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カテゴリー: 臨床薬学  |  基礎薬学

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調剤学総論

改訂14版

薬学博士 堀岡正義 原著
調剤学総論編集委員会 改訂

定価

7,480(本体 6,800円 +税10%)


  • B5判  557頁
  • 2022年3月 発行
  • ISBN 978-4-525-77234-5

薬剤師のバイブルともいうべき一冊

改訂14版では,薬剤師を取り巻く医療・薬事制度の変革,薬学教育制度や国試の動向などを踏まえて内容の見直しを行い,統計データ等を可能な範囲で新しいものに更新した.令和2年度診療報酬改定の内容を盛り込み,日局18に準拠した内容とした.

  • 序文
  • 目次
序文
 このたび「調剤学総論 改訂14版」を発刊することができました.
 ICT(information and communication technology),AI(artificial intelligence)が,教育の領域にもものすごい勢いで入ってきています.このことは知識がコンピュータに勝てなくなり,自らが行動し,目で見ること,手を動かして触ることが一つの武器になることを意味しています.つまり,処方箋を読み,薬剤を調剤し,監査した感覚が武器になると考えます.この感覚は,その業務に関わる創造する力につながり,今後のAIとの共存に役立つものと考えます.薬剤師一人ひとりの感性が大切になります.しかし,感覚については調剤行為が徐々に機械化によりDX(digital transformation)化される中,調剤という行為を「学」として,アナログ的な経験により身につけることは,言語化だけに頼るデジタルな教育(学び)とは異なるものです.言語化でき,パターン化できるものは,人がどんなに努力しても到底及ばない機能を発揮するのは明らかです.
 体験,経験により知識を重視する「いかに(How)」は,調剤を薬剤師の大切な業務と考え,調剤学として本当に行いたいもの,知りたいものは何かを知るヒントになります.あるいは「なぜ(Why)」を考える材料の一環として,学びを考えることを目的としています.調剤において最も大切なのは実際の体験ですが,その実際の体験に伴うWhyに目を向けるためのヒントになるといえます.このような背景の中で「調剤学総論 改訂14版」のための検討が始まりました.

 薬剤師(薬局,病院にかかわらず)の業務から調剤を切り離すことはできません.しかし,ICT,AIなどによりDX化されつつある流れの中で,調剤を「学」として大切にする本書は薬剤師のバイブルとしての意義を有しているといえます.医療,薬物療法の急流に巻き込まれる調剤ではなく,「学」としての調剤を大切にしていかなければなりません.
 本書は調剤に関わる古い文化を昔からの流れとして受け継ぐのではなく,新しい情報に基づき,若手薬剤師の新鮮な疑問に対し一緒に考えるなど,若手薬剤師の疑問を大切にし,共に回答を考え,見つけ出すことができる緻密な役割を担っているといえます.理論,評論だけを知っていてもだめであり,大切なのは「いかに(How)」だけを追求することではなく,調剤に対する「なぜ(why)」に目を向けてほしいということです.本書の役割がここにあるといえます.

 調剤学について従来からの経緯を記した書は,現在ではほとんどみられません.また,学ぶ機会も多いとはいえません.本書はその流れを的確に知ることができるだけでなく,最新の調剤学,調剤学に関わる領域についても知ることができます.調剤学に関わる領域とは,医薬品情報,管理・品質,剤形と製剤試験,投与法,TDM,配合と併用,適正使用,薬歴管理,服薬指導,内用薬,外用薬,注射剤の調剤から特殊医薬品,さらに,医療施設,薬局管理等,広範囲にわたります.
 本書の中では“The practice of pharmacy is an art, based on science”(Sir William Oslerの言葉にあるMedicineをpharmacyに置き換えた)にみられるように,臨床を扱う薬剤師の目指すべき方向があるとしています.
 AIの発展がめざましく,知識はAIにかないません.しかし,本書はその知識を「学」として体系化しています.本書を学ぶことにより,個々の施設として共通の基盤のもとに調剤の体系化を構築することができます.調剤を「学」として学ぶことは薬剤師として必須であり,薬剤師の業務からなくなることはないと考えます.AIによる情報を知識として,それを薬剤師の立場で「学」として調剤学を築き,患者に対する適切な薬物投与に関する技術を考慮した学理,薬物の側から薬物療法を評価する総合的な学問体系,そして,医療人としての倫理観,使命感を授けることも求められます.

 堀岡正義先生の築かれた調剤に対する熱意は,「調剤学」としてこれからも薬剤師の知るべき一つの学問であるといえます.
 私たち薬剤師は,患者のための適正な薬物療法に貢献するためにも「調剤学」を大切に薬剤師業務の基盤としていかなければなりません.

 新型コロナウイルス感染症禍での改訂となりましたが「調剤学総論 改訂14版」を送り出すことができました.ある意味,印象に残る改訂作業となりました.
 調剤学総論編集委員会委員各位の協力に感謝いたします.そして,なによりもコロナ禍に負けることなく健康で,最後まで細かく丁寧に改訂作業をしてくれた南山堂編集部の方々に心から感謝いたします.

2022年2月
折井孝男
目次

A.調剤の基礎

1.序 論
  1.医学と薬学,医療と薬剤師
  2.調剤学,医療薬剤学,病院薬学,医療薬学
  3.調剤学の歴史
  4.薬剤師の現状
  5.関係法規

2.調剤論
  1.調剤業務と薬剤業務
  2.薬剤師職能の変革
  3.薬剤師の倫理と調剤のフィロソフィー
  4.調剤の概念
  5.薬局薬剤師と病院薬剤師の調剤の特徴
  6.Clinical Pharmacy PracticeからPharmaceutical Careへ
  7.調剤は薬学諸学の総合ということ
  8.これからの調剤学

3.医薬品
  1.医薬品
  2.医薬品の開発
  3.製造販売後調査
  4.医薬品副作用被害と生物由来製品感染等被害の救済
  5.新医薬品開発のあゆみと課題

4.医薬品情報
 医薬品情報概論
  1.医薬品情報源の分類
  2.医薬品情報の種類
  3.医薬品情報の調べ方
  4.医薬品の情報提供システム
  5.薬剤疫学・薬剤経済学
 医療提供施設における医薬品情報管理業務
  6.医薬品情報管理業務(全般)
  7.医薬品情報の収集,活用,提供

5.医薬品の管理
  1.医薬品の管理
  2.医薬品の管理のためのコード
  3.医薬品管理の実際
  4.医薬品の貯法と容器
  5.麻薬,向精神薬,覚醒剤の管理
  6.生物由来製品,特定生物由来製品の管理
  7.感染性廃棄物の管理

6.医薬品の品質,剤形と製剤試験
 医薬品の品質
  1.医薬品の規格
  2.医薬品の品質確保
  3.院内製剤
 剤形と製剤試験
  4.製剤の種類
  5.ドラッグデリバリーシステム
  6.製剤試験
  7.生物学的同等性

7.医薬品の投与法
 薬用量
  1.薬用量
  2.小児薬用量
  3.高齢者薬用量
  4.妊婦,授乳婦への医薬品投与
  5.疾患と禁忌の医薬品
  6.遺伝子診断に基づく薬物治療の患者個別化
 医薬品の投与法
  7.投与剤形の選択
  8.投与回数と投与間隔
  9.服用方法

8.血中薬物濃度モニタリング(TDM)概論
  1.TDM
  2.臨床におけるTDMの有用性
  3.TDMに必要な薬物動態理論の基礎知識
  4.TDMの実例

9.配合と併用
  1.はじめに
 理化学的配合変化
  2.配合変化
  3.理化学的配合変化
  4.融点降下による湿潤,液化
  5.吸 湿
  6.交換反応による沈殿生成
  7.外用剤(半固形製剤)の混合
 薬物相互作用
  8.薬物相互作用
  9.薬物相互作用の実例

10.医薬品の適正使用と薬剤師
  1.はじめに
  2.医薬品の適正使用と行政
  3.創薬の論理と臨床適用の考え方の乖離
  4.PMSは乖離の幅を縮小する
  5.薬物療法の薬学的評価
  6.医薬品の適正使用と薬剤師の役割
  7.医薬品の薬学的評価の実例


B.調剤の技術

11.処方と調剤業務
  1.処方箋
  2.調剤室
  3.処方オーダリングシステム
  4.処方箋の取り扱い
  5.処方の点検
  6.疑義照会
  7.調剤薬の調製と交付
  8.医薬品による事故,過誤と対策

12.薬歴管理,服薬指導~患者への情報提供
 薬歴管理
  1.薬歴の作成と患者接遇
  2.薬剤服用歴
  3.薬剤師の病棟業務
  4.在宅患者訪問薬剤管理指導業務
 服薬指導~患者への情報提供
  5.コンプライアンスと患者コミュニケーション
  6.服薬指導指針,薬剤情報提供の進め方
  7.服薬指導の実際(1)
  8.服薬指導の実際(2)
  9.服薬指導の実例

13.剤形別の調剤〔1〕内用剤
  1.散剤・顆粒剤の調剤
  2.錠剤・カプセル剤の調剤
  3.内用液剤の調剤
  4.経腸栄養法
  5.麻薬の調剤

14.剤形別の調剤〔2〕外用剤
  1.外用液剤
  2.眼科用製剤
  3.軟膏剤及び類似製剤
  4.坐 剤

15.剤形別の調剤〔3〕注射剤
  1.注射剤概説
  2.注射剤の調剤
  3.注射剤処方箋と注射剤調剤の手順
  4.注射剤調剤の実際
  5.輸液療法
  6.高カロリー輸液療法
  7.電解質の補給,補正
  8.注射剤の配合変化,試験法,予測法

16.特殊医薬品
  1.救急用医薬品
  2.血液製剤
  3.放射性医薬品
  4.診断用医薬品
  5.消毒薬


C.医療施設,医療保障

17.医療施設管理・薬局管理
  1.医療法と医療施設
  2.医療施設の種類
  3.病院の使命
  4.病院の組織
  5.病院の業務
  6.病院薬剤部の管理
  7.薬局管理

18.医療関連制度
  1.社会保障制度
  2.医療保障制度
  3.国民医療費の動向
  4.診療報酬と薬価基準
  5.調剤報酬,診療報酬
  6.医薬分業
  7.医療制度改革

エピローグ―薬剤師へのメッセージ

モデル・コアカリキュラム対応表

日本語索引
外国語索引



余 録
 九大病院初代薬局長 酒井甲太郎
 調剤の法規定と調剤学
 画期的な新薬の発明によりノーベル賞を受賞した研究者
 ジェネリック医薬品のCMパンフレット
 百年前の薬
 新薬日新(明治40年)(恩田重信著,酒井甲太郎補)
 日本薬剤師会,日本病院薬剤師会の会章
 明治末期の病院薬局調剤室
 DOKAMA散剤分包機
 くすりの正しい服用,使用上の注意の絵文字(ピクトグラム)
 薬剤イベントモニタリング(DEM)の協力依頼ポスター
 薬の正しい使い方パンフレット
 アセトアミノフェン中毒
 薬剤師会から医師会への情報提供
 原著者 堀岡正義の略歴

MEMO
 CRO,SMO,CRC
 医薬品の生産額(2020年)
 分子標的薬
 ニトログリセリンを嘗めたが
 用法・用量とは
 アレビアチンの調剤情報
 EBM
 ハイリスク薬
 “処方かんさ”を考える
 フラジオマイシン含有点耳液の長期点耳による失聴
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