南山堂

カートを見る

立ち読み
注文数:

在庫あり

電子書籍はこちら

電子書籍はこちら

とびだせ!! 飯塚漢方カンファレンス

漢方処方のプロセスがわかる

1版

飯塚病院東洋医学センター漢方診療科  吉永 亮 著

定価

5,500(本体 5,000円 +税10%)


  • B5判  289頁
  • 2024年5月 発行
  • ISBN 978-4-525-47241-2

漢方診療の基本がわかる,思考がわかる,処方がわかる 待望の続編!

漢方を一から覚えるのは大変だと思っていませんか?
初学者にやさしい,漢方医の思考をなぞるように学ぶことができる,飯塚漢方カンファレンスの続編ができました!
本書はリョウ先生,ヒロミ先生,ヒロキ部長とのカンファレンスを通して,基本の陰陽虚実,六病位,気血水といった概念から脈診・舌診・腹診の診察法までしっかり学ぶことができます.漢方医の問診の意図がわかればどんな漢方薬を用いればいいのかわかってくるはずです.
これから漢方を勉強したい方,『あつまれ!! 飯塚漢方カンファレンス』を読んでもっと勉強したいと思った方におすすめです.本書だけでも漢方を基礎から学ぶことができる構成となっています.

  • はじめに
  • 目次
  • 推薦の序
はじめに
 「漢方を学ぶ最もよい方法は実際の漢方医の診療を見学することである」の想いから,自分が漢方の初学者の頃に学んだ漢方研修を書面上で再現したいと「あつまれ!! 飯塚漢方カンファレンス」を2021年に上梓しました.こちらの予想以上に好評をいただき,「漢方の考え方のパターンが身に付く」,「実際に読んだ通りに問診して漢方が処方できた」といったありがたい感想や続編の希望までもいただきました.また本をきっかけとしてプライマリ・ケアで漢方を活かそうと熱心に勉強を始めた後輩や,びっしりと本に書き込みをしたベテランの先生がはるばる飯塚病院まで漢方研修にきてくれるなど,素敵な御縁も生まれました.このような嬉しいエピソードをいくつか経験し,紹介しきれなかった漢方薬や総合診療で役立つ症例をもっと解説したいと,今回続編として「とびだせ!! 飯塚漢方カンファレンス」を制作しました.
 前著と同様,提示する症例は私が実際に経験したものが中心で,漢方医の診察の様子と症例カンファレンスを通じて学んでいきます.もちろん本書でも陰陽虚実,気血水などの漢方の基本的概念や問診,診察法を解説していますから,最初に本書から読んでもらっても漢方を一から学べる内容になっています.さらに今回は症例ごとの鑑別処方や巻末に古典の条文コーナーを追加しました.漢方薬の鑑別をあげられるようになると,現代医学で鑑別診断をいくつもあげることができるのと同じように,漢方の臨床技量が上がります.さらにプライマリ・ケアや総合診療で漢方を役立てていただきたく,私が地域医療時代からこれまでの漢方診療の経験を通じて,感じたこと,考えたことをコラムとしてまとめました.本書が皆様にとって漢方を勉強するきっか
けとなり,日常診療で漢方を適切に活用できる一助となれば幸甚です.
 最後になりましたが,南山堂編集部の片桐様をはじめ,温かいご支援・ご尽力いただいた皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます.
 それでは,漢方専門医を目指すリョウ先生(ペリカン),漢方診療科のヒロミ先生(ネコ)と当科の3代目部長に就任したヒロキ部長(シロクマ)と一緒に漢方を学んでいきましょう.

2024年3月
吉永 亮
目次
総 論
 陰陽虚実
 六病位
 気血水
 漢方の診察方法
 漢方診療のポイント

陰陽虚実 編
 ①その痛み,お風呂で温まるとどうなりますか?
 ②足の親指が腫れて痛みます
 ③冷えの鑑別……再び!

六病位 編
 ①鼻水が止まりません……
 ②BPSDには抑肝散?
 ③鬱々としてやる気が出ない
 ④お腹が張って便秘します①
 ⑤お腹が張って便秘します②
 ⑥太ももがスースーと冷えます
 ⑦体がだるくて横になりたい

気血水 編
 ①全身だるくて食後に眠い
 ②食べるとすぐにお腹がいっぱい
 ③ドキドキして眠れません
 ④憩室炎を繰り返す
 ⑤月経周期が乱れます
 ⑥立ちくらみがして朝起きれない
 ⑦息切れがして歩きが遅い

応用問題 編
 ①出産後から不調です
 ②頭痛,めまい,動悸がひどい
 ③ストレスがたまって腰が痛い
 ④家に帰るとぐったり
 ⑤体がかゆくてつらい

古典に触れてみよう!
推薦の序
 漢方の畏友,吉永 亮先生の勢いが止まらない.前著に続き,「とびだせ!! 飯塚カンファレンス」が出版されることになった.SNSの表示をモチーフにした会話形式の問診と,動物キャラ達のディスカッションのなかで,ペリカンのリョウ先生の成長とともに読者も成長する,この形式は斬新でほかに類を見ない.今回は随所にコラムや鑑別処方が挿入され,前著の一歩先を求める人たちにも応えている.漢方の解説書では,難解な用語や概念が出てくると,なかなか先に進めないということもありがちだが,本シリーズではその心配は無用であり,とにかく平易でグイグイ読み進めることができる.毎項目に1 テーマを据えて,実際の症例を用いて,症状・症侯をどのような漢方医学的なものさしで,どのように評価し,どのように処方選択に至るかが,繰り返し提示される.こうした漢方医の思考過程を,スロー再生で繰り返し理解することで,気が付いたら漢方医学的な考え方を苦痛なく体得できていた,しかも問診のスキルも上がっていたというおまけつきというのが,本書の構成(≒魔術)である.
 初めて出会ったころの吉永先生は,漢方研修に燃える若手の一人であったが,人に伝えるという事は少々苦手なところがあった.しかしあっという間に,漢方の仕組みやよさを伝える能力で限界を突破し,今ではトップリーダー,いやもはや神と言っていいであろう.これは彼自身が初学者のころの「漢方を知らないとはどういう状態か」を今でも熟知しているからと思う.実際の問診を介したアプローチやキャラ達のディスカッションには私自身との一体感があり,よく読むと私の普段のつぶやきが使われているではないか.少しばかり私のテイストも感じてもらいながら,平易に漢方の診断過程を学ぶことができる本書は,とくに漢方医学を初めて志す,あるいはこれまで独学で勉強してきた臨床医,医学生に対して大いに役立つことであろう.私は本書を強く推薦する.

2024年3月
公立大学法人福島県立医科大学 会津医療センター
漢方医学講座 教授
田原英一
カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む