エキスパートが現場で明かす
心不全診療の極意
1版
兵庫県立尼崎総合医療センター 循環器内科 佐藤幸人 編集
定価
3,960円(本体 3,600円 +税10%)
- B5判 180頁
- 2016年3月 発行
- ISBN 978-4-525-24391-3
臨床現場を担うエキスパートが心不全診療の極意を伝授!
心不全診療の臨床現場における日ごろの疑問点や問題点から29のテーマを取上げ,第一線を担うエキスパートが,さまざまな角度から検討し,ガイドラインから1歩踏み込んだ「とっておきの極意」を公開! 息切れ・浮腫など症候への対応から多職種によるチーム医療,急性期治療,終末期の緩和ケアまで充実した内容をコンパクトにまとめた1冊.
- 序文
- 目次
序文
心不全は,心筋梗塞,不整脈,心筋症,高血圧などあらゆる心疾患の終末像であり,その患者数は高齢化社会を反映して増加することが予想されている.日本には,心不全患者の正確な疫学データがないが,推定患者数は100万人前後といわれ,現在,相当な数の患者が存在している.今後,日本国内で,団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題が控えており,国際社会の先陣を切って心不全患者の数が著増する可能性があるが,将来に向けた医療現場の体制は十分とはいえない.
心不全は,慢性心不全と急性心不全の状態を繰り返しながら,徐々に悪化する.このため,慢性心不全患者の治療は,急性心不全を再発しないように生存率を改善させることを優先して行われる.一方,急性心不全患者では,まず救命が優先となり,その後に慢性心不全の管理に準じた治療や指導が行われている.高齢者が増加しつつある現在,さまざまな合併症や併存疾患をもつ患者に,ガイドラインに沿った診療が行えないケースも増加してきている.
本書では,各項目がQuestionでスタートする形式をとり,心不全診療の第一線を担うエキスパートにより,臨床現場での疑問点や問題点を多方面から検討すべく企画された.
今回,とくに取り上げた「多職種チーム医療」の概念,「救急集中治療」の概念,「緩和ケア」の概念は,ガイドライン上では十分に整備されていないが,これからの心不全治療の臨床現場において必要な知識であると考える.
本書が,心不全診療の実臨床にあたる医療スタッフ全員の,よき参考書となることを願っている.
2016年2月
兵庫県立尼崎総合医療センター 循環器内科
佐藤幸人
心不全は,慢性心不全と急性心不全の状態を繰り返しながら,徐々に悪化する.このため,慢性心不全患者の治療は,急性心不全を再発しないように生存率を改善させることを優先して行われる.一方,急性心不全患者では,まず救命が優先となり,その後に慢性心不全の管理に準じた治療や指導が行われている.高齢者が増加しつつある現在,さまざまな合併症や併存疾患をもつ患者に,ガイドラインに沿った診療が行えないケースも増加してきている.
本書では,各項目がQuestionでスタートする形式をとり,心不全診療の第一線を担うエキスパートにより,臨床現場での疑問点や問題点を多方面から検討すべく企画された.
今回,とくに取り上げた「多職種チーム医療」の概念,「救急集中治療」の概念,「緩和ケア」の概念は,ガイドライン上では十分に整備されていないが,これからの心不全治療の臨床現場において必要な知識であると考える.
本書が,心不全診療の実臨床にあたる医療スタッフ全員の,よき参考書となることを願っている.
2016年2月
兵庫県立尼崎総合医療センター 循環器内科
佐藤幸人
目次
総 論 (佐藤幸人)
Ⅰ 慢性心不全における基本治療
1.心不全患者の肺炎を予防できるのか? (中村一文 三好 亨)
2.β遮断薬は心拍数が低下すれば低用量でよいのか? (絹川弘一郎)
3.高用量フロセミドを服用している慢性心不全患者のfluid control,次の一手は? (末永祐哉)
4.両室ペーシングの適応はQRS波で決めてよいか? (金城太貴 山下武志)
5.ASVは急性期を脱したら中断するべきか? (安達 仁)
6.心房細動を合併する心不全に,抗凝固療法は必須(井口守丈 赤尾昌治)
7.どういった患者にアブレーションを行う? (清水友規子 吉谷和泰)
8.拡張不全に薬は効くの? (田中秀和)
Ⅱ 慢性心不全における日常管理
9.心不全における高血圧は原因か結果か? (岸 拓弥)
10.心不全にスタチンは有効か? (荒井秀典)
11.1日にタバコ1〜2本ならいいだろうか? (飯田真美)
12.ナトリウム摂取量を減らせば減らすほど慢性心不全患者の増悪・予後はよくなるのか? (廣谷信一)
13.心臓リハビリテーションの開始にあたって注意すべき点は何か? (谷口良司)
14.チーム医療の工夫,患者・家族への教育とは? (加藤尚子)
Ⅲ 急性心不全
15.息切れ・呼吸困難だけで大丈夫? (加藤貴雄)
16.BNP・NT-proBNP,どう使う? (長央和也)
17.点滴強心薬は急性心不全患者の予後を悪化させるか? (小笹寧子)
18.本当にカルペリチドが必要か? それとも硝酸薬で十分か? (加藤真帆人)
19.急性心不全におけるNIPPV:テーラーメイド療法は必要か? (横山広行)
20.重症心不全患者に栄養療法は必要か? (黒住祐磨)
21.急性心不全患者の痛み・不穏・せん妄をどう管理するか? (中山寛之)
Ⅳ 重症心不全と臓器管理
22.重症心不全患者における腎予備能をどう評価し,体液量の調節を行うか? (加藤倫子)
23.重症心不全患者における肝機能評価はどのような意義があるか? (谷口達典 坂田泰史)
24.VADを心不全治療のツールとして使うには? (戸田宏一 澤 芳樹)
Ⅴ 高齢者心不全
25.無理をしてまで高齢者にβ遮断薬を入れるべきか? (猪又孝元)
26.体重が減っています.筋肉は減少していませんか? (絹川真太郎 福島 新)
Ⅵ 終末期心不全
27.難治性心不全の終末期にまつわる課題とは? (野々木宏)
28.心不全のQOD:在宅医療で最期まで診るためには? (弓野 大)
29.緩和ケアはいつから始めるべきか? (大石醒悟)
日本語索引
外国語索引
Ⅰ 慢性心不全における基本治療
1.心不全患者の肺炎を予防できるのか? (中村一文 三好 亨)
2.β遮断薬は心拍数が低下すれば低用量でよいのか? (絹川弘一郎)
3.高用量フロセミドを服用している慢性心不全患者のfluid control,次の一手は? (末永祐哉)
4.両室ペーシングの適応はQRS波で決めてよいか? (金城太貴 山下武志)
5.ASVは急性期を脱したら中断するべきか? (安達 仁)
6.心房細動を合併する心不全に,抗凝固療法は必須(井口守丈 赤尾昌治)
7.どういった患者にアブレーションを行う? (清水友規子 吉谷和泰)
8.拡張不全に薬は効くの? (田中秀和)
Ⅱ 慢性心不全における日常管理
9.心不全における高血圧は原因か結果か? (岸 拓弥)
10.心不全にスタチンは有効か? (荒井秀典)
11.1日にタバコ1〜2本ならいいだろうか? (飯田真美)
12.ナトリウム摂取量を減らせば減らすほど慢性心不全患者の増悪・予後はよくなるのか? (廣谷信一)
13.心臓リハビリテーションの開始にあたって注意すべき点は何か? (谷口良司)
14.チーム医療の工夫,患者・家族への教育とは? (加藤尚子)
Ⅲ 急性心不全
15.息切れ・呼吸困難だけで大丈夫? (加藤貴雄)
16.BNP・NT-proBNP,どう使う? (長央和也)
17.点滴強心薬は急性心不全患者の予後を悪化させるか? (小笹寧子)
18.本当にカルペリチドが必要か? それとも硝酸薬で十分か? (加藤真帆人)
19.急性心不全におけるNIPPV:テーラーメイド療法は必要か? (横山広行)
20.重症心不全患者に栄養療法は必要か? (黒住祐磨)
21.急性心不全患者の痛み・不穏・せん妄をどう管理するか? (中山寛之)
Ⅳ 重症心不全と臓器管理
22.重症心不全患者における腎予備能をどう評価し,体液量の調節を行うか? (加藤倫子)
23.重症心不全患者における肝機能評価はどのような意義があるか? (谷口達典 坂田泰史)
24.VADを心不全治療のツールとして使うには? (戸田宏一 澤 芳樹)
Ⅴ 高齢者心不全
25.無理をしてまで高齢者にβ遮断薬を入れるべきか? (猪又孝元)
26.体重が減っています.筋肉は減少していませんか? (絹川真太郎 福島 新)
Ⅵ 終末期心不全
27.難治性心不全の終末期にまつわる課題とは? (野々木宏)
28.心不全のQOD:在宅医療で最期まで診るためには? (弓野 大)
29.緩和ケアはいつから始めるべきか? (大石醒悟)
日本語索引
外国語索引