南山堂

カートを見る

カテゴリー: 呼吸器学  |  免疫・アレルギー学

立ち読み
注文数:

在庫あり

電子書籍はこちら

電子書籍はこちら

症例から学ぶ『過敏性肺炎診療指針』の使い方

1版

神戸市立医療センター西市民病院呼吸器内科 冨岡洋海 編
東京医科歯科大学病院呼吸器内科 宮崎泰成 編

定価

6,600(本体 6,000円 +税10%)


  • B5判  264頁
  • 2024年3月 発行
  • ISBN 978-4-525-24701-0

呼吸器学会発行『過敏性肺炎診療指針』の使い方がよくわかる

2022年呼吸器学会発行『過敏性肺炎診療指針』は,本疾患の新しい分類と診断基準を提案しており,呼吸器内科医にとって必携の書である.一方で,従来とまったく異なる分類と診断アルゴリズムにいまだ慣れぬ現場医師も少なくないだろう.
本書では,具体的な症例を用いながら,『指針』の使い方を解説した.さらには『指針』に残された課題についても触れている.過敏性肺炎の症例集として,また『指針』とともに読む副読本として,必読の一冊である.

  • 序文
  • 目次
序文
これまで国際的に標準化された診断ガイドラインがなかった過敏性肺炎に関して,2020年米国胸部疾患学会・日本呼吸器学会・ラテンアメリカ胸部医学会合同ATS/JRS/ALATガイドラインが,さらに,2021年米国胸部疾患学会議(ACCP)CHESTガイドラインが発表された.しかし,英文では難解な部分も多く,また,わが国では,代表的な過敏性肺炎である夏型過敏性肺炎や,間質性肺炎の血清マーカーとして汎用されているKL-6やSP-Dに関する知見がきわめて乏しいなど,わが国での診療にそぐわない点もある.そこで,両国際ガイドラインの特徴を考慮し,わが国の気候風土,保険診療に配慮したより有用性の高い日本語での指針として,2022年『過敏性肺炎診療指針』を発表した.本書『症例から学ぶ「過敏性肺炎診療指針」の使い方』は,この新しい『指針』の使い方を,実際の症例で細かく具体的に指南しながら,この臨床上きわめて重要で,また奥の深い疾患である過敏性肺炎について学べるようになっている.掲載されている症例は,わが国で経験される過敏性肺炎を網羅し,また,それぞれ典型例と診断困難例などを提示し,応用問題にも対応できるようにしている.どのタイミングで過敏性肺炎を疑ったかがわかるように,時系列での記載を基本とし,『指針』の各参考ページを明示し,その意図や意義を解説している.中でも,繰り返し指摘しているものは,まず,国際ガイドラインには記載のない「KL-6の使い方」である.わが国ではKL-6やSP-Dの測定はびまん性肺疾患の診療で保険適用があり,過敏性肺炎に関する報告も多い.2つ目は,びまん性肺疾患における診断のゴールドスタンダードである集学的検討(multidisciplinary discussion:MDD)による診断確信度に導く「診断アルゴリズム」であり,3つ目として過敏性肺炎との過剰診断にならないよう配慮された「曝露評価」である.過敏性肺炎は,肉芽腫性肺疾患に分類されていた経緯もあり,組織学的検索にこだわった古い症例も掲載しているが,そこには現在の『指針』の有用性が記されている.このように本書には,びまん性肺疾患の診療における「最も侵襲性の低い方法で確信度の高い診断を行う」という精神が貫かれていることを感じていただきたい.さらに,具体的な症例において,『指針』で残された課題も浮かび上がらせている.「環境調査のエビデンス」,「環境誘発試験の標準化」,「線維性過敏性肺炎と特発性肺線維症の各診断の整合性」,「加湿器肺における『指針』診断アルゴリズム」,「気管支鏡検査の実施が難しい小児例での診断」,そして「薬物療法のエビデンス」などである.このように,本書によって『指針』の理解が深まるのみならず,その課題から次の『指針』改訂に向けての道標となることが期待される.読者の方々からの屈託のないご意見を頂ければ幸いである.
最後に,ご多忙の中,本書のために症例を提供し,ご執筆いただいた先生方,そして,企画から出版までご尽力いただいた吉原成紀氏はじめ南山堂の方々には心よりお礼を申し上げたい.

2024年1月
神戸市立医療センター西市民病院呼吸器内科 冨岡洋海
東京医科歯科大学病院呼吸器内科 宮崎泰成
目次
【第1部 診断】
第1章 夏型過敏性肺炎
 1) 典型例 <橋本梨花,冨岡洋海>
 2) 診断困難例(冬季発症例) <佐々木信,河村哲治>

第2章 鳥関連過敏性肺炎
 1) 典型例(線維性) <白井剛>
 2) 診断困難例 <惠島将>
 3) 吸入誘発試験が有効だった症例 <飯島裕基>
 4) 環境調査が有用だった症例 <石黒卓>

第3章 住居関連過敏性肺炎
 1) 典型例 <坂本憲穂,迎寛>
 2) 診断困難例 <高澤聖子>
 3) 環境調査の方法 <島田翔>

第4章 農夫肺
 1) 典型例 <小玉賢太郎>
 2) 診断困難例(線維性) <伊藤靖弘,三輪清一>

第5章 塗装工肺
 1) 典型例(非線維性) <由良博一,坂本憲穂,迎寛>

第6章 加湿器肺
 1) 典型例 <坂本晋>
 2) 診断困難例 <坂本晋>

第7章 きのこ栽培者肺
 1) 典型例 <松尾明美,長谷川実,川口研二>
 2) 診断困難例 <松尾明美,長谷川実,川口研二>
 3) 離職困難例 <松尾明美,長谷川実,川口研二>

第8章 hot tub lung
 1) 典型例 <山内浩義,坂東政司>
 2) 病理 <田中健太郎,菊地利明>

第9章 その他
 1) 禁煙後に発症が疑われた症例 <髙﨑俊和,坂東政司>
 2) 小児症例
  a. 抗原不明例 <堀尾幸弘,浅野浩一郎>
  b. 非線維性夏型過敏性肺炎 <田場直彦>
 3) 他疾患との合併症例 
  a. 超硬合金肺  <清水宏繁,坂本晋>
  b. サルコイドーシス <古澤春彦>
  c. 気管支喘息 <大倉徳幸>
 4) まれな報告 
  a. 温室 <川﨑樹里,坂東政司>
  b. パン職人(自家製酵母) <錦織博貴,千葉弘文>
  c. 漆器職人(マコモズミ) <榊原ゆみ>
  d. 農家(ミカン) <安井秀樹,横村光司>
  e. 機械工 <山口正雄>

第10章 他疾患と鑑別できるか(IPFを例として)
 1) IPF <武井玲生仁>
 2) IPFではなかった症例 <武井玲生仁>

第11章 問診・検査が有効だった症例
 1) 抗原問診票・抗原曝露評価票 <飯島裕基>
 2) バイオマーカー(KL-6の季節変動例) <大西広志>
 3) リンパ球刺激試験 <遠藤駿>

【第2部 治療,その他】
第1章 抗原回避
 1) 模範例 <冨岡洋海>
 2) 患者との認識に差があったため抗原回避が不十分であった症例 <立石知也>
 3) 患者教育 <川本祐子>

第2章 薬物療法
 1) 副腎皮質ステロイド薬 <橋本梨花,冨岡洋海>
 2) その他の抗炎症・免疫抑制薬 <安部豪眞,宮崎泰成>
 3) 抗線維化薬 <井上幸久,柴田翔>
 4) 小児症例(線維性過敏性肺炎)におけるヒドロキシクロロキン治療の可能性 <小田嶋博>

第3章 かかりつけ医の役割 <岡本師,大谷義夫>
カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む