カテゴリー: 放射線医学/核医学
放射化学・放射線化学
改訂5版
九州大学 名誉教授 前田米蔵 著
九州大学アイソトープ総合センター 教授 百島則幸 著
定価
2,530円(本体 2,300円 +税10%)
- A5判 180頁
- 2015年3月 発行
- ISBN 978-4-525-27835-9
5版では,診療放射線技術学科,放射線技師養成機関の学生の教科書として,「放射化学・放射線化学」の領域において必要と思われる基礎知識の見直しをはかり,内容の充実を心がけた.さらに「診療放射線技師国家試験」の合格を目指し,章末には計算問題に強くなる練習問題などを付けた.
- 序文
- 目次
序文
医療現場において放射線照射装置や放射性医薬品の果たしている役割はますます重要性を増してきています.さらに人々の健康を助けるための多種多様な放射性診断薬の開発と診療放射線技師の果たす役割には大きな期待が寄せられています.本書は1972年に初版を出版して以来40数年が過ぎました.これまで執筆者を交替しながら時代に対応した内容として改訂を続けてきました.
改訂5版で,は執筆者の一人(前田)が医療関係大学で放射化学の講義を担当することになり,その経験を踏まえて2つの点に重点を置いて改訂しました.1つは国家試験の内容が実務に生かせるように工夫されていることを鑑み,この本では実務に必要な知識を含めて,それを補うような広い放射化学の内容としました.これは,実務の専門的な知識が広い放射化学の体系の中でどんな位置にあるのかを理解し,もっと深い理解への道筋を示すためです.2つ目は大学レベルの化学や物理を学んでいない学習者が放射化学を学べるように心がけました.論理的な説明より解説的な説明にして短時間に放射化学が学べるように工夫しました.そのために章末に問題を設けその章の重点が判別できるようにしました.
この本の始まりは「診療放射線技術選書」シリーズの一巻として高島良正,中村照正,氏本菊次郎先生らにより書かれました.第3版から大崎進先生が加わり,さらに今回から大崎進先生と百島が交替して出版していますので,高島先生らとの共同執筆であるといえますが,先生方のご意向もあり,このたびの執筆者は二人だけの連名としました.
この本を通して放射化学を学んでいただければ幸いです.
2015 年2月
前田米藏
改訂5版で,は執筆者の一人(前田)が医療関係大学で放射化学の講義を担当することになり,その経験を踏まえて2つの点に重点を置いて改訂しました.1つは国家試験の内容が実務に生かせるように工夫されていることを鑑み,この本では実務に必要な知識を含めて,それを補うような広い放射化学の内容としました.これは,実務の専門的な知識が広い放射化学の体系の中でどんな位置にあるのかを理解し,もっと深い理解への道筋を示すためです.2つ目は大学レベルの化学や物理を学んでいない学習者が放射化学を学べるように心がけました.論理的な説明より解説的な説明にして短時間に放射化学が学べるように工夫しました.そのために章末に問題を設けその章の重点が判別できるようにしました.
この本の始まりは「診療放射線技術選書」シリーズの一巻として高島良正,中村照正,氏本菊次郎先生らにより書かれました.第3版から大崎進先生が加わり,さらに今回から大崎進先生と百島が交替して出版していますので,高島先生らとの共同執筆であるといえますが,先生方のご意向もあり,このたびの執筆者は二人だけの連名としました.
この本を通して放射化学を学んでいただければ幸いです.
2015 年2月
前田米藏
目次
1 章 放射性核種と壊変現象
A.核種・同位体・放射能
B.放射性壊変現象
1 .壊変の種類と壊変過程
1)α壊変
2)β壊変
3)軌道電子捕獲
4)γ線放射
5)陽電子
6)自発核分裂
2 .壊変図式
3 .壊変速度
C.放射能および放射線の単位
1 .放射性物質の量を表す単位
2 .放射線量を表す単位
1)照射線量
2)吸収線量
3)等価線量
4)実効線量
5)個人線量計をつける位置
6)預託実効線量
3 .実効半減期
D.天然に存在する放射性核種
1 .一次放射性核種および消滅放射性核種
2 .二次放射性核種
3 .誘導放射性核種
4 .天然に分布する人工放射性核種
2 章 原子核の性質と核反応
A.原子核の構造と性質
1 .原子核の大きさと核力の特徴
2 .原子核の結合エネルギー
3 .原子核のモデル
B.原子核反応
1 .核反応の性質
2 .核反応による放射性核種の製造
3 .核分裂反応と核破砕反応
4 .核融合反応
5 .人工放射性元素と新元素
6 .荷電粒子加速装置
3 章 放射性核種の分離と線源調製法
A.分離の必要性と特殊性
1 .トレーサ量の特性と担体
1)担 体
2)ラジオコロイド
2 .共沈法
1) 32PO3-4と35SO2-4イオンの分離
3 .溶媒抽出法
1)ジイソプロピルエーテルによる鉄の抽出
4 .クロマトグラフィ
a.イオン交換クロマトグラフィ
1)希土類元素の分離
b.ペーパークロマトグラフィ
c.吸着・分配クロマトグラフィ
1)過テクネチウム酸ナトリウムジェネレータ
d.電気泳動法
e.クロマトグラフィにおける放射性核種の検出
5 .ホットアトム
B.固体試料の線源調製法
1 .一般的注意
2 .さまざまな線源調製法
a.蒸発法
b.沈殿ろ過法
c.電着法
d.蒸着法
e.遠心分離法
C.液体および気体試料の線源調製法
1 .液体シンチレーションカウンタ用試料調製法
1)クエンチング
2 .気体試料調製法
1)気体を直接測定
2)気体を溶媒に吸着させて測定
D.オートラジオグラフィ用試料調製法
1 .解像力を決定する因子
2 .マクロオートラジオグラフィ用試料調製
3 .ミクロオートラジオグラフィ用試料調製
1)コンタクト法
2)マウント法
3)ストリップ法
4 .イメージングアナライザー用試料調製
1)イメージングプレート
4 章 放射線と物質との相互作用
A.電離放射線の挙動
B.荷電粒子と原子との相互作用
1 .荷電粒子の衝突
a.輻射性衝突
b.非弾性衝突
c.弾性衝突
2 .荷電粒子の飛程
a.α粒子の飛程
b.電子の飛程
C.X 線,γ線と原子との相互作用
1)光の二重性
1 .光電効果
2 .コンプトン効果
3 .電子対生成
D.中性子と物質との相互作用
E.チェレンコフ効果
F.放射線の測定法と線量測定法
1 .電離箱による測定
a.空気壁電離箱
2 .GM 計数管による測定
a.GM 計数管
3 .シンチレーションによる測定
a.光電子増倍管
b.シンチレータ
1)無機シンチレータ
2)有機シンチレータ
3)液体シンチレータ
4 .半導体検出器
5 .線量測定法
a.化学的線量測定
b.物理的線量測定法
1)ガラス線量計
2)電子式ポケット線量計
3)OSL 線量計
4)エネルギー依存性
5 章 放射線化学
A.放射化学と放射線化学
B.放射線化学反応の初期過程
1 .一次作用
2 .二次作用
3 .イオンの検出
4 .電子の反応
5 .励起状態
C.気体の放射線化学反応
1 .イオン対生成に必要なエネルギー
2 .放射線化学反応の M/N 比
D.水および水溶液の放射線化学反応
1 .水の放射線分解
2 .塩類水溶液の放射線化学反応
a.フリッケ線量計
3 .化学線量計への利用
4 .離脱電子および水和電子
E.固体における放射線照射の効果
1 .放射線損傷
2 .無機化合物の放射線損傷
1)金属および合金の放射線損傷
2)イオン性および共有性結晶の放射線損傷
3 .有機化合物に対する放射線の作用
6 章 放射性核種の利用とトレーサ化学,原子力
A.放射性核種の利用
1)核種の半減期
2)放射線の種類,エネルギー
3)比放射能
4)放射化学純度
B.分析化学へ応用
1 .放射分析
2 .同位体希釈分析
1)直接希釈法
2)逆希釈法
3)二重希釈法
4)同位体誘導体法
5)不足当量法
3 .ラジオイムノアッセイ
4 .放射化分析
a.熱中性子放射化分析
b.種々の放射化分析
1)速中性子放射化分析
2)中性子誘起即発γ線分析法
3)荷電粒子放射化分析
4)荷電粒子励起 X 線
5)アクチバブルトレーサ(後放射化)法
C.有機化学および生化学への応用
1 .物質の移動や分布状態の研究
1)オートラジオグラフィ
2)陽電子放出断層撮影法
3)単一光子放射断層撮影
2 .有機反応機構,代謝経路の解明
D.標識化合物
1 .標識化合物の合成法
a.化学合成法
b.生合成法
c.同位体交換法
d.反跳合成法
e.ウイルツバッハ法
2 .標識位置
a.特定位標識化合物
b.名目標識化合物
c.均一標識化合物
d.全般標識化合物
3 . 14C 標識化合物
4 . 3H 標識化合物
5 . 32P および 35S 標識化合物
6 .その他の標識化合物の調整法
1)直接標識法
2)間接標識法
7 .標識化合物の使用上の注意
8 .標識化合物の純度
E.年代測定法
1 .放射性炭素法
2 .カリウム・アルゴン法
F.原子力の利用
1 .原子力発電の原理
2 .原子力発電の型式
a.熱中性子炉
1)加圧水型原子炉
2)沸騰水型原子炉
3)黒鉛減速ガス冷却炉
4)重水減速軽水冷却炉
b.速中性子炉
1)高速中性子増殖炉
3 .核燃料サイクル
4 .核融合
付 表
1 .物理定数表
2 .エネルギー換算表
3 .元素の周期表
A.核種・同位体・放射能
B.放射性壊変現象
1 .壊変の種類と壊変過程
1)α壊変
2)β壊変
3)軌道電子捕獲
4)γ線放射
5)陽電子
6)自発核分裂
2 .壊変図式
3 .壊変速度
C.放射能および放射線の単位
1 .放射性物質の量を表す単位
2 .放射線量を表す単位
1)照射線量
2)吸収線量
3)等価線量
4)実効線量
5)個人線量計をつける位置
6)預託実効線量
3 .実効半減期
D.天然に存在する放射性核種
1 .一次放射性核種および消滅放射性核種
2 .二次放射性核種
3 .誘導放射性核種
4 .天然に分布する人工放射性核種
2 章 原子核の性質と核反応
A.原子核の構造と性質
1 .原子核の大きさと核力の特徴
2 .原子核の結合エネルギー
3 .原子核のモデル
B.原子核反応
1 .核反応の性質
2 .核反応による放射性核種の製造
3 .核分裂反応と核破砕反応
4 .核融合反応
5 .人工放射性元素と新元素
6 .荷電粒子加速装置
3 章 放射性核種の分離と線源調製法
A.分離の必要性と特殊性
1 .トレーサ量の特性と担体
1)担 体
2)ラジオコロイド
2 .共沈法
1) 32PO3-4と35SO2-4イオンの分離
3 .溶媒抽出法
1)ジイソプロピルエーテルによる鉄の抽出
4 .クロマトグラフィ
a.イオン交換クロマトグラフィ
1)希土類元素の分離
b.ペーパークロマトグラフィ
c.吸着・分配クロマトグラフィ
1)過テクネチウム酸ナトリウムジェネレータ
d.電気泳動法
e.クロマトグラフィにおける放射性核種の検出
5 .ホットアトム
B.固体試料の線源調製法
1 .一般的注意
2 .さまざまな線源調製法
a.蒸発法
b.沈殿ろ過法
c.電着法
d.蒸着法
e.遠心分離法
C.液体および気体試料の線源調製法
1 .液体シンチレーションカウンタ用試料調製法
1)クエンチング
2 .気体試料調製法
1)気体を直接測定
2)気体を溶媒に吸着させて測定
D.オートラジオグラフィ用試料調製法
1 .解像力を決定する因子
2 .マクロオートラジオグラフィ用試料調製
3 .ミクロオートラジオグラフィ用試料調製
1)コンタクト法
2)マウント法
3)ストリップ法
4 .イメージングアナライザー用試料調製
1)イメージングプレート
4 章 放射線と物質との相互作用
A.電離放射線の挙動
B.荷電粒子と原子との相互作用
1 .荷電粒子の衝突
a.輻射性衝突
b.非弾性衝突
c.弾性衝突
2 .荷電粒子の飛程
a.α粒子の飛程
b.電子の飛程
C.X 線,γ線と原子との相互作用
1)光の二重性
1 .光電効果
2 .コンプトン効果
3 .電子対生成
D.中性子と物質との相互作用
E.チェレンコフ効果
F.放射線の測定法と線量測定法
1 .電離箱による測定
a.空気壁電離箱
2 .GM 計数管による測定
a.GM 計数管
3 .シンチレーションによる測定
a.光電子増倍管
b.シンチレータ
1)無機シンチレータ
2)有機シンチレータ
3)液体シンチレータ
4 .半導体検出器
5 .線量測定法
a.化学的線量測定
b.物理的線量測定法
1)ガラス線量計
2)電子式ポケット線量計
3)OSL 線量計
4)エネルギー依存性
5 章 放射線化学
A.放射化学と放射線化学
B.放射線化学反応の初期過程
1 .一次作用
2 .二次作用
3 .イオンの検出
4 .電子の反応
5 .励起状態
C.気体の放射線化学反応
1 .イオン対生成に必要なエネルギー
2 .放射線化学反応の M/N 比
D.水および水溶液の放射線化学反応
1 .水の放射線分解
2 .塩類水溶液の放射線化学反応
a.フリッケ線量計
3 .化学線量計への利用
4 .離脱電子および水和電子
E.固体における放射線照射の効果
1 .放射線損傷
2 .無機化合物の放射線損傷
1)金属および合金の放射線損傷
2)イオン性および共有性結晶の放射線損傷
3 .有機化合物に対する放射線の作用
6 章 放射性核種の利用とトレーサ化学,原子力
A.放射性核種の利用
1)核種の半減期
2)放射線の種類,エネルギー
3)比放射能
4)放射化学純度
B.分析化学へ応用
1 .放射分析
2 .同位体希釈分析
1)直接希釈法
2)逆希釈法
3)二重希釈法
4)同位体誘導体法
5)不足当量法
3 .ラジオイムノアッセイ
4 .放射化分析
a.熱中性子放射化分析
b.種々の放射化分析
1)速中性子放射化分析
2)中性子誘起即発γ線分析法
3)荷電粒子放射化分析
4)荷電粒子励起 X 線
5)アクチバブルトレーサ(後放射化)法
C.有機化学および生化学への応用
1 .物質の移動や分布状態の研究
1)オートラジオグラフィ
2)陽電子放出断層撮影法
3)単一光子放射断層撮影
2 .有機反応機構,代謝経路の解明
D.標識化合物
1 .標識化合物の合成法
a.化学合成法
b.生合成法
c.同位体交換法
d.反跳合成法
e.ウイルツバッハ法
2 .標識位置
a.特定位標識化合物
b.名目標識化合物
c.均一標識化合物
d.全般標識化合物
3 . 14C 標識化合物
4 . 3H 標識化合物
5 . 32P および 35S 標識化合物
6 .その他の標識化合物の調整法
1)直接標識法
2)間接標識法
7 .標識化合物の使用上の注意
8 .標識化合物の純度
E.年代測定法
1 .放射性炭素法
2 .カリウム・アルゴン法
F.原子力の利用
1 .原子力発電の原理
2 .原子力発電の型式
a.熱中性子炉
1)加圧水型原子炉
2)沸騰水型原子炉
3)黒鉛減速ガス冷却炉
4)重水減速軽水冷却炉
b.速中性子炉
1)高速中性子増殖炉
3 .核燃料サイクル
4 .核融合
付 表
1 .物理定数表
2 .エネルギー換算表
3 .元素の周期表