症候別漢方治療論
不眠症
1版
横浜薬科大学 教授 石毛 敦 編著
鈴鹿医療科学大学 教授 西村 甲 編著
定価
2,200円(本体 2,000円 +税10%)
- A5判 133頁
- 2014年5月 発行
- ISBN 978-4-525-47051-7
ストレス社会の現代病といわれるほど不眠に悩む人が増えている.本書は,「不眠」に保険適用のある漢方薬を中心に,患者の特徴をカラーのイラストで表し,さらに症例を提示することで,どのような患者にどのような漢方薬を使えばよいかをイメージできるようにまとめた.漢方薬を苦手とする方でも理解しやすい内容となっている!
- 序文
- 目次
序文
不眠症は,ストレス社会である現代において国民病ともいえる疾患の一つである.本書では,その不眠症を取り上げた.薬物治療には睡眠導入薬が用いられるが,睡眠薬は習慣性あるいは急に服用を中止したときの反跳性不眠などを引き起こすことが知られており,また,眠ることができたとしても,必ずしも睡眠の質が向上しない場合もある.このように,不眠症は,量・質ともに改善するのが難しい疾患である.
漢方薬は睡眠導入薬のように眠りに引き込むような作用はほとんど考えられないため,眠りを妨げている原因を解決することにより,結果として眠れるようにする薬と理解されている.そのため,眠りの質を改善させるためには,漢方薬の役割は小さくないものと思われる.本書が,多くの医師・薬剤師の先生方に活用されることを願っている.
最後に,本書は,医療法人養生院 清川病院薬剤科科長 吉野佳代子先生と,横浜薬科大学漢方薬学科漢方薬物学研究室で学んだ学生たちの多大な協力によって生まれたものである.また,渾然とした記述を纏め上げるにあたっては,南山堂編集部の大城梨絵子氏の卓越した能力によるところが多大である.ここに謹んで謝意を表したい.
2014年4月
石毛 敦・西村 甲
漢方薬は睡眠導入薬のように眠りに引き込むような作用はほとんど考えられないため,眠りを妨げている原因を解決することにより,結果として眠れるようにする薬と理解されている.そのため,眠りの質を改善させるためには,漢方薬の役割は小さくないものと思われる.本書が,多くの医師・薬剤師の先生方に活用されることを願っている.
最後に,本書は,医療法人養生院 清川病院薬剤科科長 吉野佳代子先生と,横浜薬科大学漢方薬学科漢方薬物学研究室で学んだ学生たちの多大な協力によって生まれたものである.また,渾然とした記述を纏め上げるにあたっては,南山堂編集部の大城梨絵子氏の卓越した能力によるところが多大である.ここに謹んで謝意を表したい.
2014年4月
石毛 敦・西村 甲
目次
第1章 漢方治療入門
1 西洋医学からみた不眠症
2 不眠症の漢方治療
3 陰陽虚実理論による漢方薬の選択
『気分変調(+)』の処方選択
『気分変調(-)』の処方選択
『イライラ・のぼせ(熱症状)』の処方選択
『イライラ・冷え』の処方選択
『不安』の処方選択
『疲れ』の処方選択
『めまい』の処方選択
『その他』の処方選択
第2章 漢方治療の実際
❖「不眠」の適応がある漢方薬
温経湯
○患者の特徴:虚証で,手のほてり,唇の乾燥,冷えにより下腹部が痛む人
加味帰脾湯
○患者の特徴:虚証で,体力が衰え疲れがあり,顔色が悪く,のぼせていてイライラしている人
帰脾湯
○患者の特徴:貧血気味で胃腸が弱く,うつうつとしており,眠っても何度も起きてしまう人
柴胡桂枝乾姜湯
○患者の特徴:顔色が悪く,疲労倦怠感が強い,動悸,息切れ,盗汗(寝汗)のある神経過敏の人
酸棗仁湯
○患者の特徴:疲れすぎて眠ろうとすると興奮して眠れない人
大柴胡湯
○患者の特徴:実証で,神経質で胸苦しさやみぞおちの張りを訴え,のぼせている便秘気味の人
半夏厚朴湯
○患者の特徴:喉のつまり感がある抑うつ気分を訴える人
抑肝散
○患者の特徴:虚証で神経過敏,興奮しやすく怒りっぽい人
抑肝散加陳皮半夏
○患者の特徴:虚証で胃腸が弱く自律神経失調症,神経過敏で怒りっぽい人
❖「不眠」となる要因を改善する漢方薬
KeyWord『イライラ』+『のぼせ』
温清飲
○患者の特徴:やや虚証,皮膚がカサカサで色つやが悪く,みぞおちのつかえがあるのぼせ症の人
柴胡加竜骨牡蛎湯
○患者の特徴:体力中程度,神経質で驚きやすく,精神不安定,動悸がある人
三黄瀉心湯
○患者の特徴:顔面紅潮して強いのぼせと便秘があり,イライラしている人
三物黄芩湯
○患者の特徴:虚証で,口が渇き貧血気味で,四肢煩熱する人
四逆散
○患者の特徴:体力普通で,神経質でストレスが多く,憂うつ・不安があり,手足の冷えが強い人
桃核承気湯
○患者の特徴:実証で,のぼせと頭痛があり,精神不安定でイライラしている人
KeyWord『イライラ』+『冷え』
加味逍遙散
○患者の特徴:やや虚証で,疲労しやすく,めまい,頭痛などの愁訴が多くイライラ怒りっぽい人
桂枝加竜骨牡蛎湯
○患者の特徴:虚証で,不安感,動悸,夢精などの症状があり,夢をよく見る人
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
○患者の特徴:虚証で,強い冷え,寒冷により腹痛やしもやけが悪化する人
KeyWord『不安』
香蘇散
○患者の特徴:胃腸虚弱で不安,不眠,抑うつ状態を呈する人
KeyWord『疲れ』
小建中湯
○患者の特徴:腹直筋の緊張が強く,腹痛を起こしやすい虚弱で疲労しやすい人
人参湯
○患者の特徴:胃が冷えて食欲がなくみぞおちがつかえ,下痢をしやすい人
KeyWord『めまい』
五苓散
○患者の特徴:口渇がありながら尿が出にくい(尿不利),浮腫やめまいなどの水滞症状と嘔吐などの気逆症状のある人
苓桂朮甘湯
○患者の特徴:不安な気持ちから動揺感があり,動悸,めまいで眠れない人
KeyWord『その他』
牛車腎気丸
○患者の特徴:老化のため夜間頻尿に悩み,熟眠できない人
芍薬甘草湯
○患者の特徴:骨格筋・平滑筋が痙攣して痛みの強い人
竹筎温胆湯
○患者の特徴:かぜが長引き,胃腸機能も衰え,咳き込んで不安で眠れない人
参考文献
付 録 漢方用語解説
医療用漢方製剤を取り扱っている主な製薬会社
索 引
1 西洋医学からみた不眠症
2 不眠症の漢方治療
3 陰陽虚実理論による漢方薬の選択
『気分変調(+)』の処方選択
『気分変調(-)』の処方選択
『イライラ・のぼせ(熱症状)』の処方選択
『イライラ・冷え』の処方選択
『不安』の処方選択
『疲れ』の処方選択
『めまい』の処方選択
『その他』の処方選択
第2章 漢方治療の実際
❖「不眠」の適応がある漢方薬
温経湯
○患者の特徴:虚証で,手のほてり,唇の乾燥,冷えにより下腹部が痛む人
加味帰脾湯
○患者の特徴:虚証で,体力が衰え疲れがあり,顔色が悪く,のぼせていてイライラしている人
帰脾湯
○患者の特徴:貧血気味で胃腸が弱く,うつうつとしており,眠っても何度も起きてしまう人
柴胡桂枝乾姜湯
○患者の特徴:顔色が悪く,疲労倦怠感が強い,動悸,息切れ,盗汗(寝汗)のある神経過敏の人
酸棗仁湯
○患者の特徴:疲れすぎて眠ろうとすると興奮して眠れない人
大柴胡湯
○患者の特徴:実証で,神経質で胸苦しさやみぞおちの張りを訴え,のぼせている便秘気味の人
半夏厚朴湯
○患者の特徴:喉のつまり感がある抑うつ気分を訴える人
抑肝散
○患者の特徴:虚証で神経過敏,興奮しやすく怒りっぽい人
抑肝散加陳皮半夏
○患者の特徴:虚証で胃腸が弱く自律神経失調症,神経過敏で怒りっぽい人
❖「不眠」となる要因を改善する漢方薬
KeyWord『イライラ』+『のぼせ』
温清飲
○患者の特徴:やや虚証,皮膚がカサカサで色つやが悪く,みぞおちのつかえがあるのぼせ症の人
柴胡加竜骨牡蛎湯
○患者の特徴:体力中程度,神経質で驚きやすく,精神不安定,動悸がある人
三黄瀉心湯
○患者の特徴:顔面紅潮して強いのぼせと便秘があり,イライラしている人
三物黄芩湯
○患者の特徴:虚証で,口が渇き貧血気味で,四肢煩熱する人
四逆散
○患者の特徴:体力普通で,神経質でストレスが多く,憂うつ・不安があり,手足の冷えが強い人
桃核承気湯
○患者の特徴:実証で,のぼせと頭痛があり,精神不安定でイライラしている人
KeyWord『イライラ』+『冷え』
加味逍遙散
○患者の特徴:やや虚証で,疲労しやすく,めまい,頭痛などの愁訴が多くイライラ怒りっぽい人
桂枝加竜骨牡蛎湯
○患者の特徴:虚証で,不安感,動悸,夢精などの症状があり,夢をよく見る人
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
○患者の特徴:虚証で,強い冷え,寒冷により腹痛やしもやけが悪化する人
KeyWord『不安』
香蘇散
○患者の特徴:胃腸虚弱で不安,不眠,抑うつ状態を呈する人
KeyWord『疲れ』
小建中湯
○患者の特徴:腹直筋の緊張が強く,腹痛を起こしやすい虚弱で疲労しやすい人
人参湯
○患者の特徴:胃が冷えて食欲がなくみぞおちがつかえ,下痢をしやすい人
KeyWord『めまい』
五苓散
○患者の特徴:口渇がありながら尿が出にくい(尿不利),浮腫やめまいなどの水滞症状と嘔吐などの気逆症状のある人
苓桂朮甘湯
○患者の特徴:不安な気持ちから動揺感があり,動悸,めまいで眠れない人
KeyWord『その他』
牛車腎気丸
○患者の特徴:老化のため夜間頻尿に悩み,熟眠できない人
芍薬甘草湯
○患者の特徴:骨格筋・平滑筋が痙攣して痛みの強い人
竹筎温胆湯
○患者の特徴:かぜが長引き,胃腸機能も衰え,咳き込んで不安で眠れない人
参考文献
付 録 漢方用語解説
医療用漢方製剤を取り扱っている主な製薬会社
索 引