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カテゴリー: 外科学一般

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呼吸器外科学

改訂4版

名古屋市立大学 名誉教授 正岡 昭 監修
名古屋市立大学 教授 藤井義敬 編集

定価

16,500(本体 15,000円 +税10%)


  • 四六倍判  566頁
  • 2009年9月 発行
  • ISBN 978-4-525-31214-5

新しい呼吸器外科学の体系化を目指し刊行され多くの支持を得てきたが,新しく改訂された「UICC肺癌病期分類」も取り入れ,大幅な改訂を行った.さらに多くの写真や図を用いてビジュアルに分かりやすく解説してある.呼吸器外科医必携の一冊.

  • 序文
  • 目次
序文
 正岡の「呼吸器外科学」第3版が出版されてから6年が経過した.その間に人間の全ゲノムが解読され,分子標的治療が日常のものとなり,科学の進歩は呼吸器外科の分野にも確実に押し寄せた.次の改訂のときはどんな世界になっているのだろうか.
 インターネット上の情報が格段に豊富となり検索も容易となったので,教科書執筆にも変化があった.わざわざ図書館に行かなくてもすべての論文のabstractは読める.論文本体も容易にダウンロード可能である.おかげで1つの項目の検索に芋づるのように多くの論文がヒットし,わずか3行の記述のために10編以上の論文を読むことが多かった.なお,なるべく最新文献は網羅したつもりだが,記載から半年以上を経ているので今年になってからの論文などは収載できていない.ご容赦願いたい.
 今回の改訂では前回よりもさらに多くの外部執筆者にお手を煩わし,各項目に最新のState of the Artが取り入れられている.この傾向は次の改訂ではさらに強くなるだろう.しかしまだ正岡昭先生の文章が多くその形をとどめていることに驚く.まさに何十年たってもかわらない真実が多くあるのである.文中に残る「著者」の文字は正岡先生を意味している.ただ教科書の体裁はかなりビジュアルに変化し,表は見やすくなったと自負している.また新しいUICC肺癌病期分類もさっそく取り入れられているので,現時点で知っておくべき呼吸器外科の知識はほぼ収載されていると思う.
 本改訂は外部執筆者を除き,私と名古屋市立大学呼吸器外科の矢野智紀の2人で主に執筆した.貴重な文章をお寄せいただいた外部執筆者の先生方にはここで深甚の謝意をささげたい.また丁寧なご助力をいただいた南山堂高見沢恵さん,また退職された八木洋さんに厚く御礼申し上げる.


2009年 夏
藤井義敬
目次
縦隔のCT解剖
■縦隔水平断
■縦隔冠状断
■縦隔矢状断

1.総論
A.肺の発生
B.肺の解剖
 1.外観
 2.気管支・肺胞系
 3.血管系
 4.神経系
 5.リンパ系
C.肺の生理
 1.呼吸機能
 2.非呼吸性肺機能
 3.肺機能検査
D.肺疾患の症候
 1.咳と痰
 2.血痰,喀血
 3.呼吸困難
 4.喘鳴
 5.胸痛
 6.チアノーゼ
 7.(太鼓の)ばち状指,ばち指
 8.胸部理学的所見
E.肺疾患の検査
 1.喀痰検査
 2.肺疾患の画像診断
 3.生化学的検査
 4.皮膚反応
 5.穿刺液の検査
 6.内視鏡検査
 7.生検
 8.縦隔鏡
 9.胸腔鏡
 10.開胸肺生検
 11.心臓カテーテル検査
F.開胸法
 1.後側方経路
 2.腋窩経路
 3.筋肉温存切開法
 4.胸骨正中経路
 5.Roosの経路
G.肺のリンパ経路
 1.縦隔リンパ節の解剖
 2.肺のリンパ流路
H.リンパ節郭清
 1.標準開胸における縦隔郭清術
 2.両側縦隔郭清術
I.肺切除術の適応
 1.疾患による適応
 2.全身的な因子
 3.肺機能からみた適応
 4.術後肺機能の予測
J.患者への説明と医療事故防止
K.術前管理と術中管理
 1.術前管理
 2.術中管理
L.術後管理と術後合併症
 1.術後管理
 2.術後合併症
M.胸腔鏡下肺切除術
 1.本項で扱う胸腔鏡下肺切除術について
 2.胸腔鏡下手術の用意,用具,機器
 3.ポート(トロッカー)の挿入方法
 4.右肺上葉切除術
 5.左肺上葉切除術
 6.右肺中葉切除術
 7.左右肺下葉切除術
 8.完全分葉不全のときの対処
 9.右上縦隔リンパ節郭清
 10.左上縦隔リンパ節郭清
 11.分岐下リンパ節郭清
 12.肺区域切除術と部分切除術

2.臨床肺移植
A.概説
 1.世界の肺移植の現状
 2.日本の肺移植の現状
B.適応
 1.レシピエント
 2.ドナー
 3.ドナーとレシピエントの適合
C.術式
 1.脳死ドナーからの肺移植手術
 2.生体肺移植術
D.免疫抑制剤と拒絶反応
E.予後と術後死亡原因
F.症例
 1.左片肺移植症例
 2.両側片肺移植症例
 3.生体肺移植(両側肺葉移植)症例

3.肺癌
A.肺癌の疫学
 1.肺癌の疫学
 2.肺癌と喫煙
 3.肺癌と大気汚染
 4.その他の肺癌危険因子
B.肺癌の組織型分類とその特徴
 1.浸潤前病変
 2.扁平上皮癌
 3.腺癌
 4.神経内分泌腫瘍
 5.小細胞癌
 6.大細胞癌
 7.腺扁平上皮癌
 8.肉腫様癌
 9.カルチノイド
 10.唾液腺型癌
C.肺癌の進展
 1.肺外への進展
 2.進展速度の評価
 3.早期癌
D.肺癌の臨床病期分類とTNM分類
E.症状
 1.一般症状と局所進展による症状
 2.遠隔転移による症状
 3.肺外随伴症状
 4.その他の合併症
F.肺癌の診断
 1.集団検診
 2.画像診断
 3.内視鏡診断
 4.経胸壁針生検
 5.胸腔鏡下肺生検
 6.手術中に行われる診断
G.肺癌の外科治療
 1.外科治療の歴史
 2.肺癌に対する手術術式
 3.外科治療の適応
 4.手術成績
H.肺癌の放射線治療
I.肺癌の化学療法
J.併用療法
 1.放射線療法と手術療法
 2.化学療法と手術療法

4.肺癌の分子生物学
 1.ゲノム監視機構の障害:p53
 2.細胞周期の制御機構の障害
 3.その他の癌抑制遺伝子異常
 4.癌遺伝子の活性化
 5.肺癌と遺伝的素因
 6.RNAi
 7.染色体転座

5.その他の肺腫瘍
A.間葉系腫瘍
 1.類上皮血管内皮腫/血管肉腫
 2.胸膜肺芽腫
 3.軟骨腫
 4.先天性気管支周囲筋線維芽球腫
 5.びまん性肺リンパ管腫症
 6.炎症性筋線維芽細胞性腫瘍
 7.リンパ脈管筋腫症
 8.肺滑膜肉腫
 9.肺動脈肉腫
 10.肺静脈肉腫
B.肺良性上皮性腫瘍
 1.乳頭腫
 2.腺腫
C.リンパ増殖性腫瘍
 1.辺縁帯B細胞リンパ腫
 2.びまん性大細胞B細胞性リンパ腫
 3.リンパ腫様肉芽腫症
 4.肺ランゲルハンス組織球症
D.その他の腫瘍
 1.過誤腫
 2.硬化性血管腫
 3.淡明細胞腫
 4.奇形腫
 5.肺内胸腺腫
 6.悪性黒色腫
E.転移性肺腫瘍
 1.病理
 2.臨床症状
 3.手術適応
 4.手術術式
 5.手術成績

6.感染症の外科
A.結核
B.非結核性抗酸菌症
C.真菌症
D.手術の要点
 1.肺摘除術
 2.肺葉切除術
 3.区域切除
 4.空洞切開術
E.慢性膿胸
 1.臨床症状
 2.画像および病理像
 3.細菌学的特徴
 4.悪性リンパ腫の合併
F.慢性膿胸の手術法
 1.胸膜肺全摘
 2.膿胸嚢摘出術,肺剥皮術,掻爬術
 3.肺側剥皮・胸壁側骨膜外剥離術
 4.充填術
 5.開窓術(開放ドレナージ)
 6.胸郭成形術

7.その他の外科的肺疾患
A.先天性異常
 1.肺の形成不全
 2.肺分画症
 3.片側透過性亢進肺症候群
B.嚢胞性肺疾患
 1.定義・分類
 2.ブレブとブラ
 3.進行性気腫性嚢胞または巨大気腫性嚢胞
 4.肺気腫に対するlung volume reduction surgery
 5.ニューマトセル
 6.肺葉性肺気腫
 7.気管支性肺嚢胞
 8.気管支性緊張性嚢胞
 9.先天性嚢胞性腺腫様奇形
C.肺血管の疾患
 1.肺動静脈奇形または肺動静脈瘻
 2.肺血栓塞栓症
 3.肺動脈瘤
 4.肺静脈瘤

8.気管・気管支
A.概念的事項
B.気管・気管支の外傷
 1.頸部気管損傷
 2.胸郭内気道損傷
 3.気道異物
 4.気管切開後気管狭窄
C.気管の先天性狭窄
D.その他の先天性気管異常
 1.喉頭気管食道裂
 2.気管無形成症
E.気管支の閉塞
 1. 気管支閉鎖症
 2.気道閉塞あるいは狭窄の対策
F.食道気道瘻
 1.先天性食道気管瘻
 2.食道気管支瘻
G.気管気管支軟化症
 1.成人気管気管支軟化症
 2.小児気管気管支軟化症
H.気管支拡張症
I.気管支結核
 1.結核性気管および気管支狭窄
 2.気管支結石症
J.気管の腫瘍

9.縦隔
A.縦隔の解剖
B.縦隔の損傷
 1.縦隔気腫(あるいは気縦隔)
 2.縦隔血腫
C.縦隔の炎症
 1.急性縦隔炎
 2.慢性縦隔炎
 3.硬化性縦隔炎
D.縦隔腫瘍総論
 1.分類,疫学
 2.症状
 3.診断
 4.治療,予後
 5.縦隔腫瘍の手術
E.縦隔腫瘍各論
 1.胸腺の腫瘍
 2.神経原性腫瘍
 3.先天性嚢胞
 4.甲状腺腫
 5.リンパ腫
 6.その他の腫瘍
F.胸腺と重症筋無力症
 1.胸腺の発生,構造
 2.胸腺の機能
 3.重症筋無力症
 4.重症筋無力症の胸腺
 5.重症筋無力症に対する胸腺摘出術
 6.新しい手術方法

10.胸膜
A.胸膜の構造
B.気胸
 1.特発性気胸
 2.続発性気胸
 3.外傷性気胸
 4.医原性気胸
 5.月経随伴性気胸
C.血胸
D.乳糜胸
E.水胸
 1.胸水をきたす疾患
 2.胸水の鑑別
 3.胸水の治療
F.膿胸
 1.概念的事項
 2.病因
 3.病態・臨床症状
 4.診断
 5.治療
G.胸膜原発腫瘍
 1.悪性胸膜中皮腫
 2.Localized fibrous tumor
 3.膿胸関連リンパ腫

11.胸壁
A.胸壁の解剖
B.胸壁の外傷
 1.穿通性外傷
 2.非穿通性外傷
C.胸壁の変形
 1.軟部組織の異常
 2.骨の異常
 3.胸骨披裂
 4.胸部の異常
D.胸壁の炎症
 1.胸壁軟部の炎症
 2.骨性胸郭の炎症
 3.胸囲結核
E.胸壁の腫瘍
 1.胸壁の良性腫瘍
 2.胸壁の悪性腫瘍
 3.胸壁へ浸潤あるいは孤立性転移を示す他臓器悪性腫瘍
 4.胸壁の手術

12.横隔膜
A.解剖
B.横隔膜ヘルニア
 1.Morgagni孔ヘルニア
 2.Bochdalek孔ヘルニア
 3.食道裂孔ヘルニア
 4.外傷性横隔膜ヘルニア
C.横隔膜弛緩症
D.副横隔膜
E.横隔膜麻痺
F.横隔膜の腫瘍

索引
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