カテゴリー: 臨床看護学
看護アセスメント力を高める!画像検査まるわかり
1版
藤田医科大学保健衛生学部 准教授/診療看護師(NP) 酒井博崇 編
藤田医科大学病院高度救命救急センター センター長 船曳知弘 編
定価
3,300円(本体 3,000円 +税10%)
- AB判 173頁
- 2024年8月 発行
- ISBN 978-4-525-50541-7
看護師5年目からのステップアップを強力サポート!
「画像検査」は看護師による総合的アセスメントに必要な知識です.また看護師が「画像検査」に携わる機会は多くあり,電子カルテでいつでも画像を確認できる環境にもあります.しかし,看護教育において実践的に画像を読み解くトレーニングを行うことは少なく,現場で活躍する看護師の中には「画像」を読むことの必要性・重要性に気付いてはいるものの,なかなか看護業務に活かせていないことも少なくありません.
そこで,本書では,X線・CT検査画像の基本的な知識から,看護業務で求められる画像の見方・読み方,画像検査を活用したアセスメントの実際を図・写真を多用しわかりやすく解説しました.診療看護師である執筆者らが,実際に画像を読み,アセスメントし,看護ケアに繋げている,その知識をまとめています.
今よりもっと質の高い看護ケアを目指す看護師にぴったりの一冊です.
- 序文
- 目次
- 書評
序文
本書はNsCan(ナースキャン)シリーズの第2弾になります.おかげさまで,第1弾の『デキる看護師の検査値note』は好評を博し,2巻目の発刊に至ることができました.そして第2弾である本書を手にとっていただいた方は「画像検査を勉強しようかな」という方と推察します.まずはその大きな一歩を踏み出していただいたことをうれしく思います.「画像を読める看護師=デキる看護師」とは限らず,デキる看護師は画像検査も読むことができます.画像検査を理解することは「デキる看護師」になるための一部,積み上げていく要素の一つである,このように考えます.
そもそも,なぜ看護師が画像を見るのでしょう? 画像検査は視覚的なデータです.通常は見ることができない身体の内部を,画像を通して見ることができます.そのため,画像検査は「だから痛いのだな」「だからこの姿勢なのだな」「だから苦しいのだな」などの根拠になります.つまり,難しい・苦手とは考えず,看護師の皆さんが普段行っているバイタルサイン,血液検査のデータなどと同じように患者情報として捉えて,アセスメントに繋げていただけるデータなのです.正直にいえば,画像検査は一朝一夕で画像が読めるようになるほど簡単ではありません(だから本書を手に取ってくださったのだと思います).画像検査を読めるようになるためには,「目を訓練する」「画像に慣れる」ことが必要になります.しかし,読み方のポイントを押さえていれば,そこに気づくことができるようになります.本書はそのポイントをまとめるよう心がけました.
本書の執筆者らは臨床現場で活躍する診療看護師(Nurse Practitioner:NP)です.NPは医師と協働し,医師と看護師の両視点から患者をみています.しかし,NPも最初は初心者でした.そのような執筆者らが経験する中で感じてきた,「看護師が知りたい知識,臨床に役立つ必要な知識」をまとめています.また,画像検査にはエコーやMRIなど多くの種類がありますが,本書ではX線やCTを中心に,画像検査を読むための基礎知識と部位別・疾患別の画像を掲載しました.
皆様の画像を読み解く力が着実に向上していけるよう,そのお手伝いが出来れば幸いです.
2024年5月
酒井博崇
船曵知弘
そもそも,なぜ看護師が画像を見るのでしょう? 画像検査は視覚的なデータです.通常は見ることができない身体の内部を,画像を通して見ることができます.そのため,画像検査は「だから痛いのだな」「だからこの姿勢なのだな」「だから苦しいのだな」などの根拠になります.つまり,難しい・苦手とは考えず,看護師の皆さんが普段行っているバイタルサイン,血液検査のデータなどと同じように患者情報として捉えて,アセスメントに繋げていただけるデータなのです.正直にいえば,画像検査は一朝一夕で画像が読めるようになるほど簡単ではありません(だから本書を手に取ってくださったのだと思います).画像検査を読めるようになるためには,「目を訓練する」「画像に慣れる」ことが必要になります.しかし,読み方のポイントを押さえていれば,そこに気づくことができるようになります.本書はそのポイントをまとめるよう心がけました.
本書の執筆者らは臨床現場で活躍する診療看護師(Nurse Practitioner:NP)です.NPは医師と協働し,医師と看護師の両視点から患者をみています.しかし,NPも最初は初心者でした.そのような執筆者らが経験する中で感じてきた,「看護師が知りたい知識,臨床に役立つ必要な知識」をまとめています.また,画像検査にはエコーやMRIなど多くの種類がありますが,本書ではX線やCTを中心に,画像検査を読むための基礎知識と部位別・疾患別の画像を掲載しました.
皆様の画像を読み解く力が着実に向上していけるよう,そのお手伝いが出来れば幸いです.
2024年5月
酒井博崇
船曵知弘
目次
■撮影位置別 体幹部CT画像の見え方
・肺野条件・縦隔条件で見る胸部CT画像
・腹部CT画像
Ⅰ章 原理から撮影方法まで画像検査の基本
1.X線検査の原理
・X 線とは
・X 線は人体に当たるとどうなるのか
・X 線検査の種類
・X 線撮影装置のしくみ
・散乱線除去用グリッド
・X 線の撮影方法
①胸 部
②腹 部
・造影剤
①造影剤の種類と注入経路
②造影剤の投与に注意が必要な患者
③急性アレルギー
④遅発性アレルギー
⑤造影剤の血管外漏出-造影剤が漏れたら
2.X線CTの原理
・CT検査室とCTの構造
・CT値
・ウィンドウ幅とウィンドウレベル
・関心領域(ROI)
・CTにおける基準線
・さまざまな画像処理方法
①多段面再構成像(MPR)
②ボリュームレンダリングとサーフェスレンダリング
③MIP(最大値投影)法
・アーチファクト
①部分容積効果(パーシャルボリュームエフェクト)
②金属(メタル)アーチファクト
③モーションアーチファクト
④ビームハードニング(線質硬化現象)
Ⅱ章 各部位の正常画像
1.頭部CT画像
・頭部CTの基礎
①画像の向き
②撮影の目的
・頭部CT画像の見方
・頭部CT画像の異常
①脳出血
②脳梗塞
2.胸部単純X線画像
・画像の確認
①正面像
②撮影体位 1
・画像解剖名の解説
①肺野の区分
②心臓および大血管により構成される線
③その他,正常構造物により見えるもの
・胸部X 線画像でわかる特徴的な異常画像
①気 胸
②胸水貯留
3.腹部単純X線画像
・腹部X線画像の撮影
・その腸管は小腸なのか大腸なのか
・小 腸
・大 腸
4.体幹部 (胸腹部) CT画像
・位置決め画像
・胸部CT 画像を読むための条件
・腹部CT(消化器系)画像の読み方
・腹部CT(泌尿器系)の画像の読み方
・さまざまな造影CT検査
5.骨画像
・骨の役割と分類
①主な骨の役割とその例
②形態的分類
・頸部・胸部・骨盤部と構造が複雑である膝関節・手・足の骨
①頸部の骨
②脊 柱
③胸部の骨
④骨盤・大腿骨
⑤手
⑥膝関節
⑦下 腿
⑧足
・骨周囲の画像の見方
①正常と異常の区別
②骨,関節,軟部組織などの観察
Ⅲ章 画像検査を用いたカテーテル類の見方
1.カテーテル類の位置確認ポイント
・気管チューブ
①カテーテル類が留置されている胸部X 線画像
②画像確認のポイント
・中心静脈カテーテル(CVC)
①カテーテルの至適位置
②画像確認のポイント
③カテーテル先端位置の異常
④カテーテル先端が至適位置にないことによるトラブル
・経鼻胃管チューブ
・胸腔ドレーン
①目 的
②画像評価
③画像で見るカテーテル留置の異常
・異常画像の例
・胸腔ドレーン留置後の再膨張性肺水腫に注意する
Ⅳ章 画像を用いて診断する代表的な急性期疾患のアセスメント
1.脳卒中の患者を担当したら
・脳卒中とは
・クモ膜下出血の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
・超急性期脳梗塞の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
2.肺炎の患者を担当したら
・胸部(肺)の画像を読む
・胸部(肺)の画像を読む上で知っておきたい解剖生理
・なぜ肺は白くなる?
・実際の画像の見方
①胸腔内液貯留(胸水・血胸)と無気肺
②誤嚥性肺炎
③急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
④間質性肺炎と肺線維症
⑤肺気腫
・肺炎の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
3.腸閉塞の患者を担当したら
・腸閉塞とは
・癒着性腸閉塞の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
4.胆嚢炎の患者を担当したら
・急性胆嚢炎とは
・急性胆嚢炎の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
5.外傷の患者を担当したら
・外傷診療でのアプローチ
・胸部外傷(気胸・血胸・肺挫傷)の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
・腹部外傷の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
Ⅴ章 ここまで知っておきたい よく遭遇する重篤な急性期疾患の画像検査
1.心不全の画像の見方
・心不全とは
①左心不全と右心不全
②収縮不全と拡張不全
③HFrEF(ヘフレフ),HFpEF(ヘフペフ),HF(m)rEF(ミッドレンジ)
・心不全に関する画像検査
①胸部X 線
②胸部CT
③経胸壁の心臓超音波検査
2.虚血性心疾患の画像の見方
・虚血性心疾患とは
・虚血性心疾患に関する画像検査
①冠動脈造影検査
②冠動脈CT 検査
③心臓超音波検査
・虚血性心疾患の症例
①症 例
②アセスメント
③診断と治療
3.大動脈解離の画像の見方
・大動脈解離とは
①定義と病態
②分 類
③治 療
・大動脈解離に関する画像検査
①胸部X 線
②心電図
③CT
④心エコー
⑤MRI
・大動脈解離の症例
①症 例
②アセスメント
③診断と治療
④症例に対する看護ポイント
⑤看護師としてどう考える?
コラム1:放射線について学ぼう!知識を深めよう!!
コラム2:画像検査の介助ポイント
・肺野条件・縦隔条件で見る胸部CT画像
・腹部CT画像
Ⅰ章 原理から撮影方法まで画像検査の基本
1.X線検査の原理
・X 線とは
・X 線は人体に当たるとどうなるのか
・X 線検査の種類
・X 線撮影装置のしくみ
・散乱線除去用グリッド
・X 線の撮影方法
①胸 部
②腹 部
・造影剤
①造影剤の種類と注入経路
②造影剤の投与に注意が必要な患者
③急性アレルギー
④遅発性アレルギー
⑤造影剤の血管外漏出-造影剤が漏れたら
2.X線CTの原理
・CT検査室とCTの構造
・CT値
・ウィンドウ幅とウィンドウレベル
・関心領域(ROI)
・CTにおける基準線
・さまざまな画像処理方法
①多段面再構成像(MPR)
②ボリュームレンダリングとサーフェスレンダリング
③MIP(最大値投影)法
・アーチファクト
①部分容積効果(パーシャルボリュームエフェクト)
②金属(メタル)アーチファクト
③モーションアーチファクト
④ビームハードニング(線質硬化現象)
Ⅱ章 各部位の正常画像
1.頭部CT画像
・頭部CTの基礎
①画像の向き
②撮影の目的
・頭部CT画像の見方
・頭部CT画像の異常
①脳出血
②脳梗塞
2.胸部単純X線画像
・画像の確認
①正面像
②撮影体位 1
・画像解剖名の解説
①肺野の区分
②心臓および大血管により構成される線
③その他,正常構造物により見えるもの
・胸部X 線画像でわかる特徴的な異常画像
①気 胸
②胸水貯留
3.腹部単純X線画像
・腹部X線画像の撮影
・その腸管は小腸なのか大腸なのか
・小 腸
・大 腸
4.体幹部 (胸腹部) CT画像
・位置決め画像
・胸部CT 画像を読むための条件
・腹部CT(消化器系)画像の読み方
・腹部CT(泌尿器系)の画像の読み方
・さまざまな造影CT検査
5.骨画像
・骨の役割と分類
①主な骨の役割とその例
②形態的分類
・頸部・胸部・骨盤部と構造が複雑である膝関節・手・足の骨
①頸部の骨
②脊 柱
③胸部の骨
④骨盤・大腿骨
⑤手
⑥膝関節
⑦下 腿
⑧足
・骨周囲の画像の見方
①正常と異常の区別
②骨,関節,軟部組織などの観察
Ⅲ章 画像検査を用いたカテーテル類の見方
1.カテーテル類の位置確認ポイント
・気管チューブ
①カテーテル類が留置されている胸部X 線画像
②画像確認のポイント
・中心静脈カテーテル(CVC)
①カテーテルの至適位置
②画像確認のポイント
③カテーテル先端位置の異常
④カテーテル先端が至適位置にないことによるトラブル
・経鼻胃管チューブ
・胸腔ドレーン
①目 的
②画像評価
③画像で見るカテーテル留置の異常
・異常画像の例
・胸腔ドレーン留置後の再膨張性肺水腫に注意する
Ⅳ章 画像を用いて診断する代表的な急性期疾患のアセスメント
1.脳卒中の患者を担当したら
・脳卒中とは
・クモ膜下出血の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
・超急性期脳梗塞の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
2.肺炎の患者を担当したら
・胸部(肺)の画像を読む
・胸部(肺)の画像を読む上で知っておきたい解剖生理
・なぜ肺は白くなる?
・実際の画像の見方
①胸腔内液貯留(胸水・血胸)と無気肺
②誤嚥性肺炎
③急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
④間質性肺炎と肺線維症
⑤肺気腫
・肺炎の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
3.腸閉塞の患者を担当したら
・腸閉塞とは
・癒着性腸閉塞の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
4.胆嚢炎の患者を担当したら
・急性胆嚢炎とは
・急性胆嚢炎の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
5.外傷の患者を担当したら
・外傷診療でのアプローチ
・胸部外傷(気胸・血胸・肺挫傷)の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
・腹部外傷の画像検査
①症 例
②解 説
③症例に対する看護ポイント
④看護師としてどう考える?
Ⅴ章 ここまで知っておきたい よく遭遇する重篤な急性期疾患の画像検査
1.心不全の画像の見方
・心不全とは
①左心不全と右心不全
②収縮不全と拡張不全
③HFrEF(ヘフレフ),HFpEF(ヘフペフ),HF(m)rEF(ミッドレンジ)
・心不全に関する画像検査
①胸部X 線
②胸部CT
③経胸壁の心臓超音波検査
2.虚血性心疾患の画像の見方
・虚血性心疾患とは
・虚血性心疾患に関する画像検査
①冠動脈造影検査
②冠動脈CT 検査
③心臓超音波検査
・虚血性心疾患の症例
①症 例
②アセスメント
③診断と治療
3.大動脈解離の画像の見方
・大動脈解離とは
①定義と病態
②分 類
③治 療
・大動脈解離に関する画像検査
①胸部X 線
②心電図
③CT
④心エコー
⑤MRI
・大動脈解離の症例
①症 例
②アセスメント
③診断と治療
④症例に対する看護ポイント
⑤看護師としてどう考える?
コラム1:放射線について学ぼう!知識を深めよう!!
コラム2:画像検査の介助ポイント
書評
アセスメント能力は,読影能力に比例する
青柳 智和
株式会社ラプタープロジェクト 代表取締役
水戸済生会総合病院 看護師特定行為研修室 室長
(診療看護師,看護学修士,医学博士)
結論,この本は「買い」である.なぜそう思ったかを述べたい.まず本書は「看護師のための画像検査の本」である.特定行為研修の受講生の多くが苦手意識をもっているのが「解剖」と「画像評価」であり,身体診察の答え合わせができないことがアセスメント能力を向上させることの弊害になっているように感じる.「答え合わせ」とは何か? 「私たちは看護師なので画像は勉強しなくてよい」という意見も聞くが,果たしてそうであろうか? 確かに私たち看護師は診断を行わない.しかし,「画像を撮るタイミングの判断」は逃してはならない.われわれは患者さんの話を聞き,いくつかの疾患を類推し,ピンポイントで身体所見を確認し,医師に報告したりプロトコールを用いてさまざまな検査を行う.確かに読影の結果から「診断」はしない.しかし,画像検査が治療の決定的なきっかけになることは少なくない.そのために「この症状で,このバイタルで,この身体所見であれば,この病気であり,きっと画像所見はこうだろう,だから今検査が必要である」と自信をもって医師に報告できる.自信は勇気に変わり,その勇気は人を救う.特に病棟において「今,写真を撮ったほうがいいのではないか?医師に報告すべきではないか?」と判断するのは看護師である.その自信と勇気は,画像の読影能力に比例し,読影能力は,アセスメント能力そのものである.
本書は,解剖や実際の画像がふんだんに用いられていることはもちろん,気管チューブや胸腔ドレーンなどの評価方法や,例えば脱気後の再膨張性肺水腫などの,頻度は多くはないが重要なポイントについても解説している.また,看護師としてどう考えるべきかというアドバイス,意外に学ぶ機会の少ないX線の原理や撮影方法,造影剤の特性などについても詳述されている.本書は,皆さんのアセスメント能力をテキメンに引き上げてくれる一冊であり,絶対に「買い」である.
青柳 智和
株式会社ラプタープロジェクト 代表取締役
水戸済生会総合病院 看護師特定行為研修室 室長
(診療看護師,看護学修士,医学博士)
結論,この本は「買い」である.なぜそう思ったかを述べたい.まず本書は「看護師のための画像検査の本」である.特定行為研修の受講生の多くが苦手意識をもっているのが「解剖」と「画像評価」であり,身体診察の答え合わせができないことがアセスメント能力を向上させることの弊害になっているように感じる.「答え合わせ」とは何か? 「私たちは看護師なので画像は勉強しなくてよい」という意見も聞くが,果たしてそうであろうか? 確かに私たち看護師は診断を行わない.しかし,「画像を撮るタイミングの判断」は逃してはならない.われわれは患者さんの話を聞き,いくつかの疾患を類推し,ピンポイントで身体所見を確認し,医師に報告したりプロトコールを用いてさまざまな検査を行う.確かに読影の結果から「診断」はしない.しかし,画像検査が治療の決定的なきっかけになることは少なくない.そのために「この症状で,このバイタルで,この身体所見であれば,この病気であり,きっと画像所見はこうだろう,だから今検査が必要である」と自信をもって医師に報告できる.自信は勇気に変わり,その勇気は人を救う.特に病棟において「今,写真を撮ったほうがいいのではないか?医師に報告すべきではないか?」と判断するのは看護師である.その自信と勇気は,画像の読影能力に比例し,読影能力は,アセスメント能力そのものである.
本書は,解剖や実際の画像がふんだんに用いられていることはもちろん,気管チューブや胸腔ドレーンなどの評価方法や,例えば脱気後の再膨張性肺水腫などの,頻度は多くはないが重要なポイントについても解説している.また,看護師としてどう考えるべきかというアドバイス,意外に学ぶ機会の少ないX線の原理や撮影方法,造影剤の特性などについても詳述されている.本書は,皆さんのアセスメント能力をテキメンに引き上げてくれる一冊であり,絶対に「買い」である.