あたらしい美容皮膚科学
1版
日本美容皮膚科学会 監修
クイーンズスクエアメディカルセンター皮膚科 部長 尾見徳弥 編
みやた形成外科・皮ふクリニック 院長 宮田成章 編
静岡社会健康医学大学院大学 学長・理事長 宮地良樹 編
大阪医科薬科大学 教授 森脇真一 編
定価
19,800円(本体 18,000円 +税10%)
- B5判 510頁
- 2022年9月 発行
- ISBN 978-4-525-34151-0
皮膚科学に基づいた確かな治療のために
日本美容皮膚科学会監修のもと「美容皮膚科プラクティス」「美容皮膚科学」改訂2版と続き,「あたらしい美容皮膚科学」として生まれ変わった「美容皮膚科学」の決定版.
美容皮膚科をはじめるにあたり大事なのは,皮膚科の知識を十分に有した上で,美容皮膚科領域の手技をよく理解し,適切な治療法を選択することである.
そこで本書では美容皮膚科を学ぶために知るべき皮膚の構造,機能や免疫などの基礎知識から,メスを使わない美容皮膚科治療について疾患や症状ごとに多くの写真を用いて解説している.
これから美容皮膚科をはじめる方にもさらにスキルアップしたい方にも最適な1冊となっている.
- 序文
- 目次
序文
本書は,1999年に刊行された日本美容皮膚科学会監修の「美容皮膚科プラクティス」(漆畑 修・宮地良樹・本田光芳 編集)の流れをくむ美容皮膚科学の定番教科書の最新版で,2005年と2009年(改訂2版)に刊行された「美容皮膚科学」(宮地良樹・松永佳世子・古川福実・宇津木龍一 編集)を今回新たな編者を迎えて全面改訂し,書名も「あたらしい美容皮膚科学」と改めたものである.
従来美容はメイクアップとヘアスタイリングなどの化粧領域が主流であったが,美容外科の確立とともにメスを使う施術が可能となり,さらにメスを使わない注入療法も誕生した.しかし,当時の手術療法は形成外科の中でも特殊な領域とされ,注入療法もアレルギーや肉芽腫形成などの負の遺産もあり,さほどの普及を見なかった.
1990年代に入ると選択的光熱融解理論に基づくレーザーが格段の進歩を遂げ,機器を使わない美容皮膚科領域が一気に拡大した.その後の各種エネルギーデバイスの驚異的な発展は目を見張るばかりで,いまやメスを使わない施術が美容皮膚科の主流となったといっても過言ではない.
本書の初版が刊行された1999年は,まさにこのような美容皮膚科の発展と変容を受けて,正統派美容皮膚科学復権の必要性が叫ばれた時期に符合する.日本美容皮膚科学会は,1987年に安田利顕東邦大学名誉教授(元日本皮膚科学会理事長)が立ち上げられた日本美容皮膚科研究会を前身に,1994年に改組されて誕生したが,その背景にも皮膚科医が美容皮膚科学に真摯に対峙すべきという機運が醸成していたことがあげられる.その後,日本皮膚科学会皮膚科専門医の二階部分として美容皮膚科・レーザー指導専門医制度も誕生した.その意味で,本書はわが国における美容皮膚科学と歩みをともにしながら,理論的支柱としてその発展に大きく寄与してきたと自負している.
今回の大改訂では美容皮膚科学の急速な発展という現況を踏まえて,基礎から臨床まで最先端の知見をすべて反映できるように,編者陣容と執筆者を変更することで内容を一新した.基礎領域では従来の解剖と生理に加えて進歩の著しい免疫学やメラニン学の新しい知識を加えるとともに,美容皮膚科臨床に必須な顔面の解剖(血管神経走向や支持靱帯など)も詳述した.さらに昨今の美容皮膚科を巡るトラブルを勘案して法律的な知識についても一章を割いた.また各種機器解説では,診断に必要な画像解析機器・ダーモスコピー,治療に使用される各種デバイスの最新の情報も満載した.スキンケアについても,日本香粧品学会が策定した化粧品機能評価法ガイドラインを念頭に,機能性化粧品についても論じていただいた.またアンチエイジングの視点から注目を浴びている再生医療にも触れるとともに,赤ら顔,くすみ,脱毛,さらには部分痩身にまで言及した.
このように本書は美容皮膚科の最前線を担う美容皮膚科医に必要にして十分な最新の知識とスキルを一冊にまとめたもので,まさに定番教科書として時宜を得たものと確信している.美容皮膚科に従事するすべての臨床医にとって本書が真に役立つ教科書として機能することを願ってやまない.私事ながら,1999年の初版以来20年以上にわたって本書の編集に携わってきたが,おそらく今回が私にとって最後の改訂作業になると思われる.本書がわが国における美容皮膚科学のバイブルとしてさらに改訂を重ね,美容皮膚科学の金字塔となることを心から祈念して序文の言葉に代えたい.
2022年盛夏
編者を代表して 宮地良樹
従来美容はメイクアップとヘアスタイリングなどの化粧領域が主流であったが,美容外科の確立とともにメスを使う施術が可能となり,さらにメスを使わない注入療法も誕生した.しかし,当時の手術療法は形成外科の中でも特殊な領域とされ,注入療法もアレルギーや肉芽腫形成などの負の遺産もあり,さほどの普及を見なかった.
1990年代に入ると選択的光熱融解理論に基づくレーザーが格段の進歩を遂げ,機器を使わない美容皮膚科領域が一気に拡大した.その後の各種エネルギーデバイスの驚異的な発展は目を見張るばかりで,いまやメスを使わない施術が美容皮膚科の主流となったといっても過言ではない.
本書の初版が刊行された1999年は,まさにこのような美容皮膚科の発展と変容を受けて,正統派美容皮膚科学復権の必要性が叫ばれた時期に符合する.日本美容皮膚科学会は,1987年に安田利顕東邦大学名誉教授(元日本皮膚科学会理事長)が立ち上げられた日本美容皮膚科研究会を前身に,1994年に改組されて誕生したが,その背景にも皮膚科医が美容皮膚科学に真摯に対峙すべきという機運が醸成していたことがあげられる.その後,日本皮膚科学会皮膚科専門医の二階部分として美容皮膚科・レーザー指導専門医制度も誕生した.その意味で,本書はわが国における美容皮膚科学と歩みをともにしながら,理論的支柱としてその発展に大きく寄与してきたと自負している.
今回の大改訂では美容皮膚科学の急速な発展という現況を踏まえて,基礎から臨床まで最先端の知見をすべて反映できるように,編者陣容と執筆者を変更することで内容を一新した.基礎領域では従来の解剖と生理に加えて進歩の著しい免疫学やメラニン学の新しい知識を加えるとともに,美容皮膚科臨床に必須な顔面の解剖(血管神経走向や支持靱帯など)も詳述した.さらに昨今の美容皮膚科を巡るトラブルを勘案して法律的な知識についても一章を割いた.また各種機器解説では,診断に必要な画像解析機器・ダーモスコピー,治療に使用される各種デバイスの最新の情報も満載した.スキンケアについても,日本香粧品学会が策定した化粧品機能評価法ガイドラインを念頭に,機能性化粧品についても論じていただいた.またアンチエイジングの視点から注目を浴びている再生医療にも触れるとともに,赤ら顔,くすみ,脱毛,さらには部分痩身にまで言及した.
このように本書は美容皮膚科の最前線を担う美容皮膚科医に必要にして十分な最新の知識とスキルを一冊にまとめたもので,まさに定番教科書として時宜を得たものと確信している.美容皮膚科に従事するすべての臨床医にとって本書が真に役立つ教科書として機能することを願ってやまない.私事ながら,1999年の初版以来20年以上にわたって本書の編集に携わってきたが,おそらく今回が私にとって最後の改訂作業になると思われる.本書がわが国における美容皮膚科学のバイブルとしてさらに改訂を重ね,美容皮膚科学の金字塔となることを心から祈念して序文の言葉に代えたい.
2022年盛夏
編者を代表して 宮地良樹
目次
目 次
総論Ⅰ 美容皮膚科の現況と動向
1.機器を使った美容皮膚科学:現況と動向
2.機器を使わない美容皮膚科学:現況と動向
内科分野の発展としてみた美容皮膚科―美容外科から美容皮膚科そしてホームケア
総論Ⅱ 美容皮膚科を学ぶための基礎知識
3.美容皮膚科を学ぶために知るべき皮膚の構造
4.美容皮膚科を学ぶために知るべき皮膚バリアの形成機構
5.美容皮膚科学を学ぶために知るべき皮膚の免疫
6.美容皮膚科を学ぶために知るべきメラニン学
7.美容皮膚科を学ぶために知るべき顔面の解剖
8.顔面の加齢による変化
A.表皮・真皮(光老化を含めて)
B.皮下・表情筋・骨など
9.美容医療におけるリスクとマネージメント−訴訟の事案を鑑みて−
10.美容皮膚科をめぐる法律の知識
総論Ⅲ 美容皮膚科に用いる機器・香粧品の基礎知識
11.美容皮膚科医療に必要な麻酔の知識
12.レーザー
13.IPL
14.高周波
15.超音波
16.イオン導入とエレクトロポレーション
17.注入療法の基礎知識と歴史
18.美容皮膚科診断
A.ダーモスコピー
B.画像解析
19.香粧品とは
20.化粧品開発における皮膚計測法
21.化粧品の安全性
22.スキンケアの実践―乾燥皮膚と脂性肌
A.保湿剤の使い方
B.サンスクリーン剤の使い方
C.美白剤の使い方
各論Ⅰ メスを使わない美容皮膚科治療
23.血管腫などの血管異常
24.メラニン色素性疾患
A.老人性色素斑(日光黒子),雀卵斑
B.扁平母斑
C.肝 斑
D.太田母斑と後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
25.色素性母斑
A.悪性腫瘍との鑑別
B.メスを使わない色素性母斑の治療
26.顔面の小腫瘤
27.白斑の外科治療(表皮移植法)
28.刺青除去
29.多毛症の治療
30.瘢痕・ケロイド
A.瘢痕・肥厚性瘢痕・ケロイドの発生機序と治療
B.線状・痤瘡後瘢痕に対するレーザー治療
31.シワ
A.ボツリヌストキシン
B.フィラー(皮膚充填剤)
C.レーザー:フラクショナルレーザー/Nd:YAGレーザーなど
32.たるみ
A.高周波・HIFU
B.スレッドリフト
33.くすみ
34.部分痩身
A.冷却装置
B.レーザー
C.HIFU機器による痩身―LIPOcelⅡ―
35.美容医療におけるPRPの応用
36.ピアッシング
37.多汗・腋窩多汗症
A.イオントフォレーシス,抗コリン薬
B.ボツリヌストキシン製剤およびマイクロ波装置による多汗症,腋臭症治療
38.尋常性痤瘡
A.痤瘡治療における薬物療法
B.尋常性痤瘡の理学療法
39.赤ら顔・酒皶
40.脱毛症(育毛)
41.肌理や質感の改善
A.化粧品,外用剤
B.ケミカルピーリング
C.イオン導入・エレクトロポレーション
D.メソセラピー
E.美容鍼・マイクロニードル
各論Ⅱ 香粧品の基礎知識
42.スキンケア化粧品
A.保湿剤
B.コメド用化粧品
C.紫外線防止化粧品
43.機能性化粧品
44.メークアップ香粧品
45.ヘアケア香粧品
A.シャンプー,コンディショナー
B.整髪剤
C.パーマネント・ウェーブ剤
D.染毛剤・染毛料
E.育毛剤
46.ボディケア香粧品
A.体臭防止,制汗・デオドラント剤
B.入浴剤
47.男性用化粧品
48.フレグランス化粧品
49.オーラルケア香粧品
50.サプリメント
A.法的規制,食品との位置づけ
B.ビタミン,ミネラル,ハーブ,抗酸化剤
索 引
総論Ⅰ 美容皮膚科の現況と動向
1.機器を使った美容皮膚科学:現況と動向
2.機器を使わない美容皮膚科学:現況と動向
内科分野の発展としてみた美容皮膚科―美容外科から美容皮膚科そしてホームケア
総論Ⅱ 美容皮膚科を学ぶための基礎知識
3.美容皮膚科を学ぶために知るべき皮膚の構造
4.美容皮膚科を学ぶために知るべき皮膚バリアの形成機構
5.美容皮膚科学を学ぶために知るべき皮膚の免疫
6.美容皮膚科を学ぶために知るべきメラニン学
7.美容皮膚科を学ぶために知るべき顔面の解剖
8.顔面の加齢による変化
A.表皮・真皮(光老化を含めて)
B.皮下・表情筋・骨など
9.美容医療におけるリスクとマネージメント−訴訟の事案を鑑みて−
10.美容皮膚科をめぐる法律の知識
総論Ⅲ 美容皮膚科に用いる機器・香粧品の基礎知識
11.美容皮膚科医療に必要な麻酔の知識
12.レーザー
13.IPL
14.高周波
15.超音波
16.イオン導入とエレクトロポレーション
17.注入療法の基礎知識と歴史
18.美容皮膚科診断
A.ダーモスコピー
B.画像解析
19.香粧品とは
20.化粧品開発における皮膚計測法
21.化粧品の安全性
22.スキンケアの実践―乾燥皮膚と脂性肌
A.保湿剤の使い方
B.サンスクリーン剤の使い方
C.美白剤の使い方
各論Ⅰ メスを使わない美容皮膚科治療
23.血管腫などの血管異常
24.メラニン色素性疾患
A.老人性色素斑(日光黒子),雀卵斑
B.扁平母斑
C.肝 斑
D.太田母斑と後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
25.色素性母斑
A.悪性腫瘍との鑑別
B.メスを使わない色素性母斑の治療
26.顔面の小腫瘤
27.白斑の外科治療(表皮移植法)
28.刺青除去
29.多毛症の治療
30.瘢痕・ケロイド
A.瘢痕・肥厚性瘢痕・ケロイドの発生機序と治療
B.線状・痤瘡後瘢痕に対するレーザー治療
31.シワ
A.ボツリヌストキシン
B.フィラー(皮膚充填剤)
C.レーザー:フラクショナルレーザー/Nd:YAGレーザーなど
32.たるみ
A.高周波・HIFU
B.スレッドリフト
33.くすみ
34.部分痩身
A.冷却装置
B.レーザー
C.HIFU機器による痩身―LIPOcelⅡ―
35.美容医療におけるPRPの応用
36.ピアッシング
37.多汗・腋窩多汗症
A.イオントフォレーシス,抗コリン薬
B.ボツリヌストキシン製剤およびマイクロ波装置による多汗症,腋臭症治療
38.尋常性痤瘡
A.痤瘡治療における薬物療法
B.尋常性痤瘡の理学療法
39.赤ら顔・酒皶
40.脱毛症(育毛)
41.肌理や質感の改善
A.化粧品,外用剤
B.ケミカルピーリング
C.イオン導入・エレクトロポレーション
D.メソセラピー
E.美容鍼・マイクロニードル
各論Ⅱ 香粧品の基礎知識
42.スキンケア化粧品
A.保湿剤
B.コメド用化粧品
C.紫外線防止化粧品
43.機能性化粧品
44.メークアップ香粧品
45.ヘアケア香粧品
A.シャンプー,コンディショナー
B.整髪剤
C.パーマネント・ウェーブ剤
D.染毛剤・染毛料
E.育毛剤
46.ボディケア香粧品
A.体臭防止,制汗・デオドラント剤
B.入浴剤
47.男性用化粧品
48.フレグランス化粧品
49.オーラルケア香粧品
50.サプリメント
A.法的規制,食品との位置づけ
B.ビタミン,ミネラル,ハーブ,抗酸化剤
索 引