カテゴリー: 神経学/脳神経外科学
エキスパートに学ぶ
パーキンソン病・パーキンソニズムQ&A
1版
京都大学大学院医学研究科 臨床神経学 教授 高橋良輔 監修
国立病院機構宇多野病院 神経内科/臨床研究部 臨床研究部長
大江田知子 編集
関西医科大学 神経内科学講座 准教授 金子 鋭 編集
田附興風会医学研究所 北野病院 神経内科 副部長 斎木英資 編集
京都大学医学部附属病院 神経内科 澤本伸克 編集
日本赤十字社大阪赤十字病院 神経内科 部長 髙橋牧郎 編集
京都大学大学院医学研究科 脳病態生理学講座 臨床神経学(神経内科) 助教 山門穂高 編集
定価
7,150円(本体 6,500円 +税10%)
- B5判 248頁
- 2017年1月 発行
- ISBN 978-4-525-24191-9
パーキンソン病診療におけるプロフェッショナルの視点を身につけよう!
実際の症例にもとづく,パーキンソン病と関連疾患の実践的な解説書が登場!各症例では,おさえておきたい知識を問う設問を神経内科専門医試験と同様の出題形式で掲載.診療方針決定のために見きわめるべきポイントを学べるほか,知識の整理にも役立つ.鑑別診断または治療法選択における,熟練者の思考プロセスがみえてくる一冊.
- 目次
- 序文
目次
I.序 論
i.パーキンソン病の再定義
─疾患概念の広がりとMDSの診断基準─ (高橋良輔 樽野陽亮 奥田真也 生野真嗣)
パーキンソン病の再定義の背景
パーキンソン病の新しい診断基準の構想
パーキンソン病の新しい診断基準
前駆期パーキンソン病(prodromal PD)の研究用診断基準
II .パーキンソン病と類縁疾患の鑑別
1.パーキンソン病の鑑別診断に有用なテストは? (金子 鋭)
2. パーキンソン症候群との鑑別は?─(1) (樽野陽亮)
3. パーキンソン症候群との鑑別は?─(2) (中西悦郎 山門穂高)
4. パーキンソン症候群との鑑別は?─(3) (澤本伸克)
5. レヴィ小体型認知症とアルツハイマー病との鑑別は?(高坂雅之 大江田知子)
6. 病初期から易転倒性を呈する症例の鑑別とは? (梅村敦史 大江田知子)
7. 脳血管性パーキンソニズムとの鑑別は? (朴 貴瑛 大江田知子)
8. 大脳皮質徴候を呈する症例における鑑別とは? (梅村敦史 大江田知子)
9. 急速に進行するパーキンソン病の背景とは? (陣上直人 山門穂高)
10. 若年発症パーキンソン病の背景とは? (金子 鋭)
11. 診断における画像データの有用性とは? (高橋牧郎)
III. パーキンソン病・パーキンソニズムの運動症状の治療
1. パーキンソン病の初期治療は? (上村紀仁)
2. 若年発症患者の上肢の巧緻運動障害・筋強剛に対する有効な治療とは?(高橋牧郎)
3. ドパミンアゴニストの功罪とは? (山門穂高)
4. 進行期パーキンソン病の治療は,どのようにするか? (樽野陽亮)
5. ウェアリング・オフへの治療は,どのようにするか? (八木宏樹)
6.症状の日内変動が著しい進行期パーキンソン病に対して,どのようにL-ドパ治療をしていくべきか? (冨田 聡 大江田知子)
7.off症状に対する有効な治療とは? (金子 鋭)
8.服薬内容の変更によって生じうる症状とその対応とは? (生野真嗣 山門穂高)
9.体幹の傾きには,どのように対応するか? (丸浜伸一朗)
10.腰曲がりには,どのように対応するか? (金子 鋭)
11.服薬内容の調整によってウェアリング・オフを改善できるか? (金子 鋭)
12.日内変動のある衝動制御障害を呈する患者に対し,どのように対応するか? (高橋牧郎)
13.高齢患者における振戦と姿勢異常への治療とは? (高橋牧郎)
14.STN-DBSを導入する際の適応判断は? (斎木英資)
15.衝動制御障害を有する症例でのSTN-DBSの適応判断は? (斎木英資)
16.GPi-DBSを導入する際の適応判断は? (斎木英資)
17.DBSのターゲットを決定するには? (斎木英資)
IV. パーキンソン病・パーキンソニズムの非運動症状・合併症の治療とケア
1. 痛みには,どのように対応するか? (高橋牧郎)
2. 運動症状とあわせて,うつ症状の改善を図るには? (高橋牧郎)
3. どのような患者に幻覚・妄想のリスクが高いか? (梅村敦史 澤田秀幸)
4. 運動症状を改善させたいが,幻覚や妄想の悪化は避けたい場合,
どのように対応するか? (奥宮太郎)
5.多系統萎縮症で起こる声帯外転麻痺に対しては,
いつ,どのように備えるべきか? (冨田 聡 澤田秀幸)
6.開眼失行を合併した場合,どのように対応するか? (高坂雅之 澤田秀幸)
7.夜間の異常行動に対して,どのように対応するか? (朴 貴瑛 澤田秀幸)
8.病的買い物衝動には,どのように対応するか? (大江田知子 澤田秀幸)
日本語索引
外国語索引
i.パーキンソン病の再定義
─疾患概念の広がりとMDSの診断基準─ (高橋良輔 樽野陽亮 奥田真也 生野真嗣)
パーキンソン病の再定義の背景
パーキンソン病の新しい診断基準の構想
パーキンソン病の新しい診断基準
前駆期パーキンソン病(prodromal PD)の研究用診断基準
II .パーキンソン病と類縁疾患の鑑別
1.パーキンソン病の鑑別診断に有用なテストは? (金子 鋭)
2. パーキンソン症候群との鑑別は?─(1) (樽野陽亮)
3. パーキンソン症候群との鑑別は?─(2) (中西悦郎 山門穂高)
4. パーキンソン症候群との鑑別は?─(3) (澤本伸克)
5. レヴィ小体型認知症とアルツハイマー病との鑑別は?(高坂雅之 大江田知子)
6. 病初期から易転倒性を呈する症例の鑑別とは? (梅村敦史 大江田知子)
7. 脳血管性パーキンソニズムとの鑑別は? (朴 貴瑛 大江田知子)
8. 大脳皮質徴候を呈する症例における鑑別とは? (梅村敦史 大江田知子)
9. 急速に進行するパーキンソン病の背景とは? (陣上直人 山門穂高)
10. 若年発症パーキンソン病の背景とは? (金子 鋭)
11. 診断における画像データの有用性とは? (高橋牧郎)
III. パーキンソン病・パーキンソニズムの運動症状の治療
1. パーキンソン病の初期治療は? (上村紀仁)
2. 若年発症患者の上肢の巧緻運動障害・筋強剛に対する有効な治療とは?(高橋牧郎)
3. ドパミンアゴニストの功罪とは? (山門穂高)
4. 進行期パーキンソン病の治療は,どのようにするか? (樽野陽亮)
5. ウェアリング・オフへの治療は,どのようにするか? (八木宏樹)
6.症状の日内変動が著しい進行期パーキンソン病に対して,どのようにL-ドパ治療をしていくべきか? (冨田 聡 大江田知子)
7.off症状に対する有効な治療とは? (金子 鋭)
8.服薬内容の変更によって生じうる症状とその対応とは? (生野真嗣 山門穂高)
9.体幹の傾きには,どのように対応するか? (丸浜伸一朗)
10.腰曲がりには,どのように対応するか? (金子 鋭)
11.服薬内容の調整によってウェアリング・オフを改善できるか? (金子 鋭)
12.日内変動のある衝動制御障害を呈する患者に対し,どのように対応するか? (高橋牧郎)
13.高齢患者における振戦と姿勢異常への治療とは? (高橋牧郎)
14.STN-DBSを導入する際の適応判断は? (斎木英資)
15.衝動制御障害を有する症例でのSTN-DBSの適応判断は? (斎木英資)
16.GPi-DBSを導入する際の適応判断は? (斎木英資)
17.DBSのターゲットを決定するには? (斎木英資)
IV. パーキンソン病・パーキンソニズムの非運動症状・合併症の治療とケア
1. 痛みには,どのように対応するか? (高橋牧郎)
2. 運動症状とあわせて,うつ症状の改善を図るには? (高橋牧郎)
3. どのような患者に幻覚・妄想のリスクが高いか? (梅村敦史 澤田秀幸)
4. 運動症状を改善させたいが,幻覚や妄想の悪化は避けたい場合,
どのように対応するか? (奥宮太郎)
5.多系統萎縮症で起こる声帯外転麻痺に対しては,
いつ,どのように備えるべきか? (冨田 聡 澤田秀幸)
6.開眼失行を合併した場合,どのように対応するか? (高坂雅之 澤田秀幸)
7.夜間の異常行動に対して,どのように対応するか? (朴 貴瑛 澤田秀幸)
8.病的買い物衝動には,どのように対応するか? (大江田知子 澤田秀幸)
日本語索引
外国語索引
序文
パーキンソン病は,振戦などの運動症状を特徴としますが,しばしば自律神経障害や認知症などの非運動症状の合併もみられる疾患です.その症状の多彩さ,経時変化,ならびに類縁疾患との鑑別の難しさにより,神経内科専門医であっても治療法や薬剤の選択に頭を悩まされた経験があるのではないでしょうか.
2002年以来,9年ぶりに改訂された「パーキンソン病治療ガイドライン2011」では,近年新たに登場した抗パーキンソン病薬の情報が盛り込まれましたが,2011年以降もさまざまな治療の選択肢が目覚ましく増えつつあり,つぎのガイドラインの改訂準備が現在,進められています.このようななか,パーキンソン病治療においては,個々の患者さんの病状の把握と治療法の選択がますます重要となってきています.
これまで,パーキンソン病の鑑別,治療法の選択(ウェアリングオフの問題なども含む)ならびに非運動症状にどのように対処するかなど,さまざまな研究成果により「パーキンソン病治療ガイドライン2011」として,一定の見解がまとめられてきました.しかし,実臨床においては,医学的な知見と患者さんの希望をもとに,つねに多くの新しい選択肢のなかから最良と思われるものを選び取っていくことが求められます.この選び取る過程で,エキスパートが日々行っている思考プロセスは広く共有されるべきであり,これらを個人の経験としてとどめることなく,ケーススタディとして学んでいくことには大きな意義があるものと考えました.
本書は,パーキンソン病治療において,併存疾患や固有の問題を抱える患者さんに向き合いながら,エビデンスに基づいた試行錯誤を求められている神経内科専門医,専門医を目指す医師,さらに専門医との連携を考える医師のために企画されました.パーキンソン病診療の経験豊富なエキスパートにより,診療に用いている思考プロセスをわかりやすく解説いただき,読者が,エキスパートの智慧を第一線の診療に生かしていただくことを目指しています.
本書が,高齢化社会の進展により,ますます増えつつあるパーキンソン病の患者さんを診る神経内科専門医をはじめ,一般内科医やかかりつけ医の日々の診療,ひいてはパーキンソン病と向き合う患者さんの療養生活への一助となることを願っています.
2016年12月
京都大学大学院医学研究科 臨床神経学 教授
高橋良輔
2002年以来,9年ぶりに改訂された「パーキンソン病治療ガイドライン2011」では,近年新たに登場した抗パーキンソン病薬の情報が盛り込まれましたが,2011年以降もさまざまな治療の選択肢が目覚ましく増えつつあり,つぎのガイドラインの改訂準備が現在,進められています.このようななか,パーキンソン病治療においては,個々の患者さんの病状の把握と治療法の選択がますます重要となってきています.
これまで,パーキンソン病の鑑別,治療法の選択(ウェアリングオフの問題なども含む)ならびに非運動症状にどのように対処するかなど,さまざまな研究成果により「パーキンソン病治療ガイドライン2011」として,一定の見解がまとめられてきました.しかし,実臨床においては,医学的な知見と患者さんの希望をもとに,つねに多くの新しい選択肢のなかから最良と思われるものを選び取っていくことが求められます.この選び取る過程で,エキスパートが日々行っている思考プロセスは広く共有されるべきであり,これらを個人の経験としてとどめることなく,ケーススタディとして学んでいくことには大きな意義があるものと考えました.
本書は,パーキンソン病治療において,併存疾患や固有の問題を抱える患者さんに向き合いながら,エビデンスに基づいた試行錯誤を求められている神経内科専門医,専門医を目指す医師,さらに専門医との連携を考える医師のために企画されました.パーキンソン病診療の経験豊富なエキスパートにより,診療に用いている思考プロセスをわかりやすく解説いただき,読者が,エキスパートの智慧を第一線の診療に生かしていただくことを目指しています.
本書が,高齢化社会の進展により,ますます増えつつあるパーキンソン病の患者さんを診る神経内科専門医をはじめ,一般内科医やかかりつけ医の日々の診療,ひいてはパーキンソン病と向き合う患者さんの療養生活への一助となることを願っています.
2016年12月
京都大学大学院医学研究科 臨床神経学 教授
高橋良輔