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カテゴリー: 臨床薬学  |  内科学一般

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三ツ星シェフへの道 「経静脈栄養」実践GUIDE

1版

浅ノ川総合病院 薬剤部 東 敬一朗 著

定価

3,520(本体 3,200円 +税10%)


  • B5判  245頁
  • 2024年11月 発行
  • ISBN 978-4-525-26081-1

輸液の1滴に栄養と愛をこめて….
さあ目指そう,経静脈栄養の三ツ星シェフを!

経静脈栄養って,面白いですか?
 「難しい」「苦手だ」と思っている医療従事者も多いかもしれません.でもそれは,臨床栄養について学ぶ機会や興味をもつ機会が今まで少なかったからです.本書を読めば,臨床栄養や経静脈栄養はさほど難しくなくなるはずです.

 臨床現場での栄養管理は,療養生活を乗り越えるエネルギー・活力や,疾患や侵襲的治療によって生じた創傷部を治癒する材料のほか,日常生活を支える強い筋肉や骨をつくる材料を得るために必須のファクターです.もし,それが,それぞれの患者の生活・状態や今後のロードマップを満足に考慮していない,愛がなく,不十分なものだったらどうなるでしょう? 臨床現場にはいまだ医原性低栄養が生じやすい素地があり,それによる回復の遅れや治療強度の不足は,患者にとって大きな損失になります.そうならないためにも,経静脈栄養の管理法や輸液製剤の選びかた・組み合わせかたを楽しく学びながら,臨床栄養の実践に必要な“意識”と“知識”を身につけましょう!

  • 序文
  • 目次
  • 書評
  • 編集部より
序文
●●● 本書を手に取っていただいた方へ ●●●
栄養はすべての人にとって生きるために必須のものであり,とくに治療を必要とする患者にとってはより重要性が高いものです.しかし,臨床で実際に見かける経静脈栄養の組成は,お世辞にも素晴らしいと言えるものではありません.こういった現状を「なんとかしなければ!」と考え,本書を執筆しました.
他にも栄養に関する書籍はたくさんありますが,本書はまず「経静脈栄養って面白い!」と思ってもらうことを一番に構成しています.何かを深く学ぼうとするとき,自分のなかに湧き出た興味が最大の動機になるはずです.本書はその動機につながるきっかけになると思います.また,経静脈栄養に対して難しいというイメージをもっている方も多いのではないでしょうか? 私は,栄養管理のなかでは経静脈栄養が一番簡単だと思っています.どういうことかというと,食事や経腸栄養だと何かひとつの栄養素(例えばたんぱく質)を減らしたり増やしたりしようとすると必然的に他の栄養素の量も変わってしまうので,実は調整がとても難しいんです.でも,経静脈栄養の場合は,アミノ酸のみ,ブドウ糖のみといった感じで,容易に個々の栄養素の量を調整できます.だから,実は経静脈栄養ってそんなに難しくないってことが伝わるように,できるだけわかりやすく,読みやすい内容にしました.
本書では「経静脈栄養」という言葉を使っています.これは,経口摂取や経腸栄養では“経”という文字が入るのに,静脈栄養だけ入らないのはなんだかおかしい…という私の勝手なこだわりなので,あまり気にしないでください(笑).
また,本書は薬剤師向けの月刊誌「薬局」で3年以上連載していたものをまとめ,すべての医療従事者向けの内容となるように再編集したものです.手前味噌ですが,ひとつの読み物としても楽しんでいただけると思いますので,あまり肩肘張らずに気軽にご一読いただき,皆さんが経静脈栄養に興味をもつ一助になれば幸いです.

2024年10月
浅ノ川総合病院 薬剤部
東 敬一朗
目次
□付録「輸液組成ペーパークラフト」の使いかた

■輸液製剤一覧
 ・高カロリー輸液用製剤
 ・末梢静脈栄養用製剤
 ・アミノ酸製剤
 ・脂肪乳剤
 ・電解質輸液 等張電解質輸液(細胞外液補充液)
 ・電解質輸液 低張電解質輸液

■第1部:はじめに ~なぜ経静脈栄養は難しい?~
 1.医師・薬剤師・看護師と臨床栄養
 2.“とある一例”が教えてくれる大事なこと ― common sense based nutrition ―

■第2部:意外と知らない? 水・電解質管理
 3.水・電解質管理を理解するうえで知っておいた方がよいこと

■第3部:経静脈栄養組成の立案に必要な情報
 4.経静脈栄養の適応と投与ルート
 5.必要栄養量の設定方法
 6.糖質(グルコース)
 7.アミノ酸
 8.脂質
 9.経静脈栄養組成,ここまでのおさらい

■第4部:経静脈栄養に用いる輸液製剤
 10.高カロリー輸液用 糖・電解質液,高カロリー輸液用マルチバッグ製剤
 11.末梢静脈栄養用製剤,アミノ酸製剤,脂肪乳剤
 12.電解質輸液
 13.脱水の種類と用いるべき製剤
 14.ビタミン剤,微量元素製剤
 15.経静脈栄養の通り道 ―経静脈栄養のルート管理―

■第5部:病態別栄養
 16.慢性腎臓病
 17.肝硬変
 18.心不全
 19.慢性閉塞性肺疾患
 20.がん
 21.周術期
 22.病態別栄養のまとめ
 23.番外編 ❶:リハビリテーションと栄養(リハ栄養)
 24.番外編 ❷:リハビリテーションと薬剤(リハ薬剤)

■第6部:栄養アセスメントとモニタリング
 25.栄養状態の評価,アセスメント
 26.モニタリングなしは栄養管理にあらず

□輸液課題
 ・課題1(健康な人)
 ・課題2(透析前CKD)
 ・課題3(誤嚥性肺炎)
 ・課題4(COPD急性増悪時)
 ・課題5(あなたの経静脈栄養組成)
書評
「経静脈栄養」を楽しみながら学べてしまう奇跡のバイブル!

 栄養管理に関わる医療従事者の皆さんに,ぜひ手に取っていただきたい一冊,それが『三ツ星シェフへの道 「経静脈栄養」実践GUIDE』です.このガイドブックは,単なる医学書ではありません.患者の栄養状態を最適化するための知識と技術を,必死に習得するための書籍ではなく,自然と楽しく身につけられる工夫が凝らされた画期的な一冊です.
 経静脈栄養は,患者の栄養状態を保つために欠かせない治療法ですが,その実践には輸液の知識のみならず,栄養アセスメントや栄養必要量の算出,電解質管理など多岐にわたる知識とスキルが求められます.本書は,初心者から熟練者まで全ての医療従事者を対象に,栄養療法に必要な知識を網羅し,現場で直面する疑問や課題にも対応できるよう構成されています.
 また,最新のエビデンスに基づいた内容が,誰にでも分かりやすい言葉で解説されており,多忙な現場でも,必要な情報にアクセスしやすい工夫されたレイアウトや豊富なイラストも学びやすさをサポートしています.さらに,著者が講師をされている輸液ワークショップ(参加者から超絶高評価!)で使用されている,「輸液製剤カード」も付録として収載されており,自己研鑽からグループワークまで楽しめてしまうという特典付き!
 「三ツ星シェフ」というユニークな視点で,栄養プランの「レシピ」を組み立て,患者一人ひとりに最適な「メニュー」を提供するというアプローチは,栄養療法をより身近に感じさせてくれること間違いなしです.
 『三ツ星シェフへの道 「経静脈栄養」実践GUIDE』は,単なる医学書ではなく,経静脈栄養を提供する医療従事者の成長をサポートしてくれる「頼れるパートナー」です.今すぐ手に取って,「三ツ星シェフ」として患者の栄養状態を楽しく支える新たな一歩を踏み出しませんか?

三豊総合病院薬剤部 副薬剤部長
篠永 浩
編集部より
 薬学系月刊誌「薬局」で好評を博した3年間の連載を経て,すべての医療従事者に向けた,臨床で今すぐ活用できる経静脈栄養の知識を学べる『三ツ星シェフへの道「 経静脈栄養」実践GUIDE』が発刊された.
 ところで皆さんにとって,経静脈栄養は面白いだろうか?「 難しい」「苦手だ」という声も多いかもしれない.しかし本書を読めばてきめんに,臨床栄養や経静脈栄養は難しい存在ではなくなるだろう.
 本書では,臨床栄養に必要な“基本知識”は当然ながら押さえつつ,徹頭徹尾,“難しい計算はしない”“だいたいで決める”という方針が貫かれている.これが,初めて輸液と栄養管理を学ぼうとする読者の心理的ハードルをぐっと下げる仕掛けとなっている.また,輸液製剤の使いどころと使い心地を現場目線で忌憚なく紹介する製剤一覧も掲載.初心者にとっては製剤を選び使いこなす際のひとつの指針になるだろう.そのほか,腎疾患・COPD などの慢性疾患やがん・周術期といった病態別,リハ栄養・リハ薬剤といった場面別に心に留めておきたいポイントも示されている.
 「まずは,やってみよう」と感じさせてくれる本書ではあるが,それでもいきなり実践は不安だという初学者もいるだろう.そんな場合も安心してほしい.練習用の課題や,その自学自習の助けとなる資材も準備済みである.
 ここまでくれば,あとは本書を手に入れるだけ. 輸液・栄養療法についてこれから学ぶ方にも,「経静脈栄養の三ツ星シェフってなに?」と思った方にも,お薦めの入門実践書である.
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