」を公表しました.また,2018(平成30)年度より,診療ガイドラインの改訂作業に着手し,「Minds診療ガイドライン作成マニュアル 2017」に準拠し,GRADEシステムを用いて14のクリニカルクエスチョン(CQ)に対してシステマティックレビューに基づきエビデンスレベル,推奨文,推奨度,同意度を作成しました.
ただし,MCTDという疾患の特性を鑑みると,習熟した医師が診療されるほうがよいと思われ,このガイドラインは斯様な点も考慮して作成しています.また,本疾患に関する研究は国際的にも少なく,低いエビデンス度を専門家の推奨や同意で補足しているのが現状です.逆に言えば,カイドラインの整備により診療体系が向上すれば,世界に先駆けてMCTDの疾患概念を確立し,普及させることも期待できます.いずれにしても,この診療ガイドラインによって,患者の皆様が適切な診療を受けることができればと祈念しています.
2021年3月吉日
厚生労働省自己免疫疾患政策研究班MCTD分科会 会長
産業医科大学医学部第1内科学講座 教授
田中良哉
目次
・Clinical Question(CQ)一覧
・ガイドライン作成組織
・発刊にあたって
・ガイドライン作成について
・診断について
第1章 混合性結合組織病(MCTD)の診断・評価
CQ 1 混合性結合組織病に特徴的な臨床症候,共通する症候は何か?
CQ 2 混合性結合組織病患者の有病率,発症率,性差,好発年齢,遺伝性,妊孕性,および生命予後に影響する因子は何か?
CQ 3 混合性結合組織病の診断および評価に有用な臨床検査,生理機能検査,画像検査は何か?
CQ 4 混合性結合組織病の重症度をどのように評価するか?
第2章 混合性結合組織病(MCTD)の臨床所見と治療
CQ 5 混合性結合組織病における肺高血圧症に対してどのように治療を行うか?
CQ 6 混合性結合組織病の無菌性髄膜炎において,どのように治療を行うか?
CQ 7 混合性結合組織病の三叉神経障害において,どのように治療を行うか?
CQ 8 混合性結合組織病における全身性エリテマトーデス様所見の特徴,頻度,治療法は?
CQ 9 混合性結合組織病における全身性強皮症様所見の特徴,頻度,治療法は?
CQ 10 混合性結合組織病における多発性筋炎/皮膚筋炎様所見の特徴,頻度,治療法は?
CQ 11 小児の混合性結合組織病の特徴は何か?
CQ 12 高齢者の混合性結合組織病の特徴は何か?
CQ 13 混合性結合組織病患者における悪性腫瘍,心血管イベント,脳血管イベント,骨粗鬆症,代謝性疾患の併発率は?
CQ 14 混合性結合組織病患者のQOL,QOLに影響する因子,日常生活指導は?
・略 語
・索 引
・ガイドライン作成組織
・発刊にあたって
・ガイドライン作成について
・診断について
第1章 混合性結合組織病(MCTD)の診断・評価
CQ 1 混合性結合組織病に特徴的な臨床症候,共通する症候は何か?
CQ 2 混合性結合組織病患者の有病率,発症率,性差,好発年齢,遺伝性,妊孕性,および生命予後に影響する因子は何か?
CQ 3 混合性結合組織病の診断および評価に有用な臨床検査,生理機能検査,画像検査は何か?
CQ 4 混合性結合組織病の重症度をどのように評価するか?
第2章 混合性結合組織病(MCTD)の臨床所見と治療
CQ 5 混合性結合組織病における肺高血圧症に対してどのように治療を行うか?
CQ 6 混合性結合組織病の無菌性髄膜炎において,どのように治療を行うか?
CQ 7 混合性結合組織病の三叉神経障害において,どのように治療を行うか?
CQ 8 混合性結合組織病における全身性エリテマトーデス様所見の特徴,頻度,治療法は?
CQ 9 混合性結合組織病における全身性強皮症様所見の特徴,頻度,治療法は?
CQ 10 混合性結合組織病における多発性筋炎/皮膚筋炎様所見の特徴,頻度,治療法は?
CQ 11 小児の混合性結合組織病の特徴は何か?
CQ 12 高齢者の混合性結合組織病の特徴は何か?
CQ 13 混合性結合組織病患者における悪性腫瘍,心血管イベント,脳血管イベント,骨粗鬆症,代謝性疾患の併発率は?
CQ 14 混合性結合組織病患者のQOL,QOLに影響する因子,日常生活指導は?
・略 語
・索 引