漢方薬 鑑別キーワード大全
1版
独立行政法人JCHO秋田病院 漢方内科・産婦人科 太田博孝 著
定価
6,600円(本体 6,000円 +税10%)
- AB判 230頁
- 2023年5月 発行
- ISBN 978-4-525-47181-1
漢方処方歴50年の医師が贈る、処方鑑別の集大成
患者が呈する症状などのキーワードから,適した漢方方剤を選択できる書籍.
症状・疾患ごとに,漢方方剤を使い分ける重要キーワードとして,適応となる症状や効能,証からみた病態などをピックアップ.診療中でも見やすく,直感的に漢方方剤を選択できるよう,1~2ページの表にまとめた.
日常診療で遭遇する9分野・120以上の症状・疾患を取り上げ,保険未収載品を含めた幅広い方剤を掲載.
本書を用いて方剤選択の可能性を広げることで,より細やかに患者の愁訴に寄り添うことができる.
【漢方処方のこんな悩みを解決】
・処方の幅を広げたい
・病名診断に基づく方剤選択から一歩先に進みたい
・自身の専門診療科以外の症状への方剤選択で迷うことが多い
・普段使わない方剤の目標証が思い出せない
- 序文
- 目次
- 書評1
- 書評2
序文
小生の漢方との関わりは,半世紀に近い.産婦人科研修医となり,恩師 針生(福島)峰子先生の外来に陪席し始めた頃からになる.当時は丁度,漢方エキス製剤60品目が一気に保険収載され,漢方方剤が臨床的に急速に普及し始めた時期だった.爾来,折にふれ漢方を処方してきた.その後,前任地の秋田赤十字病院で漢方外来を始めてから,すでに十数年を経過した.
漢方外来では多彩な症状を訴える患者さんが来院する.とても狭い専門分野の知識でだけでは追いつかず,日々,成書を紐解きながら試行錯誤を続けてきた.しかし,症状ごとに候補となる漢方方剤は多岐にわたり,方剤の選択に苦慮することが日常茶飯事であった.しかも,多くの漢方外来では処方可能なエキス製剤数には限りがあり,かつ煎じ薬の処方は一般的に極めて困難である.さらに,現場で患者に最適な漢方方剤を選択しようとしても,外来に常置し,ひと目で鑑別に応用できる成書がない.記憶に頼って方剤を決定すると,重要な症状や目標証がややもすると抜け落ちて偏った処方となりがちである.そこで,新たな症状や疾患に出会うたびに,方剤の選択肢を再確認でき,初回投与の有効率をより高めうるような鑑別表の必要性を痛感した.
鑑別表には,候補となる漢方方剤を虚証から実証型の方剤まで順に列記した.各方剤で特徴的な症状,四診所見や方剤特性,さらにひと目で方意を認識できるように中医学的目標と効能を列記した.診療時,本書を手元に置き,四診を行って病態を把握した後,候補となる漢方方剤を再確認し,最適な方剤を即座に選択できることを目標とした.
本鑑別表集の作成にあたっては,諸先輩,諸兄の貴重なご講演を拝聴してきたことが大きな糧となっている.経方医学の故 江部洋一郎先生は,5回にわたり秋田まで来県され,経方医学の神髄をご講演いただいた.麻黄,桂枝や芍薬等の各生薬の気の流れ(ベクトル)の意味づけは目から鱗が落ちる衝撃であった.
本書は,漢方医学の知識がある初級から中級レベルの医師の活用を想定している.エキス製剤の使用のみに限定されがちな多くの先生に,可能な限り現場で患者さんの愁訴に即応できれば,との思いから作成した.日々の漢方外来で,方剤選択の一助となれば無上の喜びである.
2023年 早春
太田博孝
漢方外来では多彩な症状を訴える患者さんが来院する.とても狭い専門分野の知識でだけでは追いつかず,日々,成書を紐解きながら試行錯誤を続けてきた.しかし,症状ごとに候補となる漢方方剤は多岐にわたり,方剤の選択に苦慮することが日常茶飯事であった.しかも,多くの漢方外来では処方可能なエキス製剤数には限りがあり,かつ煎じ薬の処方は一般的に極めて困難である.さらに,現場で患者に最適な漢方方剤を選択しようとしても,外来に常置し,ひと目で鑑別に応用できる成書がない.記憶に頼って方剤を決定すると,重要な症状や目標証がややもすると抜け落ちて偏った処方となりがちである.そこで,新たな症状や疾患に出会うたびに,方剤の選択肢を再確認でき,初回投与の有効率をより高めうるような鑑別表の必要性を痛感した.
鑑別表には,候補となる漢方方剤を虚証から実証型の方剤まで順に列記した.各方剤で特徴的な症状,四診所見や方剤特性,さらにひと目で方意を認識できるように中医学的目標と効能を列記した.診療時,本書を手元に置き,四診を行って病態を把握した後,候補となる漢方方剤を再確認し,最適な方剤を即座に選択できることを目標とした.
本鑑別表集の作成にあたっては,諸先輩,諸兄の貴重なご講演を拝聴してきたことが大きな糧となっている.経方医学の故 江部洋一郎先生は,5回にわたり秋田まで来県され,経方医学の神髄をご講演いただいた.麻黄,桂枝や芍薬等の各生薬の気の流れ(ベクトル)の意味づけは目から鱗が落ちる衝撃であった.
本書は,漢方医学の知識がある初級から中級レベルの医師の活用を想定している.エキス製剤の使用のみに限定されがちな多くの先生に,可能な限り現場で患者さんの愁訴に即応できれば,との思いから作成した.日々の漢方外来で,方剤選択の一助となれば無上の喜びである.
2023年 早春
太田博孝
目次
◆内科系◆
感冒/微熱(柴胡剤)/虚熱/頭痛/倦怠感/夏ばて/宿酔/乗り物酔い/咽喉頭異常感/咳/喘息・喘鳴/胸痛・胸満/起立性調節障害/高血圧/浮腫(リンパ浮腫)/抗加齢/認知症/脳卒中後遺症/下肢静脈瘤/虚労感/ストレス/肥満/糖尿病
◆消化器系◆
悪心・嘔吐/胸焼け・呑酸/吃逆(しゃっくり)/噯気 (おくび)/上腹部膨満感/下腹部膨満感/上腹部痛/下腹部痛/機能性消化不良/胃腸炎/下痢/便秘/過敏性腸症候群/クローン病/潰瘍性大腸炎/脾彎曲症候群/痔疾・脱肛/虫垂炎/急性肝炎
◆痛み系◆
三叉神経痛/打撲/リウマチ性多発筋痛症/上肢の痺れ・痛み/肩こり・肩関節周囲炎/手根管症候群/手指関節症/下肢の痺れ・痛み/腰痛/仙腸関節痛/膝関節痛/線維筋痛症/関節リウマチ/痛風/異痛症(アロディニア)/こむら返り
◆自律神経・精神系◆
冷え症/下肢の冷え/内臓の冷え/寒がり/上熱下寒/自汗(頭汗)/寝汗/顔面痙攣/失神/動悸/興奮(高齢者)/不安/不眠/むずむず脚症候群/気うつ/気逆(奔豚気)/注意欠如多動症(ADHD)
◆産婦人科系◆
月経不順/月経困難症/月経前緊張/過多月経/妊娠悪阻(つわり)/マタニティブルーズ/逆上せ/更年期障害/手足の火照り/苛々/外陰部痛
◆泌尿器科系◆
頻尿/乏尿(排尿困難)/尿失禁/前立腺肥大/小児夜尿
◆耳鼻咽喉科系◆
眩暈(メニエール病)/耳鳴り/中耳炎/突発性難聴/鼻炎/アレルギー性鼻炎・花粉症/後鼻漏(副鼻腔炎)/耳管・鼻涙管狭窄/嗅覚異常/扁桃炎・咽頭炎/口唇炎/口唇痛(ヘルペス)/口内炎/口乾・口渇/舌痛/口臭/味覚異常
◆皮膚科系◆
アトピー性皮膚炎/脂漏性皮膚炎/乳児湿疹/じんま疹/寒冷じんま疹/皮膚瘙痒/掌蹠膿疱症 /肝斑/痤瘡(にきび)/酒皶/円形脱毛/ヘルペス(急性期)/ヘルペス(慢性期)/疣贅(いぼ)/体臭
◆眼科系◆
ドライアイ・眼精疲労/流涙/眼瞼痙攣/アレルギー性結膜炎/霞目
◆合 方◆
五苓散合呉茱萸湯/十全大補湯/柴苓湯/柴芍六君子湯/茯苓飲合半夏厚朴湯/治打撲一方合桂枝茯苓丸/防已黄耆湯合薏苡仁湯/連珠飲/柴蘇飲
感冒/微熱(柴胡剤)/虚熱/頭痛/倦怠感/夏ばて/宿酔/乗り物酔い/咽喉頭異常感/咳/喘息・喘鳴/胸痛・胸満/起立性調節障害/高血圧/浮腫(リンパ浮腫)/抗加齢/認知症/脳卒中後遺症/下肢静脈瘤/虚労感/ストレス/肥満/糖尿病
◆消化器系◆
悪心・嘔吐/胸焼け・呑酸/吃逆(しゃっくり)/噯気 (おくび)/上腹部膨満感/下腹部膨満感/上腹部痛/下腹部痛/機能性消化不良/胃腸炎/下痢/便秘/過敏性腸症候群/クローン病/潰瘍性大腸炎/脾彎曲症候群/痔疾・脱肛/虫垂炎/急性肝炎
◆痛み系◆
三叉神経痛/打撲/リウマチ性多発筋痛症/上肢の痺れ・痛み/肩こり・肩関節周囲炎/手根管症候群/手指関節症/下肢の痺れ・痛み/腰痛/仙腸関節痛/膝関節痛/線維筋痛症/関節リウマチ/痛風/異痛症(アロディニア)/こむら返り
◆自律神経・精神系◆
冷え症/下肢の冷え/内臓の冷え/寒がり/上熱下寒/自汗(頭汗)/寝汗/顔面痙攣/失神/動悸/興奮(高齢者)/不安/不眠/むずむず脚症候群/気うつ/気逆(奔豚気)/注意欠如多動症(ADHD)
◆産婦人科系◆
月経不順/月経困難症/月経前緊張/過多月経/妊娠悪阻(つわり)/マタニティブルーズ/逆上せ/更年期障害/手足の火照り/苛々/外陰部痛
◆泌尿器科系◆
頻尿/乏尿(排尿困難)/尿失禁/前立腺肥大/小児夜尿
◆耳鼻咽喉科系◆
眩暈(メニエール病)/耳鳴り/中耳炎/突発性難聴/鼻炎/アレルギー性鼻炎・花粉症/後鼻漏(副鼻腔炎)/耳管・鼻涙管狭窄/嗅覚異常/扁桃炎・咽頭炎/口唇炎/口唇痛(ヘルペス)/口内炎/口乾・口渇/舌痛/口臭/味覚異常
◆皮膚科系◆
アトピー性皮膚炎/脂漏性皮膚炎/乳児湿疹/じんま疹/寒冷じんま疹/皮膚瘙痒/掌蹠膿疱症 /肝斑/痤瘡(にきび)/酒皶/円形脱毛/ヘルペス(急性期)/ヘルペス(慢性期)/疣贅(いぼ)/体臭
◆眼科系◆
ドライアイ・眼精疲労/流涙/眼瞼痙攣/アレルギー性結膜炎/霞目
◆合 方◆
五苓散合呉茱萸湯/十全大補湯/柴苓湯/柴芍六君子湯/茯苓飲合半夏厚朴湯/治打撲一方合桂枝茯苓丸/防已黄耆湯合薏苡仁湯/連珠飲/柴蘇飲
書評1
漢方診療室に必須のアイテム「漢方薬 鑑別キーワード大全」!
中永士師明(秋田大学医学部附属病院 高度救命救急センター/漢方外来)
本書は秋田県における漢方の先達のお一人である太田博孝先生による待望の漢方方剤選択の指南書である.多種多様な症状を訴える患者さんを目の前にして,鑑別処方を導き出すことが困難な場面に遭遇することがある.また,数種類の鑑別処方までは脳裏に浮かぶものの最終決定に逡巡することもあろう.
本書にはそのような際に,より客観的かつ確実性をもって選択できるような鑑別表が収載されている.「最適応・適応」,「最頻用・頻用」,「切迫性・腹圧性」,「急性・慢性」などが色分け・形分けして表示されているため,優先度が一目瞭然であり,初心者にもやさしい構成になっている.分類の項では,「医療用」と「一般用」も区別されているので,入手先もわかりやすく,患者さんへの説明の際にも役立つ.さらに,「合方」の項目では代替方剤が示されているので,煎じ薬(煎剤)ではなく,エキス剤で対応せざるを得ない施設にも大変ありがたいものになっている.
本鑑別表を確たるものとしているのは,長年漢方診療に従事してきた太田先生に,漢方のみならず,中医学,経方医学までも包括した理論的背景が備わっているからにほかならない.経方医学の創案者である江部洋一郎先生には秋田県での講演の折に,毎回,江部先生を囲んで太田先生と私で懇親会を行い,講演会では語り尽くせなかった経方医学の神髄を拝聴させていただいた.私はただただ聴いてばかりであったが,そのときの味わい深い蘊蓄が本書の行間から滲み出ている.本書は方剤選択という実臨床に役立つだけではなく,熟読するほどに漢方の奥深い世界を垣間見ることができる趣向になっている.漢方外来には是非とも常備しておきたい一書である.
中永士師明(秋田大学医学部附属病院 高度救命救急センター/漢方外来)
本書は秋田県における漢方の先達のお一人である太田博孝先生による待望の漢方方剤選択の指南書である.多種多様な症状を訴える患者さんを目の前にして,鑑別処方を導き出すことが困難な場面に遭遇することがある.また,数種類の鑑別処方までは脳裏に浮かぶものの最終決定に逡巡することもあろう.
本書にはそのような際に,より客観的かつ確実性をもって選択できるような鑑別表が収載されている.「最適応・適応」,「最頻用・頻用」,「切迫性・腹圧性」,「急性・慢性」などが色分け・形分けして表示されているため,優先度が一目瞭然であり,初心者にもやさしい構成になっている.分類の項では,「医療用」と「一般用」も区別されているので,入手先もわかりやすく,患者さんへの説明の際にも役立つ.さらに,「合方」の項目では代替方剤が示されているので,煎じ薬(煎剤)ではなく,エキス剤で対応せざるを得ない施設にも大変ありがたいものになっている.
本鑑別表を確たるものとしているのは,長年漢方診療に従事してきた太田先生に,漢方のみならず,中医学,経方医学までも包括した理論的背景が備わっているからにほかならない.経方医学の創案者である江部洋一郎先生には秋田県での講演の折に,毎回,江部先生を囲んで太田先生と私で懇親会を行い,講演会では語り尽くせなかった経方医学の神髄を拝聴させていただいた.私はただただ聴いてばかりであったが,そのときの味わい深い蘊蓄が本書の行間から滲み出ている.本書は方剤選択という実臨床に役立つだけではなく,熟読するほどに漢方の奥深い世界を垣間見ることができる趣向になっている.漢方外来には是非とも常備しておきたい一書である.
書評2
経験と実践から生まれた貴重な手引き書
劉 園英(北陸大学薬学部 教授)
漢方医学では,病気にかかっている人の状態を,体質,病気の状態,環境などを含めたさまざまな角度からとらえ,「証」に基づいて治療する.病気の実体をつかむための物差しには,陰陽,虚実,寒熱,表裏,気血水,六病位,五臓などの漢方理論がある.これによって「証」が決まり,同時に漢方薬が決定される.
医師の9 割が処方しているといわれる漢方薬は,薬剤師にとっても身近な薬剤となっている.しかしながら,西洋医学的に同じ病名であっても異なる漢方薬が処方されるなど,漢方医学独特の診断法や薬剤選択に戸惑うことがあるという声もよく聞かれる.
現在,日本で医薬品として認められる漢方製剤は,医療用148 処方,一般用294 処方がある.医療用とは医師により処方され,保険適用となる漢方製剤のことを指す.一方で,一般用とは薬局の店頭で販売が許されている漢方製剤(いわゆる市販薬,OTC 医薬品)で保険適用外となる.
本書では,128 の症状・疾患別に「最適な漢方方剤を即座に選択すること」を目標とした鑑別表を提示している.取り上げた漢方方剤は,医療用および一般用漢方製剤(OTC 医薬品)であり,製品化され使用可能な製剤のみが記載されている.
また,方意や効能を直感的に理解できるよう中医学的表現を用い,一部の項目では,気血水分類のうち「血虚・瘀血」の中医学の病態(証),八綱分類のうち「虚実」「寒熱」の特徴,四診所見のうち特徴的な所見や六病位を記載している.
漢方エキス製剤ではすでに生薬の構成と配合量が決まっている.しかし,臨床ではエキス剤合方によってさまざまな疾患,体質改善に活用ができ,合方によりさらに高い効果を期待できる場合もある.それらについても,可能な限り医療用・一般用エキス製剤で代替可能な合方を述べている.
本書は,128 の症状・疾患別に中医目標,証分型・症状・常用される医療用漢方製剤・一般用漢方製剤の生薬構成,治療原則などの鑑別表を付し,漢方薬を新たに学ぼうと考えている医師・薬剤師にとって,現場で活用しやすい実践的な手引書である.
劉 園英(北陸大学薬学部 教授)
漢方医学では,病気にかかっている人の状態を,体質,病気の状態,環境などを含めたさまざまな角度からとらえ,「証」に基づいて治療する.病気の実体をつかむための物差しには,陰陽,虚実,寒熱,表裏,気血水,六病位,五臓などの漢方理論がある.これによって「証」が決まり,同時に漢方薬が決定される.
医師の9 割が処方しているといわれる漢方薬は,薬剤師にとっても身近な薬剤となっている.しかしながら,西洋医学的に同じ病名であっても異なる漢方薬が処方されるなど,漢方医学独特の診断法や薬剤選択に戸惑うことがあるという声もよく聞かれる.
現在,日本で医薬品として認められる漢方製剤は,医療用148 処方,一般用294 処方がある.医療用とは医師により処方され,保険適用となる漢方製剤のことを指す.一方で,一般用とは薬局の店頭で販売が許されている漢方製剤(いわゆる市販薬,OTC 医薬品)で保険適用外となる.
本書では,128 の症状・疾患別に「最適な漢方方剤を即座に選択すること」を目標とした鑑別表を提示している.取り上げた漢方方剤は,医療用および一般用漢方製剤(OTC 医薬品)であり,製品化され使用可能な製剤のみが記載されている.
また,方意や効能を直感的に理解できるよう中医学的表現を用い,一部の項目では,気血水分類のうち「血虚・瘀血」の中医学の病態(証),八綱分類のうち「虚実」「寒熱」の特徴,四診所見のうち特徴的な所見や六病位を記載している.
漢方エキス製剤ではすでに生薬の構成と配合量が決まっている.しかし,臨床ではエキス剤合方によってさまざまな疾患,体質改善に活用ができ,合方によりさらに高い効果を期待できる場合もある.それらについても,可能な限り医療用・一般用エキス製剤で代替可能な合方を述べている.
本書は,128 の症状・疾患別に中医目標,証分型・症状・常用される医療用漢方製剤・一般用漢方製剤の生薬構成,治療原則などの鑑別表を付し,漢方薬を新たに学ぼうと考えている医師・薬剤師にとって,現場で活用しやすい実践的な手引書である.