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カテゴリー: 腎・泌尿器科学  |  内分泌・代謝学

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きどにゃんシリーズ

きどにゃんとゆく!水・電解質を学ぶ旅

腎生理がわかれば、水・電解質異常がわかる!

1版

滋賀医科大学総合内科学講座(地域医療支援) 准教授 杉本俊郎 著

定価

3,080(本体 2,800円 +税10%)


  • A5判  258頁
  • 2018年11月 発行
  • ISBN 978-4-525-25901-3

水・電解質異常がわからない?
それなら腎生理を学ぼう!

水・電解質を理解する秘訣は,腎臓の進化を学ぶことだった!?可愛いキャラクターと一緒に腎臓の進化から腎生理学を学ぶことで,水・電解質がいつの間にかわかるようになるユニークな一冊.豊富なイラストと図表で楽しく読み進めることができる.研修医,若手医師はもちろんのこと,水・電解質に興味のあるすべての医師におすすめ.

  • 推薦の言葉
  • 序文
  • 目次
推薦の言葉
 人体における「水・電解質」の恒常性,特に細胞外液の恒常性を保つ上で腎臓は最も重要な役割を担っていますが,ややもするとその役割の複雑さゆえに近寄りがたさをもたれている方が多いのではないでしょうか.著者は「人類が進化の過程で獲得してきた腎臓の働き」との視点で腎臓の生理作用を解説し,読者が興味をもって接するように,また容易に理解できるように解説されています.また,研修医(ナトリン)と腎臓専門医(きどにゃん)の問答形式で書かれており,多くの読者にとって読みやすい内容となっているのではないでしょうか(なぜか大阪弁である!?).随所に「4 コママンガ」を挿入されているのも「清涼剤」の役割を果たしています.
 まず初章で,「なぜ人類は腎臓の働き- 糸球体や尿細管- を獲得したのか」を海水から淡水へ,そして陸上へと生活環境を変化させる過程で適応し,獲得してきた「進化」の視点で解説されています.さらに,近位尿細管,遠位尿細管の働きを「原尿の流れ」との視点から説明され,血液・尿化学検査値の見方についても解説されています.後半では,実地臨床上遭遇する頻度の高い低ナトリウム血症を始め高カリウム血症や代謝性アシドーシスなどについて,各々症例を提示しつつ実践的な診療の進め方を具体的に解説されていて,多くの読者にとって大変参考となる内容です.最近注目されている慢性腎臓病(CKD)の症例で遭遇する電解質異常についても取り上げられており,日常臨床に役立つのではないでしょうか.また,高齢者で特に問題となっているNSAIDs による副作用症例,利尿剤の使用や輸液といった日常臨床でなにげなく行っている診療行為についても気を付けなければならない留意点について触れられているのは参考となります.
 ところで,糖尿病の症例も提示されていますが,その中で「糖尿病性腎臓病diabetic kidney disease(DKD)」という見慣れない言葉が登場しています(各論第4,5 話).高齢化社会を反映してでしょうか,微量アルブミン尿から顕性タンパク尿へ進行し,さらに腎機能が低下する経過を呈する典型的な「糖尿病性腎症diabetic nephropathy(DN)」ではなく,アルブミン尿・タンパク尿を呈さず腎機能が低下する2 型糖尿病症例に遭遇する機会が増えてきております.おそらく「虚血性病変」の関与が大きいのではないかと推測されますが,こうした非典型的症例を含めて「糖尿病性腎臓病(DKD)」と呼ぶことが提唱されているわけです.
 全般を通して感じるのは,欧米の最新の情報を必要に応じ引用され,読者が新しい知見に触れられるように配慮されているだけでなく,古くから評価されている「先達」の考えを重視することの大切さを説いておられる点です.「温故知新」の心構えではないでしょうか.
 著者の杉本俊郎氏は腎臓学会で活発な活動と博識ぶりが高く評価されておられ,その言動が注目されている専門医です.ただ,腎臓学を専門とされてはいますが総合臨床医となるべく研鑽を積み重ねてこられており,水・電解質代謝異常を呈する患者であっても全人的な対応を重視する臨床を経験してきておられる専門医でもあります.主徴候の背後にあるさまざまな所見,異常や患者さんの特性に配慮した水・電解質代謝異常の臨床を実践されてこられた著者の「経験知」を多くの研修医・若手医師に学び継いで頂ければ幸いです.

2018年8 月
滋賀医科大学名誉教授
吉川隆一
序文
 本書は,臨床の現場でしばしば遭遇する「水・電解質異常」の症例に対して,誰でも自信をもって対応できるようになることを目的にしたものである.質の高い臨床研究に裏付けられたエビデンスに乏しいため「水・電解質異常」の臨床の現状は,各々の症例に対応するために「水・電解質異常」の病態生理(腎生理)を理解する必要があると考えられている.しかし,腎生理の根幹とされる腎尿細管の構造やチャネル・トランスポーター系がしばしば複雑であると(筆者にとっては誤解に近い)認識をされ,「水・電解質異常」は難しいと感じる方が多いように思われる.そのためか,既存の「水・電解質異常」の入門書は,腎生理についてあえて詳細な記載を避け解説を行っているものが多い.
 常々,筆者は,「水・電解質異常」の臨床を専門としている腎臓内科専門医として,「水・電解質異常」に対応するために必要な腎生理の知識を,若い先生が正確・簡単に理解できる方法はないか模索してきた.筆者が模索し続けている『腎生理を理解して「水・電解質異常」に対応する』方策をまとめたものが本書である.読者の先生が「水・電解質異常」に対応する時に,本書の内容が役立つことができれば望外の喜びである.
 最後に,筆者に本書を執筆する機会を与えてくださり企画・編集に多大なご尽力を賜りました南山堂の小池亜美,古賀倫太郎の両氏,推薦の言葉を賜った筆者の腎臓内科医としての師である元滋賀医科大学学長の吉川隆一先生,今まで筆者に「水・電解質異常」の臨床を教えてくれた患者さん達に心からの感謝の意を表します.2018年9 月

きどにゃん 中の人
滋賀医科大学総合内科学講座(地域医療支援) 准教授
国立病院機構 東近江総合医療センター 診療部 総合内科部長
杉本俊郎
目次
総論 腎生理を簡単に理解する方法
 第1話 腎臓の進化を考えると腎生理がわかる(前半)
  魚から哲学者へ
  淡水から,糸球体・遠位尿細管ができた
  海に戻った魚,海からまた淡水へ戻った魚

 第2話 腎臓の進化を考えると腎生理がわかる(後半)
  落ちこぼれの魚〜シーラカンスとハイギョ〜
  陸への挑戦〜両生類,爬虫類〜
  代謝の亢進,高濾過・高吸収型の腎臓の哺乳類

 第3話 原尿の旅〜原尿の流れを理解すれば腎生理はわかる!〜
  尿細管が機能するための原則
  近位尿細管の機能
  ヘンレループの機能
  遠位尿細管の機能
  集合管〜皮質集合管の機能〜
  水の再吸収
  尿素の働き
  対向流交換系

 第4話 カリウムの生理
  Kは細胞内電位を決め,細胞の興奮を調節する
  ヒトの腎臓のnatureは,多量に摂取されていたKに対応している
  Kの流れ
  近位尿細管,ヘンレループ,遠位尿細管でのK
  集合管,アルドステロン感受性尿細管でのK代謝
  Kの調節と,Naと細胞外液量調節の関係
  食事による高K血症を防ぐ仕組み

 第5話 原尿の流れを考えながらみる尿化学検査・血液腎機能のみかた
  腎生理に基づく尿化学検査のみかた
  尿化学検査の考え方の基本は,fractional excretion
  尿化学検査〜各々の項目の意味するところ〜
  原尿の流れを考えながら,血液腎機能をみる

各論 腎生理を理解して,患者さんの尿細管内の尿の流れを理解しよう
 第1話 最も多い電解質異常,低ナトリウム血症の急性期対応
  重篤な低Na血症(<125mEq/L)に対する初期対応
  低Na血症の病態生理〜症状と成因について同時に考えながら対応しよう〜
  0.9% Nacl Na濃度154mEq/Lの輸液を行っても,低Na血症が悪化することがある?

 第2話 うっ血性心不全と低ナトリウム血症
  うっ血性心不全治療の原則
  提示症例の病態を腎生理学的に考えると

 第3話 利尿薬の使い方
  古典的な利尿薬の分類
  新しい利尿薬の作用の考え方とその分類法
  利尿薬といえば,利尿薬の王様のフロセミド
  その他,今後注目される利尿薬

 第4話 腎臓からみた高血圧治療
  腎生理に基づく高血圧治療〜 The Laragh MethodR 〜
  腎保護を目指した高血圧治療
  サイアザイド系利尿薬と低Na血症

 第5話 慢性腎臓病における高カリウム血症
  今回の症例の病態〜高K血症を中心に〜
  今回の症例の治療〜急性期〜
  高K血症は慢性期でも危険

 第6話 慢性腎臓病における代謝性アシドーシス
  今回の症例の病態〜高K血症と代謝性アシドーシス〜
  慢性腎臓病の外来での管理〜高K血症と代謝性アシドーシスを同時に管理する〜

 第7話 NSAIDsと電解質異常
  NSAIDsが腎機能に及ぼす影響
  NSAIDsで困らないようにするためには

 第8話 カルシウム・マグネシウムの異常
  Ca・Mgを常に電解質の測定に加えよう
  見逃されている高Ca血症
  高Ca血症の病態と初期対応
  高Ca血症の原因
  ミルク—アルカリ症候群から,カルシウム—アルカリ症候群へ〜薬剤性高Ca血症に気をつけよう〜
  高Ca血症と悪性腫瘍
  Mgの異常〜種々の電解質の異常の影にMg代謝異常あり!〜

 第9話 急性期の輸液の一考察
  急性期の輸液の基本,循環を改善させる蘇生〜最新の輸液理論とは〜
  維持輸液〜何を維持するのか?〜
  メリハリのある輸液を〜急性腎盂腎炎の初期輸液〜
  腎障害の患者の輸液〜リンゲル液のKの投与は?〜

 第10話 救急外来で遭遇する電解質異常?アルコール依存症と高血糖緊急症?
  アルコール依存症・高血糖緊急症の代謝異常の本質は,グルコース代謝の異常
  アルコール依存症はあらゆる電解質異常を引き起こす
  高血糖緊急症〜糖尿病性ケトアシドーシスの一例〜

 第11話 運動誘発性熱中症
  人類は元来脱水に強いはず?
  なぜ巷では,運動時に水分補給が必要といわれているのか?〜運動時の体温調節〜
  運動時のEHRIとは?
  2%か4%か?
  運動誘発性低Na血症
  EHRIの対応は,運動開始前に終わっている?〜処暑環境下への順化がEHRIの予防で最も重要〜

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