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カテゴリー: 外科学一般  |  呼吸器学

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縦隔の外科

手術手技アトラス

改訂2版

愛知医科大学臨床腫瘍センター腫瘍外科 教授 矢野智紀 著
名古屋市立大学医学部腫瘍・免疫外科学講座 准教授 奥田勝裕 著

定価

16,500(本体 15,000円 +税10%)


  • AB判  194頁
  • 2022年6月 発行
  • ISBN 978-4-525-31222-0

みる わかる できる
275のシェーマでしっかり理解[動画付き]

わが国で唯一の縦隔外科の手術書の改訂2版.縦隔腫瘍(胸腺腫や肺癌の胸膜への播種など)と重症筋無力症のための胸腺摘出術などの縦隔疾患に対応.特に胸腺腫は呼吸器外科医にとって肺癌に次ぐ重要疾患.
初版から剣状突起下アプローチ,ロボット手術など,動画付きで59ページの大幅追補した.縦隔疾患のエキスパートが在籍する愛知医科大学臨床腫瘍センター腫瘍外科,名古屋市立大学腫瘍・免疫外科学講座で蓄積されたノウハウを余すことなく網羅.

  • 改訂2版の序
  • 初版の序
  • 目次
改訂2版の序
 縦隔の外科手術手技アトラス初版が出版されて9 年が経過し,その間にわが国の縦隔の外科も大きく進歩したように思われる.世界規模の胸腺上皮性腫瘍の予後調査と新たな病期分類作成を目的にITMIG(International Thymic Malignancy Interest Group)の要請により日本胸腺研究会は全国の主要な施設から3,000 例を超える胸腺上皮性腫瘍の後ろ向きデータベース事業を敢行し,ITMIG にデータを供出するとともに,わが国から多くの胸腺上皮性腫瘍のエビデンスを発信することとなった.また,肺がん診療ガイドラインに付随する形で胸腺上皮性腫瘍の診療ガイドラインも発行された.現在は肺癌合同登録委員会による胸腺上皮性腫瘍の前向きデータベース事業も進行中である.このような経過を経て胸腺上皮性腫瘍に対する新TNM 分類が作成されたが,この新分類のよい評判はあまり聞こえてこない.恩師である正岡昭先生の考案した胸腺腫に対する正岡分類は,発表から40 年以上経過した現在でも世界中で広く使用されている.非常に簡便で使いやすく,正岡先生曰く“世界で最も美しい病期分類”の所以である.その正岡先生は2014年に逝去され,本書をお渡しできないのが残念でならない.
 この9 年の間に縦隔外科の手術方法も大きく進化した.なかでも剣状突起下アプローチとロボット手術の普及はこの領域の手術を大きく前進させたように思う.本改訂版では新たに剣状突起下アプローチの詳細を示すとともにノーカットの手術ビデオもお見せできるように供出した.実際の手技を見ていただき日常診療に生かしていただきたい.またロボット手術の詳細に関しては名古屋市立大学医学部腫瘍・免疫外科学講座の奥田勝裕先生にご協力をお願いした.そのほか縦隔炎手術や多汗症手術なども追加し,改訂2 版では縦隔に関するほとんどの手術を網羅した内容になったと思われる.しかしながら単なる手術書ではなく縦隔,胸腺,胸腺腫瘍に関するすべての知識を網羅した教科書として完成できた.
 正岡昭先生,藤井義敬先生はじめ今までご指導いただいた多くの先生方に深く感謝申し上げます.最後に今回の改訂にあたり厳しいスケジュールにも関わらずご協力いただいた南山堂の古賀倫太郎,高橋淳人両氏,私の原画を整えていただいたイラストレーターの田添公基様には厚く御礼申し上げる.

2022年4月
矢野智紀
初版の序
 胸腺腫の正岡分類が発表されてから30 年以上が経過する.さまざまな疾患で病期分類が存在し,改訂を重ねる度に複雑多様化してきた.その中で正岡分類は30 年以上の間変わらず,世界中に受け入れられており,また最も簡素で洗練された美しい分類である.胸腺腫はまれな縦隔腫瘍であるが,前縦隔腫瘍の中では最も頻度が高く,呼吸器外科医にとっては肺癌に次ぐ重要な疾患の一つと考えられる.
 胸腺腫の手術は呼吸器外科医にとって必須の手術と考える.肺癌の手術書は多数存在するのに,残念ながら胸腺腫あるいは縦隔腫瘍に特化した手術書は存在しない.医学生や研修医に手術手技を理解していただくのに非常に苦労させられるのが現状であり,本書執筆の動機となった.
 胸腺腫の手術手技に関して,この30 年で大きな変遷はないと考えていた.しかし近年の胸腔鏡の普及に伴い,縦隔腫瘍にも多く適応され,最も着手が遅れた前縦隔腫瘍の分野にも,その適応が拡大してきた.なるほど実際に行ってみると,前縦隔腫瘍に対する胸腔鏡下手術の利点は十分に存在するが,他の呼吸器外科手術同様にlearning curve やknow how は存在する.従来の胸骨正中切開による胸腺切除と胸腔鏡下の胸腺切除,その両者の手術を経験していくうちに,正岡分類が如何に理にかなった分類がなされているかが理解できる.
 正岡 昭先生から藤井義敬先生に受け継がれてきた名古屋市立大学呼吸器外科の縦隔腫瘍手術手技の変遷を凝縮し,現在我々が行っている縦隔腫瘍の手術手技を紹介したい.特に経験の少ない先生方に本書を参考にしていただき,より安全な手術を行っていただくことが本書作成の一番の目的である.初版であり,筆者の気づかぬ問題点が多々あるかもしれないが,何卒ご容赦いただきたい.
 最後に本書執筆までご指導いただいた多くの先生方に深く感謝の意を表します.

2013年3月
矢野智紀
目次
Ⅰ縦隔総論
1. 縦隔とは
2. 縦隔腫瘍
3. 胸腺腫,胸腺癌
4. わが国の胸腺腫,胸腺がん治療におけるこの10年の進歩

Ⅱ縦隔腫瘍に対する手術手技
1. 胸骨正中切開による拡大胸腺胸腺腫瘍切除術
2. 胸腔鏡下胸腺部分切除術
3. 胸腔鏡下拡大胸腺切除術(側方アプローチ)
4. 胸腔鏡下拡大胸腺摘出術(剣状突起下アプローチ
5. ロボット支援胸腔鏡下胸腺切除術(剣状突起下アプローチ)
6. 他臓器合併切除術
7. 上大静脈合併切除人工血管置換術
8. 中縦隔腫瘍切除術
9. 後縦隔腫瘍切除術
10. 胸膜播種切除術
11. 胸膜肺全摘術
12. 縦隔内甲状腺腫切除術
13. 胸骨正中切開後の再手術
14. 降下性壊死性縦隔炎手術
15. 手掌多汗症手術
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