症候別漢方治療論
冷え症
1版
横浜薬科大学 教授 石毛 敦 編著
鈴鹿医療科学大学 教授 西村 甲 編著
定価
2,200円(本体 2,000円 +税10%)
- A5判 133頁
- 2014年5月 発行
- ISBN 978-4-525-47061-6
西洋医学では治療対象とならない「冷え」に男女関係なく悩む人は多い.本書は「冷え」に保険適用のある漢方薬を中心に,患者の特徴をカラーのイラストで表し,さらに症例を提示することで,どのような患者にどのような漢方薬を使えばよいかをイメージできるようにまとめた.漢方薬を苦手とする方でも理解しやすい内容となっている!
- 序文
- 目次
序文
本書では,西洋医学では治療対象とはなりにくい冷え症を取り上げた.西洋薬には温める薬がないため,血管性病変,ホルモン異常など一部の疾患による冷えには対応できるが,自律神経失調などによる冷えには対応できないことが多い.また,冷え症は高齢者によく認められる症候だが,生活環境,ファッション意識の変化から,最近では若者にも注意すべきものとなってきた.さらに,冷えそのものばかりか,冷えが原因となり種々の症状が派生してくることも重要な問題となる.
一方で漢方医学では,冷えを方剤選択時の重要な手がかりとしており,漢方薬には温める薬が存在する.このため当然ながら,漢方医学では漢方薬で身体を温めて冷えを改善させ,さらに冷えを引き起こす原因を取り除くことで,冷え症を治癒させる.冷えに対する漢方治療のために,本書が多くの医師・薬剤師の先生方に活用されることを願っている.
最後に,本書は,医療法人養生院 清川病院薬剤科科長 吉野佳代子先生と,横浜薬科大学漢方薬学科漢方薬物学研究室で学んだ学生たちの多大な協力によって生まれたものである.また,渾然とした記述を纏め上げるにあたっては,南山堂編集部の大城梨絵子氏の卓越した能力によるところが多大である.ここに謹んで謝意を表したい.
2014 年4 月
石毛 敦・西村 甲
一方で漢方医学では,冷えを方剤選択時の重要な手がかりとしており,漢方薬には温める薬が存在する.このため当然ながら,漢方医学では漢方薬で身体を温めて冷えを改善させ,さらに冷えを引き起こす原因を取り除くことで,冷え症を治癒させる.冷えに対する漢方治療のために,本書が多くの医師・薬剤師の先生方に活用されることを願っている.
最後に,本書は,医療法人養生院 清川病院薬剤科科長 吉野佳代子先生と,横浜薬科大学漢方薬学科漢方薬物学研究室で学んだ学生たちの多大な協力によって生まれたものである.また,渾然とした記述を纏め上げるにあたっては,南山堂編集部の大城梨絵子氏の卓越した能力によるところが多大である.ここに謹んで謝意を表したい.
2014 年4 月
石毛 敦・西村 甲
目次
第1章 漢方治療入門
1 西洋医学からみた冷え症
2 冷え症の漢方治療
3 気血水理論による漢方薬の選択
『気分変調(+)』の処方選択
『気分変調(-)』の処方選択
『新陳代謝の低下』の処方選択
『胃腸機能の低下』の処方選択
『血液循環障害』の処方選択
『体内の水分貯留』の処方選択
『のぼせ(気の上衝)』の処方選択
『ストレス(気の滞り)』の処方選択
第2章 漢方治療の実際
❖「冷え」の適応がある漢方薬
温経湯
○患者の特徴:手掌がほてり,月経困難を訴える下腹が冷える人
加味逍遙散
○患者の特徴:多愁訴あるいは愁訴が移り変わる更年期症候群や月経不順の人
桂枝茯苓丸
○患者の特徴:冷えのぼせのある月経困難症の人
五積散
○患者の特徴:寒冷と湿気により痛みが増強する人
四物湯
○患者の特徴:手足が冷え,皮膚が荒れている貧血の人
十全大補湯
○患者の特徴:全身が衰弱し,食欲がなく,元気がなく顔色も悪い人
人参養栄湯
○患者の特徴:気力体力の衰え,顔色不良,動悸,不眠,健忘を訴える人
半夏白朮天麻湯
○患者の特徴:胃腸が弱く冷え症で頭痛やめまいを訴える人
苓姜朮甘湯
○患者の特徴:下半身に水が滞り,あたかも水中に座っているような冷えを覚える人
❖「冷え」となる要因を改善する漢方薬
KeyWord『新陳代謝の低下』
真武湯
○患者の特徴:体力が衰え,全身倦怠感,めまい,浮腫,下痢などを伴う冷え症の人
八味地黄丸
○患者の特徴:疲労倦怠して,トイレが近く,腰痛を訴え,冷えがあるにもかかわらず手足のほてりも感じるような人
附子理中湯
○患者の特徴:みぞおちがつかえ,胃痛や下痢があり冷えがはなはだしい人
麻黄附子細辛湯
○患者の特徴:虚弱者や過労などで体力低下時にかぜをひき,全身倦怠感,強い寒気を訴える人
KeyWord『胃腸機能の低下』
桂枝人参湯
○患者の特徴:胃腸虚弱でお腹が冷え,みぞおちにつかえ感があり,頭痛を訴える人
呉茱萸湯
○患者の特徴:手足の冷えを強く感じる強い頭痛持ちの人
小建中湯
○患者の特徴:冷え症で胃腸が弱く,虚弱体質で疲れやすい人
大建中湯
○患者の特徴:冷えることでお腹が痛み便秘あるいは下痢の人
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
○患者の特徴:虚弱体質で冷え症,冬にはしもやけができやすい人
人参湯
○患者の特徴:虚弱でお腹の冷えを訴える,みぞおちにつかえ感のある人
KeyWord『血流循環障害』
桃核承気湯
○患者の特徴:冷えのぼせのある便秘症で月経困難症の人
当帰芍薬散
○患者の特徴:虚証で顔色が悪く,冷えが強い浮腫やめまいのある人
KeyWord『体内の水分貯留(浮腫)』
苓甘姜味辛夏仁湯
○患者の特徴:冷え症で浮腫があり,冷えることで水様性鼻汁が出て,熱や頭痛など(表証)のない人
苓桂朮甘湯
○患者の特徴:めまい,ふらつき,動悸のある足の冷たい人
KeyWord『のぼせ(気の上衝)』
桂枝加竜骨牡蛎湯
○患者の特徴:虚弱なために身体は冷え,疲れているがために神経興奮をきたしている人
KeyWord『ストレス(気の滞り)』
四逆散
○患者の特徴:感情を外に出すことができず内にうっ積することでイライラする,手足に冷感のある人
抑肝散
○患者の特徴:虚弱な体質のため気持ちが高ぶってイライラしている人
参考文献
付 録 漢方用語解説
医療用漢方製剤を取り扱っている主な製薬会社
索 引
1 西洋医学からみた冷え症
2 冷え症の漢方治療
3 気血水理論による漢方薬の選択
『気分変調(+)』の処方選択
『気分変調(-)』の処方選択
『新陳代謝の低下』の処方選択
『胃腸機能の低下』の処方選択
『血液循環障害』の処方選択
『体内の水分貯留』の処方選択
『のぼせ(気の上衝)』の処方選択
『ストレス(気の滞り)』の処方選択
第2章 漢方治療の実際
❖「冷え」の適応がある漢方薬
温経湯
○患者の特徴:手掌がほてり,月経困難を訴える下腹が冷える人
加味逍遙散
○患者の特徴:多愁訴あるいは愁訴が移り変わる更年期症候群や月経不順の人
桂枝茯苓丸
○患者の特徴:冷えのぼせのある月経困難症の人
五積散
○患者の特徴:寒冷と湿気により痛みが増強する人
四物湯
○患者の特徴:手足が冷え,皮膚が荒れている貧血の人
十全大補湯
○患者の特徴:全身が衰弱し,食欲がなく,元気がなく顔色も悪い人
人参養栄湯
○患者の特徴:気力体力の衰え,顔色不良,動悸,不眠,健忘を訴える人
半夏白朮天麻湯
○患者の特徴:胃腸が弱く冷え症で頭痛やめまいを訴える人
苓姜朮甘湯
○患者の特徴:下半身に水が滞り,あたかも水中に座っているような冷えを覚える人
❖「冷え」となる要因を改善する漢方薬
KeyWord『新陳代謝の低下』
真武湯
○患者の特徴:体力が衰え,全身倦怠感,めまい,浮腫,下痢などを伴う冷え症の人
八味地黄丸
○患者の特徴:疲労倦怠して,トイレが近く,腰痛を訴え,冷えがあるにもかかわらず手足のほてりも感じるような人
附子理中湯
○患者の特徴:みぞおちがつかえ,胃痛や下痢があり冷えがはなはだしい人
麻黄附子細辛湯
○患者の特徴:虚弱者や過労などで体力低下時にかぜをひき,全身倦怠感,強い寒気を訴える人
KeyWord『胃腸機能の低下』
桂枝人参湯
○患者の特徴:胃腸虚弱でお腹が冷え,みぞおちにつかえ感があり,頭痛を訴える人
呉茱萸湯
○患者の特徴:手足の冷えを強く感じる強い頭痛持ちの人
小建中湯
○患者の特徴:冷え症で胃腸が弱く,虚弱体質で疲れやすい人
大建中湯
○患者の特徴:冷えることでお腹が痛み便秘あるいは下痢の人
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
○患者の特徴:虚弱体質で冷え症,冬にはしもやけができやすい人
人参湯
○患者の特徴:虚弱でお腹の冷えを訴える,みぞおちにつかえ感のある人
KeyWord『血流循環障害』
桃核承気湯
○患者の特徴:冷えのぼせのある便秘症で月経困難症の人
当帰芍薬散
○患者の特徴:虚証で顔色が悪く,冷えが強い浮腫やめまいのある人
KeyWord『体内の水分貯留(浮腫)』
苓甘姜味辛夏仁湯
○患者の特徴:冷え症で浮腫があり,冷えることで水様性鼻汁が出て,熱や頭痛など(表証)のない人
苓桂朮甘湯
○患者の特徴:めまい,ふらつき,動悸のある足の冷たい人
KeyWord『のぼせ(気の上衝)』
桂枝加竜骨牡蛎湯
○患者の特徴:虚弱なために身体は冷え,疲れているがために神経興奮をきたしている人
KeyWord『ストレス(気の滞り)』
四逆散
○患者の特徴:感情を外に出すことができず内にうっ積することでイライラする,手足に冷感のある人
抑肝散
○患者の特徴:虚弱な体質のため気持ちが高ぶってイライラしている人
参考文献
付 録 漢方用語解説
医療用漢方製剤を取り扱っている主な製薬会社
索 引