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周産期マニュアル

胎児疾患の診断から管理まで

1版

東京慈恵会医科大学産婦人科 教授 佐村 修 総編集
広尾レディース 院長/茨城県立医療大学 客員教授 宗田 聡 総編集

定価

33,000(本体 30,000円 +税10%)


  • 四六倍判  774頁
  • 2023年6月 発行
  • ISBN 978-4-525-33201-3

患者家族から受ける相談にすぐに対応できるクイックマニュアル

本書は,産科・小児科・新生児科・小児外科・遺伝医学などの専門医が集結してまとめた「日本人による日本人のための現場ですぐに役に立つ周産期マニュアル」です.
超音波検査で見つかった胎児の形態異常に対して,その対応から治療法,予後,遺伝カウンセリングまで患者家族から受ける相談にすぐに対応できる一冊となっています.
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  • 序文
  • 目次
序文
 この本を選んでいただき本当にありがとうございます.この本を出版するきっかけとなった背景について触れたいと思います.皆さんも一度は読まれたことがあると思い(信じて)ますが,『ニューイングランド周産期マニュアル』の翻訳監修を佐村と宗田がしていました.この本の原著「FEOTOLOGY」との出会いは,もともと佐村と宗田が留学していたタフツ大学(ボストン)遺伝医学研究室のDiana Bianchi教授(現・米国立小児保健発達研究所:NICHD所長)の出版前の原稿を研究室で見せてもらった時から始まっています.本の内容とその完成度が素晴らしいため,その翻訳本を作りたいとBianchi教授に相談をして,帰国後いろいろ大変でしたが無事に日本語訳ができ上がったのが『ニューイングランド周産期マニュアル』です.大変嬉しいことに,分厚い医学書の中では非常に好評で多くの方に愛用されていました.2010年に大幅に修正された第2版がアメリカで出版され,それに伴い日本でも異例の早さで翌年に改訂2版が出版されました.それから10年以上が経ち,日進月歩の周産期医療からだいぶ中身も時代遅れの感が強くなってきました.残念なことに,本国では次の改訂版は予定がないとのことでした.
 そこで今回は,日本の多くの専門の先生方の力を借りて,最新の画像診断や遺伝情報を含めた臨床現場ですぐに役立つものを作ろうということになりました.書籍の制作にあたっては,これまでの医学書ではよく見かけるような著者が自分のデータなどを元に自己解析や考えで書いてもらうような形ではなく,あくまでも教科書として,マニュアルとして広く臨床現場で役立つ内容にするべく,各疾患の書き方は,すべて必要項目を決めて,それに沿った最新の内容とエビデンスを簡潔にまとめて書いていただくこととしました.書面に限りがある関係上,あくまでも教科書的な位置づけとし,その疾患の詳細については引用文献などを参考に読者ご自身でさらに情報を収集していただくことで,十分に解決できるような内容としました.企画から出版まで短い期間ではありましたが,日本全国の多くの専門家の方々に協力していただき,おかげさまで自画自賛ではありますがこれまでの医学書にはない,とても使いやすく内容の濃い最新の本ができたと思っております.
 産科・小児科・新生児科・小児外科・遺伝医学などの専門医が集結してまとめた,まさに「日本人による日本人のための現場ですぐに役に立つ周産期マニュアル」です.妊娠中に超音波検査で見つかった胎児の形態異常に対して,その対応から治療法,出生後の経過や予後,遺伝カウンセリングまで患者家族から受ける相談にすぐに対応できる一冊となっています.
 この本の出版年がちょうど第75回日本産科婦人科学会学術講演会(主催・東京慈恵会医科大学)の開催と重なったことは,監修の佐村は同大産科婦人科講座教授・周産期センター長,宗田は同大非常勤講師として共に働いており,これもまた大きな不思議な縁を感じざるをえません.また私事にはなりますが,宗田はちょうど今年還暦を迎え,佐村も早生まれで来年ではありますが,互いに節目となる時期にこのような大きな仕事に関われたことを本当に嬉しく思っております.
 出版にあたりましては,南山堂の担当者である高見沢恵さんをはじめ出版社の皆様方,また各著者を取りまとめていただいた全国の先生方など多くの皆様の協力に深く感謝いたしております.また最後に,このような周産期医療の書籍の出版に関わるきっかけとなったボストン留学時代の恩師であるダイアナ(Bianchi教授をわれわれが呼ぶときの愛称)に深く深く感謝をしたいと思います.

2023年5月総編集
佐村 修
宗田 聡
目次
Ⅰ 序 論

  1 出生前の基本検査 
  2 出生前画像診断
  3 染色体 
  4 遺伝子 
  5 新生児外科 
  6 出生前診断の遺伝カウンセリング 
  7 胎児治療 
  8 倫理 

Ⅱ 胎児の病態管理 
 A 中枢神経
  9 脳梁欠損 
  10 透明中隔欠損,中隔視神経形成異常症 
  11 無脳症(外脳症/無頭蓋症も含める) 
  12 くも膜囊胞 
  13 頭蓋骨癒合症 
  14 大脳構造異常(石灰化含む) 
  15 Dandy‒Walker奇形とその異型 
  16 脳瘤 
  17 全前脳胞症 
  18 無水脳症 
  19 水頭症 
  20 頭蓋内出血 
  21 大頭症 
  22 脊髄髄膜瘤 
  23 小頭症 
  24 孔脳症 
  25 Galen静脈瘤 
 B 頭蓋顔面
  26 口唇裂/口蓋裂 
  27 片側顔面萎縮 
  28 眼間開離,眼間狭小 
  29 巨舌症 
  30 小顎症 
  31 小眼球症,無眼球症 
 C 頸部
  32 先天性上気道閉塞症候群 
  33 妊娠第1三半期の囊胞性ヒグローマ 
  34 妊娠第3三半期のリンパ管奇形 
  35 甲状腺腫 
 D 胸部
  36 肺分画症 
  37 先天性肺気道奇形 
  38 その他の胸部囊胞性病変 
  39 先天性横隔膜ヘルニア 
  40 胸水症 
  41 肺無形成症 
  42 食道閉鎖と気管食道瘻 
 E 心・大血管
  43 胎児不整脈 
  44 心房中隔欠損 
  45 心室中隔欠損 
  46 房室中隔欠損 
  47 Ebstein病 
  48 右室低形成 
  49 左心低形成症候群 
  50 肺動脈狭窄と肺動脈閉鎖 
  51 大動脈狭窄症 
  52 大動脈縮窄症 
  53 Fallot四徴症 
  54 両大血管右室起始症 
  55 総動脈幹 
  56 大血管転位 
  57 内臓錯位症候群 
  58 心筋症 
  59 心臓内腫瘍  
 F 腹壁異常
  60 心臓逸脱症,Cantrell五徴症 
  61 体茎の異常 
  62 臍帯ヘルニア 
  63 腹壁破裂 
  64 総排泄腔外反,膀胱外反 
 G 消化器
  65 腹部の囊胞性病変 
  66 総胆管囊胞 
  67 卵巣囊胞 
  68 腹腔内石灰化 
  69 幽門閉鎖と狭窄 
  70 十二指腸閉鎖と狭窄 
  71 腸管閉鎖 
  72 ヒルシュスプルング病 
  73 直腸肛門奇形(鎖肛) 
  74 プルーンベリー症候群 
 H 泌尿・生殖器
  75 エコー源性腎 
  76 多囊胞性異形成腎 
  77 多発性囊胞腎 
  78 水腎症:軽度 
  79 水腎症:腎盂尿管移行部通過障害 
  80 水腎症:膀胱出口部閉塞 
  81 水腎症:異所性尿管瘤 
  82 外性器異常 
  83 腎無発生 
  84 人魚体 
 I 骨格
  85 2型コラーゲン異常症 
  86 繊毛異常症(Jeune呼吸不全性胸郭異形成症,短肋骨多指症候群,Ellis‒van Creveld症候群) 
  87 硫酸化障害グループ(軟骨無発生症1B型,骨発生不全症2型,捻曲性骨異形成症) 
  88 軟骨無形成症 
  89 タナトフォリック骨異形成症 
  90 骨形成不全症 
  91 低ホスファターゼ症
 J 四肢
  92 羊膜索症候群 
  93 関節拘縮症 
  94 弯指症 
  95 欠指症 
  96 多指症 
  97 合指症 
  98 橈骨欠損症 
  99 内反足 
 K 臍帯
  100 単一臍帯動脈 
 L 腫瘍
  101 頸部の腫瘍性病変・腫瘤性病変 
  102 肝臓の腫瘍性病変 
  103 腎臓の腫瘍性病変 
  104 副腎の腫瘍性病変 
  105 眼球の腫瘍性病変 
  106 仙尾部の腫瘍性病変 
 M 多胎妊娠
  107 双胎における先天異常 
  108 双胎一児死亡 
  109 双胎間輸血症候群および関連疾患 
  110 TRAPシークエンス 
  111 結合双胎 
  112 一羊膜性双胎 
 N 成長障害
  113 胎児発育不全 
  114 胎児の過剰発育 
 O 羊水
  115 羊水過少症 
  116 羊水過多症 
 P 胎児水腫
  117 胎児水腫 
 Q 筋疾患
  118 筋強直性ジストロフィー 

Ⅲ 胎児染色体異常の管理 
  119 13トリソミー症候群 
  120 18トリソミー症候群 
  121 21トリソミー(Down症候群) 
  122 三倍体 
  123 他の染色体数的異常 
  124 Turner症候群(45,X) 
  125 47,XXY核型(Klinefelter症候群) 
  126 47,XXX核型(トリプルX症候群) 
  127 47,XYY核型 
  128 22q11.2欠失(DiGeorge症候群) 
  129 22q11.2以外の微細欠失重複症候群 

column
 日本での出生前診断の歴史 
 胎児と超音波断層法 
 日本の先天異常モニタリング 
 配偶子の染色体─卵子と精子の違い 

索引
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