南山堂

カートを見る

カテゴリー: 産婦人科学  |  臨床看護学

立ち読み
注文数:

在庫あり

電子書籍はこちら

電子書籍はこちら

医師のための乳児栄養Q&A

1版

坂出市立病院産婦人科 部長/
産婦人科医・国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)
戸田 千 著

定価

3,520(本体 3,200円 +税10%)


  • A5判  242頁
  • 2024年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-33661-5

根拠に基づいた乳児栄養の情報を,たっぷりまとめました

産後の女性と赤ちゃんを支えるためには,医療従事者が正確な情報を提供することが必要不可欠です.
そこで本書では,産婦人科医でありIBCLC(国際認定ラクテーション・コンサルタント)である著者が,医療従事者が知っておきたい科学的根拠に基づいた乳児栄養の情報を,インフォグラフィックも交えてたっぷりまとめました.乳腺炎,授乳姿勢,補足など,特に重要な話題を取り上げ,最新のエビデンスも盛り込みながら解説しています.
産婦人科医,小児科医はもちろん,助産師,看護師,保健師など,産後の女性と接する機会のあるすべての医療従事者に手に取ってほしい一冊です.

  • 序文
  • 目次
序文
 乳児栄養の本を手に取ってくださってありがとうございます.
 私は国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)・産婦人科専門医です.IBCLC とは予防的なヘルスケアに焦点を当て,女性たちが赤ちゃんの育児で困ったときにセルフケアができるように問題解決の方法を示して意志決定できるよう支援し,楽に生活することを目指す乳児栄養(特に母乳育児)の専門家です.
 母子の健康のためにWHO/UNICEF は多くの科学的根拠から,可能ならば生後6ヵ月は母乳だけで赤ちゃんを育てることなどを推奨しています.母乳育児とは単なる本能行動ではなくて,適切な方法を学んで練習して習得する行動でもあります.母乳育児支援の教科書も,英語ばかりでなくて最近は日本語も増えてきました.今までは赤ちゃんを中心とした内容がほとんどでしたので,この本では育児する女性たちが自己効力感を感じながら育児する立場を重視しました.母子のペアに起きる問題では主体を母と記し,それ以外の場面では「女性」と記しています.乳児栄養のグローバルスタンダードは母乳育児です.母子の人権を尊重しながら,母乳育児を希望した女性が赤ちゃんを育てるのに役立つ知識・技術や手段を示しています.
 タイトルに「医師のための」を冠したのは,楽な母乳育児(一滴飲めば母乳育児です)を目指していくのに医師の参加が不可欠だからです.
 分娩前後の数日間の過ごし方で出る母乳の量は大きく変わります.赤ちゃんの栄養不足は避けなければなりませんから,母子の快適さを保ちながら過不足ない母乳の量を得るために産後すぐのケアは重要です.医師が母子の乳児栄養に詳しくなれば産院など施設全体で共有する知識のアップデートや,産後の生活に影響するクリティカルパスなどシステム運営のパラダイムシフトにつながることでしょう.もちろん実質的な読者として女性を診療するすべての科と,産後ケアに関わるIBCLC をはじめとしたすべての職種を想定しています.
 乳児用調整乳(粉ミルクや液体ミルク)を使用する際の支援には科学的根拠が少ないので,ミルクを使う場合には一例一例をどう観察して評価・支援していくかの視点から記しています.
 インターネットの普及で,夜間に授乳しながら会話できるようになり,自分の推しと会話できる機会が生まれましたが,同時に不適切な情報がまるで王道であるかのように伝えられることも増えています.そこで,女性たちがどのような情報をインターネットから得ているかも示しました.
 乳児栄養は母乳で育てるかミルクで育てるかという「物の話」だけではないです.女性たちがどのようにわが子と関わっていくかの,最初の大切な一歩を経験する機会でもあります.女性たちが自分の選んだ栄養法で,自信をもって楽な育児ができれば母子の笑顔が増えます.
 
 この本の制作に当たって,IBCLC・小児科医の石井真美さんを初めとして,ここに書き切れない多くのIBCLC などの友人たちが内容や伝え方を吟味してくれました.さらに,南山堂の小池さんを初めとした編集者の皆さまからはこの本のために沢山の愛情を注いでいただきました.母子の笑顔を守るために関わってくださったすべての方,そして母乳外来などで出会った母子の皆さまに心より感謝します.

2024年3月
戸田 千
目次
第 1 章 乳腺炎~経験則と科学的根拠のはざま~
 1 お宮参りで乳腺炎?
 2 お正月休みに乳腺炎になったら?
 3 乳腺炎のときの病院受診のタイミングは?
 4 授乳中の薬は?
 5 母乳が出すぎてつらいです
 6 乳腺炎の適切なケアをスタッフ間で共有するために

第 2 章 授乳姿勢~解剖学と生理学の応用~
授乳姿勢・赤ちゃんの吸着の章を読むときのご提案
すぐに役立つ具体的で簡単な支援方法
 1 白斑ができて痛い!
 2 授乳の痛みは仕方ないの?
 3 授乳回数を減らすコツは?
 4 おっぱいがカチカチになってしまう
 5 乳腺炎を早く治すための授乳姿勢は?
適切な授乳姿勢とは?
 6 楽な授乳はどんな姿勢?
 7 楽な授乳方法を動画で見たいです
授乳を楽にするパラダイムシフトのために
 8 授乳姿勢と吸着でどんな問題が解決しますか?
 9 授乳姿勢や吸着に関する参考文献は?

第 3 章 乳児の栄養不足を考える~母乳は受注生産~
 1 赤ちゃんが泣くのは,母乳が足りないから?
 2 母乳と睡眠にはどんな関係がある?
 3 母乳が足りているのか不安です
 4 科学的根拠に基づいた補足の方法
 5 産後の入院中に母乳育児を楽にする支援のコツ
 6 飲み終わっても泣くのは,母乳が足りないから?
 7 混合栄養です.人工乳の減らし方は?
 8 どうして母乳育児を支援するのか?
 9 ミルクの調乳方法は?

第 4 章 赤ちゃんとの生活を楽にするために
 1 生活の問題? 医学的な問題?
 2 赤ちゃんが泣きやまないんです
 3 母乳や人工乳が足りないのですか?
 4 授乳が痛いです
 5 寝不足がつらいです
 6 こんなはずではなかったです

乳児栄養がわかるインフォグラフィック
 「赤ちゃんが泣きやまないんです」と言われたら
 「母乳が足りないのですか?」と聞かれたら その1
 「母乳が足りないのですか?」と聞かれたら その2
 「授乳が痛いです」と言われたら
 「寝不足がつらいです」と言われたら
 「産む前に知っておくといいことはありますか?」と聞かれたら
 家族や周りの人にも伝えておきたい情報 母乳育児の利点編
 家族や周りの人にも伝えておきたい情報 母乳育児の仕組み編

索 引
カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む