南山堂

カートを見る

カテゴリー: 臨床薬学  |  感染症学

注文数:

予約受付中
2月上旬発売予定

感染症学

1版

大阪医科薬科大学薬学部 教授 駒野 淳 編著
鈴鹿医療科学大学薬学部 教授 大井一弥 編著
明治薬科大学 准教授 安 武夫 編著

定価

4,950(本体 4,500円 +税10%)


  • B5判  531頁
  • 2025年1月 発行
  • ISBN 978-4-525-23981-7

感染症の知識・技能が過不足なく修得できる!

2022年度改訂『薬学教育モデル・コア・カリキュラム』に準拠
豊富なわかりやすいイラストや症例,CBTレベルの章末問題で効果的に学修できる.
「薬剤師の関わり」のコーナーを設け,医療現場とのつながりがわかる教科書とした.

  • 序文
  • 目次
序文
 感染症は人類の歴史において繰り返し重大な影響を及ぼしてきた.パンデミックは経済や文化,医療を含む社会全体に深刻な影響を与え,多くの教訓を残している.現在も新興・再興感染症の出現や薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)の増加などといった問題は,医療や公衆衛生において解決すべき喫緊の課題となっている.医療現場では,感染症がすべての診療科に関わるため,感染の拡大を防ぐ対策や,多剤耐性菌を発生させないための適切な抗菌薬の使用などが求められる.抗菌薬や抗ウイルス薬,ワクチンといった医薬品は,感染症の予防や治療において不可欠であるが,治療・予防法が次々に実用化され,アップデートすべき知識も多い.このように感染症とその基盤となる微生物学は医歯薬系において極めて大切な領域である.しかし,カバーする領域が広く,多様な病原体と疾患が絡んでいるために初学者にとって難解である.本書の執筆者は微生物学・感染症学に関する教育と臨床に長年携わり,難解な領域をどのように教えるか工夫を重ねてこられた.そのノウハウを活かして,より初学者が馴染みやすい感染症学の教科書を提供したいと考えたのが本書を企画したきっかけである.

 本書の内容は,2022年(令和4年)度改訂版『薬学教育モデル・コア・カリキュラム』に準拠している.この改訂版では,従来広いカテゴリの中に組み込まれていた感染症に関する内容が,独立性と具体性を持つ形で大きく再編成された.「D-2-15 感染症と治療薬」や「F-3-4 医療現場での感染制御」といった新たな項目が追加され,AMR や医療関連感染(healthcare-associated infection:HAI)の管理など,現代医療における重要な課題が取り入れられている.さらに,感染制御チーム(infection control team:ICT)や抗菌薬適正使用支援チーム(antimicrobial stewardship team:AST)の役割,多職種連携による感染防止策が反映され,実践的な感染管理能力の育成を目指している.また,「E-1-2 人の健康を脅かす感染症の予防とまん延防止」では,ワクチン接種や感染症の予防,新興・再興感染症への対応など,公衆衛生的な観点も取り入れられている.これに加えて,「F-4-2 地域での公衆衛生,災害対応への貢献」では,地域における感染症予防や拡大防止の対策,感染症発生時の啓発活動,消毒薬や衛生用品の供給確保と使用法の指導,ワクチン接種への主体的参画など,社会的課題への対応を具体的に示している.このように,感染症を個々の疾患として学ぶだけでなく,社会的課題として捉え,地域医療や公衆衛生に寄与する視点が強調されている.

 本書では,カリキュラムの趣旨を反映し,各章において体系的かつ実践的に感染症を学べるよう構成されている.1章では,感染症の歴史的背景と社会的影響を俯瞰し,感染症サーベイランスやリスクマネジメントについて解説する.2章では,診療プロセスの流れ,微生物学的検査の役割と結果の解釈,抗微生物薬を用いた薬物治療,抗微生物薬の特徴と使用上の注意点など,感染症診療の基本事項を解説する.3章では,主要な感染症を取り上げ,その病態,治療,予防について詳述する.4章では,抗微生物薬の適正使用をテーマに,薬剤使用時の留意点や副作用の管理,治療薬物濃度モニタリングや用量調整を含む個別化医療の考え方を取り上げる.また,AMRへの対応として,抗菌薬適正使用支援を取り上げる.5章では,医療現場における感染制御を基礎から実践まで学べる内容となっている.滅菌や消毒の基本,標準予防策や隔離予防策などの具体的手法を詳述し,血液・体液曝露事故の対処法,ICTおよびASTの役割,感染症法に基づく届出制度を解説する.さらに,新興・再興感染症への対応策や地域での感染拡大防止における薬剤師の役割も取り上げる.最後の6章では,感染症予防の柱であるワクチン接種に関する内容を詳述する.このように本書の構成は,2022(令和4年)度改訂版『薬学教育モデル・コア・カリキュラム』に基づき,基礎知識から臨床応用,公衆衛生的役割までを包括的に学べる内容となっている.

 感染症学を学ぶ学生諸君にとって,本書がその基礎を築き,知識を実践に結びつける助けになることを願う.感染症学は医療現場において基盤となる極めて重要な領域である.本書がその学びを支える一助となれば幸いである.

2024年12月
編者を代表して
駒野 淳
目次
1章 総論
 1.感染症の歴史にみる人類への影響
 2.感染症のサーベイランスとリスクマネジメント

2章 感染症診療の基本事項
 1.感染症診療の基本的プロセス
 2.微生物学的検査とその解釈
 3.抗微生物薬による治療プロセス
 4.抗微生物薬の種類と特徴

3章 主要な感染症の特徴と予防・治療
 1.呼吸器感染症
 2.消化器感染症
 3.肝胆感染症
 4.尿路感染症
 5.性感染症
 6.皮膚軟部組織感染症
 7.中枢神経系感染症
 8.全身性感染症
 9.心・血管内感染症
 10.骨・関節感染症
 11.感覚器感染症
 12.歯科感染症
 13.寄生虫症
 14.薬剤耐性菌感染症
 15.医療関連感染

4章 抗微生物薬の適正使用
 1.感染症治療薬を投与する際の留意点
 2.フォローすべき副作用と発現時の対応
 3.血中薬物濃度に基づく用法・用量の最適化
 4.薬剤耐性(AMR)の重要性と抗菌薬適正使用支援

5章 医療現場での感染管理
 1.消毒薬と滅菌法
 2.標準予防策と隔離予防策(接触感染予防策、飛沫感染予防策、空気感染予防策)
 3.血液・体液曝露事故(針刺し事故)の対応
 4.感染制御管理体制と感染症法に基づく届出
 5.新興・再興感染症に対する対応
 6.地域における感染症予防、拡大防止等の対策と発生時の対応

6章 予防接種
 1.ワクチンの意義と種類
 2.ワクチンの接種禁忌と副反応
 3.ワクチン接種会場における薬剤師の役割
カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む