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カテゴリー: 放射線医学/核医学

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放射線治療学

改訂7版

大阪大学 名誉教授 井上俊彦 編
大阪大学大学院 教授 小川和彦 編
大阪大学大学院 教授 小泉雅彦 編

定価

11,000(本体 10,000円 +税10%)


  • 四六倍判  481頁
  • 2023年12月 発行
  • ISBN 978-4-525-27097-1

至高の大改訂! オールジャパンによる放射線治療の今を紐解く

最新の放射線治療の知見・知識を体系的に整理できる好評書籍.改訂7版では全国各地から当該分野の新進気鋭が執筆陣として参画,新章「標的核医学治療」「臨床小線源治療」を新設し,最新情報をアップデートする.

  • 序文
  • 目次
序文
 星の過剰な集合形成は融合・衝突し,遂にはブラックホールに捕えられて消滅する.そして次なる星の誕生である.体内の微小空間でも密集した細胞の生死が高速で繰り返される.宇宙論(10+30)と素粒子物理学(10-24)研究を同じ尺度で,ウロボロス(ouroboros)の蛇に喩える.古代東洋思想では輪廻である.国際単位(SI)系で大きな数字10+30クエタ(quetta:Q)はやっと2022年に,小さな数字10-24ヨクト(yocto:y)は1991年に制定された.ところがすでに,仏教では10+32を溝(こう),10+68を無量(むりょう)大数(たいすう),10-24を涅槃(ねはん)寂静(じゃくじょう)と称してきた.
 科学的根拠に基づく医療(evidence based medicine:EBM)と物語に基づく医療(narrative based medicine:NBM)の両立が現代医療に求められる.何故ならば,EBMでは平均的な群に効率的治療が可能である.しかし,非平均的な群にはNBMが必要である.学びは模倣から始まる.進むと壁に突き当たる.乗り越えるには,立ち止まって考える.単にEBMの治療域を見定めることが放射線治療診察の目標ではない.自戒しなければならない.
 本書の第1版上梓から22年が経過した.宇宙時間で考えると限りなく短い.しかし,放射線生物学・物理学の最新の知見,最先端の画像診断・核医学検査,治療学の4次元高精度放射線治療・ハイブリッド小線源治療・粒子線治療・標的アイソトープ治療・血管内治療各分野の進化が過去10年特に顕著である.他領域でもロボット手術・分子標的治療・免疫治療が目覚ましい変化を遂げた.本書では第3・22・23・24章にこれらを取り上げた.今回も多数の執筆者に新しく登場してもらった.
 メタバース(metaverse)医学による難治疾患の解明が期待される.すでに,メタバース指向の医療トレーニングが始まり,メタバース病院の企画もある.がんの放射線治療の世界でも,教育分野に広く応用されるであろう.目まぐるしい変化の中にあって,学習者は柔軟な頭脳と適応性が求められる.本書を学ぶにあたって,是非とも表面的な学習に留まらず,行間の意も汲み取り,信念と勇気を持って新しい分野を切り開き,その成果を次世代に伝えて欲しい.

2023年10月
編集者を代表して
井上俊彦
目次
1 序  論 
 1.放射線治療とは 
 2.放射線治療の歴史 
 3.放射線治療の対象疾患・目的・利点 
 4.日本における放射線治療患者 
 5.専門家の育成が急務 
 6.精神腫瘍学と放射線腫瘍学の連携,医療経済 
 7.インフォームド・コンセント,危機管理,品質管理 
 8.臨床研究・基礎研究,個人情報・倫理,標準治療と臨床腫瘍学教育 
 9.分子に着目した新規診断・治療法 
 10.次世代型放射線治療 
 11.放射線治療に従事することによる魅力 

2 がんの疫学と放射線腫瘍学 
A.がんの疫学 
B.放射線腫瘍学 
C.日本放射線腫瘍学会(JASTRO)構造調査と理想の診療体系 
D.がん医療を取り巻く環境 

3 放射線治療の基礎 
A.放射線物理学 
B.放射線生物学 
C.臨床放射線治療の基本要素 
D.放射線療法看護 

4 治療機器・周辺機器
A.外部照射 
B.小線源治療 
C.粒子線治療 

5 核医学治療・標的アイソトープ治療 
A.概 論 
B.各 論 

6 放射線影響・防護 
A.放射線影響 
B.放射線防護 

7 頭頸部腫瘍
A.口腔癌 
B.舌 癌
C.上咽頭癌 
D.中咽頭癌 
E.下咽頭癌 
F.鼻腔・副鼻腔癌 
G.喉頭癌 
H.眼・眼窩腫瘍 
I.頭蓋底腫瘍 
J.唾液腺癌 
K.聴器癌(耳癌)

8 肺・縦隔・胸膜腫瘍 
A.肺 癌 
B.縦隔腫瘍 
C.胸膜腫瘍
D.有害事象 

9 食道癌 

10 乳 癌 

11 胃・小腸・結腸腫瘍 
A.胃 癌 
B.小腸癌
C.結腸癌

12 直腸・肛門管
A.直腸癌 
B.肛門癌 

13 肝・胆・膵
A.肝臓癌 
B.胆囊癌 
C.胆管癌 
D.膵臓癌 

14 子宮頸・子宮体・卵巣・腟・外陰
A.子宮頸癌 
B.子宮体癌 
C.卵巣癌 
D.腟 癌 
E.外陰癌

15 腎・腎盂・尿管・膀胱・陰茎・尿道・精巣・前立腺 
A.腎癌,腎盂癌,尿管癌
B.膀胱癌
C.陰茎癌,尿道癌
D.精巣(睾丸)腫瘍
E.前立腺癌

16 脳・脊髄腫瘍
A.概 説
B.放射線治療法
C.有害事象
D.各 論

17 皮膚腫瘍・悪性黒色腫 

18 骨・軟部腫瘍 
A.骨腫瘍
B.軟部腫瘍
C.治 療
D.有害事象
E.治療成績

19 小児腫瘍 
A.小児腫瘍に対する放射線治療
B.神経芽細胞腫
C.横紋筋肉腫
D.Ewing肉腫
E.小児腎腫瘍

20 造血器腫瘍 
A.概 説
B.疾患分類とその頻度
C.画像診断
D.進展度分類,およびその他の予後予測指標
E.治 療
F.経過観察と効果判定
G.有害事象
H.リンパ腫治療の最先端
I.各 論

21 内分泌臓器腫瘍
A.甲状腺癌
B.副腎髄質腫瘍
C.副腎転移癌

22 臨床小線源治療
A.口腔癌
B.中咽頭癌
C.乳 癌
D.直腸・肛門癌と姑息的小線源治療
E.陰茎・尿道癌
F.前立腺癌
G.女性生殖器
H.前処置と術中術後管理

23 臨床核医学治療 
A.β線核種放射性医薬品による治療
B.α線核種放射性医薬品による治療

24 臨床粒子線治療
A.陽子線治療
B.重粒子線治療 
C.ホウ素中性子捕捉療法

25 緩和照射
A.緊急照射
B.骨転移
C.肺転移
D.脳転移
E.オリゴメタスタシス
F.癌による出血
G.再照射

26 良性疾患に対する特殊照射
A.動静脈奇形
B.翼状片
C.ケロイド
D.三叉神経痛
E.甲状腺眼症

27 展 望
A.がんと放射線治療の教育
B.放射線腫瘍学の将来
C.未来医療学における量子生命科学 
D.画像診断と放射線治療
E.AIをもとにした画像診断と展望について

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