カテゴリー: 教養課程の医学教科書
乳児保育
改訂10版
作新学院大学女子短期大学部 教授 石原栄子 著
青山学院大学 教授 庄司順一 著
鎌倉女子大学 助教授 田川悦子 著
横井こどもクリニック 院長 横井茂夫 著
定価
2,200円(本体 2,000円 +税10%)
- B5判 229頁
- 2009年4月 発行
- ISBN 978-4-525-63020-1
保育所保育指針改定に対応!!保育士養成機関のテキストとして,1976年の初版以来,絶大なる支持を得ている「乳児保育」を,授業のカリキュラムや時代の変化に合わせ,書き換えた.とくに,保育という視点をより強化し,また,乳児関連の疾患について記述を多くした.乳児保育を理解し,実践する手助けとなるよう,イラストや写真も多く取り入れ視覚的にも配慮した.演習にも役立つ一冊.
- 序文
- 目次
序文
早いもので本書改訂 9 版が発行されてから 5 年の年月が経った.この 5 年間もまた社会の変化は大きく,「格差社会」「ワーキングプア」といった社会現象が生まれ,さらに 2008 年秋アメリカに端を発した金融危機は瞬く間に世界に広がり,わが国の社会経済状況の悪化も深刻なものになっている.
こうした社会の変化は,当然のことながら子どもや子育て家庭を取りまく環境にも影響を及ぼしている.2001 年に「待機児童ゼロ作戦」が策定されてから減少を続けていた待機児童数は,「新待機児童ゼロ作戦」がスタートした 2008 年に再び増加傾向がみられるようになった.この背景には保育所の受入児童数の増加によって掘り起こされた潜在需要とともに,不安定な雇用や不況のために働かなければならない母親が増えていることが考えられる.待機児童は全体の 70%が 0 〜 2 歳の低年齢児であり,乳児保育を制度と内容の両面から考えていくことは重要な課題となっている.
本書の特長のひとつは,国や自治体から出される新しい方向や数値などに速やかに対応することである.そのため 10 版は改訂の時期を保育所保育指針の改定にあわせ,さらに近年の保育サービスの量的拡充,認定こども園制度の発足,家庭的保育の法制化など,可能な限り新しい情報を盛り込んだ.保育所保育指針は 1965 年に厚生省通知として出され,過去に 2 回の改定が行われているが,2008 年の 3 回目の改定では従来の局長通知から厚生労働大臣による告示となり,最低基準としての規範性を有するものとなった.保育士には新しい指針を踏まえたうえで保育の内容の充実と質の向上を図ることが求められていることを,保育士を目指す方々にしっかりと受け止めてほしいと願っている.
乳児期は人間形成の基礎が培われる重要な時期である.人間に対する深い愛情と科学的な視点をもって保育にあたることは,保育士の基本的な要件といえよう.慣習や思いつきではなく科学的根拠に基づく判断をすることが,これからの保育者にとって大切なことである.その一助となるように,本書は 4 人の著者がそれぞれの専門分野から乳児保育に対する意見を交換・確認して執筆することに努めている.
2009年2月
著者一同
こうした社会の変化は,当然のことながら子どもや子育て家庭を取りまく環境にも影響を及ぼしている.2001 年に「待機児童ゼロ作戦」が策定されてから減少を続けていた待機児童数は,「新待機児童ゼロ作戦」がスタートした 2008 年に再び増加傾向がみられるようになった.この背景には保育所の受入児童数の増加によって掘り起こされた潜在需要とともに,不安定な雇用や不況のために働かなければならない母親が増えていることが考えられる.待機児童は全体の 70%が 0 〜 2 歳の低年齢児であり,乳児保育を制度と内容の両面から考えていくことは重要な課題となっている.
本書の特長のひとつは,国や自治体から出される新しい方向や数値などに速やかに対応することである.そのため 10 版は改訂の時期を保育所保育指針の改定にあわせ,さらに近年の保育サービスの量的拡充,認定こども園制度の発足,家庭的保育の法制化など,可能な限り新しい情報を盛り込んだ.保育所保育指針は 1965 年に厚生省通知として出され,過去に 2 回の改定が行われているが,2008 年の 3 回目の改定では従来の局長通知から厚生労働大臣による告示となり,最低基準としての規範性を有するものとなった.保育士には新しい指針を踏まえたうえで保育の内容の充実と質の向上を図ることが求められていることを,保育士を目指す方々にしっかりと受け止めてほしいと願っている.
乳児期は人間形成の基礎が培われる重要な時期である.人間に対する深い愛情と科学的な視点をもって保育にあたることは,保育士の基本的な要件といえよう.慣習や思いつきではなく科学的根拠に基づく判断をすることが,これからの保育者にとって大切なことである.その一助となるように,本書は 4 人の著者がそれぞれの専門分野から乳児保育に対する意見を交換・確認して執筆することに努めている.
2009年2月
著者一同
目次
1 乳児と乳児保育
A.新生児・乳児
B.新生児の生きる仕組み
C.乳児期の特徴
D.乳児保育の基本
E.乳児の権利擁護
2 乳児委託保育の歴史と他国の動向
A.わが国の乳児委託保育の歴史
B.現代他国の乳児委託保育事情
3 わが国の乳児をとりまく環境状況
A.家族環境
B.社会環境
C.女性のライフスタイルの変化
D.育児不安
4 こども虐待
A.こども虐待への関心の高まり
B.こども虐待の定義とタイプ
C.こども虐待の実態
D.虐待への対応 ─(1)保育所─
E.虐待への対応 ─(2)乳児院─
5 わが国の乳児委託保育の制度と現状
A.乳児院
B.里親制度
C.認可保育所
D.へき地保育所
E.認可外保育施設
F.家庭的保育(保育ママ)
G.ベビーシッター
H.その他
6 からだの発育
A.成長・発達・発育の定義
B.からだの発育
C.身体発育の評価
7 からだの発達
A.からだの生理的・機能的発達
B.脳神経系の発達
C.運動発達
8 心の発達
A.心理的発達とその評価
B.発達に影響する要因
9 乳児期の発育・発達
A.乳児の月齢別発育・発達の特徴
B.乳児の行動と保育
10 病気とその予防
A.乳幼児の病気の特徴
B.生命徴候・バイタルサインについて
C.主要症状と養護のポイント
D.乳幼児に多い病気
E.学校伝染病と出席停止期間について
F.予防接種
G.乳幼児健康診査と保健指導
11 事故とその対応・予防・救急処置,乳幼児突然死症候群について
A.事故について
B.救急の処置と養護のポイント
C.乳幼児突然死症候群
12 乳幼児の生活と保育
A.乳幼児の栄養法
B.生活の世話
13 保育所の保育
A.保育所の保育内容
B.保育の計画
C.家庭との連携
D.他機関との連携
E.保育所と地域の子育て支援
14 乳児院の保育
A.乳児院での生活の特徴
B.乳児院における保育の原理
C.保育の計画
D.他機関との連携
E.乳児院と地域の子育て支援
15 乳児保育関連資料
A.乳児保育に関係する法規など
B.乳幼児の保健関連資料
C.児童福祉関連資料
D.児童環境に関連する資料
A.新生児・乳児
B.新生児の生きる仕組み
C.乳児期の特徴
D.乳児保育の基本
E.乳児の権利擁護
2 乳児委託保育の歴史と他国の動向
A.わが国の乳児委託保育の歴史
B.現代他国の乳児委託保育事情
3 わが国の乳児をとりまく環境状況
A.家族環境
B.社会環境
C.女性のライフスタイルの変化
D.育児不安
4 こども虐待
A.こども虐待への関心の高まり
B.こども虐待の定義とタイプ
C.こども虐待の実態
D.虐待への対応 ─(1)保育所─
E.虐待への対応 ─(2)乳児院─
5 わが国の乳児委託保育の制度と現状
A.乳児院
B.里親制度
C.認可保育所
D.へき地保育所
E.認可外保育施設
F.家庭的保育(保育ママ)
G.ベビーシッター
H.その他
6 からだの発育
A.成長・発達・発育の定義
B.からだの発育
C.身体発育の評価
7 からだの発達
A.からだの生理的・機能的発達
B.脳神経系の発達
C.運動発達
8 心の発達
A.心理的発達とその評価
B.発達に影響する要因
9 乳児期の発育・発達
A.乳児の月齢別発育・発達の特徴
B.乳児の行動と保育
10 病気とその予防
A.乳幼児の病気の特徴
B.生命徴候・バイタルサインについて
C.主要症状と養護のポイント
D.乳幼児に多い病気
E.学校伝染病と出席停止期間について
F.予防接種
G.乳幼児健康診査と保健指導
11 事故とその対応・予防・救急処置,乳幼児突然死症候群について
A.事故について
B.救急の処置と養護のポイント
C.乳幼児突然死症候群
12 乳幼児の生活と保育
A.乳幼児の栄養法
B.生活の世話
13 保育所の保育
A.保育所の保育内容
B.保育の計画
C.家庭との連携
D.他機関との連携
E.保育所と地域の子育て支援
14 乳児院の保育
A.乳児院での生活の特徴
B.乳児院における保育の原理
C.保育の計画
D.他機関との連携
E.乳児院と地域の子育て支援
15 乳児保育関連資料
A.乳児保育に関係する法規など
B.乳幼児の保健関連資料
C.児童福祉関連資料
D.児童環境に関連する資料