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カテゴリー: 小児科学  |  耳鼻咽喉科学

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子どものみみ・はな・のどの診かた

1版

前 千葉県立こども病院耳鼻咽喉科 部長/
千葉県立保健医療大学 教授 工藤典代 著

定価

5,170(本体 4,700円 +税10%)


  • 四六倍判  150頁
  • 2009年6月 発行
  • ISBN 978-4-525-28911-9

症状を自ら訴えることもできない,診るにもひと手間かかるのが小児,特に乳幼児の診療である.小児耳鼻咽喉科の専門医が上手に小児を診るポイントから,治療のコツや家族へのアドバイスまで,豊富なチャート図や症例写真とともに,見開き2ページでわかりやすく解説した一冊.

  • 目次
  • 序文
目次
I 診察の進め方
   1. 耳を診る
   2. 鼓膜を診る―使い慣れた機器で
   3. 鼓膜を診る―中耳炎の鼓膜
   4. 鼻を診る―その1
   5. 鼻を診る―その2:鼻内編
   6. 口腔咽頭・扁桃を診る
   7. 顔の動きを診る
   8. きこえを診る―その1(0〜2歳頃)
   9. きこえを診る―その2(3歳〜)
  10. きこえとことばのチェックお役立ちグッズ
  11. めまいを診る
  12. 喉頭を診る
  13. 顔面・耳下腺部腫脹を診る

II この症状から何を考える?症候学
   1. 耳を痛がる
   2. 難 聴
   3. めまい
   4. 鼻汁があれば
   5. 鼻がつまる
   6. 鼻出血
   7. イビキがあれば
   8. ことばの遅れ
   9. ことばの遅れ―対応編
  10. 声が嗄れる(嗄声)
  11. 喘鳴から何を考える?
  12. 顔の動きがおかしい
  13. 耳下腺部腫脹

III 疾患の概要と治療の実際
   1. 外耳炎・耳せつ
   2. 急性中耳炎
   3. 小児急性中耳炎診療ガイドラインについて
   4. 急性中耳炎―ガイドラインの応用実際編
   5. 反復性中耳炎
   6. 滲出性中耳炎
   7. 鼓膜換気チューブについて
   8. 慢性中耳炎
   9. 中耳真珠腫
  10. 先天性耳瘻孔
  11. 耳垢栓塞
  12. 先天性難聴
  13. 後天性難聴
  14. ムンプス難聴
  15. めまい・動揺病(乗り物酔い)
  16. 鼻副鼻腔炎
  17. 急性副鼻腔炎
  18. 鼻性眼窩内合併症(眼窩蜂下織炎)
  19. アレルギー性鼻炎
  20. 花粉症
  21. 小児のアレルギー性鼻炎治療薬
  22. アデノイド肥大
  23. 口蓋扁桃肥大
  24. 口蓋扁桃摘出術
  25. 睡眠時無呼吸症候群―その1
  26. 睡眠時無呼吸症候群―その2
  27. 急性咽頭・扁桃炎
  28. 慢性扁桃炎・反復性扁桃炎
  29. 舌小帯短縮症
  30. 咽後膿瘍
  31. ムンプス(流行性耳下腺炎)
  32. 反復性耳下腺炎
  33. 喉頭軟弱症
  34. 小児声帯結節
  35. 声門下喉頭炎(クループ症候群)
  36. ベル麻痺
  37. 頸部リンパ節腫脹

IV 耳鼻咽喉科領域の救急
   1. 鼻出血への対応
   2. 口腔・咽頭外傷
   3. 耳と鼻の異物症
   4. 気管支異物の診断に向けて
   5. 気管支異物の摘出に向けて
   6. 急性喉頭蓋炎
   7. 虐 待

索 引
序文
 桜の開花宣言から2週間が経過し,やっと満開を迎えました.「子どものみみ・はな・のどの診かた」の本もようやくまとめることができました.
 症状を自ら訴えることもできない,診るにもひと手間かかるのが小児,特に乳幼児の診療です.日常診療でも上気道炎に関連して多くの子どもたちが受診します.そのたびに小児の耳鼻咽喉科領域の疾患をわかりやすく明快にまとめて,外来診療の際にいつも手元に置いておける本があればいいな,と思っておりました.患者さんへの説明に使用したり,簡単な検査に使う資料をまとめておければ,忙しい外来で資料を探す必要もなくなります.そこでいつも手元に置いておきたい資料を含めて,一冊にまとめてみようと思いました.
 もともとは2008年4月に開催されました第111回日本小児科学会(会長 福永慶隆先生 日本医科大学小児科教授)の教育講演として「小児科との境界領域をどう診療するか:OSA(閉塞性睡眠時無呼吸)に対する対応とその治療」,教育セミナーとして「小児アレルギー性鼻炎―語られなかったQOLと治療実態について」の2つの講演を担当させていただいたのがきっかけとなりました.会場で小児科の先生方から多くのご質問をいただき,境界領域ともいえる耳鼻咽喉科領域に深い関心を持たれていることを実感しました.その際に十分,質問にお答えする時間がなかったのが気になっておりましたので,その回答も本書の内容に含めました.
 以前から,この症状からは何を考えるのか,という「症候学」が最近はあまり見られないように思っておりました.そこで,症状や症候を大事にしたいと考え,本の構成を大きく4項目「診察の進め方」,「この症状から何を考える?症候学」,「疾患の概要と治療の実際」,「耳鼻咽喉科領域の救急」に分けていきました.見た目にもわかりやすい本を,と見開き2頁でまとめてみますと,書き足りないところがどうしても出てきました.専門の先生方にとりましては物足りないところも多いかと思いますが,わかりやすいこと見やすいことをコンセプトにしまして,詳細は他書に譲ることにいたしました.
 耳・鼻・のど・頸部・気管食道と耳鼻咽喉科の範囲は広く,また病態も感染症や腫瘍,難聴,異物などと多岐にわたります.それらの中で,防げるものは防ぎたい,という思いがあります.増加している虐待などの社会的な問題から生じるもの,事故などは防ぎたい,減らしたい,と思っています.子どもたちがより良い環境のもとで健康に過ごしていけることを願っています.
 千葉県こども病院の開設当初から18年間,小児耳鼻咽喉科を担当してきたことになります.さまざまな経験をさせていただきましたし,小児医療に対する小児科の先生方の真摯な姿勢にも心を打たれました.そこでの経験は私の宝となっています.開院当初は機器もなく,きれいな画像も取れずに悔しい思いもしました.今回本書をまとめるにあたって,もっとデータをきちんと整理して残しておけばよかった,とも思いました.貴重な症例写真を惜しげもなく提供くださいました諸先生方には心から御礼申し上げます.
 この本が耳鼻咽喉科の先生方,小児医療に携わる先生方のお役にたてれば幸いです.
 最後に,執筆を提案していただき,最後までお世話になりました南山堂 高見沢恵様に心から感謝申し上げます.


2009年4月
工藤典代
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