皮膚をみる人たちのための化粧品知識
1版
日本香粧品学会 編
定価
3,300円(本体 3,000円 +税10%)
- B5判 228頁
- 2022年6月 発行
- ISBN 978-4-525-34161-9
化粧品について,もっと知りたくありませんか?
<内容>
化粧品はメイクアップ製品やスキンケア製品のみならず,誰もが毎日使うシャンプーや石けんなども幅広く含む身近な存在です.本書では,多岐にわたる化粧品の種類や作用,安全性や肌トラブルへの化粧指導など,化粧品について知ってほしい知識をまとめました.
<特徴>
・スキンケア製品からフレグランス製品まで化粧品全般の正しい知識が学べる書籍.
・皮膚科医だけではなく,化粧品技術者,香粧品を学ぶ学生にもお勧め.
- 推薦のことば
- 序文
- 目次
推薦のことば
化粧は人が社会性を持ち始めた旧石器時代から行われてきたと考えられている.主に美的承認を得るための社会的表現であり,現代社会では,ほぼすべての女性は化粧をし,男性も化粧に無縁ではなくなった.化粧品は,古くは毒性により健康被害を出したり,皮膚障害をきたしたりしたものもあったが,配合可能な成分・不可能な成分などを明示した規制や安全性評価に関する指針の整備,製品販売後の品質管理基準の設定などにより,安全性は飛躍的に改善したといえる.私が医学生の頃,皮膚科の教科書に記載されていた化粧品接触皮膚炎によって引き起こされるリール黒皮症は,今ではほとんど見ることがない.化粧品には美しく見せるためのメイクアップ化粧品のみならず,洗浄・整肌・保護保湿を目的としたスキンケア化粧品,入浴剤,制汗剤などのボディケア化粧品,ヘアケア化粧品,歯みがきなどのオーラルケア化粧品,香水・オーデコロンなどのフレグランス化粧料と多岐にわたるものが含まれる.さらに一歩進んで,しみ,しわなど望ましくない皮膚の変化を改善させることをめざす製品が新規に開発されている.
皮膚をみる人,特に皮膚を扱う職業の人にとって,化粧品の皮膚へ及ぼす良い影響,悪い影響ともに無縁ではいられない.日本香粧品学会は,化粧品業界,皮膚科医,薬学研究者,官庁をつなぐ他職種からなる異色の学会であり,業種を超えて連携することにより化粧品の機能と安全性を担保するために尽力してきた.本書は,学会の機関誌である日本香粧品学会誌に3年間にわたり連載された教育シリーズを書籍化したものである.
各種化粧品に関する知識はもちろんのこと,化粧の心理学的効果,安全性に関すること,皮膚疾患における化粧などにも踏み込み,皮膚科や美容系の医師,看護師,薬剤師などの医療関係者のみならず,美容師,メイクアップアーティスト,エステティシャンなど,化粧や美容に関わる職種にとっても有用な内容となっている.これらの「皮膚をみる人」に,現代の化粧品の知識を提供する必携の書といえる.
わが国では美容皮膚科学の書籍は散見されるが,化粧品の基礎知識を広く解説する書籍はほとんどない.シリーズを企画立案された平尾哲二 編集委員長,ならびに,分担著者に敬意を表したい.本書によって日々進歩を遂げている化粧品の正しい知識をもって皮膚をみる人が増え,国民が美しく健康な皮膚を保つことに少しでもつながれば幸いである.
2022年5月
日本香粧品学会 理事長
石河 晃
皮膚をみる人,特に皮膚を扱う職業の人にとって,化粧品の皮膚へ及ぼす良い影響,悪い影響ともに無縁ではいられない.日本香粧品学会は,化粧品業界,皮膚科医,薬学研究者,官庁をつなぐ他職種からなる異色の学会であり,業種を超えて連携することにより化粧品の機能と安全性を担保するために尽力してきた.本書は,学会の機関誌である日本香粧品学会誌に3年間にわたり連載された教育シリーズを書籍化したものである.
各種化粧品に関する知識はもちろんのこと,化粧の心理学的効果,安全性に関すること,皮膚疾患における化粧などにも踏み込み,皮膚科や美容系の医師,看護師,薬剤師などの医療関係者のみならず,美容師,メイクアップアーティスト,エステティシャンなど,化粧や美容に関わる職種にとっても有用な内容となっている.これらの「皮膚をみる人」に,現代の化粧品の知識を提供する必携の書といえる.
わが国では美容皮膚科学の書籍は散見されるが,化粧品の基礎知識を広く解説する書籍はほとんどない.シリーズを企画立案された平尾哲二 編集委員長,ならびに,分担著者に敬意を表したい.本書によって日々進歩を遂げている化粧品の正しい知識をもって皮膚をみる人が増え,国民が美しく健康な皮膚を保つことに少しでもつながれば幸いである.
2022年5月
日本香粧品学会 理事長
石河 晃
序文
皮膚科医にとって化粧品とは何でしょう.まずはご自身が使う化粧品,毎日洗髪するシャンプー,魅力アップのメイクアップなど,とても身近な存在です.また,化粧品によるトラブルで受診される患者に接し,化粧品成分をチェックしたり,正しく使用されているか問診されることもあるでしょう.一方,アトピー性皮膚炎の寛解維持における保湿スキンケアの有効性など,化粧品の役割についての認識も高まっています.このように,皮膚疾患の診療で多忙な皮膚科医にとって,化粧品に関する正しい知識は必要不可欠であることは言うまでもありません.
日本香粧品学会は,香粧品の有用性と安全性などに関する研究や科学的議論を通じ,美しく健康に過ごす生活を実現することにより社会に貢献しています.皮膚科医,薬学・基礎および業界の研究者が集って切磋琢磨していますが,産官学が集っている強みを生かし,さらに発展していくためのVisionが策定され,さまざまな取り組みが行われています.その一環として,皮膚科医にとってより魅力のある学会を目指し,化粧品に関する理解を深めていただくため,教育シリーズ「皮膚をみる人たちのための化粧品知識」を企画し,日本香粧品学会誌に2018年から2021年まで連載されました.
本書は,化粧の役割,化粧品の種類や機能,法規制,疾患肌との関わりなど広範な内容について,4年間にわたり連載された合計16の記事を編纂したものです.世に溢れている化粧品の多様な特徴には言及しませんが,各領域のエキスパートから解説いただきました.平易でわかりやすい内容もある一方で,かなり専門的な内容もあり,レベルは必ずしも統一されてはいませんが,これを一冊の本として出版することにより,より多くの方に届けられ参照しやすくなることでしょう.何となくわかっていることを復習しつつ,正しい知識を身につけて日常診療に役立てていただくことを願ってやみません.もちろん,皮膚科医だけでなく,皮膚を診る(見る)パラメディカルや,皮膚を対象とする研究者,化粧品技術者,これから化粧品について学ぶ学生にも役立つことを願っています.
本シリーズの企画は,日本香粧品学会編集委員会にて長く議論され,連載開始に至りました.連載前の検討においてリーダーシップを発揮された中川晋作 前編集委員長に敬意を表します.また,何よりもそれぞれの記事を執筆いただいた先生方のご尽力に感謝申し上げます.連載中にも記事の追加や確認などの検討は,編集委員会で議論しながら進めてきました.特に,本書の出版企画は,編集委員会の中に単行本化ワーキンググループを設けて検討を重ねてきました.そのメンバーとして活動いただいた石川准子 氏,大田正弘 氏,南野美紀 氏,事務局 岡村智恵子 氏のご尽力にも深謝いたします.最後に,本書の発刊にあたり労をお取りいただいた南山堂 編集部の大城梨絵子 氏にも厚くお礼を申し上げます.
2022年5月
日本香粧品学会 編集委員長
平尾哲二
日本香粧品学会は,香粧品の有用性と安全性などに関する研究や科学的議論を通じ,美しく健康に過ごす生活を実現することにより社会に貢献しています.皮膚科医,薬学・基礎および業界の研究者が集って切磋琢磨していますが,産官学が集っている強みを生かし,さらに発展していくためのVisionが策定され,さまざまな取り組みが行われています.その一環として,皮膚科医にとってより魅力のある学会を目指し,化粧品に関する理解を深めていただくため,教育シリーズ「皮膚をみる人たちのための化粧品知識」を企画し,日本香粧品学会誌に2018年から2021年まで連載されました.
本書は,化粧の役割,化粧品の種類や機能,法規制,疾患肌との関わりなど広範な内容について,4年間にわたり連載された合計16の記事を編纂したものです.世に溢れている化粧品の多様な特徴には言及しませんが,各領域のエキスパートから解説いただきました.平易でわかりやすい内容もある一方で,かなり専門的な内容もあり,レベルは必ずしも統一されてはいませんが,これを一冊の本として出版することにより,より多くの方に届けられ参照しやすくなることでしょう.何となくわかっていることを復習しつつ,正しい知識を身につけて日常診療に役立てていただくことを願ってやみません.もちろん,皮膚科医だけでなく,皮膚を診る(見る)パラメディカルや,皮膚を対象とする研究者,化粧品技術者,これから化粧品について学ぶ学生にも役立つことを願っています.
本シリーズの企画は,日本香粧品学会編集委員会にて長く議論され,連載開始に至りました.連載前の検討においてリーダーシップを発揮された中川晋作 前編集委員長に敬意を表します.また,何よりもそれぞれの記事を執筆いただいた先生方のご尽力に感謝申し上げます.連載中にも記事の追加や確認などの検討は,編集委員会で議論しながら進めてきました.特に,本書の出版企画は,編集委員会の中に単行本化ワーキンググループを設けて検討を重ねてきました.そのメンバーとして活動いただいた石川准子 氏,大田正弘 氏,南野美紀 氏,事務局 岡村智恵子 氏のご尽力にも深謝いたします.最後に,本書の発刊にあたり労をお取りいただいた南山堂 編集部の大城梨絵子 氏にも厚くお礼を申し上げます.
2022年5月
日本香粧品学会 編集委員長
平尾哲二
目次
○Prologue
1 化粧品および薬用化粧品にまつわる法規制
1.医薬品医療機器等法における化粧品等とは
2.製造業と製造販売業
3.副作用報告制度
4.グローバルにおける化粧品規制
○Section 1 化粧品の種類
2 化粧品の種類と使い方―スキンケア化粧品―
1.化粧品の分類方法と使用手順
2.スキンケア化粧品の種類と使い方
3.機能による化粧品の分類と使い方
3 洗浄料とその作用
1.身体の洗浄
2.スキンケア洗浄料
3.ボディケア洗浄料
4.ヘアケア洗浄料
4 保湿化粧品とその作用
1.角層の水分保持機能
2.保湿のメカニズム
3.保湿機能の評価方法
4.保湿成分
5.保湿化粧品の種類および製剤
6.保湿と使用感
5 遮光製品(サンスクリーン)とその作用
1.紫外線防御性能の測定方法と表示
2.紫外線防御剤の特徴
3.サンスクリーン製剤の特徴
4.サンスクリーンのUV防御効果の測定手法
5.サンスクリーンの作用
6 美白製品とその作用
1.美白製品の定義
2.色素沈着のメカニズム
3.美白有効成分の作用メカニズム
7 しわ形成メカニズムと抗シワ製品
1.しわ形成機序
2.外用によるしわ改善
8 メイクアップ製品
1.メイクアップ製品の分類と使用順序
2.メイクアップ製品に使用される代表的な成分
3.メイクアップ製品の種類と使用方法
9 頭髪用製品とその作用
1.整髪料(スタイリング剤)
2.パーマ剤とカーリング料
3.ヘアカラーリング剤
4.育毛剤
10 フレグランス製品
1.香粧品(フレグランス)と香りの歴史
2.香料の分類と構成
3.調合香料の開発
4.創香へのアプローチ
5.フレグランスの香調と分類
6.フレグランスの応用開発「機能性香料について」
7.フレグランス香料の安全性
8.フレグランスの今後
○Section 2 化粧心理
11 人はなぜ化粧をするのか
1.化粧とは何か
2.日本の化粧文化史
3.現代の化粧の構造
12 化粧する心のサイエンス―心と肌に響く化粧の研究―
1.化粧と心理的有用性
2.化粧による快・美・効果感を測る方法
3.化粧の心理学研究のこれから
○Section 3 化粧品の安全
13 化粧品の安全性の保証
1.化粧品の安全性評価の3段階
2.化粧品の安全性に関わる規制
3.化粧品の安全性評価ガイダンス
4.製品での安全性保証
5.製造販売後安全管理
6.安全性評価上の課題
14 化粧品が原因の皮膚トラブルの見分け方
1.臨床症状(刺激性・アレルギー性接触皮膚炎,脱色素斑,即時型アレルギー)
2.代表的な化粧品による皮膚トラブル事例:発症部位・臨床症状別
3.検査〔PT(成分パッチテスト),SPT(化粧品関連),ROAT〕
4.皮膚安全性症例情報収集ネット(Skin Safety Case Information Network:SSCI-Net)
○Section 4 疾患肌と化粧品
15 病的皮膚への化粧指導
1.皮膚疾患
2.内臓疾患
3.年齢変化
4.コロナ禍での病的皮膚
16 カバー用化粧品の種類と使い方
1.わが国におけるカバーメイクの歴史
2.医療におけるカバーメイクの役割
3.カバー用化粧品の種類と特長
4.使い方
5.カバーメイクに関する情報資源
索 引
1 化粧品および薬用化粧品にまつわる法規制
1.医薬品医療機器等法における化粧品等とは
2.製造業と製造販売業
3.副作用報告制度
4.グローバルにおける化粧品規制
○Section 1 化粧品の種類
2 化粧品の種類と使い方―スキンケア化粧品―
1.化粧品の分類方法と使用手順
2.スキンケア化粧品の種類と使い方
3.機能による化粧品の分類と使い方
3 洗浄料とその作用
1.身体の洗浄
2.スキンケア洗浄料
3.ボディケア洗浄料
4.ヘアケア洗浄料
4 保湿化粧品とその作用
1.角層の水分保持機能
2.保湿のメカニズム
3.保湿機能の評価方法
4.保湿成分
5.保湿化粧品の種類および製剤
6.保湿と使用感
5 遮光製品(サンスクリーン)とその作用
1.紫外線防御性能の測定方法と表示
2.紫外線防御剤の特徴
3.サンスクリーン製剤の特徴
4.サンスクリーンのUV防御効果の測定手法
5.サンスクリーンの作用
6 美白製品とその作用
1.美白製品の定義
2.色素沈着のメカニズム
3.美白有効成分の作用メカニズム
7 しわ形成メカニズムと抗シワ製品
1.しわ形成機序
2.外用によるしわ改善
8 メイクアップ製品
1.メイクアップ製品の分類と使用順序
2.メイクアップ製品に使用される代表的な成分
3.メイクアップ製品の種類と使用方法
9 頭髪用製品とその作用
1.整髪料(スタイリング剤)
2.パーマ剤とカーリング料
3.ヘアカラーリング剤
4.育毛剤
10 フレグランス製品
1.香粧品(フレグランス)と香りの歴史
2.香料の分類と構成
3.調合香料の開発
4.創香へのアプローチ
5.フレグランスの香調と分類
6.フレグランスの応用開発「機能性香料について」
7.フレグランス香料の安全性
8.フレグランスの今後
○Section 2 化粧心理
11 人はなぜ化粧をするのか
1.化粧とは何か
2.日本の化粧文化史
3.現代の化粧の構造
12 化粧する心のサイエンス―心と肌に響く化粧の研究―
1.化粧と心理的有用性
2.化粧による快・美・効果感を測る方法
3.化粧の心理学研究のこれから
○Section 3 化粧品の安全
13 化粧品の安全性の保証
1.化粧品の安全性評価の3段階
2.化粧品の安全性に関わる規制
3.化粧品の安全性評価ガイダンス
4.製品での安全性保証
5.製造販売後安全管理
6.安全性評価上の課題
14 化粧品が原因の皮膚トラブルの見分け方
1.臨床症状(刺激性・アレルギー性接触皮膚炎,脱色素斑,即時型アレルギー)
2.代表的な化粧品による皮膚トラブル事例:発症部位・臨床症状別
3.検査〔PT(成分パッチテスト),SPT(化粧品関連),ROAT〕
4.皮膚安全性症例情報収集ネット(Skin Safety Case Information Network:SSCI-Net)
○Section 4 疾患肌と化粧品
15 病的皮膚への化粧指導
1.皮膚疾患
2.内臓疾患
3.年齢変化
4.コロナ禍での病的皮膚
16 カバー用化粧品の種類と使い方
1.わが国におけるカバーメイクの歴史
2.医療におけるカバーメイクの役割
3.カバー用化粧品の種類と特長
4.使い方
5.カバーメイクに関する情報資源
索 引