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カテゴリー: 基礎薬学

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基礎と臨床をつなぐ

物理薬剤学・製剤学

1版

明治薬科大学 教授 深水啓朗 編著

定価

5,940(本体 5,400円 +税10%)


  • B5判  390頁
  • 2023年3月 発行
  • ISBN 978-4-525-77851-4

薬の適切な使用や調剤の基本のマスターを目指す最初の一歩におすすめ!

物理薬剤学・製剤学は,安定的に薬の効果を発揮させるために重要な学問である.薬剤で使用されている材料の性質を理解することで,適切な保存方法や使用方法を裏打ちし,将来,臨床現場で調剤を行う際の礎としても力を発揮するものとなる.
また,基礎薬学的な知識が臨床現場でどのように役に立つのかを“clinical”という形で記しており,基礎と臨床を結び付けやすく構成している.
また,これまで紙面だけでは表現しきれなかった測定機器や製剤機器については,動画を使用して解説したおすすめの一冊である.

  • 序文
  • 目次
序文
 これから皆さんが学ぶ物理薬剤学・製剤学は,薬学の中で「薬剤学」に分類される学問です.薬物動態などを取り扱う生物薬剤学とならんで,「薬学に特徴的な分野」といえます.つまり,医師・看護師等の医療従事者(医療チーム)が担当しない=守備範囲外=学ぶことのない領域を取り扱っています.だいたい「物理」がつく科目は薬学生に敬遠されがちですが,物理薬剤学は,製剤の仕組みを理解するのに必要な物理を取り扱っているので,「決して恐れる必要はない」,ということを最初に強調したいと思います.また,「製剤」は有効成分をヒトが利用できる形(剤形といいます)にしたもので,皆さんも既に「錠剤」や「クリーム剤」などで親しみがあると思います.
 実社会でも様々な製剤が利用されていますが,医療の現場においては患者の状態に応じて,市販されている「製剤の粉砕や混合」といった加工が行われています.その場合に可否を判断する,あるいは適切な操作を行うために,物理薬剤学・製剤学の知識が必須となります.また,近年ジェネリック医薬品の普及が急速に進んでいますが,薬効が同じでも,飲みやすさ,扱いやすさには差があります.その評価を臨床現場で適切に行える医療従事者は薬剤師以外に考えられません.「薬剤師が患者のQOL(Quality of Life)に貢献できる」知識だと確信しています.
 そうは言っても,多くの薬学生にとって,物理の公式は日々親しむものとは言い難いでしょう.そこで本書では,ところどころに「Clinical」という項目を設けて,「物理薬剤学の知識が臨床現場でどのように活用できるのか」例示しています.また,これまで数式や図で示されていた物理的な現象を皆さんがイメージできるように,「オリジナルの動画を作成」しました.17種類あまりの動画を各所に散りばめましたので,皆さんが硬い文章を読み続けて飽きた頃に,QR コードのリンクからスマホで楽しんでもらえることを期待しています.
 筆者も薬学部を随分昔に卒業しましたが,試験用に詰め込んだ知識,使わない知識は簡単に消え去ることを痛感しています.この教科書は,皆さんが学部の講義だけでなく,実務実習で,また「臨床の現場で再び利用してもらえる」ように,もっと言えば捨てられないように,物理薬剤学と製剤学の基礎と臨床を結びつけました.皆さんが近い将来に,製剤の良し悪しが分かる,「患者のために目利きのできる薬剤師」となるのに役立つことを,心から願っています.

2023年2月
深水啓朗
目次
第Ⅰ章 物理薬剤学
 1 固形材料
  A. 粉体の性質
  B. 固体原薬の結晶状態
  C. 溶 解
 2 半固形・液状材料
  A. 流動性と変形(レオロジー)
  B. 生体高分子
 3 分散系材料
  A. 界面の性質
  B. 代表的な分散系
  C. 分散した粒子の安定性
 4 薬物および製剤材料の物性
  A. 製剤分野で汎用される高分子
  B. 薬物の安定性
第Ⅰ章 clinical(抜粋):装置瓶への充てん性/散・顆粒剤の混合可否/放出制御製剤/製剤のレオロジー特性(シロップ剤,軟膏剤・クリーム剤,点鼻液)/注射用アンプルの界面張力/軟膏・クリーム剤の混合可否 他

第Ⅱ章 製剤学
 1 代表的な製剤
  A. 製剤化の概要と意義
  B. 経口投与する製剤
  C. 粘膜に適用する製剤
  D. 注射により投与する製剤
  E. 皮膚に適用する製剤
  F. 生薬関連製剤
 2 製剤設計および製剤化工程
  A. 代表的な医薬品添加剤
  B. 製剤化の単位操作
 3 製剤試験法
  A. 医薬品の試験法
 4 生物学的同等性の保証
  A. 生物学的同等性
第Ⅱ章 clinical(抜粋):臨床では,どのような剤形が使用されているのか?/注射剤・点眼剤の等張化/添付文書に記載されている添加剤の解釈/胃酸に弱い医薬品 腸溶性コーティングの意味/プラスチック容器からの可塑剤溶出

第Ⅲ章 薬物送達学(DDS)
 1 DDS の必要性(薬物送達システム)
  A. DDS の概念と有用性
 2 放出制御(コントロールドリリース)
  A. 放出制御の概要と意義
  B. 代表的な放出制御の技術
 3 ターゲティング(標的指向)
  A. ターゲティングの概要と意義
  B. 代表的なターゲティング技術
 4 吸収改善
  A. 吸収改善の概要と意義
  B. 代表的な吸収改善技術
 5 プロドラッグ
  A. プロドラッグの概要と意義
  B. 代表的なプロドラッグ

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