医薬品のレギュラトリーサイエンス
改訂2版
武蔵野大学薬学部 特任教授 豊島 聰 編著
日本OTC医薬品協会 理事長 黒川達夫 編著
定価
2,750円(本体 2,500円 +税10%)
- B5判 145頁
- 2016年4月 発行
- ISBN 978-4-525-70632-6
「レギュラトリーサイエンス」入門書の決定版!!
ある化学物質が「医薬品」として扱われ,人に使用されるためには,有効性や安全性の確認や,最適な製法・分析技術の確立,さらに国の製造販売審査と承認が必要である.本書では,化学物質が「医薬品」となるための道のりや規制を,その原理や考え方,社会との関わりから解説した.医薬品開発担当者,行政担当者,またそれらを目指す学生は必読.
- 序文
- 目次
序文
レギュラトリーサイエンスは,“科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に,根拠に基づく的確な予測,評価,判断を行い,科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学”と定義されている.特に,新しい技術・知識を社会に適用させるにあたってこの概念が有用と考えられる.例えばiPS細胞の医療応用に代表される画期的な医療の実用化には,既存の科学では解決できない問題が存在するが,その解決には「科学の成果物や新技術を最適な形で社会に適合させるための科学」としてのレギュラトリーサイエンスが不可欠である.
薬学部卒業生の従事するほとんどの業務はこのレギュラトリーサイエンスの概念に基づいて遂行される.例えば,病院・薬局における薬剤師業務は,科学技術の成果物である医薬品の適正使用(最適な形で社会に適合させる)であり,製薬企業における研究・開発業務や行政における承認審査・安全対策業務などもこの概念に基づいて行われている.さらに,食品や環境化学物質の規制業務等にもレギュラトリーサイエンスの概念が不可欠である.ところで,2014年(平成26年)度以前に入学した薬学部学生のための6年制薬学教育モデル・コアカリキュラムの内容にはレギュラトリーサイエンスと関連する事項が多く含まれていたが,レギュラトリーサイエンスの項は含まれていなかった.しかし,2015年(平成27年)度入学生より適用された改訂6年制薬学教育モデル・コアカリキュラムには,レギュラトリーサイエンスの項目が入り,“レギュラトリーサイエンスの必要性と意義について説明できること”と記述されている.また,2014年(平成26年)度には,医薬品・医療機器等の開発・承認審査・市販後安全対策等に関わる改正薬事法〔医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)〕および再生医療等製品に関わる新法(再生医療等の安全性の確保等に関する法律)が施行されており,本書の「初版の序」に記述したとおり,レギュラトリーサイエンスの教育の重要性はより高まってきている.
このような状況のもと,本書「医薬品のレギュラトリーサイエンス 改訂2版」は,改訂6年制薬学教育モデル・コアカリキュラムおよび改正薬事法等(医薬品医療機器等法・再生医療等製品に関わる新法)に対応するために必要な改訂を行うため企画された.
2016年早春
武蔵野大学薬学部
豊島 聰
薬学部卒業生の従事するほとんどの業務はこのレギュラトリーサイエンスの概念に基づいて遂行される.例えば,病院・薬局における薬剤師業務は,科学技術の成果物である医薬品の適正使用(最適な形で社会に適合させる)であり,製薬企業における研究・開発業務や行政における承認審査・安全対策業務などもこの概念に基づいて行われている.さらに,食品や環境化学物質の規制業務等にもレギュラトリーサイエンスの概念が不可欠である.ところで,2014年(平成26年)度以前に入学した薬学部学生のための6年制薬学教育モデル・コアカリキュラムの内容にはレギュラトリーサイエンスと関連する事項が多く含まれていたが,レギュラトリーサイエンスの項は含まれていなかった.しかし,2015年(平成27年)度入学生より適用された改訂6年制薬学教育モデル・コアカリキュラムには,レギュラトリーサイエンスの項目が入り,“レギュラトリーサイエンスの必要性と意義について説明できること”と記述されている.また,2014年(平成26年)度には,医薬品・医療機器等の開発・承認審査・市販後安全対策等に関わる改正薬事法〔医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)〕および再生医療等製品に関わる新法(再生医療等の安全性の確保等に関する法律)が施行されており,本書の「初版の序」に記述したとおり,レギュラトリーサイエンスの教育の重要性はより高まってきている.
このような状況のもと,本書「医薬品のレギュラトリーサイエンス 改訂2版」は,改訂6年制薬学教育モデル・コアカリキュラムおよび改正薬事法等(医薬品医療機器等法・再生医療等製品に関わる新法)に対応するために必要な改訂を行うため企画された.
2016年早春
武蔵野大学薬学部
豊島 聰
目次
序 章 医薬品と社会との関わり
1 医薬品の開発と承認審査
Ⅰ 医薬品の特徴と特性
1 求められる品質特性とそのための手立て
2 医薬品医療機器等法による規制とその歴史
Ⅱ 製造販売の承認審査
1 医薬品の製造販売承認と審査
2 製造販売承認取得までのプロセス
3 医薬品の承認基準
2 品質と規格 ─品質評価・規格設定の必要性
Ⅰ 有効性と安全性の基盤となる品質特性
1 すべての医薬品に共通する品質特性評価項目
2 低分子・化学物質を有効性の源とする医薬品に求められる品質特性
3 生物学的製剤およびバイオテクノロジー応用医薬品の場合
4 再生医療等製品の場合
Ⅱ 規格・GMP
1 医薬品に求められる厳格な規格とそのためのGMP
2 GMPとその考え方
3 医薬品の生命に対する働きや疾病との関わり
Ⅰ 医薬品の薬理作用と疾病や症状および開発との関わり
1 医薬品はなぜ効くのか
2 個別化医療
Ⅱ 承認に必要となる薬理試験
1 医薬品開発における薬理試験
2 承認審査に必要となる薬理試験
Ⅲ 有効性の由来:疾病や症状の治癒または緩和
1 疾患を意識するとき
2 医薬品に期待されること
3 医薬品の薬理作用
4 薬物治療における有効性
Ⅳ 安全性を明らかにする:生命に対する好ましくない作用の有無やその程度
1 社会問題化した好ましくない作用の事例
2 ベネフィットとリスクのバランス
3 医薬品の安全性を示す用語
4 薬物有害反応の予測
5 薬物有害反応の種類
4 患者・健常人で有効性や安全性を確かめるための手立て
Ⅰ 有効性や安全性は,なぜ人間で試験されなければならないのか
1 臨床試験開始前に行われる試験
2 無毒性量と臨床試験における用法・用量
3 無毒性量・曝露レベルと臨床用量・曝露レベル
4 非臨床試験の限界
5 臨床試験における有効性評価
6 臨床試験における安全性評価
Ⅱ ヘルシンキ宣言とGCP
1 臨床試験における人権保護の徹底と倫理的配慮
2 人間を対象とする試験研究に関する歴史的考察
3 ヘルシンキ宣言について
4 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)
5 人間を対象とする試験研究に関するGCP以外のガイドライン
Ⅲ 臨床研究における統計学の基礎
1 似たもの同士を比較する
2 病気を測る
3 違いを探る
5 臨床開発の展開と目的
Ⅰ 臨床第Ⅰ相試験
1 安全性および忍容性
2 薬物動態と薬力学
3 ファーマコゲノミクス
4 ファースト・イン・ヒューマン試験
5 探索的な臨床開発ステージにおける位置づけ
Ⅱ 臨床第Ⅱ相試験
1 試験の目的
2 試験デザイン
3 バイオマーカー
4 被験者を対象とした薬物動態試験
Ⅲ 臨床第Ⅲ相試験
1 試験の目的
2 試験デザイン
3 試験の計画立案において注意すべき事項
4 抗がん薬の第Ⅱ・Ⅲ相試験
Ⅳ 国際共同治験
1 国際共同治験とその背景
2 日本が参加する国際共同治験と留意事項
3 今後の医薬品開発
Ⅴ 承認の条件とその適用
1 根拠法令と適用
2 条件付きの製造販売承認が増えた背景
3 再生医療等製品の条件付き承認
4 条件付き承認の今後
6 医薬品添付文書
1 医薬品の適正使用と情報
2 医療用医薬品添付文書とは
3 添付文書の記載項目と概要
4 添付文書の利用と限界
5 薬事法改正と添付文書
7 市販後の安全な使用とライフサイクルマネージメント
1 市販後の医薬品使用に関する情報収集や試験研究
2 副作用・感染症報告制度
3 再評価制度
4 再審査制度
5 市販後安全対策を適切に実施するための基準
6 市販直後調査
7 個々の医薬品についての具体的な安全対策
8 医薬品安全性情報の広範な収集・評価と国際的な拡がり
9 医薬品リスク管理計画
10 医薬品承認後の製品改良や適応の拡大
11 ベネフィット・リスクバランス改善に向けた持続的努力
1 医薬品の開発と承認審査
Ⅰ 医薬品の特徴と特性
1 求められる品質特性とそのための手立て
2 医薬品医療機器等法による規制とその歴史
Ⅱ 製造販売の承認審査
1 医薬品の製造販売承認と審査
2 製造販売承認取得までのプロセス
3 医薬品の承認基準
2 品質と規格 ─品質評価・規格設定の必要性
Ⅰ 有効性と安全性の基盤となる品質特性
1 すべての医薬品に共通する品質特性評価項目
2 低分子・化学物質を有効性の源とする医薬品に求められる品質特性
3 生物学的製剤およびバイオテクノロジー応用医薬品の場合
4 再生医療等製品の場合
Ⅱ 規格・GMP
1 医薬品に求められる厳格な規格とそのためのGMP
2 GMPとその考え方
3 医薬品の生命に対する働きや疾病との関わり
Ⅰ 医薬品の薬理作用と疾病や症状および開発との関わり
1 医薬品はなぜ効くのか
2 個別化医療
Ⅱ 承認に必要となる薬理試験
1 医薬品開発における薬理試験
2 承認審査に必要となる薬理試験
Ⅲ 有効性の由来:疾病や症状の治癒または緩和
1 疾患を意識するとき
2 医薬品に期待されること
3 医薬品の薬理作用
4 薬物治療における有効性
Ⅳ 安全性を明らかにする:生命に対する好ましくない作用の有無やその程度
1 社会問題化した好ましくない作用の事例
2 ベネフィットとリスクのバランス
3 医薬品の安全性を示す用語
4 薬物有害反応の予測
5 薬物有害反応の種類
4 患者・健常人で有効性や安全性を確かめるための手立て
Ⅰ 有効性や安全性は,なぜ人間で試験されなければならないのか
1 臨床試験開始前に行われる試験
2 無毒性量と臨床試験における用法・用量
3 無毒性量・曝露レベルと臨床用量・曝露レベル
4 非臨床試験の限界
5 臨床試験における有効性評価
6 臨床試験における安全性評価
Ⅱ ヘルシンキ宣言とGCP
1 臨床試験における人権保護の徹底と倫理的配慮
2 人間を対象とする試験研究に関する歴史的考察
3 ヘルシンキ宣言について
4 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)
5 人間を対象とする試験研究に関するGCP以外のガイドライン
Ⅲ 臨床研究における統計学の基礎
1 似たもの同士を比較する
2 病気を測る
3 違いを探る
5 臨床開発の展開と目的
Ⅰ 臨床第Ⅰ相試験
1 安全性および忍容性
2 薬物動態と薬力学
3 ファーマコゲノミクス
4 ファースト・イン・ヒューマン試験
5 探索的な臨床開発ステージにおける位置づけ
Ⅱ 臨床第Ⅱ相試験
1 試験の目的
2 試験デザイン
3 バイオマーカー
4 被験者を対象とした薬物動態試験
Ⅲ 臨床第Ⅲ相試験
1 試験の目的
2 試験デザイン
3 試験の計画立案において注意すべき事項
4 抗がん薬の第Ⅱ・Ⅲ相試験
Ⅳ 国際共同治験
1 国際共同治験とその背景
2 日本が参加する国際共同治験と留意事項
3 今後の医薬品開発
Ⅴ 承認の条件とその適用
1 根拠法令と適用
2 条件付きの製造販売承認が増えた背景
3 再生医療等製品の条件付き承認
4 条件付き承認の今後
6 医薬品添付文書
1 医薬品の適正使用と情報
2 医療用医薬品添付文書とは
3 添付文書の記載項目と概要
4 添付文書の利用と限界
5 薬事法改正と添付文書
7 市販後の安全な使用とライフサイクルマネージメント
1 市販後の医薬品使用に関する情報収集や試験研究
2 副作用・感染症報告制度
3 再評価制度
4 再審査制度
5 市販後安全対策を適切に実施するための基準
6 市販直後調査
7 個々の医薬品についての具体的な安全対策
8 医薬品安全性情報の広範な収集・評価と国際的な拡がり
9 医薬品リスク管理計画
10 医薬品承認後の製品改良や適応の拡大
11 ベネフィット・リスクバランス改善に向けた持続的努力